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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2022/01/27 22:15

経営

人材育成

中小企業にいい人は来ない! それなりの人を戦力へと変える「環境整備」【人材育成/採用】

いま日本は構造的な人手不足に陥っています。
国立社会保障・人口問題研究所の将来推計によると、15歳から64歳の生産年齢人口は、2017年の時点で7596万人。
これが2040年には5978万人に減ると試算されています。
出生率が改善されたり一時的な景気変動があったとしても、採用市場が売り手優位であるという大きなトレンドは今後しばらく変わらないでしょう。
人が採用しにくい時代になると、中小企業は不利です。
優秀な人材は不安定な中小企業を敬遠して、待遇のいい大企業に流れていくからです。

しかし、株式会社武蔵野代表取締役社長の小山昇氏は、

「中小企業には、もともと“それなりの人”しかやってこない。背伸びして優秀な人を採るより、

『環境整備』でいまいる社員を成長させることを考えるべき」とアドバイス。

既存の社員を変身させる環境整備とは、いったい何なのか。詳しく話をうかがいました。


いい人を採るより、それなりの人を育てる
――いま中小企業は採用に悩んでいます。とくに、いい人が採れなくて困っているという声をよく聞きます。

 

小山 そもそも中小企業にいい人が来るという発想が間違いです。私が社長になった1989年当時、武蔵野は落ちこぼれ集団でした。
短パンで出社する社員がいたり、営業に出たと思ったらみんなでファミレスに集まってサボっていたり。
お恥ずかしいですが、それがかつての武蔵野の姿でした。
運よく優秀な人を採れたとしても、そのような環境でやっていけるわけがない。
実力を発揮できなくて辞めていくだけ。本人がかわいそうだし、社会的な損失です。
中小企業は、ないものねだりをするではなく、いまいるそれなりの人たちでやっていくしかありません。
多くの企業がある中でわざわざわが社を選んでくれただけで、本当は十分にいい人です。
足りないところは、入社後の教育で伸ばしていけばいい。そのほうがずっと現実的で、業績につながります。

武蔵野はそうやって全体を底上げしてきました。
昔は数字のスの字を聞いただけでスーッと逃げていった社員が、いまでは財務ソフトのセミナーで講師をしている。
それなりの人でも、時間をかけて磨けば成長して、お客様にものを教えられるくらいのレベルになるんです。
ちなみに武蔵野の社員256人のうち国立大学卒業はゼロで、東京六大学の出身は3人だけ。
昔よりずっとレベルが上がっているものの、やはり大企業のようにはいきません。
ただ、それでも売上75億円の規模になった。それなりの人ばかりでも、教育しだいで人を成長させて強い組織にしていくことは可能です。

 

環境整備で磨かれる“気づき”の力
――それなりの人を成長させるには、どうすればいいでしょうか。

小山 武蔵野は社員教育に年間1億円以上使って、さまざまな研修を受けさせています。
ただし、それらの研修は、環境整備というベースがあってはじめて活きてくる。
そういう意味では、まず環境整備ありきです。

 

――環境整備とは何でしょうか。

小山 環境整備は、仕事をやりやすくする環境を整え、備えること。
具体的には、窓を拭く、トイレ掃除をする、床のワックスをかけ直すというように、「今日はここだけ」と場所を決めてとことん磨き込みます。

一般的な掃除と混同されがちですが、まったく別物です。掃除はゴミやホコリを取って清潔にすることが目的。
環境整備は、職場で働く人の心を通わせて、仕事のやり方、考え方に気づく習慣をつけることが目的です。

環境整備の「整」は、「整理整頓」の「整」です。整理とは、わかりやすく言うと「捨てること」。
捨てるためには、まず何をやらないかを決めないといけません。
人間の能力は、たかが知れています。いっぺんに「あれもこれも」と欲張ると失敗する。
それよりもやらないことを決めて、一つの集中したほうが成果は出ます。
環境整備で不要なものを捨てていくうちに、仕事の中のムダも見えてきます。

整頓は、「揃えること」。物の置き場所を決めて、向きを揃えて、いつでも誰でも状態を保ちます。
たとえば椅子の位置やペン立ての向き、ちりとりの向き、キャビネットの中の資料に至るまで、すべて形を揃える。
いつも同じところに揃っていれば探し物で迷うことがないし、なくなっていればすぐ気づきます。
また、物の形を揃えていくと、社員の心も揃っていく。社員が同じ方向を向いて働くことは、組織として大きな武器になります。

 

――環境整備が、なぜ社員の成長につながるのでしょうか。

小山 感性が磨かれるからです。仕事でいい結果を出すには、お客様や一緒に働く仲間の心の状態をつかむ必要があります。
たとえばお客様が「その商品いいね」と言っても、心ではまったく別のことを考えているかもしれません。
あるいはいっけん元気に見える部下も、表情をよく見ると悩みを抱えていることがわかるかもしれない。
豊かな感性があれば、小さなサインを見逃さず、相手が本当に望んでいることがわかる。
それでこそ、お客様の心をつかむサービスや部下から信頼を得るマネジメントができます。

