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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2023/07/11 16:56

経営

資金繰り

予実管理とは?実行する目的や手順・重要なポイントなど詳しく解説

読了まで約3分

予算実績管理とも呼ばれる予実管理は、予算と実績に乖離はないか、予算どおりに計画が進んでいるかの管理を指すものです。
予実管理を適切に行えば、計画実行中に予算が足りなくなってしまう、適切な予算配分ができていないといった際にも迅速な対応が可能になるでしょう。

本記事では、予実管理の概要、予算管理との違い、実施の重要性などを見たうえで、予実管理のやり方、手法などについてもお伝えします。
企業の実態把握に必要な予実管理を徹底したいとお考えの経営者、代表者の方はぜひ参考にしてください。

予実管理とは

企業の経営目標を達成させるためにはさまざまな施策が求められますが、同時に実施した施策の検証も欠かせません。
ここではまず、予実管理の概要と予算管理との違いについて解説します。

予実管理の意味

予実管理とは管理会計業務の一つであり、企業の予算と実績の管理を指すものです。

一般的に企業は売上や仕入などの数値目標を予算として計画します。
しかし計画するだけでは実際に上手く進んでいるのか、改善を必要としているのかがわかりません。

そこで、予算が計画どおりに運用されているのか、その途中経過を定期的に確認、分析するのが予実管理です。

予算管理との違い

予算管理と予実管理は同じ意味として使われる場合もありますが、正確には予算管理業務のプロセスの一つとして予実管理があります。
予算管理は年初に策定する予算計画を指し、予実管理は予算が計画通りに消化されているか、予算と実績に乖離がないかを確認する作業です。

また、予実管理と混同しがちなものとして見込み管理があります。
見込み管理も予算管理業務の一つであり、予実管理の分析結果を基にその時点での最終的な数値予測を立てる作業を指すものです。

つまり、最初に全体の予算計画を立てるのが予算管理、予算と実績を比較分析するのが予実管理となります。
また、予実管理の分析結果から今後の予測を立てるのが見込み管理となります。

 

予実管理の目的・必要性

適切な予実管理の実施は企業経営において重要な役割を果たします。
ここでは、予実管理の具体的な目的や必要性について見ていきましょう。

経営状態の可視化

予実管理を行う目的の一つが経営状態の可視化です。
予実管理を行わなくとも、商品の販売数や在庫数などの把握は可能です。

しかし、年初の予算計画と実績にどれだけの差があるのか、差がある理由は何なのかを明確にしなければ売り逃しや在庫ロスを引き起こしかねません。
予実管理の徹底により現状の実績が可視化され、迅速な課題発見や対応が可能になります。

経営に必要な改善点の把握

予実管理では現状の実績確認だけではなく、売上のほか、在庫や利益、新規顧客の獲得やリピート率などさまざまな観点で数字の比較や分析を行います。
これにより経営に必要な改善点の把握をするのも予実管理を行う目的の一つです。

売上が低いというだけでは具体的な改善案を出せませんが、原価や在庫、リピート率など細かい分析により、ピンポイントで改善点の発見が可能になります。

状況に応じたフィードバック

予算計画を立てても実績の確認をしなければ、目標達成できるのか、未達になりそうなのか、未達ならどれぐらい足りないのかなどがわからず適切なフィードバックもできません。

予実管理を行えば、未達になりそうであっても状況に応じた適切なフィードバックが可能です。
早期対応ができることにより、軌道修正がしやすくなるのは予実管理を行うメリットと言えます。

業績予想の開示

上場企業の場合、投資家から業績予想の開示を求められる場合があります。
また、証券取引所には予算実績比較表を提出しなければなりません。
事業の運営を進めるなかで将来予測情報を修正するケースが出てきた場合は月次の予算実績管理が必要です。

しかし、請求されたり提出時期が迫ったりした際に準備を始めるのは大きな手間が必要となるため、経理担当者の負担が増えます。
定期的に予実管理をしておくことで情報収集の手間も軽減され、迅速な対応が可能です。

 

予実管理の方法と手順

実際に予実管理を実施する場合の方法と手順を解説します。

1.予算目標を設定する

予実管理は予算管理を実行するためのプロセスの一つです。
そのため、予実管理をするには予算計画を立て、予算目標の設定をしなければなりません。

予算目標設定のポイントは実現可能な目標を設定することです。
ただし、達成できないような目標を設定してしまうと予算と実績の乖離が激しくなり比較や分析の意味がありません。

また、低すぎる目標設定も避けましょう。
予算目標は過去の実績を基に、どれだけ成長していけるかを客観的な視点で設定することが重要です。
予算目標の方向性を経営目標や戦略に基づき適切に設定しましょう。

2.月次決算をする

月次決算とは、1ヵ月単位で行う決算業務のことです。
法律で定められた義務ではないものの、1ヵ月ごとの財政状態や経営成績を明確にすれば、リアルタイムで課題点の発見や対策の実行が可能になります。
また、年次決算の手間が減るため、経理担当者の負担も大幅に軽減されるでしょう。

月次決算のポイントはスピードにあります。
年次決算は正確性が求められますが、月次決算は売上・原価・在庫などおよその数字を把握し、迅速に対応できるようにすることが最大の目的です。

