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株式会社武蔵野経営サポート事業部

MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2024/01/29 15:34

経営

業務効率

BPOとアウトソーシングの違い・サービス内容や導入手順を解説

読了まで約3分

BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)は、企業活動の一部をアウトソースして業務効率化やコスト削減を図るサービスです。対象業務の進め方やプロセスそのものを委託するため自由度が高く、人手不足で手が回らない企業から注目を集めています。

本記事は、企業の人材不足問題解消につながるBPOについて、概要やアウトソーシングとの違い、対象となる業務例、活用のメリット・デメリットなどを解説します。BPOを導入するか迷っている人はぜひ参考にして下さい。


BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)とは

BPOとは、ビジネス・プロセス・アウトソーシングの略称で、自社の業務を外部に委託することを意味します。名前に「プロセス」とある通り、業務の一部分だけでなく企画や設計、フロー構築、業務実行面などの業務プロセスを丸ごと外部委託できる点が特徴です。

BPOでは、単純に依頼された業務をこなすだけではなく、業務プロセス全体の見直しや最適化を行い、中長期に渡り請け負うケースも少なくありません。対象業務は、コールセンター(カスタマーサポート)業務の他、営業事務や経理、労務などバックオフィス業務などが代表的です。

BPOとアウトソーシングの違い

アウトソーシングとは、自社業務の一部を外部に委託することです。一見すると、アウトソーシングとBPOは同じように見えますが、委託範囲と期間が異なります。

例えば、コールセンター業務をアウトソーシングする場合、委託先に求めるのは単純な電話対応のみです。これに対しBPOは、荷電先リストの作成や、送付する資料・パンフレット内容の精査、トークスクリプトの作成などの周辺業務も請け負います。

また、繁忙期や週末のみなど一時的な期間で委託することの多いアウトソーシングに比べ、中長期に渡り委託するケースが多いのも、BPOとアウトソーシングの違いと言えます。

RPOとの違い

RPOとは、リクルートメント・プロセス・アウトソーシングの略称で、採用業務のプロセスを代行するサービスです。企業が人材採用を行う際の募集要項の策定から応募者の選定、求人サイトへの掲載、面接日程の調整など企業の採用業務を一手に引き受けます。

BPOが企業のコールセンター業務やバックオフィス業務などさまざまな部門の業務プロセスを代行するのに対し、RPOは採用業務に特化している点が大きな違いです。

 

BPOの需要高まりの背景

BPOが注目を集め、多くの企業で需要が高まっている背景には、次の3つが考えられます。

・慢性的な人手不足
少子高齢化の影響もあり、あらゆる業種で人手不足が慢性化しています。そのため、社内だけでは業務が回らなくなり、BPOへの関心が高まっています。

・業務効率化
自社で一から社員を雇用して教育まで行うのは、企業経営の選択と集中の面から見て非効率な場合もあります。自社でやるべき業務(コア業務)と、外部委託すべき業務(ノンコア業務)を分け、効率化を図る観点でBPOが求められています。

・働き方改革やDXの実現
BPOの活用は、働き方改革やDXの観点からも注目を集めています。業務プロセスの委託により、人手不足が解消されるため、長時間労働の抑制が可能です。また、社員がコア業務に集中できる環境が整備され、新規事業の創出や新商品の開発への期待も高まります。

 

BPOの目的

企業がBPOを活用する主な目的は、専門知識を持つ事業者のノウハウの活用や、自社社員によるコア業務への集中による業務効率化の実現です。企業のノンコア業務をアウトソースできれば、長時間労働の抑制を推進し、業務品質の向上にもつながるでしょう。

また、自社で人材を採用し、現場で一人立ちするまで教育を行う手間やコストの削減を、BPOの目的とする場合もあります。

 

