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株式会社武蔵野経営サポート事業部

MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2024/03/04 12:55

経営

HRBPとは?求められるスキルや導入方法・ポイントを詳しく解説

読了まで約4分

めまぐるしく変化する社会において企業が継続的に成長していくには、さまざまな施策が求められます。その中でも重要なポイントとなるのが戦略的人事の実現です。HRBP(HR ビジネスパートナー)は、人事の分野から事業の成長をサポートする業務として、日本でも導入する企業が増加しています。

本記事では、HRBPの意味、役割と仕事内容から求められるスキル、導入の流れ、成果を上げるためのポイントについてお伝えします。戦略的人事に関する課題を解決するための参考にして下さい。

HRBP(HRビジネスパートナー)とは

HRBPを自社に導入し、成果を高めるには、HRBPの正しい意味と定義、そして役割と仕事内容の把握が欠かせません。ここでは、HRBPの定義や役割などについて詳しく解説します。

HRBPの意味・定義

HRBPとは、Human Resource Business Partner(ヒューマンリソースビジネスパートナー)の略称で、HRBPの他、HRビジネスパートナーとも呼ばれます。

人事(ヒューマンリソース)に関するビジネスパートナーという意味で、人事部門が持つ機能の一つです。事業部門の経営者、責任者のパートナーとなり、戦略的人事の実現によって事業成長をサポートします。

HRBPの概念を最初に提唱したのは、アメリカのミシガンビジネススクール教授、デーブ・ウルリッチ氏です。ウルリッチ氏は、著書「MBAの人材戦略」の中で、人事が行う業務は事務処理だけではなく、経営者のパートナーとして意思決定に影響を与える存在であるべきだと提唱しました。

その上で経営層ではなく、人事として現場に近い場所から組織の課題解決を図るのが、HRBPであると定義しています。

HRBPの役割と仕事内容

HRBPが担う役割は、人事面からの戦略的な経営サポートです。経営層と現場の間に立ち、双方の意見を調整しながら課題解決につながる戦略的人事を遂行します。

ウルリッチ氏が分類する人事部門の主な役割は次の4つです。

  1. 人事戦略の実現
  2. 人事制度やプロセスの管理
  3. 従業員の能力向上
  4. 社会情勢に合わせた組織改革

ウルリッチ氏はこの4つの中で、HRBPが担うのは、事業戦略を軸にした採用、配置、研修、制度設計、現場のリーダーに対するサポートやコーチングなどによる人事戦略の実現だとしています。

ただし、HRBPが担う業務は企業の事業戦略や企業の中でのHRBPの立ち位置によって多岐に渡るため、企業により求められるものが異なるケースも少なくありません。

 

HRBPに似た用語・概念との違い

HRBPが担う役割は人事の中でも多岐に渡るため、部門人事や労務管理との違いが分かりにくいかもしれません。ここでは、HRBPと似た用語とされる、部門人事や労務管理との違いについて解説します。

部門人事との違い

HRBPは人事が果たす機能の一つであり、企業によっては部門人事をHRBPと呼ぶ場合もあるため違いを理解するのは困難です。しかし実際にはHRBPと部門人事は異なります。

部門人事は、事業単位で異なる人事制度の適用、事業部門ごとの人事運営などの中で、主に事務的な業務を果たすのが主な役割です。

これに対しHRBPは事業部門が抱える課題の解決、経営者的視点から現場へコーチングすることが主な役割となります。

労務管理との違い

労務管理もHRBPと混同しやすい業務といえます。HRBPが果たす役割の中に従業員の採用や研修が含まれているからです。そのため、労働時間や安全衛生の管理、給与・福利厚生、結婚や出産、退職などでの手続きなどもHRBPの業務に含まれる場合があります。

ただし、労務管理の主目的は従業員が快適に働くための職場環境づくりです。これに対し、HRBPの主目的は人事面からの経営戦略や組織改革の実現であり、労務管理とは目的が異なります。

