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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2024/03/01 15:40

経営

資金繰り

コスト削減の必要性と方向性を理解して企業を成長させよう【人件費削減/営業利益】

読了まで約4分

企業が成長するためには自由に使える資金を生み出すことが欠かせません。財務を考えればとても単純なことで営業利益をいかにして増やすかが重要なポイントです。

営業利益によって大きな資金を得られれば融資などを使わずとも、新規事業の展開や既存事業の拡大に充てたり、設備や研究開発などに投資したりすることができます。
従業員にボーナスや福利厚生という形で還元し、さらに大きな営業利益を上げられる体制を整えることもできるでしょう。

CSR活動のために使って社会から注目される企業になり、売上を伸ばしやすくしたり、優秀な人材に入社してもらえるようにしたりすることも可能です。

この記事では、コスト削減の必要性や企業事例などを詳しく解説していきます。

 

営業利益を増やして成長するには売上増加とコスト削減が必要

営業利益を増やす方法は単純で、売上増加とコスト削減によって実現が可能です。自社製品をもっとたくさん売れるようにする、あるいは自社サービスの利用者や契約者を増やすといったアプローチで売上を増やすことができるでしょう。

ただ、多くの企業では大幅な売上の増加を達成するのがかなり難しくなっています。どの分野でも新規参入の場合には既存企業に打ち勝たなければならず、大手がいる場合にはなかなかシェアを取ることができません。ニッチを狙ってわずかなシェアを取ることや、低価格化で利益の少ないマーケティングの仕方をすることが必要になりがちです。既存の分野でも新規参入を含む競合他社との競争が熾烈になっていることが多く、大きな売上増加は困難な場合がほとんどです。

スタートアップのベンチャー企業のように、新規性や革新性がある技術を生み出して急速にシェアを取れるようになったケースは例外的です。この場合には飛躍的に売上が増加していく道筋を辿ることができますが、いずれは競合が生まれて安定期に入ってしまいます。

安定期に入ってしまってからも営業利益を増やし、売上を伸ばせるようにするには新規技術の開発や新規市場への進出を代表とする新しい取り組みが必要になります。そのために必要な予算を継続的に確保できるようにするには安定して続けられるコスト削減を実行するのが合理的です。売上が同じだったとしても営業利益が大きくなるので毎年コツコツと新しいことに取り組めます。経年の積み重ねによってきっと新しい技術の創出や新規市場でのシェアの獲得を達成できるでしょう。

コスト削減の取り組みには様々な方向性がありますが、単純で成功事例も多いのが人件費の削減です。原料の仕入れ費用を削減するといった方法もあるものの、業種によっては仕入れがほとんどない場合や、自社生産している場合もあるでしょう。
人件費はほとんどの企業でコストとして大きな比重を占めていて、わずかな割合でも減少させることができれば大きなコスト削減につながります。

人件費を減らしても事業を安定して続けられるようにするという方向性で施策を検討してみましょう。

 

削減できるコストの種類

削減できるコスト4種類を解説していきます。

人件費

従業員に支払う給与や賞与、残業代などの人件費は、企業コストの中でも大きな割合を占めています。人件費は経費の中でも「固定費」に分類され、変動費とは異なり削減が難しいコストの1つですが、削減できれば大きな効果を得られます。

ただし、人員削減や給与の引き下げは従業員のモチベーションや士気の低下にもつながるので注意が必要です。

オフィスコスト

オフィスコストとは、賃料や光熱費、事務用品代など、オフィスで必要になるコストのことです。
毎月発生する賃料などのオフィスコストは、一度削減できれば、中長期的にその効果を実感することができます。

採用コスト

採用コストはインターンシップや企業説明会の開催、求人媒体への広告掲載費などが該当します。
「就職白書2020」によると、新卒採用には一人あたり平均93.6万円、中途採用では一人あたり平均103.3万円のコストがかかるとされています。

せっかく採用をしても、すぐに離職されては掛けたコストが無駄になってしまいます。早期離職を避けることで、採用コストの削減につながります。

IT機器費

IT機器費とは、パソコンやサーバーなどのIT機器を購入・保守・更新するのにかかる費用のことです。
社内インフラの構築に欠かせないコストになります。

使用目的、使用期間をよく検討したうえでどのようにIT機器を導入するのが一番コストがかからないかを調べましょう。

 

コストとして大きい人件費の削減方法

企業でのコストとして大きな比重を占める人件費を削減する取り組みにも様々な事例がありますが、成功したケースが多いのが以下の四つです。

現場によって効果の大きさには違いがあるのでそれぞれの概要を確認し、どれを取り入れるべきかを考えてみましょう。

情報システムの導入による効率化

近年のトレンドになっているのが情報システムの導入による業務の効率化です。
業務システムを導入して運用することにより、工数を減らしたり、管理負担を低減したり、正確性を向上させたりするのが基本です。給与計算や勤怠管理などのバックオフィスの業務を効率化させれば、経理や総務の負担が軽減されて残業を減らせるでしょう。原価計算システムや生産管理システム、各種データベースなどの運用によって設計や生産などがスムーズに行えるようになり、研究開発などもスピードを向上させられます。

