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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2022/09/27 09:30

経営

大企業病とは?主な症状や原因・克服するための対策方法を事例を交えて解説

読了まで約4分

企業規模が大きくなるにつれ、責任の所在が曖昧になる、意思決定に遅れが出るなどの弊害が生まれることを指す大企業病。
しかし、実際には中小企業やベンチャー企業でも大企業病に陥ってしまう可能性があります。
なぜ、企業規模にかかわらず、大企業病のリスクがあるのでしょうか。

本記事では、大企業病の概要や主な症状、原因、リスクなどを見たうえで、克服するための対策について解説します。
自社に少しでも大企業病の兆候が見られる企業経営者の方はぜひ参考にしてください。

大企業病の定義とは

前述したように大企業病とは、規模に関わらず多くの企業が抱える問題の一つです。
明確な定義はありませんが、企業規模が大きくなるほど組織が複雑化し、社内の風通しが悪くなり、意思決定に遅れが出てしまうのが主な症状といえます。

ほかにも、全体的に保守的になってしまい新しいことにチャレンジする土壌が生まれにくくなるのも大企業病の典型的な症状です。

また、大企業病は従業員間の意思疎通が上手く図れていなかったり、リーダーが保守的になり過ぎてしまったりすれば、中小企業やベンチャー企業であっても陥ります。

具体的な症例は後述しますが、気づいたら大企業病に陥っているケースがあるため、企業の規模に関わらず注意が必要です。

 

大企業病の主な症状


大企業病といわれる病気の症状はさまざまです。
主な症状について以下で解説します。

新しいことへ挑戦する意欲がない

大企業病の代表的な症状として挙げられるのが、新しいことに挑戦せず現状維持とする状態です。
企業規模が大きくなれば、扱う案件に必要な予算も相応に大きくなります。
そのため、一つの失敗が企業に大きな損失を生み出すリスクも高まり、どうしても未知なものへ挑戦する意欲がわきづらくなってしまうのです。

特に現状で売上が安定していれば多少の業績悪化があったとしても、すぐに致命的な状況に陥る可能性は高くありません。
そのため、あえてリスクの高い新しいことに挑戦するよりも現状維持を目指す意識の方が高くなってしまいます。

個人の仕事以外に関心を持たない

個人の仕事以外には関心を持たなくなってしまうのも大企業病の症状の一つです。
理由としては、部署やチームの評価さえ下げなければ自分の評価も下がらない点が挙げられます。

ほかのチームや部署と協業することで現在のプロジェクトが今以上に効率化され、より大きなプロジェクトに発展する可能性があるかもしれません。

しかし、自分に与えられた目の前の仕事をミスなくこなすことにしか関心がないため、協業について考えられない傾向があります。

社内ルールを守ることを優先にするため意思決定が遅い

社内のルールやマニュアルは規律を守るためには役立ちますが、縛られ過ぎてしまうと自由さが失われます。
そのため、ルールに固執し過ぎてしまうと、ルールを破ることで評価が下がることを恐れ、自分で考えなくなってしまうのです。

仕事の現場や取引先とのやり取りでも、社内ルールやマニュアルが最優先となり、臨機応変な対応ができなくなるため、意思決定のスピードが遅くなってしまう可能性があります。

意思決定の遅れは競合に先を越されてしまう、取引先に迷惑をかけてしまうなど多くの弊害があり、長期的には自社の利益を損なうリスクがあるため注意が必要です。

顧客ニーズより個人に対する評価を優先する

大企業病がひどくなってくると従業員が顧客ではなく、上司を見て仕事をするようになります。
顧客が何を求めているかではなく、上司はどのような評価をするのかを重視し、顧客に寄り添ったサービスの提供ができません。

代表的な例として挙げられるのが、日本の携帯電話業界です。
世界ではスマートフォンが主流になっていたにもかかわらず、フィーチャーフォンの多機能化、高性能化で対応しようとしたため、海外製のスマートフォンに大きな遅れを取ってしまいました。

仕事に対して責任逃れをする

企業規模が大きくなり、従業員が増えると分業化が進み責任の所在が曖昧になる傾向があります。
新商品の売上が予測を下回ったとしても、自分たちが担当する部分には問題がなく、ほかのチームや部署が悪いとして責任を取ろうとしません。