 

HRBPに求められるスキル

HRBPの役割を担うには、さまざまなスキルが求められます。その中でも重要なスキルは次の3点です。ここでは、それぞれのスキルがなぜ、HRBPに求められるのかについて解説します。

  1. 課題分析力・問題解決力
  2. コミュニケーションスキル
  3. 人事実務経験・知見

課題分析力・問題解決力

HRBPは、人事の面から経営戦略をサポートする役割であるため、経営に関するさまざまな課題を分析する能力が求められます。事業部が抱える課題を適切に把握し、人事の面からどのようなサポートができるかを冷静に判断するスキルはHRBPにとって必須だといえるでしょう。

また、さまざまな課題を解決するには人事分野だけではなく、中立的な立場で社内の全分野にも目を配ることが重要です。全体のバランスを取りつつ、事業成長につなげるための最適解を見つけ出すスキルが必要になります。

コミュニケーションスキル

HRBPとして人事戦略を実行するには、コミュニケーションスキルも欠かせません。現場の課題を知るために現場で働くリーダーだけではなく従業員とのコミュニケーションが重要となります。

また、経営者のパートナーとして現場で得た情報や課題を経営者に的確に伝える際にもコミュニケーションスキルが必要です。

現場の従業員から本音を聞き出したり、経営者の理解を得る人事戦略を立てたりする際は常日頃からコミュニケーションを欠かさず、信頼関係を構築することが求められます。

人事実務経験・知見

HRBPは経営戦略に関わる業務です。しかし、人事の実務経験がない経営陣がHRBPの業務を担うことは難しいでしょう。HRBPは基本的に人事の面から経営戦略に関わるため、人事の実務経験が必須です。

採用活動から人員配置、人事考査、研修企画の立案や組織開発、労務管理などを一通り経験し、さらに労働法にも精通するなど、人事としての知見の蓄積がHRBPの基礎となります。

 

HRBPを導入する方法・流れ

HRBPを自社に導入するには、順を追って進めていくことが重要です。ここでは、一般的なHRBPを導入する方法、流れについて解説します。

1.人事戦略を決める

HRBPを導入するには、まず人事戦略を決めます。現在の経営戦略を基に、どのような人材が必要なのか、どのような組織を構築していく必要があるのかを明確にしましょう。

なお、必要な人材に関しては採用がゴールではありません。経営戦略に沿った組織構築をする上で人材をどのように育成していくかまでの計画立案が必須です。採用までの短期計画ではなく、人事戦略は採用から育成までも含め2〜3年の中長期で計画します。

2.人事戦略を実行する手法を策定する

人事戦略を決めたら、次は実行する手法の策定です。具体的には現状の人事体制で問題はないか、部門別にHRBPを設置する必要があるかなどを検討します。

なお、この時点で現状の人事部内で全てが賄えるのであればHRBPを導入する必要はありません。HRBP導入ありきで進めてしまうと手間が増えてしまう可能性があります。

まずは現状の人事部で人事戦略の実行ができるかどうかを検討し、もし難しいようであればHRBPの導入を進めましょう。

3.トライアルを実施する

HRBPの導入が決まったら、全社でHRBPの運用を開始する前にトライアルを実施します。HRBPの業務をスムーズに進めるには、現場からの認知が欠かせません。なぜなら現場と相談を重ねながら人事戦略を実行していくためです。

現場で従業員の管理を行うリーダーがHRBPを相談相手として信頼できなければ、HRBPとしての役割を果たすのは難しいでしょう。まずはスモールスタートでトライアルを行い、徐々に現場にHRBPの重要性を浸透させていきます。そして、現場での理解者を増やし、拡大させていくことが重要です。

4.HRBPの運用を開始する

トライアルを行い、HRBPが社内から認知を得られるようになったら、本格的な運用を開始します。HRBPはあらゆる部門の課題を解決していく必要があるため、継続的なスキルの蓄積が必須です。

