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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2024/01/29 15:47

経営

KSFとは?設定するメリットや見つけ方・設定するポイントを分かりやすく解説

読了まで約4分

KSFとは、企業が目標を達成するために必要な要素で、KSFを理解しておくことは企業経営にとって重要です。適切なKSFを設定することによって、目標が具体化したり事業活動に一貫性が生まれたりと、多くのメリットが期待できるでしょう。

そこで本記事では、KSFの概要を説明した後、KSFの設定が重要とされる場面、役立つフレームワーク、KSFを設定するポイントなどを解説していきます。

KSF(Key Success Factor)とは

まずは、KSF(Key Success Factor)の意味とメリットについて紹介します。

KSFの意味

KSFの読み方は「ケーエスエフ」であり、キーサクセスファクター(Key Success Factor)の略語です。KSFの意味は「重要成功要因」であり、企業が目標を達成するために必要な要素を指しています。

KSFは競合他社や市場動向などの外部要因と、自社の強みや特徴などの内部要因に分類可能です。それぞれの要因を具体的な戦略に落とし込むことにより、今後の事業活動の重点なポイントが明確になり、その結果、現実的な計画を策定しやすくなるため、事業が成功する確率が高くなるでしょう。

KSFを設定するメリット

KSFを設定するメリットには以下があります。

  • プロジェクトの具体的な目標の明確化
  • 効率性の高いプロジェクト進行
  • 事業達成のためのアクションの一貫性

KSFを設定することでプロジェクトの具体的な目標が明確化します。これにより「何をするべきか」や「どのように行動するべきか」の把握が可能です。

また、効率性の高いプロジェクト進行ができるという点もKSFのメリットです。通常、事業戦略を立てる際は最終目標を設定しますが、それだけではプロセスが不明瞭で、無駄な作業が発生するかもしれません。KSFを設定することで中間目標が明確になり、効率的にプロジェクトを進められます。

最後に、事業達成のアクションに一貫性が生まれるのもKSFのメリットです。前述したように最終目標だけではプロセスが不明瞭で、プロジェクトメンバーの解釈と行動が不揃いになる可能性があります。KSFを設定することにより、プロジェクトメンバーの意思統一を図れるため、同じ目標に向かって行動しやすくなります。

 

KSFと似た用語との違いや関係性

KSFと似た用語にKPIとKGIがあります。それぞれの違いと関係性を解説するのでKSFへの理解を深める参考にして下さい。

KPIとの違いと関係性

KPI(Key Performance Indicator)の読み方は「キーパフォーマンスインジケーター」です。意味は「重要業績評価指標」であり、最終目標を達成するために必要な中間目標の指数を表します。

KSFが最終目標の達成に必要な要因である一方、KPIは最終目標に対する数値という違いがあります。例えば、最終目標が「次年度は5,000万円の売り上げを達成する」であれば、KSFは「既存のお客様からのリピート購入40%増」、KPIは「1日20件のルート営業」といった内容が考えられます。

KGIとの違いと関係性

KGI(Key Goal Indicator)の読み方は「キーゴールインジケーター」です。意味は「重要目標達成指標」であり、経営戦略上の最終目標を指す言葉です。一般的に事業全体の売り上げ高や利益などがKGIに該当します。

KSFが事業を成功させる要因である一方、KGIは事業が成功したかどうかを判断する尺度という違いがあります。KSFを設定して事業を進め、KGIで最終的な結果を確認するという流れです。

 

KSFの設定が重要とされる場面

KSFの設定が重要な場面には、事業戦略とマーケティング活動があるのでそれぞれ解説します。

事業戦略

KSFの設定によって事業戦略に一貫性が生じるため、無駄を省いた効率的なプロジェクト進行が可能になります。最終目標と現状のギャップも把握できるため、判断に迷った際の意思決定基準にもなるでしょう。

KSFに基づいた事業戦略の構築は、失敗を回避するためにも不可欠です。一貫性のある行動は信頼の獲得につながり、お客様や社会からの支持を受けやすくなります。

マーケティング活動

マーケティング活動を成功させるにはKSFの設定が大切です。適切なKSFによって目標が明確かつ具体的になるため、マーケティング活動に必要な要素を判断しやすくなります。

ただし一度KSFを設定しても、マーケットや消費者ニーズは急速に変化します。そのため、KSFの定期的な見直しや状況に応じた再設定が必要です。社会状況やテクノロジーの変化に合わせた対応を心がけて下さい。

 

KSFの見つけ方と設定に役立つフレームワーク

ここでは、KSFの見つけ方と設定に役立つ4つのフレームワークを解説します。

3C分析

3C分析はCustomer(顧客)、Competitor(競合企業)、Company(自社)の3つの視点から環境を分析する手法です。お客様層や市場ニーズ、状況の変化などを把握し、競合他社や市場シェア率などを踏まえた上で自社と他社の比較を行います。

Company(自社)だけでなく、Customer(顧客)とCompetitor(競合企業)という視点を加えて分析できるため、客観的なKSFを見つけやすくなります。

5F分析

5F分析は自社を取り巻く5つの脅威を分析する手法です。具体的な対象項目には以下があります。

  • 競合他社
  • 買い手
  • 売り手
  • 代替品
  • 新規参入

それぞれの脅威を分析することにより、業界の収益構造という外部要因や、自社の優位性という内部要因が明確になるため、KSFを見つけやすくなります。

SWOT分析

SWOT分析とは、Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の頭文字を取った分析手法です。最初に機会と脅威を分析し、自社の強みと弱みを分析して結果を整理します。

