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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2024/01/29 15:31

経営

ガバナンスの意味と取り組むべき理由を分かりやすく説明!

読了まで約4分

不正会計や資産の不正流用などのニュースを見聞きし、自社のガバナンスに不安を感じる経営者もいるのではないでしょうか。

「ガバナンスの意味は理解しているものの何から取り組んだらいいのか分からない」
「ガバナンスが機能しないと起こり得るリスクを確認したい」

このように考えている人に向けて、本記事ではガバナンスの意味やガバナンスを強化する方法を紹介します。ガバナンスの見直しを図るきっかけとして、ぜひご活用下さい。

ガバナンスとは

ガバナンスは直訳すると「統治、管理、支配」という意味になり、ビジネスシーンでは、健全な企業運営を実現するための管理体制構築という意味で使われています。
具体的には、内部統制やリスクマネジメントを向上するための部署の設置、取締役と執行役の分離など、不祥事を未然に防ぐ体制構築を指しています。

2023年4月26日に株式会社帝国データバンクが発表した「コンプライアンス違反企業の倒産動向調査(2022年度)」によると、2022年に不正が発覚し倒産した企業は過去最多の300件を超え、不正や不祥事は経営危機に直結するため、ガバナンス強化は企業経営の必須事項といえるでしょう。

出典:株式会社帝国データバンク
コンプライアンス違反企業の倒産動向調査(2022年度)

 

ガバナンスと混同される言葉の意味・違い

ガバナンスの意味をより深く理解するために、ガバナンスと混同しやすい言葉の意味と違いを解説します。

コンプライアンス(法令遵守)

コンプライアンスとは法令遵守を意味しており、企業倫理や公序良俗、社内規範などを守りながら企業経営を行うことを目的としています。

一方、ガバナンスは企業倫理や法令、社内規範、規則を従業員に守らせるための取り組みそのものを指しており、ガバナンスの強化によって、企業コンプライアンスが守られるという関係性の違いがあります。

リスクマネジメント

リスクマネジメントとは、台風や地震などの自然災害による建物損壊、競合の台頭による売り上げ減少など企業を取り巻くさまざまなリスクを最小限に抑えるための管理手法です。
適切なリスクマネジメントの実施により、ガバナンスが強化されると考えられます。

内部監査

内部監査とは、企業内に独立した監査組織を設置し、財務や業務について調査や評価、報告および助言を行う活動を指します。内部監査は、コンプライアンスやリスクマネジメントのプロセスが有効かどうか、客観的に判断する独立した組織体であり、内部監査がガバナンス強化の重要な役割を担っています。

ガバメント

ガバメントとは、直訳すると「政府」「政治」を表す言葉です。ガバナンスと類似していますが、ビジネスシーンで使われるガバナンスとは関連性ない単語です。

コーポレートガバナンス(企業統治)

コーポレートガバナンスとは、社員はもとよりお客様や株主、地域社会も含め、それぞれの立場を踏まえて高い透明性で迅速な意思決定を行うための仕組みです。ビジネスシーンにおいては、ガバナンスのことをコーポレートガバナンスと呼ぶケースも多く、両者はほぼ同じ意味で使われます。

ただ、コーポレートガバナンスは、金融商品取引法において有価証券報告書に「コーポレート・ガバナンスの状況」の記載が義務付けられています。ガバナンスは社内に向けたものであり、コーポレートガバナンスは、社外へ公開するためのキーワードと捉えることも可能です。

 

上場企業に求められるガバナンス・コードとは

ガバナンス・コードとは、正式にはコーポレートガバナンス・コード(CGコード)と呼ばれるもので、上場企業が企業統治を行う際のガイドラインとして参照する原則・指針です。
2015年3月に「コーポレートガバナンス・コード原案」を金融庁と東京証券取引所が共同で公表し、その後改正を経て、2015年6月に正式版が全上場企業に適用されています(以後2018年、2021年に改定)。

コーポレートガバナンス・コードは次の5つの基本原則から成り立っており、株主と株主以外のステークホルダーとの関係性、取締役会などの責務、情報開示に関して言及しています。

  1. 株主の権利・平等性の確保
  2. 株主以外のステークホルダーとの適切な協議
  3. 適切な情報開示と透明性の確保
  4. 取締役会等の責務
  5. 株主との対話

コーポレートガバナンス・コードは、市場の変化が激しい現代において、企業価値を高める目的で策定されました。人手不足を乗り越えてグローバル社会で勝ち残るためには、ガバナンス強化による透明性の高い経営が必要不可欠だからです。

コーポレートガバナンス・コードの閣議決定の中で、「持続的成長に向けた企業の自律的な取り組みを促すため、東京証券取引所が新たにコーポレートガバナンス・コードを策定する」ことと明示されており、企業が中長期的に資本生産性を高めて企業経営力を取り戻す必要性を説いています。

適切な情報開示による透明性の高い経営を行い、競合との差別化を図ることでステークホルダーからの信頼を獲得できます。これらの背景から、コーポレートガバナンスが求められるようになったのです。

 

ガバナンスが効くと得られるメリット

企業のガバナンスが機能している状態を「ガバナンスが効く」と表現する場合がありますが、ガバナンスが効くと、企業にはどういったメリットがあるのでしょうか。

企業価値が向上する

ガバナンスが効くと企業価値が向上し、企業として社会的信頼を得ている状態を作ることができます。

ガバナンスを強化する過程で企業のルールが浸透し、価値向上につながるのです。

持続的な成長が期待できる

ガバナンスが効くと、企業の持続的な成長が期待できます。公正・公平な規律のもと、透明性の高い経営活動を開示することで社内外からの信頼を獲得し、優良企業として認知が高まります。その結果、売り上げアップや株主との有効な関係性構築ができ、成長を後押しするでしょう。

