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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2023/10/06 15:10

経営

KPIマネジメントとは?設定・運用方法やメリット・事例を紹介

読了まで約4分

現代の企業経営に欠かせないのが、KPIと呼ばれる数値目標です。

マーケティングや営業の現場を中心に、組織での目標の達成度を評価するためにKPIマネジメントが幅広く活用されています。
しかし、KPIマネジメントの意味がよくわからないという人や正しく運用できていないという企業は多いのではないでしょうか。

本記事では、KPIマネジメントの意味や導入するメリット・効果的な設定手順についてわかりやすく解説します。
KPIの具体的な事例も紹介するので、経営に活かすための参考にしてください。

KPIとは?意味や他用語の説明

ビジネスにおいて、KPIを適切に管理するKPIマネジメントが求められます。
しかしそもそもKPIが正しく理解できていないと運用もできません。

まずはKPIの意味について解説します。

KPI(Key Performance Indicator)とは

KPIは「Key Performance Indicator」の略語で、日本語では「重要業績評価指標」と呼ばれています。
「中間目標」と言われることもあります。

目標を達成するために重要なプロセスごとにKPIを設定するため行動計画が立てやすく、生産性の向上にもつなげられるのが特徴です。

代表的なKPIの例として、次のようなものが挙げられます。

・月次売上300万円を達成できたか
・顧客訪問件数が300件増えたか
・新規顧客獲得数が50件を超えたか
・顧客単価が5%上昇したか

KPIマネジメントとは

KPIマネジメントとは、目標の達成度合いを数値で見える化した上で組織のパフォーマンスを評価するマネジメント手法です。

事業成績を向上させるためには、受注件数、成約件数、商談成約率、顧客単価といった細かな数値目標を設定し、従業員1人ひとりのアクションを改善する必要があります。

こうした数値目標として、KPIの指標を使うのが、KPIマネジメントです。

KPIマネジメントはマーケティングや営業・システム開発といった業種で多く活用されています。
一方、近年では人事評価制度を導入する企業が増えていることから、KPIマネジメントを導入する業種が増加傾向です。
KPIマネジメントを効果的に実践していくためには、ゴールにあたる「KGI」の設定と成功要因にあたる「KSF」の把握が欠かせません。

KGI(Key Goal Indicator)とは

最終的な経営目標をどれだけ達成できたかを「見える化」するために用いる定量的な指標のことをKGIと呼びます。

最終的に達成したい目標(ゴール)を数値として具体化した指標で、Key Goal Indicatorの略語です。
日本語では「重要目標達成指標」と訳されます。
売上高や成約件数など、客観的に結果が現れる項目をKGIとして設定するのが一般的です。

KGIの例として、次のような指標があります。

・純利益が10億円の大台に乗ったか
・営業利益率が3%アップしたか
・販管費を5%削減できたか

具体化した目標を数値で管理するという点ではKPIと共通していますが、目指す方向性は異なるので混同しないように注意が必要です。
KGIでは企業や組織として定めた最終目標を達成できたかどうかを判断するのに対し、KPIでは最終目標を達成するために必要な取り組み状況をモニタリングします。
詳しくは後述しますが、KPIを達成することでKGIの達成に欠かせない要素も明らかになります。
つまり、企業の経営戦略を実現するためにはKGIとKPIを一緒に設定・管理することが重要です。

KSF(Key Success Factors)とは

KSFとは目標を達成するために必要な指標で、日本語では「重要成功要因」または「主要成功要因」と訳されます。
KFS(Key Factor for Success)、あるいはCSF(Crtitical Success Factor)と呼ばれることもあります。

KSFでは、目標の達成に成功するために必要な行動を具体的に示している(定性目標)のが特徴です。
具体化した行動の中に、数値目標として定めたKPIやKGIを組み込んでいきます。
また、KSFは競合他社との差別化によって優位性を築くためにも重要視されています。
市場や顧客のニーズを分析して、自社の強みを明らかにした上でKSFを設定しましょう。

 

