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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2023/05/13 09:00

経営

経営理念とは?企業理念との違いや作り方、メリット、他社事例を紹介

読了まで約4分

多くの企業で経営理念や企業理念、ミッション・ビジョン・バリューなどを定めていますが、「経営理念とは何か」と問われたとき、迷うことなく回答できる人は意外と少ないのではないでしょうか。

本記事では、経営理念の意味や重要性、策定するメリットについて解説します。
企業理念やミッションなど、混同しがちな言葉との相違点や、有名企業の経営理念事例もあわせて紹介します。

経営理念とは

経営理念とは、企業経営や活動を行ううえで欠かせない価値感や哲学、信念や想い、経営者の考え方を明文化したものです。
すべての従業員に対し、自社の土台となる考え方を示すために策定します。

経営理念の内容は、「すべての世界で自社のサービスを提供したい」「イノベーションを起こして企業価値を高めたい」といったものから、「社会貢献を継続して行いたい」など、経営者によって大きく変わります。
どのような理念であっても、経営者の哲学や信念を明確にすることが重要なポイントです。

 

経営理念と混同される言葉の意味

経営理念には、企業理念やミッションなど似たようなビジネス用語が多く、混同されているケースも少なくありません。
英語に翻訳して比較すると、本質的な意味と違いがわかりやすくなります。

経営理念:Management philosophy
企業理念:Corporate philosophy

経営理念は”Management”に関する理念、企業理念は”Corporate”に関する理念で、それぞれ伝える相手とメッセージの性質が違います。

混同しがちな、「企業理念」「ミッション」「ビジョン」「バリュー」「社是・社訓」「経営方針」の6つについて、それぞれの意味や相違点をさらに詳しくご紹介します。

企業理念

経営理念と最も混同しがちなのが、同じ「理念」と言う言葉が入った企業理念でしょう。
経営理念は、経営者(創業者)の哲学や信念、価値観を基に示されるものです。

一方、企業理念は、企業の在り方や存在意義、事業目的などを示したものです。
企業のあり方を示す企業理念は、経営者が変わっても基本的に大きく変わらないのが特徴で、時代にあわせて表現を微調整する程度です。

経営理念は経営者の想いが反映されていることから、経営者が変更になれば理念も変わり得る点が相違点といえます。

企業理念についてはこちらの記事をご参照ください。
企業理念とは?策定方法や浸透のコツ・経営理念との違いを解説

ミッション

ミッションとは、企業の存在意義や自社が果たすべき使命を示すものです。
なぜ企業としてあり続けるのか、企業の志や成長プランなどを対外的に伝えられるよう定めます。

ミッションの例としては「顧客に対し常に良い品質、新たな価値を感じられる商品やサービスの提供をする」「自社の商品を通じて豊かで健全な社会を創造する」「顧客や取引先、従業員、株主の期待に応えつつ社会貢献を実現させる」などが挙げられます。
経営理念は社長の意思や考え方を示したものであり、ミッションは企業が社会に対してどう考えているかなど存在意義をまとめている点で異なります。

ビジョン

ビジョンとは、自社が将来的にどうありたいのか、その姿を示すものです。
またビジョンは、事業ビジョンや経営目標と呼ばれる場合もあります。

ビジョンの例としては「顧客にもっとも信頼される企業になる」「自社の商品やサービスによって世界をより良い方向へ変えていく」「絶えず革新を続ける企業になる」「顧客の役に立ち高収益で成長し続ける企業となる」などが挙げられます。

バリュー

バリューとは、会社と社員一人ひとりが持つべき価値観や価値基準を示すものです。
ミッションやビジョンを達成させるためには何をすべきかを明確にし、従業員がどう動くべきか、その行動規範を決めるものとなります。

バリューの例としては「顧客第一主義の徹底」「顧客・取引先・株主すべてに対し誠実に接する」「絶えず挑戦をし続ける」などが挙げられます。

ミッション ビジョン バリューについてはこちらの記事を参照ください。
ミッション ビジョン バリューとは?企業に必要な理由や作り方について解説

社是・社訓

社是とは、企業が正しいとする方針を指したものです。
社是の「是」という漢字は「正しい・道理にかなう」といった意味を持ちます。
社是は社内外に「私たちはこうありたい」と知らせるものです。
目指す姿を現すものという点では、ビジョンに近いといえるでしょう。
ただ、社是は将来的ではなく、今現在もそうでありたいといった想いが強くあるため、より現実的な内容のものが多くなります。

社訓とは、その企業で働くうえで守るべき行動指針や心構えを示したものです。
従業員は、社訓を忠実に守り日々の業務を行うことが求められます。
多くの場合、社訓は経営者が考える教訓として定められており、朝礼で社是とともに唱和したり、社訓が記載された経営計画書やカードを業務中に携帯することも多いです。

経営方針

経営方針とは、基本方針とも呼ばれるもので、経営理念の実現のための方向性を示したものです。
経営理念で定めたミッション・ビジョン・バリューなどの存在意義、価値観を現実にするために、具体的にどのように進んでいくべきか、行動目標として定めます。

経営方針についてはこちらの記事をご参照ください。
経営方針とは?経営理念との違いや作り方をわかりやすく説明

 

経営理念の必要性

“経営の神様”として知られている松下電器(現パナソニック)の創業者である松下幸之助は、自著「実践経営哲学」の中で、経営理念の必要性について説いています。

・経営理念は経営の根本
「私は60年にわたって事業経営に携わってきた。そして、その体験を通じて感じるのは経営理念というものの大切さである。(中略)いちばん根本になるのは、正しい経営理念である。」

