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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2022/01/11 07:30

経営

コミュニケーション

ムダ話はけっしてムダじゃない! 環境整備が社内のコミュニケーションを活性化【社内コミュニケーション/環境整備】

企業を取り巻く環境は刻々と変化します。昨日まで追い風が吹いていたのに、急に向かい風が吹いて前に進めなくなることも珍しくありません。

そうした環境の変化で業績が悪化したら、思わず愚痴をこぼしたくなるものです。

ただ、会社が傾くのは本当に外部環境のせいなのでしょうか。

株式会社武蔵野代表取締役社長の小山昇氏は、「中小企業の業績が良くなるか悪くなるかは、世の中の動きと関係がない。

むしろ注意しなくてはいけないのは、内部要因。とくに社員間のコミュニケーションしだいで業績はどちらにも転ぶ」と言います。

では、社員間のコミュニケーションをどうやって促せばいいのか。

小山氏に武蔵野の取り組みを語ってもらいました。


業績は景気より職場のコミュニケーションに左右される
――「中小企業の業績は、外部要因より内部要因しだい」というのは、どのような意味でしょうか

 

小山 業績が悪くなると、「円高のせいだ」「不景気だから」と経営環境に原因を求める社長は多いですよね。

実際に環境の変化があり、それに対して迅速に手を打つならいいのです。

しかし、環境に原因を求める社長は、「自分にはどうにもできない」といって嵐が過ぎ去るのを待とうとする。

できることはいろいろあるのに、それをしない言い訳に外部要因を使っているだけです。

そもそも、中小企業の業績は世の中の動きとほとんど関係がありません。

どんなに不景気になっても、お客様の需要が消えてなくなるわけではない。マーケットは変わらずに存在しています。

ただし、不景気になれば買い手市場になって、お客様が質の悪い商品やサービスを選ばなくなります。

選ばれない商品やサービスしか提供できない会社は、マーケットから退場せざるを得ない。それが不景気の正体です。

逆にいうと、お客様に選ばれる会社は、不景気になると今まで以上にお客様が殺到します。

業績を左右するのは結局、内部要因だということです。

 

――内部要因として重要なのは何でしょうか

 

小山 いろいろありますが、どの会社にとっても重要なのはコミュニケーションでしょう。

ある会社は製造部門と営業部門の仲が非常に悪かった。それぞれ違う場所にあって、顔を合わせるのは定例会議のときだけ。

会議ではお互いの部門の看板を背負っているから、どうしても敵対的になっていました。

そこで社長は営業部門の一部を引っ越しさせて、製造部門の隣で一緒に仕事をさせました。

すると、普段からコミュニケーションが生まれてお互いに相手の声を聞くようになった。

その結果、製造部門は市場のニーズに合った商品をつくり、営業も製造部門の事情に配慮したうえで受注するように。

お客様が本当に満足できる商品を提供できる体制が整い、業績は上向いた。まさにコミュニケーションの活性化が業績の鍵を握っていたのです。

コミュニケーションが重要なのは、職場やチーム内も同じです。

コミュニケーションが取れていない職場は、いわゆるホウレンソウができていないから、ミスが起きやすい。

また、社員一人ひとりが優秀でも、知恵やノウハウが共有されないため、チームが社員の足し算にしかなりません。

一方、コミュニケーションが取れているチームは掛け算で人数以上の力を発揮して、お客様に選ばれる商品やサービスを提供できる。

業種業態にかかわらず、どこの会社でもそうです。


環境整備の30分がコミュニケーションのきっかけに
――社員間のコミュニケーションを活性化するために、武蔵野はどのような取り組みをしてきましたか

 

小山 環境整備は社内のコミュニケーションに大いに役立っています。環境整備では、毎日30分、床や窓など決められた場所を徹底的に磨き込みます。

業務時間中にやるので環境整備は立派な「仕事」ですが、おしゃべりしてもかまわない。

むしろ「手さえ止めなければ、どんどんムダ話をしなさい」と推奨しています。

実際、社員は「休日こんなところに行った」「あのドラマの続きが気になる」と、本当に他愛もない話で盛り上がっています。

武蔵野は、このおしゃべりに給料を払っている。

社内のコミュニケーションというと、業務に必要な情報交換を思い浮かべる人が多いでしょう。

しかし、業務に関係する情報も、心理的に距離のある相手には伝えにくい。

「些細な情報だから、わざわざ耳に入れるまでもないか」と遠慮するのです。

しかし、普段から他愛もない話やくだらない話をしていれば、業務上のちょっとした情報やプライベートのデリケートな話も伝えやすくなる。

中身はムダ話でもいい。普段からムダ話ができる関係をつくることが大事です。環境整備の30分間は、まさにそのための絶好の時間になっています。

ちなみに環境整備点検は部門ごとに点数がつきます。

点数は賞与の評価に反映されますが、それとは別に、3回連続で1番の点数を取ると、その部門の従業員全員に2000円の食事券を出します。

武蔵野の社員は現金が大好きですが(笑)、これは現金にしません。

部門の社員全員に出すのに、現金だと自分一人のために使ってしまうからです。

食事券のいいところは、他の人と使いやすいこと。ランチタイムにみんなで寿司を取る部門もあれば、従業員同士で連れ立って飲みに行く部門もあります。

いずれにしても一人で黙々と食べる食事はおいしくないから、必然的に人と一緒に使うことになる。

そこでまたコミュニケーションが生まれて、風通しのいい職場になっていきます。

 