また、成長を続けている企業には優秀な人材が集まる可能性も高まり、さらなる成長と競争力の強化に寄与します。

不正体質から脱却できる

資金の不正流用やお客様の個人情報漏えいなどの不祥事は、コンプライアンスが守られていないことから起こります。

コンプライアンスの遵守はガバナンス強化に欠かせない要素であり、ガバナンスが効いていれば、不正体質からの脱却も可能です。

株主からの投資・信頼を得られる

ガバナンスが効き、健全な経営を行っている企業は、投資家から見ても安定した利益が見込める魅力的な企業として認知され、信頼関係が生まれやすくなります。

そのため、新規事業への投資を受けられる可能性も高まり、結果として企業価値の向上にもつながります。

 

ガバナンスが機能しないと起こるリスク

ガバナンスが効くことでさまざまなメリットを得られますが、逆にガバナンスが機能しないといくつかのリスクが生まれます。特に注意しなくてはならないリスクは「社会的信用の喪失」「グローバル化の遅れ」の2点です。

社会的信用の喪失

ガバナンスが機能していないと、適切なリスクマネジメントやコンプライアンスの遵守ができなくなり、不祥事やトラブル発生時の迅速な対応ができません。その結果、継続的な成長はもちろん社会的な信用の喪失にもつながってしまいます。

グローバル化の遅れ

ガバナンスの機能不全はグローバル化の遅れにもつながりかねません。現在、アメリカやイギリス、フランス、ドイツなどにもコーポレートガバナンス・コードに類似したものが存在しています。

そのため、海外市場でビジネスを行うには、それぞれの国に合わせたコーポレートガバナンスが求められるため、ガバナンスが機能していなければ、結果としてグローバル化の遅れにつながってしまうおそれもあります。

 

ガバナンスを強化する方法

ガバナンスを強化するにはさまざまな施策が求められますが、中でも次の3点は実施すると高い効果が期待できます。

  • 社内規範や倫理憲章の作成と周知の徹底

ガバナンス強化に欠かせないコンプライアンスの遵守を行うには、現状の社内規範や倫理憲章の作成や見直しが必須です。また、作成しても社員が把握していなければ意味がないため、冊子にして配布する、勉強会を行うなど、周知の徹底を行う必要もあります。

  • 社外取締役や社外監査役の設置

ガバナンスを強化させるには客観的な第三者の目線も必要です。そこで外部人材を登用し、取締役や監査役とすることで厳格な内部統制が実現できます。

  • リスクマネジメントの実施

ストレスチェックや健康診断、産業医の導入など社員の健康被害を防ぐ施策も重要です。サーバやシステムのクラウド化などリスクマネジメントの徹底もガバナンス強化に必須といえるでしょう。

 

ガバナンスを強化した事例

実際にガバナンス強化を行うと、企業にはどんな変化が起きるのでしょうか。ガバナンス強化を行った企業の具体例を紹介します。

某メーカー企業では、取締役会で建設的な意見を出しあえる環境整備を目的とし、ガバナンス強化に取り組みました。具体的には、社外取締役に対して自社工場の見学および視察の機会を設け、現場の情報を直接収集できるルールに変更。加えて、取締役会後に社内の経営層と社外取締役で意見交換ができる時間を確保し、経営計画に関する濃い情報提供を行うなど取り組みました。

その結果、社外取締役から多角的な意見を集めやすくなり、経営計画の質を向上させると共に、社内役員の意識向上や育成にもつながったそうです。この意識改革は、社会に必要とされるガバナンス体制の確立にも良い影響をもたらしました。

出典:株式会社東京証券取引所委託調査(HRガバナンス・リーダーズ株式会社)
上場企業のコーポレートガバナンスの取組と効果に関する調査 コーポレートガバナンスに関する取組事例集

 

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ガバナンスとは、健全な企業運営を実現するための管理体制構築を意味するものです。ガバナンスの強化により、適切な情報提供による透明性の高い経営を実現すれば、さまざまな効果が期待できるでしょう。

ガバナンス強化を実現させるためには、組織体制の見直しに加え、客観的立場から助言を行ってくれる外部機関との協業が有効です。社内の監視体制だけでは、取締役会や内部監査部門の不正を見抜くのは難しい場合があるためです。

自社の適正な現状分析の実現に際し、外部の専門家による意見を求めている人はぜひ、武蔵野コンサルティングにご相談下さい。武蔵野は中小企業のコンサルティングに強みを持ち、750社以上の事業開発に関わった実績から適切なアドバイスでガバナンス強化をサポートします。まずは、概要資料をダウンロードしてみて下さい。

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執筆者情報

執筆者の写真

佐藤 義昭 / 株式会社武蔵野 常務取締役

1971年、東京都生まれ。
1990年、武蔵野にアルバイトとして入社、ダスキン事業から新規事業まで経験。
2007年、経営サポート事業本部の本部長を経て2015年11月取締役に就任。
2021年、6月常務取締役に就任。

経営者向けに年間100回以上の講演実績があり、企業文化を強化する経営計画書作成法を伝授。
年に一度行われる社内経営計画書アセスメントの方針作りや、小山昇の実践経営塾の合宿では、経営者向けに経営計画書作成や短期計画作成を支援している。
おもな講演テーマに『経営計画書を作るには』、『手書きによる短期計画作成方法』などがある。

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