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株式会社武蔵野経営サポート事業部

MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2024/03/26 14:45

人材育成

コミュニケーション

1on1ミーティングを活かし企業の活性化をはかろう!具体的な実施方法や実施のポイントなどを解説【育成/コミュニケーション】

読了まで約4分

1on1ミーティングとは

1on1ミーティングとは、上司と部下が1対1で対話をすることです。
企業の中には人事評価の一環として上司と部下の面談を設定している場合も少なくないでしょう。
1on1ミーティングはそのような面談よりもう少しフラットなものだとイメージしてください。

また、人事評価的な面談と明らかに異なる点が、1on1ミーティングの実施スパンは短いということです。人事評価面談などは1年に1、2回程度実施するのが一般的です。

しかし、1on1ミーティングは多ければ週に1回、少なくとも月に1回は行います。
その理由は、1on1ミーティングを行う目的にも関係します。1on1ミーティングを行う主な目的は部下の育成です。

日々の業務の中で抱えている疑問や悩みなどを上司が汲み取り、解決のためのサポートを行います。部下が社員としてより大きく成長できるよう、マネジメントするのが1on1ミーティングにおける上司の役割です。

したがって、きめ細やかなフォローを行うために、対話の回数も多くなります。

1on1ミーティングは、特定の事柄に関して行うものではなく、社員個人個人の能力を伸ばすため、そして大局的にはその能力を企業のために発揮してもらうため実施するものなのです。

 

1on1ミーティングが注目を集める背景

現在1on1ミーティングが注目を集める背景として、「ビジネス環境」と「働き方」の、2つの変化が背景にあると考えられます。

さまざまな理由から、ビジネスや個人を取り巻く環境が変化し、予測が難しい状態を、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)のそれぞれの頭文字をとってVUCA時代と言いますが、1on1ミーティングはVUCAの時代に適した方法だと言えます。

「ビジネス環境」の変化では、トップダウンで決められた動き方だけでは、多様で変化の早い顧客の要望に対応できなくなっており、現場に権限を委譲し、現場で対話しながら顧客の要望に対応する組織マネジメントが求められています。

「働き方」の変化では、管理職には指示・伝達だけではなく、部下が何を考えながら仕事をしているのか、何にモチベーションを感じるのか、どのようなキャリアを描いているのかなど、個性を捉えたコミュニケーションが求められています。

 

1on1ミーティングのメリット

それでは、1on1ミーティングにはどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。

部下は疑問や悩みを解消するきっかけをつかみ成長できる

1on1ミーティングを行うことで、部下は自分の疑問や悩みなどをすぐに上司に相談することができます。
仕事をしている中で浮かんだ疑問・悩みなどをなかなか周りに相談できずしまい込んでしまう人も少なくないでしょう。

しかし、そのままにしていても問題は解決することはありません。
自分だけで抱え込んでいると、悩み過ぎて潰れてしまったり、大きなトラブルに発展したりする可能性もあります。

1on1ミーティングにより、上司と対話する時間がもてれば、部下も上司に自分の疑問・悩みを相談しやすくなるでしょう。
自分の中にあった問題を解消できれば、業務に一層集中的に取り組むことができるはずです。

また、1on1ミーティングでは上司はサポート的存在、あくまで問題の解決方法は部下が自分で見つけ出すというスタンスをとります。
自分で問題を解決できれば、自分に自信をつけられるとともに、社員としてどんどん成長していけるでしょう。

上司は部下に関してより深く理解することができる

1on1ミーティングは部下にばかりメリットがあるわけではありません。上司は部下と対話を行うことで、部下がどのような人物なのかをより深く理解することができます。

日々の仕事の中で上司と部下として接していても、部下の全てがわかるわけではありません。お互いなかなかオフィスでは話しにくいことなどもあるでしょう。

しかし、1on1ミーティングで部下と1対1でゆっくり対話することにより、上司は部下がどういった人物なのかもっと具体的に理解できるはずです。

それによって部下が自分の能力を発揮しやすい業務を割り振るなど、部下の資質を見極めよりよいマネジメントを行うことができるでしょう。

企業は社員のギャップを減らすことで事業を活性化させられる

1on1ミーティングによって部下は自分の疑問・悩みなどを解決でき、上司は部下についてより深く人物像を理解できます。
このようにして上司と部下の間のギャップが埋まることにより、各部署で適材適所が行われ、スムーズに業務が進むことを期待できます。