前述したようにKSFの「重要成功要因」は内部要因と外部要因に分かれます。SWOT分析の強みと弱みは内部要因、機会と脅威は外部要因に該当するため、スムーズにKSFを見つけられるでしょう。

PEST分析

PEST分析とは、Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)という4つの視点から外部要因を分析する手法です。最初に情報収集した後、4つの環境要因、事実と解釈、機会と脅威、短期と長期のそれぞれに分類して分析します。

KSFの要素に外部要因があるため、PEST分析によってKSFを見つけやすくなります。

 

KSFを設定するポイント

KSFを設定するポイントには以下があります。

  • KGIを具体的に設定する
  • KGIを達成するためのプロセスを明確にする
  • KPIとKGIを明確に紐づける
  • 課題を分析し内部要因・外部要因を見極める
  • KSFの定期的な見直しを行う

KGIを具体的に設定する

プロジェクトの最終目標はKGIの達成です。KSFはKGIの内容に沿って設定する必要があるため、まずはKGIを定めて下さい。

例えば「次年度は検索エンジンからのアクセス流入を30%増やす」や「来月の受注数を400件に増加させる」といったように具体的な目標設定がポイントです。

KGIを達成するためのプロセスを明確にする

次にKGIを達成するためのプロセスを明確にします。前述した「次年度は検索エンジンからのアクセス流入を30%増やす」をKGIに設定する場合、一例として以下のような目標達成プロセスが考えられるでしょう。

  1. アクセス解析と検索順位チェックツールを使用し、アクセス流入につながっているキーワードを洗い出す
  2. 洗い出したキーワードのうち、さらに検索順位を上げられそうなキーワードを絞り込む
  3. 必要な内部対策(新規ページ作成や既存ページのリライトなど)と外部対策(他サイトからの被リンク獲得やSNS運営など)を洗い出す
  4. 実行メンバーに業務を割り振る
  5. 定期的に検索順位をチェックする

このように、目標達成に至るステップを具体化することが大切です。

KPIとKGIを明確に紐づける

目標達成プロセスを洗い出した後、中間目標の数値であるKPIを設定します。KGIを達成するにはKPIと紐づけることが大切です。数値として計測しなければ、KGIの到達度合いが分からないからです。

KSFの設定につながるKPIの具体例として、前述した目標達成プロセスの1であれば「アクセス流入があるキーワードを5つ洗い出す」3であれば「外部対策として効果的な被リンクを2本獲得する」のような内容が考えられます。

課題を分析し内部要因・外部要因を見極める

KSFを設定する際は内部要因と外部要因のバランスが重要です。どちらか一方に偏ると中途半端な対策となり、事業の発展が難しくなる可能性があるからです。したがって、内部要因と外部要因を精査し、適切な対策を講じることが大切です。

例えば、プロジェクトの成功を妨げる内部要因として「人員不足」、外部要因として「競合企業の商品が強い」があるとしましょう。この場合、両方の課題を克服するには「外注も含めて必要なスタッフを増やし、同時に競合企業との差別化を図って事業活動を行う」といったKSFが考えられます。

内部と外部の要因を分析し、課題を特定した上でKSFを設定することが大切です。

KSFの定期的な見直しを行う

KSFは設定後の定期的な見直しが大切です。外部要因や内部要因は絶えず変化しているため、同じKSFのままでは時代に適応しない可能性が高いからです。

マーケットの変動やお客様のニーズに応じてKSFを定期的に見直し、最新版へとアップデートしましょう。

 

KSFを正しく設定し事業戦略に役立てよう

KSFは企業の目標達成に必要な外部要因と内部要因です。適切にKSFを設定することにより、プロジェクトの具体的な目標の明確化、効率性の高いプロジェクト進行、事業達成のためのアクションの一貫性などのメリットがあります。

また、KSFの設定が重要な場面は事業戦略とマーケティング活動です。役立つフレームワークには3C分析、5F分析、SWOT分析、PEST分析があります。

KSFを設定するポイントとしては、KGIの具体的な設定、プロセスの明確化、KPIとKGIの紐づけ、内部要因・外部要因の見極め、KSFの定期的な見直しの5つが挙げられます。

実際にKSFを設定する際は、武蔵野の「経営計画書」がおすすめです。「経営計画書」は会社の数字、方針、スケジュールをまとめた手帳型のルールブックです。5年先の長期ビジョン(中長期計画)と今期の経営目標を明確にできるため、KSFの設定にも役立ちます。

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執筆者情報

執筆者の写真

佐藤 義昭 / 株式会社武蔵野 常務取締役

1971年、東京都生まれ。
1990年、武蔵野にアルバイトとして入社、ダスキン事業から新規事業まで経験。
2007年、経営サポート事業本部の本部長を経て2015年11月取締役に就任。
2021年、6月常務取締役に就任。

経営者向けに年間100回以上の講演実績があり、企業文化を強化する経営計画書作成法を伝授。
年に一度行われる社内経営計画書アセスメントの方針作りや、小山昇の実践経営塾の合宿では、経営者向けに経営計画書作成や短期計画作成を支援している。
おもな講演テーマに『経営計画書を作るには』、『手書きによる短期計画作成方法』などがある。

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