更新日:2021/11/27 16:16
経営
今だからこそ真剣に考えたいM&A【経営戦略/事業拡大】
読了まで約3分
1.M&Aとは?
M&Aとは、「Merger and Acquisition」の略で事業や会社の売買を行うことです。
M&Aを行うことで様々な経営課題を効率良く解決できるので、年々実施件数が増加しています。
日本ではおよそ2000年代から、経営戦略のひとつとして考えられるようになってきました。
現在では多くの経営者が会社の存続や事業の拡大などのために、M&Aを検討しています。
M&Aを行うためには多額の資金が必要となり、M&Aで失敗すると会社の経営状況が悪化する可能性があります。
M&Aを行うためには、専門家に相談する必要がありますが、経営者自身もM&Aについて少しは知っておく必要があります。
《買収・合併・会社分割によるM&Aについて》
①買収によるM&A
買収によるM&Aは大きく2種類あります。
「株式取得」「事業譲渡」
株式取得では、基本的に会社自体の売買を行います。
会社の全発行株式数の50%以上を取得できれば、その会社の経営権を取得することができます。
株主が代わるだけですから、会社の事業は特に変わらず続いていきます。
M&A後も経営に影響を与えにくいのがメリットと言えます。
一方、事業譲渡では事業だけの売買を行います。
事業譲渡とは、会社の売買ではなく、事業のみの売買を行うことを言います。
買い手側のメリットとしては、必要とする事業のみを売買できる点です。
一方デメリットとしては、従業員をそのまま譲り受けることができない点です。
譲渡会社の各従業員に承諾をとる必要があります。
②合併によるM&A
次は合併によるM&Aについて紹介します。
合併によるM&Aは大きく以下の2つに分けることができます。
「吸収合併」「新設合併」
吸収合併とは、消滅会社が存続会社に丸ごと取り込まれる形態のことです。
合併によるM&Aを行う場合は、ほとんどが吸収合併です。
メリットは、M&Aの費用を比較的抑えることができる点や手続きが簡便である点です。
一方デメリットは、合併による対価を現金のみで支払う必要がある点や包括承継でリスクも引き継がなければならない点です。
ちなみに、親会社が同じグループ会社内の子会社を吸収合併する場合もあります。
一方、新設合併とは、2つ以上の会社(消滅会社)の資産や負債などを新たに設立する会社(新設会社)に統合する合併形態のことです。
メリットは、吸収合併よりも良いイメージを持たせることができる点や従業員同士がフラットな関係で統合することができる点です。
デメリットは、手続きが煩雑である点や合併の対価を現金で支払うことができない点です。
③会社分割によるM&A
このM&A形態も大きく以下の2つに分けることができます。
「吸収分割」「新設分割」
会社分割によるM&Aでは、会社を分割し、必要な事業を引き継いでいる会社を他の会社に引き継いでもらう形態です。
会社分割によるM&Aは、事業譲渡と似た効果を得ることができます。
吸収分割とは分けた事業を既存の会社に引き継ぐ手法です。
承継会社に制限はありませんが、分割会社は株式会社か合同会社しかなることができない点に注意が必要です。
一方、新設分割とは分けた事業を新設した会社に引き継ぐ手法です。
新設会社はすべての種類の会社になることができます。
M&Aは、もともと大企業同士の間で行われるイメージでした。
しかし、現在では、後継者不足となっている中小企業のM&Aや、
個人が作ったアフィリエイトサイト・ECサイトなどを売買する「サイトM&A」も活発に行われています。
事業承継のM&Aを検討している企業は経営者が引退などを理由に、会社の経営権や資金、株式、不動産などを後継者に引き継ぐことです。
M&Aを行い、既存の会社や事業を買収することで、買い手側は「自社にさまざまなメリットをおよぼしてくれる」ことが期待できます。
2.なぜM&Aを行うのか
M&Aで会社や事業を買収しようと検討している方は、まず「どのような目的でその会社・事業を買収するのか」をしっかり明確化させることが大切です。
目的が明確化していないと、「不要な資産や負債を抱えてしまう」「M&A費用が余分にかかってしまう」
「考えていたメリットを獲得できない」といったリスクが伴い、M&Aが失敗に終わってしまう可能性もあります。
そこで、次の項目から、「M&Aによる買収の目的」についてまとめていきます。
M&Aで会社や事業の買収を検討している方は、「自社に必要な経営資源」や「今後の経営戦略」や「新たな設備投資」を頭に思い浮かべながら、
M&Aでの買収の目的を確認してください。
目的①:技術獲得
自社にはない「最新技術」や長年にわたって獲得された「熟練の技術」を獲得する目的で、M&Aが実施されるケースがあります。
「技術獲得」というM&Aの目的は、「事業規模の拡大」という、買い手企業全体の目的とも合致します。
うまくメリットが発揮されると、市場でトップのシェアを獲得することも可能です。
