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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2024/01/09 10:45

コミュニケーション

エンゲージメントサーベイは無駄?実施目的やメリット・基本情報を解説

読了まで約3分

人手不足により人材獲得が激化する昨今では、既存社員の生産性向上が重要な経営課題となっています。
社員のパフォーマンスを高めるための手立てとして「エンゲージメントサーベイ」の導入を検討する企業も多いのではないでしょうか。

今回は、エンゲージメントサーベイの基礎知識や実施目的、メリット・デメリットについてわかりやすく解説します。
社員教育に使える便利なツールも紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

エンゲージメントサーベイとは

エンゲージメントサーベイとは、企業と従業員の心的なつながりの強さを測定し、数値化する調査です。
従来は、従業員の企業に対する満足度や愛着心を可視化する従業員満足度調査が主流でしたが、近年は企業と従業員のつながりに着目するエンゲージメントサーベイを使用する企業が増えています。

エンゲージメントサーベイの活用は、従業員が抱いている本音を明らかにすることや、自社の経営状況や職場環境の客観的な把握に役立ちます。
エンゲージメントサーベイを通して得られた情報をもとに、経営課題の解決に向けた施策立案や、職場環境の改善を進めやすくなるのです。

エンゲージメントの意味

エンゲージメント(engagement)とは、「契約、約束、誓約」といった意味を持っており、「深いつながり」や「強固な関係性」を表す英単語です。
ビジネスシーンにおいては「組織と構成員のつながり」や「自社とお客様のつながり」を示す言葉として使われます。

例えば、従業員エンゲージメントというと、自社と従業員の強固な関係性のことを指します。
企業は従業員の頑張りに相当する報酬を用意することを約束し、従業員は事業や仕事に誇りを持って企業に貢献することを約束している状態を「エンゲージメントが高い」と表現します。

また、企業とお客様の結びつきは「お客様エンゲージメント」といいます。
お客様エンゲージメントが高いと、お客様は企業を信頼しており、商品やサービスを継続的に使用しようと考えます。

従業員満足度との違い

前述の通り、従業員エンゲージメントは従業員と企業の結びつきを指す言葉です。
従業員が企業の経営方針に納得しているか、自分の仕事にどの程度誇りを持っているか、仕事の成果に責任感を持っているかなどを示します。

対して、従業員満足度は職場環境や労働条件に対する従業員の満足度を数値化するもので、「Employee Satisfaction(ES」)とも呼ばれます。
仕事内容や労働時間、部署の人間関係、報酬、福利厚生について、従業員が納得して働いているかどうかが焦点となります。

つまり、従業員エンゲージメントは「働きがい」、従業員満足度は「働きやすさ」に関する指標ともいえるでしょう。

ワークエンゲージメントとの違い

ワークエンゲージメントとは、仕事に対する「熱意・没頭・活力」の3つが揃っており、モチベーションが高く保てている状態を指します。
ワークエンゲージメントは、オランダにあるユトレヒト大学のシャウフェリ教授が提唱したもので「仕事に対するポジティブな心理状態」と定義されています。

従業員エンゲージメントとワークエンゲージメントはよく混同されますが、ワークエンゲージメントは「仕事のみ」に対する前向きな意欲を指すのに対し、従業員エンゲージメントは企業に対する貢献意識から自発的に成果を出そうとする意欲を指す点が異なります。

 

エンゲージメントサーベイの目的

エンゲージメントサーベイは、なぜ多くの企業に取り入れられているのでしょうか。
エンゲージメントサーベイを実施する主な目的を紹介します。

組織課題を可視化する

1つ目の目的として、組織の現状を数値に落とし込むことで可視化し、気づいていない課題を抽出することがあげられます。

経営課題の分析というと売上推移や利益率などの指標が代表的ですが、これらを生み出しているのは従業員です。
従業員が企業や自身の職務に対してポジティブな感情を持ち、モチベーションを維持していなければ、生産性にマイナスの影響を与えかねません。

また、数値を定期分析することで、問題を早期発見できるという点も重要です。
社員のモチベーション低下やその原因となっている不満を素早く把握し、対策を講じることが可能になります。

従業員と企業の関係性をデータ化する

エンゲージメントサーベイでは、従業員と企業の関係性という定量評価が難しい要素をデータ化し、改善策の立案に役立てられます。

実際の調査では「企業の経営方針やビジョンに共感しているか」「仕事を通して成長を実感できているか」「部署やチームの従業員に対して仲間意識を持てているか」といった質問を重ね、企業と従業員の関係性を数値化します。
これにより、企業理念の浸透度や部署・チーム内の人間関係などを把握し、改善すべきポイントを洗い出すのです。

従業員が企業に対してどのような感情を抱いているかは、経営にとっても重要なポイントです。
これらを数値として把握できることで、具体的な職場の改善策を立てられるようになります。

データを人事施策に生かす

エンゲージメントサーベイによって抽出したデータを分析して、推移をこまめに把握すれば、人事施策に生かすことも可能です。
企業に対する不満や要望を改善策に活用することで、有効性の高い施策を立案できるだけでなく、「自分の要望を企業が聞いてくれた」と従業員が感じれば、さらなるエンゲージメント向上にもつながるでしょう。

