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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2023/10/20 11:00

経営

企業理念とは?策定方法や浸透のコツ・経営理念との違いを解説

読了まで約4分

企業理念では、会社が大切にする価値観や存在意義が言葉で表現されています。
経営者には意思決定の軸として、社員には行動指針として機能するのが特徴です。

企業の理念を実現するためには、時間をかけて社員に企業理念を浸透させ、具体的な行動に移すきっかけを提供することが大切です。
企業理念に沿った行動を実践することで、社外からの信頼獲得にもつながります。

本記事では企業理念の策定方法や社員に浸透させるコツ、経営理念との違いについて解説します。
企業理念の他社事例も紹介するので、参考にしてみてください。

企業理念とは?意味や目的

企業理念とは、企業の存在意義や価値観といった最も大事な考え方を言葉で示したものです。

経営の目的をはじめ、社会や顧客・従業員などのステークホルダーに価値を提供する道筋などが宣言されています。
社外に対してはブランドイメージの醸成につながるものと言って良いでしょう。

企業には法人格がありますが、企業理念を策定することで「企業経営を通じて社会的な使命を果たす」という意思表示を行い、人格を形成しています。
言い換えると、企業理念は企業活動のすべての場面で判断基準と意思決定の軸として機能しているのです。

また、企業理念は「マインドアイデンティティ(MI)」と呼ばれることもあります。
企業の考え方や志を意味しており、「コーポレートアイデンティティ(CI)」の中核を担っているのが特徴です。

 

経営理念や社訓、社是との違い

企業理念と経営理念の違いについてご説明します。

企業理念では会社組織としての価値観や意思決定の基準を示しているのに対し、経営理念では経営者自身の価値観や経営判断の基準を示しているという違いがあります。
企業理念は経営理念をもとに策定しますが、経営理念とは異なり経営者が交代しても変化することは少ないです。

しかし、経営環境や顧客のニーズといった客観的な基準をもとに見直される可能性はあります。
わかりやすく考えると、企業理念は社風、経営理念は社長の思いといえるでしょう。

経営理念についてはこちらの記事を参照ください。
経営理念とは?

また、企業理念と社是・社訓も意味が異なります。
社是とは、会社のあるべき姿であり、ミッションに近い意味を持ちます。
これに対して、社訓とは、社員が守るべき行動や大切にすべき精神と定義し、スピリットに近いニュアンスになってくると言って良いでしょう。

企業理念のメリット

企業理念が明確に定まっていれば、経営の判断軸や社員の行動基準として活用でき、意思決定がスムーズになります。
企業理念を社外に公表することで社会的な信頼が得られ、営業活動や採用活動も有利に進むでしょう。

企業理念がなぜ必要なのか、どう言った効果があるのか、ここでは企業理念を策定する3つのメリットをご紹介します。

経営の判断軸となる

会社としての考え方や意思決定の基準を企業理念として明文化しておけば、経営判断に迷った時でもスピーディに的確な判断を下せるのがメリットです。
なおかつ、担当者によって判断基準がブレることがないので、客観性も保てます。

経営を進める中でピンチやトラブルに見舞われたとしても、基本に立ち戻って冷静に判断でき、意思決定の方向性を間違わずに済みます。
経営判断のミスや遅れによるトラブルの拡大も防げるでしょう。

また、企業理念が定まっていれば、社会情勢が急激に変化した場合でも攻めと守りのバランスを取りながら柔軟に経営を進められます。
社会の変化に対応し続けることで、企業の生き残りにつなげていけるのです。

従業員の行動基準を明確にする

企業理念が社員に浸透していれば行動基準を明確にできるので、業務上の判断に迷う場面でも、与えられた権限の範囲内なら自分で解決につなげられます。
意思決定の遅れによる、失注やクレームなどのトラブルを未然に防げるのもメリットです。
行動基準だけでなく会社としての価値観も統一できるので、目標達成に向けて自律的に行動する習慣も身につきます。
その結果、組織力が強化されて企業の成長にもつながるのです。

近年ではテレワークの普及に伴い、業務遂行にあたって従業員自身で判断する場面が増えてきました。
企業理念が定まっていれば権限委譲の幅が広がり、従業員の能力アップにもつなげられるでしょう。

社外の信頼を得る

企業理念を会社案内やホームページなどで公表することで、事業の方針や社会貢献に関する考え方を社外にアピールできます。
社外の信頼を得られれば売上アップにつながるだけでなく、自社が提供する商品・サービスのブランディング効果も発揮できるのです。
採用活動では、企業理念をベースに考えられた採用コンセプトに基づき一連の採用活動を行うことで、企業理念に共感した人材が応募する流れが定着し、入社後のモチベーション向上や離職率低下といった良い循環を作り出せます。

