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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2024/01/29 15:40

経営

ガバナンスとコンプライアンスの違いを解説!強化する方法や企業が得られるメリットとは?

読了まで約3分

健全な企業経営を実現させるためには、さまざまな取り組みが必要です。ガバナンスやコンプライアンスの強化もその一つで、経営者が積極的に進めていくことが求められます。
ただし、ガバナンスやコンプライアンスがどういったもので何が違うのかを理解していないと強化することはできません。

本記事では、ガバナンスとコンプライアンスの違いを確認し、その上で強化するメリット、具体的な強化策についてお伝えします。健全な企業経営を目指す上での参考にして下さい。

ガバナンスとコンプライアンスの違いとは?

ガバナンスとは、健全な企業経営を実現させるための管理体制構築を意味します。
対してコンプライアンスは資金の不正利用や情報の漏えいなど、主にビジネスシーンにおける法令や倫理、規範を遵守することを意味しています。

コンプライアンスの徹底にはガバナンスの強化が必須であり、コンプライアンスはガバナンスを強化するための要素の一つといえます。

本章では、ガバナンスとコンプライアンスの意味や企業経営に必要な理由を解説します。

ガバナンスの意味

ガバナンス(Governance)は、日本語で統治や管理、支配を意味するものの、ビジネスの場では、企業統治(コーポレートガバナンス)と呼ぶのが一般的です。企業の健全な経営を実現するため、内部統制やコンプライアンスの遵守を目指し、管理体制の構築を行います。

従業員の資金不正利用やサイバー攻撃による情報漏えい、自然災害による建物損壊など、企業経営を揺るがす課題は多岐にわたります。そこで、企業のさまざまな課題を解決し、社内外からの信頼を維持する施策の一つとしてガバナンスの強化は欠かせません。

コンプライアンスの意味

コンプライアンス(Compliance)は日本語で「法令遵守」と訳され、ビジネスシーンにおいては「法律を守る」という意味以外に、企業倫理や公序良俗、社内規範を遵守することを意味します。

国や地方公共団体が定める法令、企業ごとに策定される就業規則に加え、情報の漏えいやデータ改ざん、セクハラなど企業に求められる規範や倫理に反することを行うのがコンプライアンス違反です。

 

ガバナンスとコンプライアンスの目的と背景

ガバナンスとコンプライアンスの強化が求められるようになったのには理由があります。本章では、企業がガバナンスとコンプライアンス強化に取り組む目的や求められるようになった背景について解説します。

ガバナンスの目的と重要視されている背景

企業がガバナンス強化を重要視する背景の一つに、2019年4月に施行された働き方改革関連法が挙げられます。

長時間労働抑制による社員の健康被害防止、職場におけるメンタルヘルス対策推進など、労働環境を整える動きが高まったことでガバナンスの強化がより意識されるようになりました。
※参考:厚生労働省「働き方改革関連法のあらまし(改正労働基準法編)

また2006年に大企業(資本金が5億円以上または負債額が200億円以上)にて内部統制システムの構築が義務化されたのも、ガバナンス強化が重要視された理由の一つです。
※参考:金融庁「第164回国会における金融庁関連法律案

具体的な取り組みとしては、企業理念の策定や見直し、外部の第三者による監視体制の整備などが挙げられます。

コンプライアンスの目的と重要視されている背景

企業でコンプライアンスが重要視されるようになった背景には、企業の不祥事の増加が挙げられます。2023年4月に株式会社帝国データバンクが発表した「コンプライアンス違反企業の倒産動向調査(2022年度)」によると、2022年のコンプライアンス違反倒産の発生件数は300件と過去最多です。(※)

粉飾、脱税など一つのコンプライアンス違反が倒産につながるケースも多いことから、企業はこれまで以上にコンプライアンスを重要視するようになっています。

コンプライアンス遵守のために企業がすべきこととしては、ダブルチェック体制の強化のような”人による対策”、そして、システムを活用した”セキュリティ対策”の2つが挙げられるでしょう。
※参考:株式会社帝国データバンク
コンプライアンス違反企業の倒産動向調査(2022年度)

 

コーポレートガバナンスコードとは

コーポレートガバナンスコードとは、上場企業が企業統治を行う際に参照する原則や指針です。2015年に金融庁と東京証券取引所が共同で公表したもので、その後、何度かの改正を経て現在に至っています。

コーポレートガバナンスコードは、コーポレートガバナンスを強化させ、グローバル競争にも打ち勝つ強い企業経営力を取り戻すための取り組みです。次に挙げる5つの基本原則を基に、株主や株主以外のステークホルダー、そして自社の社員が適正にコーポレートガバナンスを実践しているかを定義しています。

  1. 株主の権利・平等性の確保
  2. 株主以外のステークホルダーとの適切な協議
  3. 適切な情報開示と透明性の確保
  4. 取締役会等の責務
  5. 株主との対話

 

ガバナンスやコンプライアンスを強化するメリット

ガバナンスやコンプライアンスを強化するメリットは、「社内での不祥事抑制」「企業価値向上」「株主からの信頼獲得」の3点です。

社内での不祥事抑制につながる

社内での不祥事はお客様や株主をはじめ、社員にも多大な損害を与えます。ガバナンスやコンプライアンスを強化していない会社は、経営陣による誤った経営判断や横領・会計不正などの不祥事につながる恐れが高まるでしょう。不祥事の発生により失う社会的信用は多く、経営不振に陥る可能性も考えられます。