社内の各部署で仕事が活性化すれば、事業全体にもプラスの影響が出るでしょう。1on1ミーティング自体は個々の社員単位で行うものですが、企業にとって大きな成果に繋がる可能性を秘めているとも言えます。

 

1on1ミーティングの実施方法とポイント

メリットの多い1on1ミーティングですが、効果的なものにするのは実施方法をしっかり考えることも大切です。
ここでは、1on1ミーティングの具体的な実施方法と、実施する際に意識すべきポイントを解説します。

1on1ミーティングの実施方法

1on1ミーティングを実施するためには、まず社内で1on1ミーティングの実施と目的を周知することが大切です。
何のために行うものなのかをしっかり説明しなければ、余計な仕事が増えてしまったと感じる社員もいるかもしれません。

1on1ミーティングを有益な時間にするためには、これが社員を成長させるために必要な取り組みなのだということを最初にわかってもらう必要があります。そして、1on1ミーティングのルールを決めることも重要です。

例えばどのような頻度で行うのか、いつ行うのか、どこで行うのか、どのくらいの時間をかけるのかなどは決めておきましょう。

ただし、ルールを決めても業務の状況によってルール通りに実施できない場合もあり得ます。そのようなときには業務を優先し、状況を見て柔軟に実施するようにしましょう。

1on1ミーティングを行う場所は、執務スペースとはっきり区別されたところが良いでしょう。周りの声が聞こえてこない環境、また自分たちの声が周りに聞こえないような環境がベストです。時間は30分程度が一般的。業務を圧迫せず、かつ話すことに疲れない程度の時間を設定しましょう。

1on1ミーティングで何を話すかについては、部下に決めてもらいます。上司側からこのことについて話そうと提案するよりも、部下にテーマを任せた方が自発的な意見を聞きやすくなります。

なお、1on1ミーティング中はただ対話して終わるのではなく、話した内容のメモをとり記録として残しておきましょう。
次のミーティングの際どのような話をするか考えたり、後からミーティングの内容を振り返ったりするときに必要です。

1on1ミーティングを行う際のポイント

1on1ミーティングをより良い時間にするために意識しておくべきポイントもあります。まず1つは、上司と部下、お互いに相手の話をしっかり聞くことです。自分の話を一方的にするのではなく、相手の話をきちんと受け止めた上で自分の考えを話しましょう。丁寧なコミュニケーションをとることで、対話のすれ違いが少なくなり、それぞれにとって満足度が高まります。

また、1on1ミーティングの目的は部下の育成なので、上司がすぐに解決策を提示するような対話の仕方は適当ではありません。部下が自分で解決策を見つけられるよう、促すような対応をすることが重要です。

そのほか、部下が緊張せず自分の考えを素直に話せるような雰囲気づくりもポイントです。

例えばいきなりテーマに基づいた話を始めるのではなく、部下の体調や最近の時事ニュースなど、気軽に話せるようなアイスブレイク的話題から始めると良いでしょう。
気持ちがほぐれたところでメインの話題に移っていけば、部下も話しやすくなるはずです。

そして、部下が最後に「ミーティングをして良かった」と思えるような時間にすること、これを忘れてはいけません。
1on1ミーティングの主役は部下であるということを常に意識しながらコミュニケーションをとるべきです。

 

1on1ミーティングにおけるアジェンダ

アジェンダとは、1on1で話す話題やテーマのことです。事前にアジェンダを決めておけば、1on1をスムーズに進行できます。

大きく分けて4つのアジェンダを紹介していきます。

相互理解

緊張しがちな1on1では、まずはアイスブレイクから入り、改めてお互いを理解するところからスタートしましょう。悩みの相談も緊張を解いてからのほうがしやすくなります。

