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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2023/07/11 16:55

経営

事業承継とは?種類や進め方をわかりやすく説明

読了まで約3分

事業承継とは、会社の経営権を後継者に引き継ぐ行為です。
近年、多くの中小企業が後継者不足を課題としており、事業承継の重要性が高まっています。
とはいえ、事業承継を進めようにも「一体何から手を付ければいいのかわからない」という経営者も多いのではないでしょうか。

今回は、事業承継の定義や類語との違い、承継方法の種類や具体的な流れなどを詳しく解説します。

事業承継の定義

事業承継とは、会社の経営権を計画的に次世代へ引き継ぐことです。
特に、中小企業では経営者の手腕やリーダーシップによって経営状況が大きく左右されることが多く、経営権を「誰が」引き継ぐかは重大な経営課題となります。
そのほかにも「次世代をどう育てていくか」「自社株を誰に引き継ぐか」といった課題も発生してきます。

また、少子高齢化の進む日本では多くの中小企業が深刻な後継者不足に陥っており、廃業による技術の断絶や雇用の減少が懸念されています。

事業継承との違い

事業承継と類似する言葉として「事業継承」があげられます。
どちらも前任者から地位や財産を含めて事業を受け継ぐことを指しますが、厳密には以下のような違いが見出せます。

  • 事業承継:前任者の理念や経営方針など価値観や観念を引き受ける
  • 事業継承:経営者の立場や財産など具体的な物事を受け継ぐ

つまり、事業承継は前任者の考えを理解した上で地位や財産を引き継ぎ、事業継承ではまず地位や財産を引き継ぎ、後から理念や価値観を理解していくといったニュアンスの違いがあります。

 

中小企業の廃業率・事業承継の課題とは

中小企業の事業承継における課題として、中小企業の廃業率の高さや、経営者の高齢化が挙げられます。
少子高齢化の進む日本では経営者の高齢化が進んでおり、日本の経営者の平均年齢は1990年の54.0歳でしたが2020年には60歳を超えました。

また、日本政策金融公庫総合研究所の調査によれば、回答した企業のうち半数以上が廃業を予定しています。
そのうち29%が「子供がいない」「子供に継ぐ意思がない」「適当な後継者 が見つからない」など後継者難を理由にあげています。

日本では、国内企業のうち約99%が中小企業を占めており、中小企業は地方経済を支えるだけでなく、重要な雇用の受け皿となっています。
後継者不足により多数の中小企業が廃業してしまうと、地方の雇用が減少してしまうだけでなく、技術やノウハウの断絶も懸念されます。

参考:事業承継ガイドライン

 

事業承継で引き継ぐ対象・構成要素

事業承継で受け継ぐものは「人」「資産」「知的資産」の3つの要素があります。
それぞれ具体的に解説します。

人とは、経営権を引き継ぐ後継者のことです。
事業承継では、経営権を譲渡することによって経営者が交代します。

前述でも触れた通り、特に中小企業で後継者不足に陥っている企業が多く、後継者が見つからないために事業承継が行えないケースもあります。

資産

資産とは、自社株や設備・不動産などの有形資産、運転資金や仮入れなどの資金を指します。
事業承継では、財産権だけでなく、これらの資産も引き継ぎます。

資産を承継する際には、相続税や贈与税などの税金対策についても注意が必要です。
多額の譲渡になるため、対策をとらないと大きな税負担が発生する可能性があります。
あわせて、事業承継後の資金繰りについても検討しなければなりません。

知的資産

知的資産とは、経営者の理念や経営ノウハウ、取引先との人脈や顧客情報、経営者としての信頼といった無形資産です。
ほかにも、組織力やチームワーク、ブランド力なども該当します。

中小企業では、経営者個人が保有するこれらの知的資産によって経営が維持されているケースが珍しくありません。
そのため、これらの要素をどのように引き継ぐかが事業承継成功のカギとなります。

 

事業承継の方法

事業承継の方法は、事業を引継ぎ先によって「親族内承継」「従業員承継」「M&A」の3種類に分けられます。
それぞれの概要を紹介します。

親族内承継

親族内承継とは、現経営者の子どもや兄弟など親族に承継する方法です。
他の方法に比べて社内外のステークホルダーからの理解が得やすい、後継者を早期に指名して承継の準備期間を確保しやすい、相続等により財産や株式を承継者に移転しやすいといったメリットがあげられます。

一方で、親族内に経営者として適正のある人材がいるとは限りません。
親族内承継にこだわりすぎて後継者が決まらなかったり、適性のない子息へ無理に経営権を引き継いで後継者本人や社員に負担を強いてしまったりする事態には注意が必要です。

従業員承継

従業員承継は、親族以外の役員や従業員へ継承する方法です。
株式等はオーナーが保有したまま経営権だけを引き継ぐケースや、将来的な親族承継を見越して一時的に従業員承継を行うケースもあります。

社内ですでに著しい成績を収めている者など、経営者として適性がある従業員を候補者にするため、人材を見極めてから承継できる点が最大のメリットです。
一方で、候補者に株式取得等に必要な資金力がない場合が多く、事前の対策が必要です。
また、親族株主の了承を得ることが重要ですので、早期の調整が求められます。