ガバナンスやコンプライアンスを強化することで組織内部の監視体制が行き渡り、透明性のある経営の実現、社内での不祥事抑制につながります。

企業価値の向上につながる

ガバナンスやコンプライアンスを強化すると、企業価値の向上が可能です。

例えばコンプライアンスの強化により社内での不祥事が抑制されれば、社会的な信頼を得やすくなります。他にも社外取締役や監視役の登用で企業経営の透明性を高めることも企業価値向上につながるでしょう。

また、自社内に情報システムを保有するオンプレミスから情報システムを外部で運用するクラウドへの移行したり、老朽化する建物や倉庫の改修など事業の継続性を高めたりするのも、ガバナンス強化につながります。自然災害やサイバー攻撃など万が一の際に備えて対策をとっておけば、取引先やお客様からの信頼も高まり、さらなる企業価値の向上も実現可能でしょう。

株主からの信頼につながる

企業価値の向上により信頼を得られるのは、取引先やお客様からだけではありません。社会的な信頼はもちろん、株主からの信頼にもつながります。

ガバナンスを強化する目的の一つは健全な企業経営の実現です。不正のない健全な経営が実現すれば、株主からの投資対象として価値が高まります。
数ある競合の中でも安心感や信頼感を高めブランドとして定着することで、株主から安定して投資を受けられる企業になることも可能です。

 

ガバナンスとコンプライアンスを強化する方法

ガバナンスとコンプライアンスの強化により、企業はさまざまなメリットを得られます。ただし、そのためにはどうすれば強化できるのかを把握しておかなくてはなりません。本章では、ガバナンスとコンプライアンス、それぞれを強化する方法を解説します。

ガバナンスを強化する方法

ガバナンスを強化するには、内部統制や社外取締役、監査役の設置などを経営層が積極的に取り組んでいくことが欠かせません。ただし、それだけでは社内にガバナンス強化の重要性を浸透させるのは困難です。そこで、社員の理解と意識向上が必要になります。

社員にガバナンスの意識を持たせるには、経営層が企業理念や文化を明文化し、会社としてどうなりたいかのビジョンを明確にすることが重要です。その上で、ガバナンス強化を実施するための部署を設置し、社員が持ち回りで委員を担当するようにすれば、ガバナンスの意識が浸透しやすくなります。

また、ガバナンス強化への取り組みは、社内だけではなく社外に対する積極的な公開も必要です。健全かつ透明性の高い企業経営への取り組みを内外にアピールすることで、社会の目が自社に向くようになり、社員の意識はさらに高まるでしょう。

コンプライアンスを強化する方法

コンプライアンスを強化するには、まず社内規範の策定や見直しを行い、全社員に対してルールの徹底を促す必要があります。また、コンプライアンス違反を防ぐ施策も重要です。チェック体制の強化や機密情報を管理するためのシステム導入などが欠かせません。

経営層の意識改革も重要です。経営層にしっかりとした倫理観や社会常識がなければ、社員にコンプライアンスの重要性を説くことができないでしょう。

利益追求が強過ぎると社員が粉飾や脱税といった不正を働いてしまう危険が高まります。まずは経営層の意識改革を行うことが企業全体のコンプライアンス強化にもつながるでしょう。

 

ガバナンスやコンプライアンスの強化は企業価値の向上につながる

ガバナンスとは企業統治を意味する言葉で、法令遵守や社内規範、企業倫理を意味するコンプライアンスはガバナンスを実現するための要素の一つです。

ガバナンスとコンプライアンスの強化により不祥事を抑制できれば、取引先やお客様からの信頼につながり、企業価値向上が叶います。

ガバナンスやコンプライアンスの強化には、経営層が社員を巻き込み全社で取り組んでいく姿勢を示すことが重要です。そこでおすすめなのが経営計画書の作成です。

経営計画書により会社の方針を明確にして共有すれば、全社員が同じ方向を向くことができ、ガバナンスやコンプライアンスも浸透しやすくなるでしょう。

武蔵野コンサルティングでは、中期経営計画をはじめとする会社の数字や方針などをまとめた手帳型のルールブック「経営計画書」について無料お試しを実施しています。社員一人ひとりが携帯することでガバナンスやコンプライアンス強化への意識向上が可能です。

ガバナンスやコンプライアンスを強化するための道具としてぜひご活用下さい。

執筆者情報

執筆者の写真

佐藤 義昭 / 株式会社武蔵野 常務取締役

1971年、東京都生まれ。
1990年、武蔵野にアルバイトとして入社、ダスキン事業から新規事業まで経験。
2007年、経営サポート事業本部の本部長を経て2015年11月取締役に就任。
2021年、6月常務取締役に就任。

経営者向けに年間100回以上の講演実績があり、企業文化を強化する経営計画書作成法を伝授。
年に一度行われる社内経営計画書アセスメントの方針作りや、小山昇の実践経営塾の合宿では、経営者向けに経営計画書作成や短期計画作成を支援している。
おもな講演テーマに『経営計画書を作るには』、『手書きによる短期計画作成方法』などがある。

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