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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2023/10/06 13:48

経営

資金繰り

安全性分析とは?重要となる指標の計算式や活用方法・ポイントを詳しく解説

読了まで約4分

「安全性分析で重要となる指数を知りたい」「財務の健全性を計る分析方法のポイントを知りたい」と考えている経営者や代表者の方も多いのではないでしょうか。
安全性分析を理解することにより、財務体質が改善する可能性があります。

本記事では、最初に安全性分析の概要を説明した後、短期的支払い能力、長期的支払い能力、資産構成、利息の支払い能力の順に指数・計算式を紹介します。
最後に安全性分析を活用する方法とポイントも紹介するので参考にしてください。

安全性分析とは

安全性分析とは、決算書(貸借対照表、損益計算書など)の内容をベースとして、企業経営の安定性と財務健全性を分析する手法です。
企業経営の安定性には「経営を続けられる状況かどうか」「資金繰りが不安定ではないかどうか」という意味があり、財務健全性とは「資金調達が健全かどうか」を表す指標です。

企業経営では黒字倒産もあり得ますし、財務内容の悪化に伴って資金調達力が低下するケースもあります。
このような状況に対応するには安全性分析が効果的です。
資金繰りが悪化する危険性を分析できるでしょう。

 

【短期的支払い能力】安全性分析で重要となる指数・計算式

まずは短期的支払い能力を分析する指数・計算式として以下を解説します。

・流動比率
・当座比率

どちらも安全性分析で主に使用する指標なので確認が必要です。

流動比率

流動比率の計算式は以下の通りです。

・流動資産÷流動負債×100

流動資産は現預金、売掛金、受取手形のような1年以内に現金化できる資産です。
流動負債は買掛金、短期借入金など1年以内に支払いが可能な資産を指します。

流動比率とは、流動資産の流動負債に対する比率であり、短期的な資金繰りの安定性を示す指標です。
比率が100%以上であれば、流動資産によって流動負債を支払える状況と判断できます。
逆に100%未満の場合は資金がショートする可能性があります。

歴史的には「Two to One Ratio」と呼ばれている指標であり、比率は200%以上が望ましいとされています。
全業界を平均した流動比率も200%前後です。

当座比率

当座比率の計算式は以下の通りです。

・当座資産÷流動負債×100

当座資産は流動資産の中でも特に現金化しやすい資産のことです。
現預金、有価証券、売掛金などが当座資産に含まれる一方、棚卸資産のような現金化に時間がかかる資産は除かれます。

当座比率とは、当座資産の流動負債に対する比率のことであり、流動比率よりも実態的な資金繰りの状況を示す指標です。
一般的には比率が100%以上であれば安全性が高いとされています。100%未満の場合は資金ショートの懸念があるでしょう。

仮に流動比率が200%でも、流動資産の大半が棚卸資産であれば現金化に時間がかかるため負債の返済に充当できず、支払いが難しくなる懸念があります。
企業経営における短期的な支払い能力を計る指標として当座比率は重要です。

 

【長期的支払い能力】安全性分析で重要となる指数・計算式

長期的な支払い能力を分析する指数・計算式として以下があります。

・固定比率
・固定長期適合率

それぞれ解説するので参考にしてください。

固定比率

固定比率の計算式は以下の通りです。

・固定資産÷自己資本×100

固定資産は有形固定資産の土地と建物、無形固定資産の特許のように現金化に1年を超える資産や、長期保有が前提の資産です。
自己資本は返済不要な資金であり、利益の貯蓄分および株主資本が該当します。

固定比率とは、固定資産を自己資本でどの程度まかなえているかを分析する指標です。
負債で固定資産を取得する場合、支払い時期と資金回収の差によって資金繰りが不安定になる懸念があります。固定比率はそのような危険性を示しています。

なお、固定比率は100%未満が望ましいとされています。
ただし装置産業(装置を主体に利益を上げる産業)では100%を超えるケースもあるため、業種別に判断することが大切です。

固定長期適合率

固定長期適合率の計算式は以下の通りです。

・固定資産÷(自己資本+固定負債)×100

固定負債は金融機関からの長期的な借入金や社債など、1年以内に返済義務が生じない負債です。

固定長期適合率とは、固定資産を自己資本と固定負債でどの程度まかなえているかを分析する指標です。
前述した固定比率を拡張した指標であり、「自己資本以外にも長期的な負債で固定資産をカバーできれば、大きな危険性はない」という考え方に基づいています。

固定比率が100%を大幅に超える場合でも、固定長期適合率が100%未満であれば、ほぼ問題ないでしょう。

 