感性やセンスは持って生まれたもので、後から変えられないと諦めている人もいるでしょう。
しかし、それは間違いです。持って生まれてくるのは「素質」です。
たしかに素質は逆立ちしても変わりませんが、感性は違う。訓練しだいで誰でも豊かになります。

環境整備は、感性を磨くのに最適な実地教育です。環境整備で一人が担当するのは、新聞紙1枚分くらいのスペースです。
そこを毎日、徹底的に磨いていれば、「今日はいつもよりちょっと汚れてる」「昨日なかった傷がついた」と些細な変化に気づくようになります。
この気づきの力が感性です。

気づきの力が高まってくると、自分が担当する範囲だけでなく、他の場所でもちょっとした異常に気づけるようになります。
さらには、普段の業務でも「今日はここがおかしい」と感じ取れるようになる。
早く気づけば、それだけ早く手が打てる。だから成果が出ます。

 

社長の指示に疑問を抱く社員は成長が遅い
――環境整備は面倒だという社員もいるのでは……。

小山 最初はみんなそうですよ。しかし、何か理由をつけてサボろうとする社員は見込みがない。
会社に必要なのは、「社長の方針をそのまま実行できる人」です。
社長が示す方針は、かつて社長自身や幹部がいろいろと試行錯誤した末に導かれています。
もちろんたくさん失敗をして、痛い目にも遭った。その積み重ねの上で出た方針です。

一方、社員にはそこまでの体験がありません。体験のない社員がパッと思いつくようなことは、当然、社長は自治で体験済み。
それを踏まえてうえで社長は方針を決めているのです。だとしたら、その方針にいちいち疑問を抱くのは愚の骨頂。
社員は社長の方針に素直に従うべきです。

私は新卒向け会社説明会に登壇にして、学生に直接話をします。
ある日の開場前、担当者に今日の予定人数を聞いたら、「100人」と返ってきました。
それを聞いて私は「椅子を並べるのは70人分だけでいい」と指示。
担当者は納得いかない様子で、「予定は100人ですよ、小山さん」と言い返す。
私はとくに理由を説明することもなく「言われたとおりに用意しない」と強く言いました。
結果は案の定70人で、担当者は狐につままれたような顔をしていました(笑)

絶対の確信があったわけではありません。
椅子を100脚用意して70人しか来なかったら、会場がスカスカに見えて学生は「この会社は人気がいない」と思ってしまう。
予定通りに100人きたら、追加で椅子を用意すればいい。
テキパキと準備をすれば「予備の椅子を用意しているなんて、この会社は手際がいいな」となる。
70脚なら、どちらに転んでも損はありません。単にそれだけです。
こんなことを開場前に説明する余裕はありません。よくわからなくても、「わかりました」と即座に動く社員がいい社員です。

環境整備も同じで、会社の方針としてやることを決めたなら、四の五の言わずにやることが正しい。
「なぜやるんですか」と聞いてくる社員は、いっけん向上心や探求心があるように見えますが、
「やりたくない」「面倒だ」という本音を言い換えているだけです。
疑問を挟まずにすぐ実行して体験を積んだほうが、本人も早く成長できます。

 

――とはいえ、やりたくない社員にどうやって環境整備をやらせるのですか。

小山 まず、環境整備は業務時間内に毎朝30分やります。始業前だと自主参加のボランティアですが、業務時間内なら仕事だから強制ができる。
仕事なので評価もします。4週間に一回、チェックリストに基づいて「環境整備点検」を実施します。
環境整備点検の点数は部門の賞与評価に反映されます。点数が良ければ賞与が増えるポイントがついて、逆に低いと賞与が75%になる。
内心で「面倒だ」と思っている社員も、だから手を抜けません。

環境整備をやり続けると、成果につながることが本人も肌でわかるようになります。
最初はイヤイヤやっていても、この段階まで来ると、感性を磨く大切や形を揃える効果を実感して、少なくてもイヤイヤではなくなっていく。

ただ、ここで油断してはいけません。武蔵野は環境整備を30年以上続けています。
あるとき「環境整備は定着して、わが社の文化として根付いた。少しくらい減らしても問題ないだろう」と考え、時間を短縮して20分にしました。

すると、途端に業績が下がった。環境整備の時間を10分短くすれば、それだけお金を生む業務に充てる時間が増えます。
本来なら業績が上がりこそすれ、下がることはないはずです。
しかし、現実は違った。「これくらいでいいだろう」と私が気を緩ませたせいで、それが社員に伝わり、組織全体の緊張感が失われてしまったのです。

20分がダメで、30分が良いという話ではありません。ここで大切なのは、決めたことをやり続けなかったこと。
20分でも30分でも、ルールを決めて始めたなら、それを愚直にやり続けないといけません。
「いま時期は忙しいから一時休止にしよう」「あの部署はお客様対応があるから免除」というように柔軟に対応していたら、形も心も揃わない。
同じことをこたすら繰り返すからこそ、それなりの人の感性が磨かれ、心が拾って組織として大きな力を発揮できるようになるのです。

 

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