KPIマネジメントはもう古い?必要とされる背景

1990年代のバブル崩壊に伴い、人員配置を適正化して人件費を削減しようと考えて成果主義を導入する企業が増加しました。
業務の成果を客観的に示す必要性も生じたことから、成果主義と共にKPIマネジメントも普及したのです。

近年ではKPIマネジメントは古い手法だと考えて、目標管理だけでなく従業員のモチベーション向上にも軸を置いたOKRを取り入れる企業も出始めています。
しかし、マネジメント手法は多岐にわたり、時代の流れに応じて最適な手法も変化します。
また、目標の達成度を数値で評価する点ではOKRとKPIマネジメントは共通です。
そのため、KPIマネジメントは必ずしも古いと断言できないのが実情です。

OKRとはどのような手法なのかも、あわせて確認しておきましょう。

OKRとは

OKR(Objectives and Key Results)とは、1つの目標に対して結果指標を2~5個設定した上で、企業やチーム・個人が目指す方向性を統一するマネジメント手法です。
1970年代にアメリカのインテル社が開発した手法とされており、2010年半ば頃から世界的に普及が進んでいます。

KPIでは100%の目標達成を成功と考えるのに対し、OKRでは60~70%程度の達成率であれば成功と考えます。
そのため、従業員が失敗を恐れずに挑戦できる企業風土をつくり、同時に業務へのモチベーションを高められるのが特徴です。

企業によっては従業員の意識を引き締めるために、高いレベルの目標(ストレッチゴール)と、必ず到達すべきレベルの目標を組み合わせて運用する事例もみられます。
また、OKRにはチームのコミュニケーションを促進する一面もあるため、KPIマネジメントと組み合わせて生産性の向上を目指すことも可能です。

 

KPIマネジメントの3つのメリット

KPIマネジメントを実践することで目標達成までのプロセスが明確になり、組織や従業員が行動計画を立てやすくなります。
行動の結果は数字で見える化するため、公平な評価が可能です。
KPIマネジメントを企業経営に取り入れるメリットを紹介します。

1.目標達成までの道筋を可視化できる

KPIを定めることで、最終目標であるKGIを達成するまでのプロセスが明確化されます。
そのため、目標を達成した時のイメージを描きやすくなり、個人やチームの生産性を高められるのがメリットです。

KPIは客観的な数値で表せるので、情報共有もスムーズに行えます。
業務の手順やルールをマニュアル化しておけば迷わずに目標達成に取り組むことができ、業務の効率も高まるでしょう。

また、KPIマネジメントの実践を続けていけばPDCAサイクルがスムーズに回るようになり、目標との整合性を保った上で業務改善につなげられます。
業務の進捗状況に応じて柔軟に優先度を調整するなど、顧客満足度の向上にも効果を発揮します。

2.行動計画が立てやすい

KPIマネジメントでは達成すべき目標が数値化されるため、個人やチームが具体的な行動計画を立てやすくなるのもメリットです。
取るべき行動がはっきりする分、チームの統率も取りやすくなります。

例えば「今期はオンラインショップの売上高を1億円にする」というKGIを立てた場合は、次のようにKPIやKSFを設定できます。

KPI:バナー広告からのアクセス数を1,000件増やす
⇒KSF:動画広告・SNS広告を展開する

KPI:SNSのフォロワーを5,000人獲得する
⇒KSF:商品の魅力を伝える記事を発信する


KPI:オンラインショップの口コミを100件増やす
⇒KSF:口コミ投稿キャンペーンを実施する

行動計画がKPIによって細分化されれば、自分で考えて行動できるだけでなくチーム全体の動きも把握しやすくなります。
その結果、チームワークが向上するだけでなく目標達成へのモチベーションも高まるのです。

3.人事評価が公平になる

KPIで数値化した目標は、そのまま人事評価の基準として活用できます。
あらかじめ評価基準を開示できるだけでなく、評価者の主観が入らない状態で従業員の達成度を評価できるので、評価の客観性や従業員の納得度が高まります。
達成度をパーセンテージで表せば、部署・チームの担当業務が異なっていても評価基準を統一できます。