人材の育成から労務管理まで自ら学んでいくのはもちろん、経営層や現場とも密に連携を取り、情報を共有しながら担当者の問題解決力を高めていきます。

 

HRBPを導入するためのポイント

HRBPを導入し、成果を高めるには次に挙げる3つのポイントを押さえることが重要です。

  • 事業部門との連携
  • 一部の部門からの実施
  • HRBPの果たす業務・役割の明確化

ここではそれぞれについて具体的な方法を解説します。

事業部門と連携する

HRBPは各事業部門の要望を聞き入れながら人事戦略の策定と実行をしていかなければなりません。そのため、各事業部との信頼関係構築は必須です。

密なコミュニケーションを重ね、連携をとりながら信頼関係を構築していくことが人事戦略の目標達成に欠かせないポイントとなります。

部分的な導入から実施する

HRBPの重要性は認知されているものの、日本ではまだ一般的とはいえません。そのため、初めからHRBPを全社的に導入しても役割を果たせる人材が社内にいない場合、目標を達成させるのは難しいでしょう。

そこで、まずは部分的に導入していくのがおすすめです。自社にとって優先すべき役割やテーマを決め、その中で小さな課題解決の経験を重ねていけば担当者のスキル向上、役割の定義につながります。その後、少しずつ適用範囲を広げていくことで成果を高めやすくなるでしょう。

HRBPが担当すべき業務・役割を明確にする

HRBPが担当する業務や役割は多岐に渡るため、やるべきことを明確にしておく必要があります。経営者のパートナーとなり経営戦略にも関わっていくため、経営者がHRBPに何を求めるのかを明確にし、業務や役割を決めましょう。

業務や役割が明確になれば方針や施策の決定がしやすくなり、HRBPは決められた範囲の中で主体的な行動を取れるようになります。

 

HRBPを導入し戦略人事の実現を目指そう

HRBPとはヒューマンリソースビジネスパートナーの略称で、事業部門の経営者、責任者のパートナーとなり、戦略的人事の実現によって事業成長をサポートする役割です。

HRBPは経営層と現場の間に立ち、現場の課題を解決するための人事戦略を策定し、経営戦略の立案をサポートします。そのため、双方とのコミュニケーションを円滑に行い、課題解決を実現するスキルが欠かせません。また、人事の面から経営戦略をサポートするため、人事実務経験も必須です。

自社にHRBPを導入するには、経営者がHRBPに求めるものを明確にし、その役割を全社に浸透させていく必要があります。さらに現場からの信頼を得るには、HRBPの担当者が課題解決力を向上させると同時に密なコミュニケーションを取り、事業部門と連携を取ることが重要です。

そこでHRBPの導入を検討されている経営者の方におすすめなのが、経営計画書の作成です。企業理念や経営方針を記した経営計画書を作成することで、HRBPに求めるものも明確になり、方針や施策を立てやすくなります。

株式会社武蔵野では、企業理念やミッション、経営方針をまとめた手帳型の経営計画書を無料で提供しています。書き方や活用方法についてもアドバイスを行っているので、ガバナンス強化を検討している際はぜひ、お気軽にお試し下さい。

執筆者情報

執筆者の写真

小山 昇 / 株式会社武蔵野 代表取締役社長

1948年、山梨県に生まれ、東京経済大学卒業。
1977年、株式会社ベリーを設立し社長に就任。
1989年、現職に就任。
1990年、株式会社ダスキンの顧問に就任。
1992年、顧問を退任し現在に至る。

全国の経営者でつくる「経営研究会」主催。
株式会社武蔵野は2000年日本経営品質賞、2010年国内初日本経営品質賞2度目の受賞。

現在パートナー会員750社以上の会員企業をアドバイス。
日本経営品質賞受賞の軌跡、中小企業のIT戦略、実践経営塾、実践幹部塾と、全国で年間1900回以上のセミナーを行っており、訪問社数も年間約120社を超える。

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