BPOの対象となる業務例

BPOの対象となる代表的な業務は、「総務・経理」「人事・労務」「営業事務」「コールセンター(カスタマーサービス)」の4つです。

総務・経理

総務は定型業務が多く、BPOに一括して委託することで大幅な効率化が可能です。具体的には次のような業務がBPOの領域となります。

  • 備品や消耗品管理
  • 社内設備の点検管理
  • 郵便や宅配便の管理、発送業務
  • 役員のスケジュール管理、電話対応
  • 株主総会・取締役会の企画運営

経理は定型業務が大半を占め、月末月初に業務が集中するケースが多いです。BPOの活用により、経理担当者の長時間労働抑制が可能になります。主な委託業務として、次のような定型業務が挙げられます。

  • 預金・現金管理
  • 経費計算、システムへの入力、支払い
  • 請求書の作成、システムへの入力、送付作業
  • 月次決算、決算書の作成
  • 年次決算、決算書作成、年末調整管理

人事・労務

採用をはじめ、入社後の人事異動や昇格、労使交渉など人事業務全般の委託を行う観点で、BPOを活用するケースも多いです。

  • 採用業務
  • 人事評価・処遇決定
  • 組織・能力開発、研修
  • 労使交渉関連

労務は、社員管理が中心となり、税金計算や保険手続きなどがBPOの業務領域です。マニュアル化しやすい業務のため、BPOの活用により効率化を進められます。

  • 勤怠管理
  • 給与計算
  • 社会保険、労働保険の手続き
  • 福利厚生の作成や見直し、改善
  • 健康診断やメンタルヘルスチェックなど安全衛生管理

営業事務

営業事務は、書類作成業務、取引先との電話、メール対応、営業担当者のスケジュール管理など幅広い対応が求められる業務です。BPOで営業事務を委託することで、営業担当者の負担が軽減し、営業の売上向上にも寄与するでしょう。

  • 電話やメールの対応
  • 来客対応
  • クレーム対応
  • 見積書、請求書、契約書などの作成と管理
  • 営業担当者のスケジュール管理

コールセンター(カスタマーサポート)

コールセンター業務は、お客様獲得のために行うアウトバウンド、お客様からの受信のみを行うインバウンド、受信内容に応じてより踏み込んだ提案を行うテクニカルサポートなどに分けられます。コールセンターの立ち上げからセンターの役割の明確化、トークスクリプトや業務フローまで一貫して委託できる点が魅力です。

場合によっては土日や夜間対応も可能なため、BPOと相性が良い業務と言えます。

  • お客様からの問い合わせやクレーム対応
  • 商品購入手続きやサービス加入申し込み対応
  • 電話を使ったマーケティングやアポイント獲得業務
  • カスタマーサクセス(既存のお客様へ自社商品導入支援、アップセルやクロスセルなど)業務

 

BPOを活用するメリット

企業がBPOを活用する主なメリットは、「経営資源のコア業務への集中」「業務の標準化・効率化」「サービス品質・お客様満足度向上」の3つです。本章では、3つのメリットについて詳しく解説します。

経営資源をコア業務に集中できる

BPOを活用すれば、ヒト・モノ・カネといった経営資源をコア業務に集中させることが可能です。例えば、営業においてノンコア業務である営業事務にBPOを活用することで、コア業務であるお客様との商談、契約交渉に経営資源を集中できるようになります。その結果、契約成立の可能性も高まり、利益向上にも期待できるようになるでしょう。

業務の標準化・効率化ができる

BPOは業務の標準化や効率化にも効果を発揮します。BPOに業務フローやプロセス管理を委託すれば、標準化できるようになり、特定の社員しか担当できない属人化防止が可能です。

また、標準化が実現すれば、誰もが業務を行えるようになるため、担当者がいないから業務が止まる心配もありません。その結果、業務効率化にもつながります。

サービス品質やお客様満足度の向上

BPOの活用により、ノンコア業務の質を高め、経営資源をコア業務に集中できるようになれば、自ずとサービス品質の向上も実現します。

また、同時に業務の標準化や効率化も進むため、お客様に質の高い商品やサービスを迅速かつ適切なタイミングで提供することも可能になり、その結果、お客様満足度の向上に期待できるでしょう。