――環境整備そのものも、職場のコミュニケーションに役立つでしょうか

 

小山 もちろんです。環境整備は、「形をそろえる」ところから入ります。

たとえばペンの向きをそろえる、壁に貼る掲示物の高さをそろえる、社用車は決められた場所に向きをそろえて駐車する。

これらは理屈ではありません。実際、ペンの向きが違っていても、仕事にはまず支障がない。

それでも「形をそろえる」ことにこだわっているのはなぜか。形がそろえば、心がそろうからです。

社員の心を一つにしようと思っても、心は見えないので簡単ではありません。しかし、形なら誰でもわかります。

形と心は別だという意見があるかもしれませんが、それは違う。

「形から入って心に至る」という言葉があるように、一つの形を続けていれば、やがてそれに見合った心ができてきます。

職場の全員で同じ形を繰り返せば、心も同じようにそろって一体感が生まれます。

環境整備の狙いは、こうして社員の価値観をそろえることにあります。

価値観がそろった職場のコミュニケーションが円滑であることは、言うまでもありません。

 

サンクスカードを通して感謝の気持ちを伝えあう
――その他にもコミュニケーションを促す仕組みがあれば教えてください

 

小山 「サンクスカード」です。これは「〇〇さん、忙しいのに手伝ってくれてありがとう」

「〇〇さん、いろいろ教えてくれてありがとうございます」というように、従業員同士でカードを送って、小さなことを褒め合う仕組みです。

感謝の気持ちを伝えるのは照れくさいという人もいますが、仕組みがあれば素直に褒められる。

仕組みがあっても、なかなか書こうとしない社員はいます。

そこでサンクスカードの枚数と賞与の評価を連動させています。

パート・アルバイトは月5枚以上、一般社員は月10枚以上、管理職は月20枚以上が条件。決められた枚数を出さないと、評価が下がって賞与も減ります

毎月、誰が何枚送り、誰が何枚受け取ったかも公表しています。さらし者にされたくないから、みんなせっせと書いています。

いいことは、強制でもいいんです。仕方なく書くとしても、そのためには相手のことをよく見て、褒めるところを探さないといけない。

そうやって関心を持つことがコミュニケーションの第一歩。

サンクスカードというコミュニケーションを図る仕組みがあるからこそ、気づくことがたくさんあります。


――枚数は決めているのは、習慣づけるため?

 

小山 それもありますが、そもそもコミュニケーションは内容より回数です。

同じ時間を費やしてコミュニケーションするなら、一回に集中させるより、何回も細かくコミュニケーションを取ったほうが関係は深くなります。

サンクスカードも同じです。褒める内容にこだわるより、些細なことでもたくさん褒めたほうがいい。

かつてはアナログであることにもこだわっていました。気持ちを伝えるときは、デジタルよりアナログでいい。

アナログは手間がかかりますが、だから「自分のために時間と労力を使ってくれた」と気持ちが伝わる。

私は社員の誕生日や長期休暇の取得時に手書きのハガキを送っています。

文面はだいたい使い回しなので、本当はデジタルにしてコピペしたほうが効率的です。

しかし、コピペで気持ちが伝わると思いますか。たとえ汚い字でも、社長がわざわざ手間をかけて手書きで書くから、社員もよろこんでくれます。

サンクスカードも少し前までは完全にアナログで、全員手書きでした。

ただ、社員が増えてカードの枚数も10万枚を超え、さすがに管理しきれなくなってきた。

そこでいまはアプリをつくってデジタルで送れる仕組みに切り替えました。ただ、いまでもここぞというときは手書きです。

 

――褒められる側も、カードをもらえばやる気が出そうです

 

小山 評価されれば誰だってうれしいものです。そしてその喜びは、仕事のやりがいに直結する。

まわりの人を助けること、ひいては多くの人に感謝されることがその人の生きがいになって、自然に「お客様の役に立とう」という気持ちが芽生えてきます。

じつは環境整備点検で点数をつけたり食事券を送るのも、目の見える形で評価をするためです。

環境整備は、毎日の小さな積み重ね。ときには飽きたり目的を見失うこともあります。

ただ、「今回はよくやった」と褒められて高得点を取れば、自分の頑張りがムダではなかったと実感できて、

他のことに対しても頑張れるようになります。

環境整備はコミュニケーションを促すだけでなく、社員のモチベーション向上にも役立つ素晴らしい仕組みなのです。

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