全体的な生産性の向上を見込めるので人材を最小限にして運営できる体制を整えることが可能です。

アウトソーシングによるコンパクト化

社内で行われてきた業務をアウトソーシングし、組織をコンパクト化するのも人件費の削減につながります。

例えば、コールセンター業務をアウトソーシングしてしまって大量のアルバイトに任せていた状況から切り替えると、サービスの質の向上と労務管理コストや教育コストの削減を同時に実現することが可能です。

法務や営業などもアウトソーシングできる他、情報システムの運用や監視などの人件費がかかっている部分も外部に任せられます。委託費用が掛かるのは確かですが、労務管理の負担が軽減されるとトータルで見るとコスト削減になることが多いというのが実態です。

フリーランスや派遣社員の活用

労務管理という観点ではフリーランスや派遣社員も効果的な方法です。正社員として雇用してしまうと労務管理コストが高く、社会保険料などの負担も必要です。

しかし、フリーランスへの業務委託なら委託費用だけで済むので、一時的に必要な業務を任せる人材を獲得するには最適な方法の一つでしょう。
派遣社員についても一時的な人材確保に適していて、基本的には契約に従って働いた時間に比例する支払いになります。

どちらも即戦力の人材を確保しやすいメリットがあるので、正社員をむやみに増やさずに必要時に適材をフリーランスや派遣社員から確保するという方針も検討してみましょう。

リモートワークの導入

リモートワークの導入もコスト削減に直結します。

在宅ワークを認めると通勤費を抑えられるのは確かですが、仕事に必要になった費用は電気代なども含めて支払いをする必要があるのが原則です。既に雇用している人をリモートワークにするとこのような経費精算のあり方が問題になりがちです。

しかし、新規雇用の時点でリモートワークを前提とした契約をすれば問題になることはありません。通勤するのは難しくてもリモートワークなら働けるという集団を採用候補にできるというメリットもあり、優秀で人件費も低い人材を見つけ出せる可能性があります。特に主婦層の採用で効果を発揮している方法です。

人事評価制度の見直し

人事評価制度を見直すことによって給与体系を改めるのも人件費の削減に直結する方法です。安直に毎年昇給をしていた状況から必ず評価をし直して給与を決定する仕組みに切り替えたり、ボーナスの支給基準を変更して成果に応じて傾斜をかけたりしている事例があります。

給料を下げるのはモチベーションの低下を招きますが、今後は頑張った人が高く評価されるという形で人事評価制度を作り直すとトータルで見るとコストが下がるでしょう。

現場や職種に応じた評価の仕方を検討する必要があるので大変ではあるものの、従業員のモチベーションも上げられる可能性がある点で魅力的な方策です。

 

その他の効果的なコスト削減方法

無駄を減らして消耗品コストを削減する

消耗品は小さな出費ですが、積み重ねれば大きな負担としてのしかかってきます。事務用品・消耗品を無駄に使わない・買わないように、社内全体で節約するという意識を浸透させましょう。

例えば事務用品・消耗品の管理方法を見直したり、消耗品はなるべく安く買えるオンラインで購入していきます。

オフィスの賃料などの固定費を見直す

賃料削減については、賃料の安いオフィスへ変更、シェアオフィスの利用やテレワークなどが有効です。新型コロナウイルスの影響でテレワークの導入が進み、働き方も多様化しています。オフィスの必要性について再確認し、オフィスそのものを縮小すれば、賃借料の削減効果も見込めます。

電力会社や電気代、照明などを見直す

電力自由化により、電力会社の選択が可能になりました。もっとも自社に合ったプランを選択すれば、コスト削減が望めます。
また照明器具をLEDに変更したり、古いエアコンなどを使用している場合は、最新機種に変えるだけで節電効果が得られるケースもあります。

ペーパーレス化を図る

書類を印刷するだけでもコストがかかるため、書類を電子化し、ペーパーレス化できればインク代やカウンター料、コピー用紙代の削減につながります。

 

コスト削減を実施するときの手順

コスト削減を実施するときの手順を解説していきます。

現状のコストを把握し、削減可能か洗い出す

何にどれだけコストがかかっているのかを知らずにコスト削減は実現できません。現状のコストを全て把握し、無駄なコストの削減を洗い出すのはもちろん、別の方法に置き換えることで削減できるコストなど、まずは徹底的に改善可能性を探りましょう。

