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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2023/06/22 15:12

経営

三方よしとは?意味・語源や使い方、経営理念に取り入れた企業例

読了まで約3分

ビジネスシーンにおいて「三方よし」という言葉を耳にしたことがある人は多いでしょう。

日本に古くから伝わる考え方ですが、SDGsが注目されて企業の社会的責任が問われる現代において、多くの企業が取り入れるべき概念といえます。
大企業だけでなく、顧客への価値抵抗や自社のブランディングを課題とする中小企業においても、ぜひ知ってほしい経営哲学です。

この記事では、三方よしの語源や意味、実際に取り入れている企業の事例を紹介します。

三方よしの読み方

三方よしの読み方は「サンボウヨシ」です。または「サンポウヨシ」と言われることもあります。

 

商売における三方よしの考え方とは

三方よしとは「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」の三方が満足している状態を指します。
売り手だけが儲けを得るのではなく、買い手にとっても満足があり、最終的には事業を通じて地域社会の発展に貢献するのが目指すべき商売の形であるという考え方です。

よく、ビジネス場では売り手と買い手双方の利益となる「Win-Win」の関係を目指すべきといわれます。
三方よしは、さらに「社会の利益」まで考えて商売すべきという考えです。

企業が自社だけの利益を追求するのではなく、社会全体の幸福を願う経営哲学として、現在でも多くの企業が経営に取り入れている概念です。

それでは「三方」という言葉は具体的に何を指しているのでしょうか。
それぞれ詳しく説明します。

売り手

「売り手」は、商品やサービスを販売・提供する企業や事業者のことを指します。
企業は、商品やサービスに対して正当な対価を得て、十分な利益をあげられなければ経営を継続できません。

そこで働いている従業員に給料を支払えるだけの利益があり、長期的に事業を継続できている状態が「売り手よし」といえます。

一方で、利益を追求するだけで企業経営がうまくいくわけでもありません。
例えば、利益を出すために従業員に過重な労働を強要したり、不当なクレーマーの対応にリソースを割いたりしていては、現場が疲弊し、企業全体の士気が下がってしまいます。
このような状態では、いくら大きな利益が出ていても「売り手よし」とはいえないでしょう。

買い手

「買い手」は、商品やサービスを購入・利用する消費者のことです。
企業の提供する商品やサービスが消費者の利益につながり、満足している状態が「買い手よし」といえます。

「買い手よし」の状態を目指すには、買い手の価値観を理解し、それに合った商品を提供することが重要です。
例えば、飲食店でも「工夫を凝らした料理が食べられる高級レストラン」と「安い値段でお腹がいっぱいになるファミリーレストラン」では、利用する消費者の価値観が全く異なります。

消費者の多様な価値観を理解し、自社がターゲットにする層と一致した商品を提供することが「買い手よし」につながります。

世間

「世間」は、消費者だけでなく競合他社まで含んだ社会全体を指します。
自社の商品やサービスの売買を通じて経済を活性化させ、雇用を生み出し社会貢献を実現することが「世間よし」の状態です。

例えば、どんなに高性能な商品を開発して買い手の満足を得ても、製造の過程で汚染物質を排出し、環境破壊につながる商品は社会にとってマイナスです。
短期的な利益につながっても、最終的には社会からの反発が大きくなり、販売を継続できないでしょう。

自社の商品が買い手を満足させ、さらに社会からの信頼を得られてこそ「世間よし」を実現できるのです。

この考え方を前提とすれば、従業員の権利を尊重しない「ブラック企業」も世間よしとはいえません。
従業員が疲弊するような経営は、長期的な経営利益につながらないだけでなく、社会全体にとってもマイナスの影響を及ぼすためです。

 

三方よしの起源|近江商人・中村治兵衛

三方よしの原点とされているのは、近江商人である中村治兵衛が残した遺書の中の文章といわれています。
初代中村治兵衛は、年貢負担を軽減するため麻糸を村人に配布して、麻布の生産を始めた商人です。
家業を引き継いだ2代目治兵衛はその行商を信州や東方地方へ広げ、地域に貢献した人物といわれています。

その中村治兵衛が残した遺書には「自分のことばかりを思うのではなく、まずお客のためを思って高利を望まず、謙虚な心でひたすら行商先の人々のことを大切に思って、商売をしなければならない」という商人としての心得が記載してありました。

実際に「三方よし」という言葉が登場するのは、近江商人の研究者である小倉榮一郎教授の著書『近江商人の経営』です。

小倉教授は著書の中で、中村治兵衛の言葉を平易に「三方よし」と言い換えており、これが近江商人の理念として広まりました。

 