また、抽出したデータを各部署やチームの管理者にフィードバックしてもいいでしょう。
部署やチーム全体を巻き込んで職場改善に関する議論を行えば、経営課題を自分事として感じてもらうこともできます。

 

エンゲージメントサーベイを導入するメリット

エンゲージメントサーベイを実施すると、企業には以下のようなメリットがあります。

従業員エンゲージメントの向上

エンゲージメントサーベイの結果を生かして人事施策や経営課題の改善を実施すると、従業員エンゲージメントの向上が期待できます。
エンゲージメントサーベイにより従業員の要望や不満といった定性的な情報が可視化されるため、配置転換や職場環境の改革といった具体的な対策につなげられるためです。

また、自分たちの意見によって職場が改善されたという実感が得られると、従業員エンゲージメントはさらに高まります。
「より良い組織を作ろう」「要望を聞き入れてもらった分、組織に貢献しよう」といった意識につながり、帰属意識の強化やモチベーションアップも期待できるでしょう。

離職率の低下・定着率向上

従業員の意見に基づいて職場環境を改善すると、離職率の低下も期待できます。
従業員目線で働きやすい職場が実現するだけでなく、「自分たちの意見を聞き入れてくれる企業」というイメージが強まり、企業に対する愛着心が生まれるでしょう。

また、エンゲージメントサーベイによって従業員のコンディションを把握し、人事面談などのフォローにつなげることも可能です。
数値が突然低下したなど離職の傾向が見られる従業員と面談することで原因を素早く把握し、離職の兆候を漏れなくキャッチできるようになります。

生産性・利益の向上

これまで説明したようにエンゲージメントサーベイの結果を生かして組織改革が進めば、最終的には生産性の向上や利益拡大につながります。

エンゲージメントサーベイの結果は、適切な人事配置や特性を生かせる職務への移動などに応用が可能です。
社員は自分の能力を最大限に生かして働けるようになるため、働きがいが感じられ、パフォーマンスが向上するのです。

従業員のパフォーマンスが高まるとサービスの質の向上や新しい商品の開発などが期待でき、その結果、利益拡大が期待できます。

 

エンゲージメントサーベイのデメリット

一方で、エンゲージメントサーベイには一定のデメリットも存在します。
エンゲージメントサーベイを実施する際の注意点を解説します。

手間・コストがかかる

エンゲージメントサーベイを自社リソースのみで実施するのは難しく、サーベイ専用サービスを利用するのが一般的です。
そのため、サーベイの実施にはサービス導入利用や月額利用料、データの分析費用、コンサルティングフィーなどがかかります。
エンゲージメントサーベイは定期的に実施するのが望ましいため、年に数回実施するのであれば、その分コストがかかることを覚悟しなければなりません。

また、外部企業にコンサルティングを依頼するにしても、調査の意義や回答方法の説明、実施場所の準備などは、社内の人事部が担当します。
調査対象の社員も回答のために業務時間を削る必要があり、業務上の負担も考慮すべきです。

サーベイ後の対応次第で不満が増える

エンゲージメントサーベイは実施して終わりではなく、調査結果を分析して組織改革に生かすことが目的です。
調査に協力したにも関わらず、特に何の施策も実施していないというのは、サーベイを実施した企業からよく聞かれる不満です。

その結果、従業員が「自分たちの意見に耳を貸してくれない」と感じれば、調査によって逆にエンゲージメントが低下する可能性もあります。
せっかく実施したエンゲージメントサーベイの結果が無駄になってしまいますので、結果は必ず各部署やチームにフィードバックし、従業員のフォローへとつなげましょう。

 

エンゲージメントサーベイの導入に迷ったら武蔵野に相談を

エンゲージメントサーベイは、従業員と企業の関係性を可視化し、配置転換や組織改革に生かせる調査ツールです。

ただし、単に調査を実施すればいいわけではありません。
せっかく調査に時間をかけたのに改善に生かされていないと、従業員が不満を抱き、かえってエンゲージが低下する可能性もあります。
調査結果は人事施策や従業員フォローに活用し、より良い組織形成を目指しましょう。

従業員のエンゲージメント向上や具体的な活用方法などにお悩みの場合は、武蔵野の「経営計画書」がおすすめです。
経営計画書は企業の数字や方針などをまとめたルールブックで、守るべき規範を明文化しておくことで、企業の価値観を全社に浸透させ、従業員の方向性を統一することができます。
こちらからお試し版を無料でダウンロードできますので、ぜひご活用ください。

執筆者情報

執筆者の写真

佐藤 義昭 / 株式会社武蔵野 常務取締役

1971年、東京都生まれ。
1990年、武蔵野にアルバイトとして入社、ダスキン事業から新規事業まで経験。
2007年、経営サポート事業本部の本部長を経て2015年11月取締役に就任。
2021年、6月常務取締役に就任。

経営者向けに年間100回以上の講演実績があり、企業文化を強化する経営計画書作成法を伝授。
年に一度行われる社内経営計画書アセスメントの方針作りや、小山昇の実践経営塾の合宿では、経営者向けに経営計画書作成や短期計画作成を支援している。
おもな講演テーマに『経営計画書を作るには』、『手書きによる短期計画作成方法』などがある。

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