M&A

親族や社内に後継者がいない場合には、M&Aによって会社を売却し、第三者に承継する方法もあります。
身内に適任者がいなくても事業承継でき、かつ会社売却による利益を得られることから、後継者不足の近年において増加傾向にある手法です。

とはいえ、経営を継続しながら自力で取引相手を見つけ、条件交渉するのは非常に労力がかかります。
M&Aを専門に扱う仲介会社が多く登場していますので、外部パートナーをうまく活用するといいでしょう。

 

事業承継の流れ【中小企業庁・事業承継ガイドラインより】

経営者の高齢化にともなって事業承継が停滞している現状の改善を目的に、中小企業庁では円滑な事業承継を推進する「事業承継ガイドライン」を公開しています。
2022年3月には本ガイドラインが約5年ぶりに改定され、社会情勢を踏まえた新たな課題や対応策が盛り込まれました。
本章では、このガイドラインをもとに、事業承継の具体的な流れを紹介します。

参考:経済産業省『事業承継ガイドライン』

事業承継の準備の必要性を認識

後継者教育などの準備には時間がかかるため、早期に準備の必要性を認識して対策を始めることが重要です。

高齢な経営者の中には事業承継を親族内のことと捉えている人も多く、外部へ相談できないでいるうちに深刻な状態になってしまったという事例が少なくありません。
このため、経営者が60歳に達した頃には事業承継の準備に取り掛かることが望ましいです。
もちろん、60歳を超えても経営に携わる人は多数存在しますが、その場合でも身近な支援機関に相談し、承継の準備に着手すべきでしょう。

経営者本人は日頃の多忙さから対応が後手になりがちであるため、国や自治体、支援機関が提供する「事業継承診断」や「事業継承セミナー」を利用して、経営者本人の自覚を醸成することが大切です。

経営状況や課題の可視化

円滑な事業承継のプロセスは、経営状況や経営課題、経営資源などを見える化し、自社の現状を正確に把握するところから始まります。

把握した自社の現状をもとに、現在の事業についてどのくらいの成長が期待できるのか、商品力・開発力はどの程度か、利益を確保する仕組みが構築されているかなどを確認します。
そこから、自社の強みをどう伸ばすか、弱みをどう改善するかなど、経営の方向性を見出していきます。

これらの現状把握は、経営者本人だけで解決せず、身近な専門家や金融機関などに協力を求めた方が、より効率的・客観的に取り組めるでしょう。

事業承継に向けた経営改善

事業承継は、自社の経営課題を改めて振り返り、飛躍的に事業を発展させる絶好の機会です。
一方で、中には親族内承継において相続対策を重視するあまり、株価を意図的に下げるなどの対応を取る企業もあるようです。

しかし、親族内承継が減少している背景には、事業の将来性や経営の安定性に対する不安があげられます。
候補者が事業承継を前向きに捉えられるよう、現経営者は次世代にバトンを渡すまで事業の維持・発展に努め、より良い状態で事業を引き継ぐ姿勢が求められます。

経営改善の手段としては、売上拡大や経費削減だけに留まらず、商品力やブランドイメージといった知的資産も強みとなります。
また、士業等の専門家や金融機関等の助言を得ることも有益です。

事業承継計画を立てる

事業承継を進めるにあたっては、自社を取り巻く現状を整理し、中長期的に将来を見据えた上で、いつ、誰に、何を、どのように承継するのか、具体的な事業承継計画を策定します。
事業承継計画は、取引先や従業員、取引金融機関などステークホルダーとの関係性を念頭に、後継者や親族などと策定・共有しておくと、承継後に関係者からの協力を得られやすくなります。

また、計画書というと未来のことを記載するイメージがあるかもしれませんが、現経営者の理念を承継する重要性を忘れてはなりません。
そのため、計画策定に先立ち、現経営者が創業から現在までの歴史を振り返って、可能であれば想いや価値観、信条などを明文化するといいでしょう。

事業承継・M&Aの実行

以上のステップを踏まえ、洗い出した課題の解消を進めながら、事業承継計画やM&A手続に従って、資産の移転や経営権の移譲を実行していきます。
実行段階においては、状況の変化を踏まえながら、事業承継計画を随時修正・ブラッシュアップする意識が必要です。

また、事業承継やM&Aの実行では、税金対策や法的な手続きが多いため、弁護士や税理士、公認会計士など専門家の協力を仰ぐことが望ましいとされています。

経営状況の整理や承継計画の策定など準備段階においては、経営コンサルティングサービスを利用するのも一手です。
実績の豊富なコンサルティング会社を選定し、相談してみてもいいでしょう。

 

事業承継のサポート・ご相談は武蔵野へ

事業承継は、早い段階から準備を開始し、承継ガイドラインや公的支援などを活用しながら計画的に手続きを進めることが大切です。
実行においては税務や法律などの専門知識が必要になる場面が非常に多いため、早期から専門家のサポートを受け、確実にアクションを実行していきましょう。

準備段階における経営状況の整理や経営改革においては、コンサルティングサービスを利用する方法もおすすめです。
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