三方よしは順番が大切

日本には「お客様は神様」「顧客第一主義」といった言葉がある通り「商売においては、まずお客様を大事にしなければならない」というイメージが強いかもしれません。

しかし、中村治兵衛ら近江商人たちは「お客様や世間を幸せにするためには、まず自分たちが幸せでなければならない」と考えました。
自分たちが満足した状態にあり、自社の商品やサービスに自信を持っていなければ、お客様や世間を本当に幸せにすることはできないと考えたのです。

このような理念から「売り手よし・買い手よし・世間よし」の順序で、三方よしの理念が表現されています。

 

CSRとCSV

CSR(Corporate Social Responsibility)とは、企業が行う経営活動の社会的責任のことです。
企業成長を長期的に持続させるため、経営活動による社会や自然環境への影響に責任を持ち、さまざまなステークホルダーからの信頼を得る企業のあり方を指します。

高度経済成長期に環境破壊が進んで一般市民への健康被害が多発したことから、企業の社会的責任であるCSRが注目されるようになりました。

三方よしは、よく日本のCSRの源流として語られます。
売り手や買い手の利益だけでなく、社会全体の幸福まで考えて商売しなければならないという三方よしの理念は、CSRに通じるものがあるためです。

また、CSR以上に三方よしとの親和性が高いのがCSVです。
CSV(Creating Shared Value)
は「共有価値の創造」と直訳される概念で、社会課題の解決と企業の利益を両立させることを指します。
2011年にハーバード大学のマイケルE.ポーター教授によって提唱されたもので、比較的新しい経営概念といえるでしょう。

CSRは「事業活動とは関係なく行う社会奉仕活動」の意味合いが強い言葉ですが、CSVでは事業の一環として社会活動に取り組み、企業はその結果として経済価値を生み出します。

つまり、企業が十分な利益を得ながら、買い手だけでなく世間全体の幸福にも寄与する「三方よし」の状態に他なりません。
CSVは「現代流の三方よし」ともいえるでしょう。

 

三方よしを経営に取り入れた具体例

近江商人は、江戸時代から明治時代にかけて日本国内で商圏を拡大し続けた存在です。
西川や小泉産業、コスギ、ワコールホールディングス、東洋紡、日本生命保険なども近江商人が生み出した会社といわれています。

この中でも、三方よしの理念を強く受け継いでいるのが、彦根藩を拠点に活動した商人・伊藤忠兵衛が創業した伊藤忠商事と丸紅です。

ここでは、三方よしを経営理念に取り入れている伊藤忠商事と丸紅について紹介します。

伊藤忠商事

伊藤忠商事の創業者である初代伊藤忠兵衛は、全国各地で麻布の行商をする「持ち下り」を行なった商人です。
忠兵衛をはじめとする近江商人は、自らの足で全国各地を歩き回りながら、地域ごとの価格差や需要などの情報を仕入れ、それを武器に商圏を全国規模まで広げていきました。
このような近江商人の商いは、日本経済の発展においても大きな役割を担っています。

商いの中で、伊藤忠兵衛は先人たちへの敬意を込め「商売は菩薩の業、商売道の尊さは、売り買い何れをも益し、世の不足をうずめ、御仏の心にかなうもの」という言葉を発したといわれています。
この考えは三方よしのルーツであるとも考えられており、伊藤忠商事の経営理念の根幹になっています。

丸紅

丸紅を一介の商店から貿易商社へと成長させたのは、伊藤忠兵衛の甥である古川鉄治郎です。
11歳から忠兵衛の元で丁稚奉公を始めた古川は、若くして伊藤忠商店の支配人を努めた後に丸紅商店を任され、与信制度や予算制度など近代的な経営管理を導入しました。

三方よしの理念を受け継ぐ古川は、7ヶ月間の欧米視察において鉄道王のリーランド・スタンフォードが巨額の私財を投じて設立したスタンフォード大学に感銘を受けます。
もとより「三方よし」と「陰徳善事」を経営哲学とする古川は、スタンフォード大学に習い、費用を個人負担して小学校を設立しています。

この古川の姿勢は、世間から得たお金は世間へ還元するという「世間よし」の考え方そのものであり、現在の丸紅の社風にも強く受け継がれています。

 

三方よしを取り入れて経営の在り方を見直そう

三方よしは、現代のCSRやCSVにも通ずる経営理念です。
SDGsが注目され、企業の社会的責任が重視される現代においても、企業が取り入れるべき概念といえます。

昨今は、SNSの発展に伴って消費者の口コミの力が強まり、企業のさまざまな評判が広まりやすい社会になっています。
社会問題や地域貢献に対する責任を明示し、良い評判を得るためにも三方よしは優れたフレームワークといえるでしょう。

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