 

BPOを導入するデメリット

さまざまなメリットを持つBPOですが、導入によるデメリットも存在します。それは、コストが増える点やノウハウの蓄積ができない点です。本章では、2つのデメリットについて解説します。

コスト増になる場合がある

BPOを適切に活用すれば、人件費を固定費から変動費にできるため、無駄なコストの低減につながります。ただし、BPOは一時的に利用するアウトソーシングに比べ、中長期的に委託するケースがほとんどです。そのため、無計画に全てをBPOに委託してしまうと、かえってコストが増えるケースもあります。注意しましょう。

自社に独自のノウハウを蓄積できない

BPOでは、業務の一部ではなく業務プロセスを一括で委託するケースも多く、自社に独自のノウハウを蓄積できないデメリットがあります。急なトラブルでBPOへの委託をやめた場合、自社で即時対応が難しく、事業継続に悪影響を及ぼす可能性もあるでしょう。

BPOを活用しつつも自社にノウハウを蓄積するには、BPOを提供する事業者と綿密に連携し、定期的な情報交換や業務進捗の共有を行うことが重要です。

 

BPOの導入手順

BPOの導入は、自社業務を整理して委託業務を決定、委託先の検討、トライアルを経て導入、運用の流れで進めていきます。

  • 委託する業務の整理

委託する業務を明確にするため、まずは現状業務の棚卸しを行いながら課題点を洗い出します。社内で対応が容易な業務と、アウトソースすべき業務を仕分けていきましょう。アウトソースすべき業務か判断に迷った際は、外部のコンサルタントやBPOサービス提供事業者の客観的な意見を求めるのもおすすめです。

  • 委託先の検討

外部に委託することを決めたら、委託先の検討をします。委託する業務範囲を明確にした上で、実績や費用、委託する業務のスキルを見極めながら委託先を比較しましょう。特に経理や人事業務を委託する場合は、セキュリティレベルや専門人材の在籍有無も必ず確認して下さい。

  • 導入・運用

トライアル導入の時点では、作成した業務マニュアルを使い引き継ぎを行います。本格導入後は、定期的な運用検証や定例報告会議を実施し、情報共有をしながら運用を進めていきましょう。

 

外部委託を活用してコア業務に集中できる環境づくりを

BPOとは、自社の業務を外部に委託するサービスです。一部の業務のみを短期間だけ委託するアウトソーシングとは異なり、一つの業務プロセスを丸ごと、中長期的に委託する点が特徴です。

BPOに委託すべき業務を適切に見極めるため、業務の棚卸しや事業計画をふまえた検討が必要になります。コア業務・ノンコア業務の棚卸しや、経営資源の分配など、より客観的なアドバイスを求める人は、ぜひ武蔵野コンサルティングにご相談下さい。

武蔵野コンサルティングでは、職場環境の整備や業務の見える化、改善点の発見などの実績から、業務棚卸しやリソースの再分配など内部だけでは難しいプロセスの実現に大きく貢献します。経営コンサルティングならではの視点を生かしたアドバイスを、ぜひ事業運営に役立てて下さい。

執筆者情報

執筆者の写真

佐藤 義昭 / 株式会社武蔵野 常務取締役

1971年、東京都生まれ。
1990年、武蔵野にアルバイトとして入社、ダスキン事業から新規事業まで経験。
2007年、経営サポート事業本部の本部長を経て2015年11月取締役に就任。
2021年、6月常務取締役に就任。

経営者向けに年間100回以上の講演実績があり、企業文化を強化する経営計画書作成法を伝授。
年に一度行われる社内経営計画書アセスメントの方針作りや、小山昇の実践経営塾の合宿では、経営者向けに経営計画書作成や短期計画作成を支援している。
おもな講演テーマに『経営計画書を作るには』、『手書きによる短期計画作成方法』などがある。

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