・正しい経営理念をもつことで力強い経営に
「一つの経営理念というものを明確にもった結果、私自身、それ以前に比べて非常に信念的に強固なものができてきた。そして従業員に対しても、また得意先に対しても、言うべきことを言い、なすべきことをなすという力強い経営ができるようになった。」

・何が正しいかを見極める
「経営理念というものは、“何が正しいか”という、一つの人生観、社会観、世界観に深く根ざしたものでなくてはならないだろう。そういうところから生まれてくるものであってこそ、真に正しい経営理念たり得るのである。」
参考:松下幸之助「実践経営哲学」(PHP文庫)

このように、経営理念を定めることで経営戦略の基盤となるだけでなく、従業員やお客様に対して示すことでより力強い経営ができるようになります。

 

経営理念を策定するメリット

経営理念を策定することで得られるメリットや役割を3つ取り上げてご紹介します。

組織の団結力を高める

経営理念を示すことで、組織の団結力を高める効果が期待できます。
自社が何を目指しているのか、そのミッションを共有することで社内に一体感が生まれ、自社の存在意義を全社員で共有できます。
経営者が明確な経営理念を策定していれば、従業員は迷うことなく経営者が指し示す方向へ向かって進んでいけるでしょう。

また、経営理念を通して同じゴールを目指している意識が強まれば、社内の団結力強化にもつながります。

従業員のモチベーションアップ

経営理念は、「何のために働くのか」「仕事を通して何を社会に提供すべきか」といった、存在意義を理解するのに役立ちます。
与えられた仕事にやみくもに向き合うよりも、「何のために」という部分がはっきりしていたほうが、従業員のモチベーションは向上するでしょう。

経営理念を通して、仕事に対する意義を見出して、従業員の気持ちを高められるのは大きなメリットといえます。

企業ブランディングの強化

経営理念は、社内だけではなく社外へ向けたメッセージでもあります。
経営理念を社外にも発信し、理念にのっとった健全な経営をしていると表明すれば、ステークホルダーとの関係構築や企業ブランディングの強化に役立ちます。

さらに、企業ブランディングを強化できれば、顧客や取引先からの信頼感の獲得だけでなく、優秀な人材の確保にもつながります。
経営理念に共感した人材を確保することで離職率低下や業績アップにも貢献できるでしょう。

 

経営理念を浸透させるには

経営理念を掲げただけではなかなか社内へ浸透しません。
経営者の方がどれだけ考えて作成した経営理念であっても、社長室に飾ってあるだけや就業規則に書いてあるだけでは意味がありません。

では、効果的に社内に浸透させるためのポイントをご紹介します。

社長や幹部がみんなの前で話す場を作る

従業員が多く集まるイベントや会議の場などで、経営者または経営幹部らが経営理念に込めた意味などを話すことが大切です。社内報などで周知させるのも良いでしょう。

社員たちが「もう聞き飽きた」と思うほど繰り返し伝えましょう。

評価制度に取り入れる

人事評価の仕組みに経営理念を取り入れるのも、浸透させるための一つの手段です。
自分の評価に繋がるとわかれば、理解を深め自ら行動する社員も増えるはずです。

この他にも、朝礼・終礼での経営理念の唱和や社内向け勉強会の実施など、さまざまな方法があります。
企業規模や業態に合わせて適切な方法を選択しましょう。

 

経営理念の他社事例一覧

最後に、経営理念を作る際の参考として、他社事例を紹介します。

トヨタ自動車株式会社

1.内外の法およびその精神を遵守し、オープンでフェアな企業活動を通じて、国際社会から信頼される企業市民をめざす
2.各国、各地域の文化、慣習を尊重し、地域に根ざした企業活動を通じて、経済・社会の発展に貢献する
3.クリーンで安全な商品の提供を使命とし、あらゆる企業活動を通じて、住みよい地球と豊かな社会づくりに取り組む
4.様々な分野での最先端技術の研究と開発に努め、世界中のお客様のご要望にお応えする魅力あふれる商品・サービスを提供する
5.労使相互信頼・責任を基本に、個人の創造力とチームワークの強みを最大限に高める企業風土をつくる
6.グローバルで革新的な経営により、社会との調和ある成長をめざす
7.開かれた取引関係を基本に、互いに研究と創造に努め、長期安定的な成長と共存共栄を実現する
参照:TOYOTA 基本理念

ソフトバンクグループ

情報革命で人々を幸せに
参照:ソフトバンクグループ「経営理念」

ANAグループ

安心と信頼を基礎に、世界をつなぐ心の翼で夢にあふれる未来に貢献します
参照:ANAグループ「経営理念・ビジョン・行動指針」

パナソニックグループ

A Better Life, A Better World
参照:パナソニックグループの経営基本方針

スターバックスコーヒージャパン株式会社

人々の心を豊かで活力あるものにするためにーひとりのお客様、一杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから
参照:スターバックスコーヒージャパン「ミッション バリュー」

京セラ株式会社

全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること。
参照:京セラの「社是・経営理念・経営思想」

まとめ 

経営理念とは、経営者の考えや志をもとに、企業のあるべき姿を明文化したものです。
企業によっては経営理念の代わりにミッション・ビジョン・バリューを設定したり、社是・社訓を定めたりしています。

経営理念は、企業の進みたい理想の姿を示したもので、従業員のモチベーションアップや社外との関係性構築に役立ちます。
作成する際には、おしゃれなものや面白いものよりも、人の心に響くストレートでわかりやすい文章が良いでしょう。

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