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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2023/09/25 13:45

経営

ティール組織とは?必要な要素や概念などについて詳しく解説【人材/組織構造】

読了まで約2分

企業において組織開発は重要な課題の一つです。
日本では昨今の新型コロナウィルス(covid-19)対策の一環としてリモートワークが広く普及したことをきっかけに、私たちの働き方は大きく変化しました。
リモートワークによって顔を合わせる機会が減り、従来のマネジメント手法に限界を感じている方もいらっしゃるでしょう。

そこで新たな組織の形として注目されているのが「ティール組織」です。
今回はティール組織とは何か、ティール組織に至るまでの5つの過程などについて詳しく解説します。

ティール組織とは

ティール組織とは、フレデリック・ラルー氏が2014年に出版した著書『Reinventing Organizations』で提唱した組織論で、
従来とは大きく異なる組織構造や文化を持つ新たな組織モデルです。

従来の組織では、リーダーとメンバーの上下関係があることや、社内ミーティングを定期開催すること、売上目標の設定などを行うことなどが一般的でしたが、
ティール組織では、組織の方向性やさまざまな意思決定などの権限をメンバーに移譲し、
人材やサービスにイノベーションを起こすことを目的とした組織構造になっています。

管理職がメンバーのマイクロマネジメントを行わない代わりに、メンバー一人ひとりが目標に向かってさまざまな自己決定を行います。
そして、メンバー同士が協力し合いながら組織に利益を生み出していくため、メンバーの自主性が今まで以上に重要になるのです。

 

ティール組織に至るまでの5つの過程

フレデリック・ラルー氏は、ティール組織を完成形とした組織のフェーズを5段階に分け、
「レッド→アンバー→オレンジ→グリーン→ティール」の順で発展していくと定義しています。

ここでは、組織が「ティール組織」に至るまでの5つの過程についてご紹介します。

レッド組織

ティール組織の概念の中でレッド組織は「オオカミの群れ」と例えられており、メンバーは特定の個人によって支配的なマネジメントを受けている状態を指します。
レッド組織に所属しているメンバーはリーダーが強いリーダーシップを発揮していることに安心し、短期的な目標に向かって必要なタスクをこなしているため、自発的なメンバーはいません。

アンバー組織

ティール組織の概念の中でアンバー組織は「軍隊」と例えられており、リーダーとメンバー間に強い上下関係があることはレッド組織と変わりませんが、レッド組織よりもメンバーの視座が高く、長期的な目標を持つ組織へと成長を遂げた状態を指します。

アンバー組織では、組織内の力関係によって特定の個人への依存度を減らすことができますが、メンバーは組織の変化を望まないため、外部の状況の変化に上手く対応できないといった課題が発生することも。

オレンジ組織

ティール組織の概念の中でオレンジ組織は「機械」と例えられており、組織内に上下関係はあるものの、成果を収めたメンバーは出世できる仕組みが整っている状態を指します。

オレンジ組織では、成果を収めたメンバーを正当に評価する一方で、数値管理が徹底したマネジメントを行うようになるため、メンバーは数字を生み出すことに集中する必要があり、一部では人間らしさを喪失してしまうことも。
オレンジ組織になると、「人は何のために働くのか」「幸せとは何であるのか」と原点回帰が生じ、いわゆる働き方改革が始まります。

グリーン組織

ティール組織の概念の中でグリーン組織は「家族」と例えられており、一定の上下関係は残るものの、メンバー一人ひとりの個性が発揮でき、主体性を持って働くことができる状態を指します。
グリーン組織では、数字を追うことだけではなく、個人の多様性にも焦点が当てられるようになるため、メンバーは心地よさを感じやすいといわれています。

ティール組織

グリーン組織がさらに成長するとついにティール組織が実現できます。
ティール組織は「生命体」と例えられており、組織内における上司や部下といった上下関係が撤廃され、組織の目的を実現するために関わるすべての人が協力しながら行動する状態を指します。

ティール組織では明確な指示系統がないため、メンバーが組織に必要な仕組み作りをしたり、目標達成に向けた組織運営を行ったり試行錯誤を繰り返して組織力をさらに高めていくのです。

 

ティール組織に必要な要素

先述したようにティール組織を作り出すためには5つの過程を経る必要がありますが、
ティール組織を実現するために、メンバーが意識すべき要素とは一体何なのでしょうか。

セルフマネジメント力

セルフマネジメントとは、自分の精神状態や健康状態を安定させて良い方向に進めていくためのスキルのことです。
ティール組織には個人の主体性が求められるため、それぞれが目標にコミットするためにはセルフマネジメントが必要になります。
セルフマネジメント力を高めるためには、目標達成をするためにやるべきことを明確にし、業務改善を行いながらタスクを進めることが重要です。