趣味や休日の過ごし方など、そのなかでヒアリングした内容を深掘りしていったり、次回のアジェンダとして活用したりといった流れが理想的です。

業務内容

仕事で必要なことは自然と話題にのぼりますが、個人的に課題と思っていることは、その場で深く相談するのが難しいと感じている部下もいます。

業務における良かった点や問題点、職場の人間関係、上司へのリクエストなど、小さな問題も丁寧な対話によって改善できるように、さまざまな意見に耳を傾けましょう。

健康・メンタル面

心身の健康状態は、モチベーションや離職に関わる重要な要素なので、1on1を実施する度に必ずチェックしましょう。健康的に働ける環境を整えることで、パフォーマンスとモチベーションの向上が期待できます。

目標

部下の今後の成長や目標について、その内容を掘り下げていきます。もし部下に明確なビジョンがない場合は、いま頑張っていることや大切にしている価値観を掘り下げて、目標設定を支援します。

最終的に組織の目標と部下の目標を、お互いが納得のいく形ですりあわせることで、部下のモチベーション向上につながります。

 

1on1ミーティングの企業事例

1on1ミーティングをすでに導入して成果が出ている企業事例を紹介します。

ヤフー株式会社

ヤフー株式会社は、1on1ミーティングが注目されるきっかけとなった企業のひとつで、2012年から実施しています。

その取り組みは全社で約6,000人の社員が週に1度、30分間の1on1ミーティングを行っています。もともと1on1は人材育成を目的に導入されましたが、上司と部下のコミュニケーションの改善によってトラブルが減り、業務の効率化も実現したそうです。

楽天株式会社

楽天株式会社は「勝てる人材」「勝てるチーム」を作るための一貫として、2017年から1on1ミーティングを全社導入しています。

1on1ミーティングは従業員の成長を支える場として根付いています。2022年3月に実施されたサーベイでは、95%の従業員が1on1に満足と回答。また90%以上の従業員が上司と話しやすく、話をしっかりと聞いてもらえると回答しているようです。

日清食品株式会社

大手食品会社の日清食品株式会社では、従業員一人一人に働きがいや成長を実感してもらうことを目的に、上司と部下が1対1で面談する「1on1ミーティング」の実施を含めた「成長実感プロジェクト」を2016年から展開しています。

日清食品株式会社と慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科が実施した「従業員のエンゲージメントを高めるマネジメントに関する共同研究」では、「1on1ミーティング」を適切な頻度で実施することが、従業員のエンゲージメント向上に非常に有効であると実証されました。

 

1on1ミーティングを活用して社員の力を伸ばそう

1on1ミーティングの活用によって、社員の業務意欲を高め、能力を伸ばすことが可能です。そのためには1on1ミーティングの目的を理解し、正しく実施する必要があります。

1on1ミーティングの実施自体は難しいことではないので、規模や業種に関わらずどのような企業でもスタートできるでしょう。
ぜひ今回ご紹介した実施方法・ポイントなどを参考に1on1ミーティングの実施を検討してみてはいかがでしょうか。

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執筆者情報

執筆者の写真

佐藤 義昭 / 株式会社武蔵野 常務取締役

1971年、東京都生まれ。
1990年、武蔵野にアルバイトとして入社、ダスキン事業から新規事業まで経験。
2007年、経営サポート事業本部の本部長を経て2015年11月取締役に就任。
2021年、6月常務取締役に就任。

経営者向けに年間100回以上の講演実績があり、企業文化を強化する経営計画書作成法を伝授。
年に一度行われる社内経営計画書アセスメントの方針作りや、小山昇の実践経営塾の合宿では、経営者向けに経営計画書作成や短期計画作成を支援している。
おもな講演テーマに『経営計画書を作るには』、『手書きによる短期計画作成方法』などがある。

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