ただし、数値だけで評価するとKPIが達成できていれば良いという考えが生まれ、KGIが未達となったりチームワークを損ねたりする可能性があるので注意が必要です。
コンピテンシー評価など行動面の評価を併用することで高い目標に取り組む姿勢が生まれ、モチベーションの維持向上にもつなげられるでしょう。

 

KPIの設定手順をわかりやすく解説

適切にKPIを設定するためには、企業・組織としての最終目標にあたるKGIを先に設定します。
KPIの達成に欠かせないKSFと一緒にKPIツリー(ロジックツリー)に当てはめていけば、達成すべき目標や取るべき行動が一目瞭然です。
KPIの設定手順を3つのステップでわかりやすく解説します。

KGIを設定する

最初に、ビジネスの最終的な目標にあたるKGIを設定します。
KGIを設定する際は、目標と期限を数値で具体化することが大切です。
例えば、売上アップを最終目標に設定する場合は「第60期の売上高を前年度比10%アップの70億円にする」というように、わかりやすい形で数値化します。

設定したKGIはすべての従業員に共有して、意見が出た場合には修正するなど目標を達成できる風土づくりにも取り組むようにします。
また、ステークホルダーとの信頼関係と従業員のモチベーションを維持できるよう、自社の状況を分析した上で努力次第で実現できるKGIを設定しましょう。

KSFを用いてKPIを設定する

KGIを設定した後は、KPIの設定に必要な項目を洗い出します。
KGIを洗い出す際には自社のビジネスモデルや競合他社・市場の動向などを踏まえて、成功できる要因を見つけ出すことが大切です。
洗い出した内容はKSFとなり、KPIを実現するための行動指標につながります。

先ほどの「第60期の売上高を前年度比10%アップの70億円にする」という例で考えると主に次の内容がKSF・KPIとなり得ます。

KSF:顧客満足度を高めてリピーターを増やす
⇒KPI:顧客のリピート率を10%向上させる


KSF:新規顧客を開拓して受注チャンスを増やす
⇒KPI:新規顧客を100件増やす


KSF:付帯サービスを提案して顧客単価を上げる
⇒KPI:顧客単価を1,000円上げる

目標達成に向けた行動を具体化できるよう、KFS・KPIの数は多くしすぎないことが大切です。

KPIツリーを作成する 

KPIを設定した後は、KGIを達成するまでの道筋をわかりやすく示すためにKPIツリーを作成します。
KPIツリーはKGIを頂点にしてKSFとKPIをつなげて、目標や課題を要素ごとに展開していくため「ロジックツリー」と呼ばれることもあります。
先ほどの例は、以下のようなKPIツリーとして表すことが可能です。

必要に応じて、KFSとKPIをさらに細分化していきます。
KPIツリーを作成することで目標を達成するために必要な取り組みが見える化し、結果も客観的に評価できるようになります。

 

KPIマネジメントの事例

・営業職

売上目標達成率
営業部門は毎月、売上目標の達成率を監視します。
これにより、営業チームは目標に向かって進捗を追跡し、必要な調整を行うことができます。
売上の予実管理ができます。

新規顧客獲得数
営業担当者は、新規顧客を獲得することを目指し、毎月の新規顧客数をKPIとして追跡します。

顧客満足度
既存の顧客からのフィードバックをもとに、顧客満足度スコアを測定し、向上させるためのアクションを計画します。

・製造業

生産効率
生産工程の効率性を測定し、無駄を削減し、生産コストを最適化するためにKPIを使用します。

欠陥率
製品の欠陥率を監視し、品質管理プロセスを改善するためのデータとして活用します。

在庫回転率
在庫の回転率を追跡し、在庫コストを最小限に抑えながら生産と販売を効率化します。

KPIマネジメントを適切に運用することが大切

KPIマネジメントを適切に運用することで従業員の生産性を高め、企業の業績向上につなげられます。
評価基準も見える化され、従業員の納得感も得られます。
KPIを設定する際は最終的なゴールであるKGIを先に決めた上で、具体的な行動指標となるKSFに関連づけることが大切です。
KPIツリーを活用すれば従業員が取るべき行動が明確となり、業務の効率化にもつながるでしょう。

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