ただし、予実管理においては、売上・原価・利益などのほか、新規顧客獲得数やリピート率などKPIごとに数値を比較し、具体的な原因の発見が求められます。
まずは、およその数字をまとめ、その後に細かく分析していきましょう。

3.予算と実績の比較・軌道修正

月次決算で出た数字を基に目標とする営業利益と実際の利益を比較します。
もし差異があれば原因を分析し、軌道修正を行いましょう。

なお、差異分析は販売費や一般管理費を差し引いた営業利益に対して予算と実績の差異を見ます。
売上額で見てしまうと実際の差異とは異なる場合もあるため、必要な経費を差し引いた営業利益で見ることが重要です。

改善策は部門ごとで立案しますが、実行する際は必ず経営陣から承認を得たうえで始めます。
実行は企業全体の予算を基にした判断が必要であり、部門ごとに実行してしまうと全体の予算計画と合わなくなってしまう場合があるため注意が必要です。

 

予実管理のやり方で重要なポイント

予実管理を実行するにはいくつかのポイントがあります。
ここではそのなかでも重要とされるポイントについて見ていきましょう。

確認の頻度を増やして課題を発見する

前項でも触れたように予実管理は月次で行うのが一般的です。
ただし、予算と実績に大きな差異が生じてしまった場合、できるだけ早期の発見、改善を行わなければ軌道修正が困難になります。
可能であれば確認の頻度を週ごとにして現状分析を行うとよいでしょう。

すべての数字を週ごとに確認、分析するのは大きな手間がかかるため、例えば週によって確認する項目を分けても構いません。
また、週ごとのチェックではおよその数字の確認に留め、月次でしっかりと確認するのもおすすめです。

重要なのは予算と実績に差異が生まれていないかの確認のため、およその数字を確認し、そこで差異があれば詳しく見ることで効率的な確認が行えます。

予算と実績の差異を埋めるためPDCAサイクルを活用する

予実管理によって予算と実績に差異が生まれていれば早急な対策が必要ですが、ポイントはPDCAサイクルの実践です。

PDCAサイクルとは、P(PLAN:計画)D(DO:実行)C(GHECK:評価)A(ACTION:改善)の略称です。
これを繰り返すことで、適切な軌道修正が可能になります。

具体的なPDCAの回し方は、まず現状に合わせた予算計画の見直しを行い、新たな計画を基にした目標に対して施策を実行します。

そして結果を評価し、改善点があれば改善します。
これを繰り返していくことで精度の高い予算設定が可能になり、課題の早期解決にもつながるでしょう。

部門ごとのKPIを設定しておく

予実管理を効率的に実行するには、部門ごとのKPIを設定しておくことも重要です。
KPIとは、Key Performance Indicatorの略称で、重要業績評価指標と訳されます。いつまでに何をどれだけ達成させるか、その日程と数値がKPIです。

KPIを明確にしておけば、予実管理を実行した際に予算と実績にどれだけの差異があるのかが数値としてはっきりとわかります。
その結果、何が足りていないのか、どれだけ足りていないのかの可視化が可能です。

例えば販売部門の場合、新製品を1ヵ月で100個販売することをKPIにしたとします。
実際に1ヵ月後に確認した際に80個しか売れていなかった場合、20個の差異があることがわかり、改善策を立てられるようになるでしょう。

分析が目的ではないことを理解しておく

適切な予実管理によって予算と実績の差異が明確になれば、改善策の立案が可能です。
しかし、差異の分析だけが予実管理の目的ではありません。

予実管理の目的は現状を把握し、経営改善の対策を立案し、実行することです。
差異の分析は、現状把握には高い効果を発揮しますが、そこで終わってしまうと予実管理を行う意味がありません。

重要なことは、なぜ差異が生まれているのか、今後の経営改善には何が必要なのかを考えることです。
差異の分析はそのための一つの手段でしかないことをしっかりと理解しておきましょう。

状況に応じて予算を見直す

予算と実績に大きな乖離がある場合、いくつかの理由が考えられますが、最も大きいのは予算が現実的ではない点です。
予算立案の時点でまず、過去のデータを参照する、現状の市場規模をリサーチするなどできるだけ現実的な予算を立てることが求められます。

また、現実的な予算を立てたとしても取引状況の急変や競合店のオープンなど自社ではどうしようもできない外的要因によって変化が起こる可能性も少なくありません。
年初に立てた予算計画を重視し過ぎると軌道修正が困難になる場合もあるため、状況に応じて予算の見直しは柔軟に行いましょう。

 

予実管理と経営計画書を活用し経営目標の達成を

予実管理とは、管理会計業務の一つであり、企業の予算と実績の管理を指すものです。
定期的に予算と実績の間に差異が生まれていないかを確認し、差異があれば迅速に改善策の立案と実践により軌道修正を行います。

予算は立てたら終わりではなく、定期的に確認して目標に近づいているか、足りなければ何をすればよいかを考えることが重要です。
予実管理はその確認をするための手段として欠かせない役割を果たします。

ただし、適切な予実管理を実行するには明確な予算計画が必要であり、そのためにやらなければならないのが経営戦略の策定です。
自社のゴールを設定し、その実現のためにどういった戦略を取るのかを決めなければ予算を立てられません。

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