また、社外から注目されている意識を持つことで、企業理念に沿って行動する責任感が生まれると同時に会社への帰属意識も高まります。
その結果、従業員満足度(ES)と生産性の両方が向上する効果ももたらされるのです。

 

企業理念を構成する要素と策定方法

企業理念(マインドアイデンティティ)は、ミッション・ビジョン・バリュー・スピリット・スローガンの5つの要素で構成されています。
企業理念をすべての従業員に浸透させるには、要素ごとにわかりやすい言葉で表現することが重要です。
企業理念を構成する、それぞれの要素について簡単に説明します。

ミッション

企業の存在目的や日々果たすべき使命を示す要素で、企業理念の中で最も重要な位置づけです。
企業の志や成長プランを直感的に読み取れる言葉でミッションを定めるようにします。

ビジョン

ミッションの達成によって実現したい将来像・理想像を示す要素です。
成長戦略や社会貢献の可能性に触れつつ、時代の変化に応じて定めていきます。

バリュー

企業の存在価値・強みや社会に提供する価値を示す要素です。
企業や従業員が持つべき共通の価値観を盛り込む企業もみられます。
ミッション・ビジョンとバリューの整合性がとれているかを確認するようにしましょう。

スピリット

ミッション・ビジョン・バリューを実現するための心がけや行動指針を示す要素です。
「ウェイ」「行動指針」と呼ばれることもあります。
企業らしさや、企業の一員として大切にすべき精神が盛り込むとよいでしょう。

ミッション ビジョン バリューについてはこちらの記事を参照ください。
ミッション ビジョン バリューとは?

スローガン

ミッションやビジョンをわかりやすく示す要素で、企業やブランドの合い言葉としても機能します。
キャッチコピーと呼ばれることもあるため、インパクトのある言葉を選ぶようにします。
5つの要素を踏まえて企業理念を策定すれば、社内・社外どちらからも信頼を得やすくなるでしょう。

 

企業理念の重要性とは何か

企業理念は会社と従業員の考え方や価値観を一致させ、企業の成長や発展につなげるために重要な存在です。
従業員にとっては行動指針と位置づけられ、普段の業務を進める際の判断基準として機能します。
経営者(会社)にとっては経営に関する意思決定の基準として機能し、客観性を保ちながら的確・迅速な経営判断を支援します。
経営環境や社会情勢の変化に対応していくために、企業理念を調整することも大切です。

また、社外に企業理念を公表することで自社の商品・サービスの信頼性を高め、市場での差別化を図る効果も発揮します。
社外から会社や従業員が注目されることから自律した行動が促され、能力発揮の動機付けにもつながります。
従業員を採用する場面でも、企業理念に共鳴できる人の応募が増えることで入社後のミスマッチが減るでしょう。
従業員一人ひとりの生産性を高めるためにも、企業理念の重要性を意識しながら行動する習慣をつけることが大切です。

 

企業理念を実現するには

企業理念を実現するためには、人事評価やミーティングなどを通じて企業理念の内容を確認する流れを定着させることが大切です。
従業員が企業理念を意識して仕事に取り組めるよう、企業理念に沿った人事制度を構築する必要もあるでしょう。

一般従業員の手本となるよう、経営者本人や経営幹部は企業理念を踏まえた行動・言葉遣いを実践するようにしましょう。
ここでは、企業理念を従業員に浸透させ、実現につなげる3つのコツを紹介します。

企業理念にふれる機会を増やす

企業理念を従業員に浸透させて普段の業務に反映させるには、企業理念を確認する機会を増やす必要があります。
例えば、人事面談や部署・会社のキックオフミーティングで企業理念について考える時間を設ければ、普段の行動と企業理念を照らし合わせる機会が生まれます。

企業理念をまとめたパンフレットを配ったり、企業理念に関する研修会を開催したりするのも有効です。
すべての従業員が企業理念を熟知できる環境づくりに取り組みましょう。

企業理念に沿った制度を作る

企業理念の実現に向けて、人事制度や組織体制を整えることも大切な取り組みです。
人事評価の項目に「企業理念に沿った行動を実践しているか」を確認する項目を設けたり、企業理念を意識した行動を継続している人を定期的に表彰したりすると、企業理念の浸透につながります。