また、自分が責任を取らなくても上司やほかの人が責任を取ってくれるだろうという思考にも陥りやすくなる傾向があります。

企業の業績が悪化した際に考えられる具体例としては、営業担当者が「企画担当が立案した商品の質やデザインが悪い」と言い、企画担当が「営業担当が十分な販促をしていない」と互いに責任をなすりつけ合います。
また、それ以外にも販売担当者が「マーケティング担当が分析したターゲット選択が間違っていた」と言い、マーケティング担当が「企画担当が立てた売上予測が甘かった」など、それぞれが責任を他者になすりつけ合うため、企業の成長につながりにくくなります。

 

大企業病を引き起こす主な原因


中小企業やベンチャー企業でも起きてしまう可能性がある大企業病。その背景には何があるのでしょう。
ここでは、大企業病を引き起こす主な原因について解説します。

企業の業績が安定している

業績の安定は企業経営を継続させていくうえで重要な要素の一つですが、その半面、大企業病を引き起こしてしまう原因でもあります。

長期的な視点で見れば、海外企業の日本進出、競合の増加などで現状と同じ業績を確保できるとは限らず、常に変化をし続けることが求められます。

しかし、新たな事業に失敗するリスクや手間が増えることを嫌がり、現状維持に固執してしまうことから大企業病につながってしまうのです。

社内規定やルールが多い

社内規定やルールの多さは大企業病の原因につながりやすいですが、多いことが悪いわけではありません。
問題は、現場の裁量や臨機応変な対応が許されない雰囲気、ルール遵守が評価に大きく影響してしまう制度にあります。

また、市場がどれだけ変化しても古いルールを改善せず、そのまま使い続けるのも大企業病に陥る原因の一つです。
社内規定側が現場の雰囲気を感じ取れない、現場の従業員も上司に対してルールの改善を訴えられない企業は大企業病に陥る可能性が高いといえるでしょう。

社員の数が増えた

中小企業やベンチャー企業でも大企業病に陥ってしまう原因の一つが社員数の増加です。

始めは5〜10人程度の社員数だったのが事業拡大によって20人、30人と人数が増えてくることで部署やチームが増え、分業が始まり個々での業務に集中するようになります。

その結果、全体で一つのゴールを目指す創業時の雰囲気がなくなり、部署やチームでの成果を上げることがゴールとなってしまいがちです。

少しずつ部署やチーム間に壁が生まれ意思決定のスピードも遅れがちとなり、大企業病へ近づいてしまいます。

社内や組織内での風通しが悪い

社員数の増加は社内や組織内での風通しを悪くしてしまう原因にもなり得ます。
分業化が進むと上司と直接話をする機会が減り、現場での課題共有も困難になりがちです。

また、そうした状況が続くと職場内の雰囲気も悪くなり、現場と経営層の間にも大きな隔たりが生まれてしまう可能性が高まります。

表面的にはトラブルがないように見えても、内面では自社に対する不満やストレスを抱える社員がいないとも限りません。
風通しがよい企業であれば上司に対し不満やストレスを打ち明けることも可能ですが、雰囲気の悪い状況では内に溜め込むしかなく、最終的には離職を選択してしまうリスクも高まります。

風通しが悪くなれば新たなアイデアが生まれにくくなるのはもちろん、より個々の仕事にしか関心が向かなくなり、大企業病へと陥ってしまうことが考えられます。

 

大企業病が企業にもたらす弊害・リスク


大企業病に陥ったことに気づかない
もしくは気づいていても放置していると、さまざまな問題が発生します。
なかでも企業にとって弊害、リスクとなり得るのは次のとおりです。

生産性の低下

大企業病に陥ってしまうと生産性が低下し、安定していた業績も下落してしまうリスクが発生します。
最大の理由となるのは意思決定の遅さです。

社員数が増えれば自ずと部署やチームも増え分業化が進み、稟議一つ通すにも多くの承認が必要となります。

たとえば、現場にある程度の裁量が認められ、事後報告で業務を進められる競合がいた場合、自社が承認を待っている間に取引先を奪われてしまうかもしれません。
そうなれば次第に市場から取り残されてしまう可能性も高まるでしょう。
何をするにも時間と手間がかかり過ぎていると、生産性を向上させる業務にかける時間も削られてしまいます。

優秀な社員の離職

大企業病が社内でまん延すると、自分で考えて仕事を進める必要がなくなり、社内には与えられた仕事だけをこなせばよいといった雰囲気がまん延します。
その結果、新しい提案や改善案などを出しにくくなり、不満を持った優秀な社員の離職が進むでしょう。