これまでの自社が持っている技術だけでは達成不可能だった「製品の開発」や「事業の拡大」「新規マーケットへの展開」が期待でき、
自社が必要とする技術をすでに持っている会社を買収することで、技術獲得にかかる相当な資金・時間を削減できます。
目的②:人材確保
新たな人材・専門性の高い人材を獲得することで、既存事業では発揮できなかった効果を期待できます。
新たな考え方の循環によって、現在直面している課題を解決できるかもしれません。
後継者不足で「事業を続けていくことが困難」な中小企業では、M&Aによって人材を確保することで、会社を廃業せずに継続できます。
最近では、この事業承継を目的としたM&Aも増えています。
目的③:事業成長の期間短縮
企業にとって、事業を成長させたり、新規事業に一から参入したりするには、相当な時間を要します。
M&Aで会社・事業を買収することで、この時間を短縮できます。
すでに利益・実績を上げている会社・企業を買収することによって、自分たちの事業をよりスピーディーに成長させることが可能です。
目的④:多角化対応
「多角化」とは、企業が既存事業で得られる売上・利益をさらに伸ばすために、既存の事業・製品に固執することなく、
新事業・新製品で新たな市場のシェア拡大を図る「事業戦略」のことです。
異業種企業の買収などによって相乗効果が発揮されると、企業内に新たな経営戦略が生まれたり、
新規市場に投入する新製品が開発されたりする可能性が期待できます。
目的⑤:リスク回避
新規市場に参入する際には、「失敗する」という大きなリスクが伴います。
失敗する可能性が大いに考えられる新規事業に一から参入するのは、多くの資金・時間・労力が必要不可欠です。
もし、M&Aによって、ある程度収益化できている企業や事業を買収できれば、「ゼロ」から事業を立ち上げることと比べて、
「非常にローリスク」で新規事業に参入できます。
目的⑥:海外進出
海外に進出できれば、「大きなシェア拡大」につながります。
日本市場のみでは到底およばないような規模のシェアを獲得でき、売り上げ・利益はもちろんのこと、
「企業ブランドの定着」「企業価値の向上」などが期待できます。
また、海外の優秀な人材を確保しやすくなります。
日本にはまだない技術や専門知識を持った人材を獲得できるかもしれません。
目的⑦:ライバルの買収
ライバル企業の買収を目的にM&Aを行えば、これまで「奪われていたシェア」を自社のものにできるため、
事業を展開している市場内において、シェアを格段に伸ばすことができます。
これまで自社の脅威となっていた「競合他者のノウハウ」を自分たちのものにできます。
これまでライバル同士だった企業が、お互いに手を組むことで、さらなる利益拡大が見込まれるでしょう。
3.会社を売却・買収するには?
近年、M&Aを活用して会社売却を実施する企業が増加中です。
会社の規模拡大のため、廃業を避けるためなどの理由で実施される会社売却には、さまざまな方法があります。
《会社を売却するには》
会社売却とは、会社が有するあらゆる資産・権利・契約などの所有権を売却する行為です。
事業用資産・株式・取引先・従業員との雇用契約に加えてノウハウ・ブランド力などの無形資産も含めて、他社に譲渡して対価を受け取ります。
売れる会社の条件は
①安定した利益を出す実力がある
買い手にとって、買収後の投資回収がどうなるかは非常に重要です。
過去安定して利益を上げてきた実績があり、今後もそれを続ける実力のある会社は、先の見通しが立てやすいので非常に有利となります。
②事業に将来性がある
将来有望な事業を早い段階で買えるということは、買い手にとって魅力的です。
③買い手にとって相乗効果が見込まれる
新たに会社を買い取ることにより、既存の事業と相乗効果が生じるそうした狙いで買収が行われることは珍しくありません。
意外な組み合わせによる効果が出て予想していなかったような買い手がつくこともあります。
④手に入りにくい“何か”を持っている
固定客・店舗網・代理店網などの販売ネットワーク、優良な取引先等とのネットワーク等後から手に入れることの難しい、
あるいは時間やコストのかかる経営資源を有している企業は売り手にとって大きな強みとなります。
《買い手のチェックポイント》
買い手企業は対象企業の事業内容が自社の戦略にマッチしているかどうかは当然として、他にも買収金額が大きな判断基準になります。
売り手としては高く売りたい、買い手は安く買いたい、というのはごく自然なことです。
しかし、売り手となるオーナーには会社に対して様々な思い入れがあるのに対し、買い手は純粋にビジネスとして割り切って企業価値を考えてきます。
M&Aを成立させるには極力心理的価値を排除し、自社を客観的な目で見なければなりません。
そのために税理士の方による専門家に相談することも手段の一つです。
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