【資産構成】安全性分析で重要となる指数・計算式

資産構成を分析する指数・計算式として以下があります。
どちらも企業の長期的な支払い能力や全体の安全性を計る指標です。

・負債比率
・自己資本比率

それぞれ解説していきます。

負債比率

負債比率の計算式は以下の通りです。

・負債÷自己資本×100

前述したように自己資本は返済不要な資金です。
負債比率とは、自己資本に対する負債(他人資本)の割合を示した指標です。貸借対照表における貸方の構成比率なのでわかりやすいでしょう。

負債比率が低ければ低いほど財務状況の安全性は高いと判断されます。
100%未満が理想ですが、企業の成長度合いに従って負債比率の意味合いは異なります。
例えば創業から間もない企業では、負債が自己資本を上回るケースがありますが、その場合は必然的に負債比率が高くなります。

自己資本比率

自己資本比率の計算式は以下の通りです。

・自己資本÷総資本×100

総資本は自己資本と負債を足した総額です。

自己資本比率とは、総資本に対する自己資本の割合を示した指標です。
自己資本比率が高ければ高いほど負債が少ないため、経営の安定性は高いと判断できます。
銀行も企業の安定性を評価する際に参考にする指標です。

一般的に自己資本比率が30〜40%で安定企業、50%以上あれば優良企業とみなされます。
ただし負債比率と同じく、企業の成長度合いによっても意味合いは異なります。

 

【利息の支払い能力】安全性分析で重要となる指数・計算式

利息の支払い能力を分析する指標にインタレストカバレッジレシオがあります。
詳しく解説するので参考にしてください。

インタレストカバレッジレシオ

インタレストカバレッジレシオの計算式は以下の通りです。

・(営業利益+受取利息+受取配当金)÷支払利息

営業利益は企業が本業で稼いだ利益を指します。
受取利息は預金や貸付金の利息のことです。
受取配当金は有価証券の配当金であり、支払利息は借入金やローンで支払う利子を指します。

インタレストカバレッジレシオとは、支払利息に対して、営業利益・受取利息・受取配当金の合計額が何倍かを示す指標です。
安定的な利益で利息を支払えるかどうかがわかります。

一般的にインタレストカバレッジレシオは10倍以上が望ましいとされています。
1倍を下回ると自己資本を取り崩しているため、経営状況は不安定と判断されるでしょう。

 

安全分析の活用方法とポイント

ここまで安全性分析の指標について解説してきましたが、具体的な活用方法とポイントとして以下があります。

・それぞれの指標の意味を確認する
・長期・短期の安全性で使い分ける
・総合的に判断する
・他社や過去の実績と比較する

それぞれ解説するので参考にしてください。

それぞれの指標の意味を確認する

安全性分析の指標は、すべて高ければよいというわけではありません。
例えば株主資本比率が高すぎた場合、資産を効率的に活用できていない可能性があります。
負債比率のように、数値が低いほど安全性が高いとみなされる指標もあります。

そのため、指標を一方向的に捉えるのではなく、「それぞれの指標が何を意味するのか」を確認することが重要です。

長期・短期の安全性で使い分ける

安全性分析は長期と短期で指標が異なります。
短期の支払い能力を分析する場合は流動比率と当座比率、長期の場合は固定比率と固定長期適合率です。
負債比率と自己資本比率に関しても、長期的な指標に含まれます。

このように、分析目的に応じた短期と長期の使い分けが大切です。
短期的な分析が必要な局面にもかかわらず長期的な指標を採用したり、逆に長期的な分析が必要にもかかわらず短期的な指標を用いたりすると、正確な測定ができないので注意してください。

総合的に判断する

安全性分析の指標は1種類だけでは判断できません。
例えば、固定比率や固定長期適合率が適正な範囲でも流動比率や当座比率が100%以下であれば、長期的には問題なくても短期的な支払いが厳しい状況と考えられます。

長期と短期で指標を使い分けると共に、企業全体の安全性を把握する際は総合的な判断が必要です。

他社や過去の実績と比較する

安全性分析の指標は業界によって異なります。
前述したように固定比率は100%未満が望ましいものの、装置産業では100%を超えるケースも珍しくありません。

また、負債比率や自己資本比率のように、企業の成長度合いによって意味合いが異なる指標も存在します。
数値を比べる際は同業他社の平均や、自社の過去の実績をベースに考える必要があります。

 

安全性分析を行い自社の経営状況を把握しよう

安全性分析ではさまざまな指標が用いられます。
短期的な支払い能力の分析には流動比率と当座比率があり、長期的な分析には固定比率、固定長期適合率があります。

また、資産構成を分析する指数として負債比率と自己資本比率があり、利息の支払い能力を分析する指標はインタレストカバレッジレシオです。

具体的に安全性分析を活用するには、それぞれの指標の意味を確認し、長期・短期の安全性で使い分けるだけでなく、総合的な判断が大切です。
他社や過去の実績との比較が必要な場合もあります。

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