企業が望むのは、現状の業績に満足せずさらに業績を上げ続けることです。
しかし大企業病がまん延した社内では、顧客よりも上司の評価ばかりを気にする社員が増え、新しいことに挑戦しようとする社員を疎ましく扱うようになることがあります。

そのため、優秀な社員は新しいことに挑戦できる場所を求め、どんどん離職していってしまうのです。
さらに優秀な人材がいない企業は新規採用も難しくなり、場合によっては深刻な人材不足に陥ってしまう可能性もあります。

イノベーションを起こしにくくなる

大企業病の大きな弊害はイノベーションを起こしにくくなる点にあります。
その理由は、新たな事業の創出を目指して失敗するよりも現状維持を実現した方が高い評価を得られる傾向があるからです。

現状維持を実現するには、市場の変化や競合の出現など外部要因が大きく影響します。
同じことを続けているだけでは高い確率で先細りするだけではなく、時代にもついていけなくなり、いずれは業績悪化につながってしまうでしょう。

この状況を変えるには、社内でイノベーションを起こし、時代に合わせるもしくは自らがつくり出していくしかありません。

しかし、大企業病に陥ってしまえば、変化を恐れる社員ばかりとなり、イノベーションを起こせる可能性は限りなく低くなってしまいます。

 

【事例あり】大企業病を克服するための対策


大企業病はしっかりとした対策の実施により克服することも可能です。
ここでは、事例から見る大企業病克服の対策方法を紹介します。

人事評価制度を改善する

大企業病を克服するためには、新たな事業や新商品開発などを行う社員を評価する人事制度への改善が欠かせません。
新たな仕事に意欲を持った社員を高く評価することで、現状維持の社内雰囲気を変えることも可能です。

ある精密機器メーカーでは、社員一人ひとりが主体性を持って働けるよう、社員自らが目標を設定し、挑戦することを奨励し、優秀者にはさまざまな報酬を設定しました。

また、脱年功序列を進め、実力重視の人事評価制度を導入し、積極的に新しいことに挑戦する社員を評価しています。

社内規定やルールを減らす

社内規定やルールの見直しも重要です。明文化されていない慣習や暗黙の了解なども可視化させ、必要ない、時代に合わないものは改善もしくは削除してスリム化させましょう。

また、社内規定やルールを絶対としない風土づくりも欠かせません。
ある程度の裁量を現場に与え主体性を持って考える機会を増やせば、意思決定のスピードも速まり、競合に遅れを取るリスク軽減も可能です。

ある精密機器メーカーでは、経営幹部のアンケートを社内で公開したり、管理職のレビューシステムを導入したりするなど、上からの変化を促しています。
ボトムアップによる経営層の意識改革が無駄な社内規程やルールの撤廃にもつながっているようです。

多様性を認める

部署やチームなどの組織だけに縛られず、垣根を超えた連携を取れる多様性を認めることも大企業病克服には欠かせない対策といえます。

職種はもちろん、性別や年齢、国籍に関係なくいつでも連携が取れる関係性を構築しておくことでイノベーションを起こしやすくなり、大企業病からの脱却にもつながるでしょう。

ある大手電機メーカーでは、組織や部門を横断した多くの交流会を実施し、さまざまな価値観を理解したうえで人脈づくりを行える仕組みをつくり出しました。

また、元社員から話を聞くネットワークも形成し、社員の多様性への理解を進めています。

社員同士のコミュニケーションを深められる機会をつくる

風通しのよい社内の雰囲気をつくるには、社員同士が気軽にコミュニケーションを取れる環境構築が必須です。

同僚だけではなく、上司と部下、先輩と後輩などが分け隔てなくコミュニケーションを取れれば、不満や疑問を抱えたまま仕事をするリスク解消につながるでしょう。

ある世界的インターネット関連サービスでは、部署やチームに関わらずコミュニケーションを取れる環境づくりを実践しています。

具体的には、オフィスの至るところにカフェや休憩スペースを設置。
さらに定期的に経営陣が社員の質問に回答する電話会議を実施し、情報の共有を行っています。

 

中小企業でも大企業病の克服・対策は必要


大企業病は、大企業だけではなく中小企業やベンチャー企業でも陥ってしまう可能性のある病です。
放置していると優秀な社員の離職や業績の悪化につながるため、早急な対策が求められます。

ポイントは、気軽にコミュニケーションを取れるオフィスの環境づくり。
そして、新しいことへの挑戦をしっかりと評価するための人事評価制度改善です。

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