心理的安全性

心理的安全性とは、自分の発言が誰かによって否定されることはないという確信を持てる状態のことで、自然な姿を隠すことなくオープンにできるような雰囲気がある組織は心理的安全性が高いといえます。

心理的安全性が高い組織では、メンバー間で「さらに組織を良くしていこう」という思考が高まるため、イノベーションが生まれやすい組織になるメリットもあります。

組織の心理的安全性を高める第一歩は、コミュニケーションを円滑にすることです。
コミュニケーションを円滑にすることで、自然とメンバー同士が協力し合える関係になります。

組織の存在意義

組織の存在意義とは、「この組織が成し遂げたいことは何か」「いつまでにどのようになっていたいのか」といった組織のビジョンのことです。
組織の存在意義を明確にし、日々の業務に反映していくためには、組織の目標や予算などの策定を限られたメンバーで行わず、出来る限りその事業に携わるメンバー全員で決めるようにしましょう。

そして、定期的に自分たちがどのくらい利益を生み出し、どのような社会貢献を行ったのか振り返ることで、目指すべき姿が見えてくるはずです。

 

ティール組織を実現するためのポイント

ティール組織を実現する為のポイントとして、4つに分けてご紹介します。

組織を多角的な視点から考える

特定のメンバーによる先入観があると、上手に組織が回りません。

ティール組織を実現するために、経営層はできるだけ多角的に組織をとらえていくことが大切です。必要に応じて外部のコンサルタントやコーチを活用し、客観的な視点に触れていくのも一つの方法です。

変化を恐れない

変化を避けていては、ティール組織は実現できません。
まずは、組織全体の変化を考えるとともに、場合によっては、既存のシステムや階層構造を大胆に壊し、新たに構築していく必要があります。

フラットに話せる環境を整える

先述で述べた必要な要素に共通するのは、いずれも「対話」によるコミュニケーションの重要性です。フラットで活発なコミュニケーションを図れる環境を整えることが、ティール組織を目指すうえで重要な第一歩となるのです。

まずは小さな一歩から始める

組織変革は多くの人を巻き込む決断となるため、まずは現状の課題を洗い出し、組織のどこにボトルネックがあるのかを冷静に分析しましょう。
そのうえで、ピンポイントで変えるべき課題を見つけたら、小単位の取り組みで実行と検証を行うことが大切です。

 

ティール組織の企業事例

以下3社のティール組織の企業事例をご紹介します。

株式会社ネットプロテクションズ

後払いの決済サービスを提供する「株式会社ネットプロテクションズ」では、自律・分散・協調の3つをテーマにしたティール組織により、社員の自己実現と社会発展の両立を目指すという組織風土が存在しています。

様々な取り組みの中で、「Natura」という独自の人事評価制度を作ることで、
組織の課題を解決するとともに、ティール組織に近づくことができました。

ビュートゾルフ

オランダの非営利在宅ケア組織「ビュートゾルフ」では、安く質の低いケアが繰り返されていましたが、ティール組織のマネジメントが導入され効率を追求するあまり画一化された業務を、看護師が自分の専門性を発揮しながら全プロセスに責任を持つ運営に転換しました。

2007年には看護師の従業員4名でしたが現在は1万名にまで従業員を増やす成長をとげ、
顧客満足度・従業員満足度ともに高い組織となりました。

ザ・モーニング・スター・カンパニー

世界最大のトマト加工会社「ザ・モーニング・スター・カンパニー」は、
従業員全員がマネージャーとしての権限を持ち、チームによる自主経営が基本となっています。

従業員それぞれが会社の資金を自由に使うことができますが、
それぞれの意思決定には助言プロセスが条件となるなど、セルフマネジメントを行う仕組みが整えられているのも特徴です。

 

ティール組織はメンバー一人ひとりが主役の新しい組織の形

今回はティール組織についてご紹介しました。
一般的な組織とは異なり、ティール組織では上司と部下といった明確な上下関係がなく、組織に関する意思決定をメンバー全員で行い、目標に向かって突き進んでいく自立型組織です。

ティール組織はメンバーの考え方によって組織の方向性が決まるため、メンバーの自主性が問われる新しい組織の形です。
短期間で社会が変化していく今だからこそ、現場で戦っているメンバーを中心とした組織作りを始めてみてはいかがでしょうか。

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