企業理念の範囲内で従業員に権限を委譲するのも一つの方法です。
企業理念の理解だけでなく実践につなげられるよう、成功事例を提供してもよいでしょう。

内容に一貫性を持たせる

企業理念は、経営理念の考え方を受け継いで作成されるのが一般的です。
さらに、企業理念の中にはミッションやビジョン・バリューといった要素も含まれています。

企業理念を従業員にスムーズに浸透させるには、企業理念の本体だけでなく付随するルールとの一貫性を持たせることが大切です。
就業規則に服務規程を設けている場合は、その内容とも整合性を取るようにします。

また、経営者や経営幹部の行動や言葉が企業理念と一致していなければ説得力を失い、従業員のモチベーションにも影響します。
従業員の手本となることを意識して、企業理念に沿った行動を実践する姿勢が重要です。

 

企業理念の具体例

企業理念の要点をごく短い言葉で示す会社や箇条書きで企業理念を定める会社など、企業理念の作り方はさまざまです。

今回は、企業理念の具体例を紹介します。

●ブリヂストングループの企業理念
使命…最高の品質で社会に貢献
心構え…誠実協調・進取独創・現物現場・熟慮断行

出典:企業理念 | 株式会社ブリヂストン

●JALグループの企業理念
JALグループは、全社員の物心両面の幸福を追求し、
一、お客さまに最高のサービスを提供します。
一、企業価値を高め、社会の進歩発展に貢献します。

出典:JALグループ企業理念

●KDDI株式会社の企業理念
KDDIグループは、全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、
お客さまの期待を超える感動をお届けすることにより、豊かなコミュニケーション社会の発展に貢献します。

出典:企業理念 | KDDIについて | KDDI株式会社

●ファーストリテイリングの企業理念
ユニクロを運営するファーストリテイリングの経営理念
・ステートメント
服を変え、常識を変え、世界を変えていく

・ファーストリテイリンググループのミッション
ファーストリテイリンググループは─
■本当に良い服、今までにない新しい価値を持つ服を創造し、世界中のあらゆる人々に、良い服を着る喜び、幸せ、満足を提供します
■独自の企業活動を通じて人々の暮らしの充実に貢献し、社会との調和ある発展を目指します

・私たちの価値観
■お客様の立場に立脚
■革新と挑戦
■個の尊重、会社と個人の成長
■正しさへのこだわり

・私の行動規範
■お客様のために、あらゆる活動を行います
■卓越性を追求し、最高水準を目指します
■多様性を活かし、チームワークによって高い成果を上げます
■何事もスピーディに実行します
■現場・現物・現実に基づき、リアルなビジネス活動を行います
■高い倫理観を持った地球市民として行動します

FAST RETAILING WAY (FRグループ企業理念)

 

まとめ 

企業理念は経営理念を踏まえて、会社組織の存在意義や価値観を言葉で共有する大切なツールです。
経営者にとっては企業の意思決定の基準として、従業員にとっては行動基準として機能します。
従業員に企業理念の内容を浸透させるためには、企業理念について理解を深める機会を増やしたり、人事制度の中で企業理念を意識する場を作ったりする施策を実践することが重要です。

企業理念や経営理念は作成するだけでなく、すべての従業員に浸透させて日々の業務に活かす体制も構築することが重要です。

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  • 企業理念と経営理念の違いは?

    企業理念では会社組織としての価値観や意思決定の基準を示しているのに対し、経営理念では経営者自身の価値観や経営判断の基準を示しているという違いがあります。
    詳しくはこちらをご覧ください。

  • 企業理念を構成する要素は?

    企業理念は、ミッション・ビジョン・バリュー・スピリット・スローガンの5つの要素で構成されています。すべての従業員に浸透させるには、要素ごとにわかりやすい言葉で表現することが重要です。
    詳しくはこちらをご覧ください。

執筆者情報

執筆者の写真

佐藤 義昭 / 株式会社武蔵野 常務取締役

1971年、東京都生まれ。
1990年、武蔵野にアルバイトとして入社、ダスキン事業から新規事業まで経験。
2007年、経営サポート事業本部の本部長を経て2015年11月取締役に就任。
2021年、6月常務取締役に就任。

経営者向けに年間100回以上の講演実績があり、企業文化を強化する経営計画書作成法を伝授。
年に一度行われる社内経営計画書アセスメントの方針作りや、小山昇の実践経営塾の合宿では、経営者向けに経営計画書作成や短期計画作成を支援している。
おもな講演テーマに『経営計画書を作るには』、『手書きによる短期計画作成方法』などがある。

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