目標やプランを設定する

洗い出したコストを元に、どれくらい削減すれば良いのかという、具体的な目標を設定します。タイムリミットを決めて、継続できる無理のない目標を立てることがポイントです。目的意識を共有できれば、全員が迷うことなく、一丸となってコスト削減に取り組むことができるでしょう。

プランの実行・改善を繰り返す

目標やプランを設定出来たら実行にうつし、目標の達成率や影響を検証しますしょう。プランを計画・実行しただけでは、改善点を見つけることはできません。分析と改善を繰り返すことで、より大きなコスト削減の効果を生み出せます。

 

コスト削減を成功させるコツ

コスト削減を成功させるコツについてご紹介します。

コスト削減効果の大きいところから取り組む

コスト削減は、効果の大きなものを先に進めたほうが成功時のインパクトが大きくなります。とくに人件費や賃料のような固定費は、早めに取り掛かるのがおすすめです。

会社全体で取り組む

従業員全員から理解を得たうえで、全社一丸となって取り組むことが成功の秘訣です。個々の参加意欲や責任感を高め、成果や貢献に対しては適切に評価することで、従業員のモチベーションを下げずにコスト削減を進められます。

PDCAサイクルを回す

効果を持続させるために、PDCA(計画→実施→確認→改善)サイクルを常に回す仕組みづくりが大切です。分析の結果、効果が薄れてきていれば改善点を見つけることで、継続して高いコスト削減の効果を得られるようになります。

 

コスト削減を実施する際の注意点

コスト削減が目的にならないようにする

コスト削減は、業務効率化や利益増加を図り、ひいては従業員への還元や自社の成長を目的とするのが本来の形です。コスト削減はあくまで手段のため、必ず目的・目標・プランを確認し、うまくいかないときは本来の目的に立ち返りましょう。

サービスや製品の質は維持する

サービスや製品の質が落ちるようなコスト削減方法になっていないか注意しましょう。

例えば原材料費の削減や、コールセンターの人員削減などの方法は、十分な検討の上実施しないと、製品の質が落ちたり、顧客からの苦情につながったりする恐れがあります。

コストを下げつつ、サービスや製品の質を上げていくような取り組みを考えてみましょう。

従業員のモチベーションに配慮する

従業員のモチベーションを下げるようなコスト削減方法になっていないか注意しましょう。

コスト削減の目標を達成した部署には社長賞を贈呈するなど、コストが増大しない範囲内の工夫を考え、モチベーションを下げないよう注意するとともに、モチベーションを上げる工夫を行っていきましょう。

 

コスト削減の企業事例

具体的にどのようなコスト削減を行ったのか、3つの事例をご紹介します。

株式会社Waris

フリーランス女性と企業とのマッチングサービスを提供する株式会社Warisでは、業務のほとんどをテレワーク化し、オフィスコストを削減しています。

ランチ代やカフェ代の支給をして、希薄になりがちなコミュニケーションをより円滑にすることにお金をかけることで、テレワークのデメリットを取り除いているそうです。

ヤマサハウス株式会社

住宅設計・施工などを行う鹿児島県の「ヤマサハウス株式会社」では、移動コスト削減のために全社員にスマートフォンを支給しました。

これまでは顧客先への訪問にともなう移動コストが高くなっていたそうですが、スマートフォンを活用したWeb会議を積極的に活用することで、打ち合わせ等の効率化を図っているといいます。

株式会社富士薬品

医療用医薬品の販売、ドラッグストアを経営する株式会社富士薬品では、A4の紙に印刷された530種類に及ぶマニュアルが存在していましたが、全てペーパーレス化し、画像を主体とすることでマニュアルを見る側、作る側双方の負担を軽減しました。

紙のマニュアルを使用していたときに比べて2,000万円のコストを削減したとのことです。

 

人件費の削減を通して営業利益を増やそう

企業の成長に使える資金を得ていくには営業利益を向上させるのが大切です。売上の大幅な拡大よりも安定したコスト削減が効果を発揮します。企業のコストの中でも大きな比重を占める人件費を削減しましょう。

情報システムの運用やリモートワークの導入などの色々なアプローチがあるので、社内の状況に合わせて適切な手段を取り入れて取り組んでいくのが大切です。

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執筆者情報

執筆者の写真

佐藤 義昭 / 株式会社武蔵野 常務取締役

1971年、東京都生まれ。
1990年、武蔵野にアルバイトとして入社、ダスキン事業から新規事業まで経験。
2007年、経営サポート事業本部の本部長を経て2015年11月取締役に就任。
2021年、6月常務取締役に就任。

経営者向けに年間100回以上の講演実績があり、企業文化を強化する経営計画書作成法を伝授。
年に一度行われる社内経営計画書アセスメントの方針作りや、小山昇の実践経営塾の合宿では、経営者向けに経営計画書作成や短期計画作成を支援している。
おもな講演テーマに『経営計画書を作るには』、『手書きによる短期計画作成方法』などがある。

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