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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2022/11/30 17:11

経営

ABC分析とは?意味や目的・やり方や注意点などをわかりやすく解説

読了まで約3分

「ABC分析について知りたい」と考えている企業経営者の方も多いのではないでしょうか。
ABC分析を理解して活用すれば売上やコストなどをランク付けできるため、重要な商品や顧客を割り出して注力することが可能です。

特に資金力や人材リソースに限りがある中小企業にとって重要な分析手法といえます。
本記事では、ABC分析の意味や目的、メリット、手順、注意点について解説します。

ABC分析とは

ABC分析とは、売上高、販売個数、在庫、コストなどから重要視する項目を選んで優先的に管理する分析方法です。
企業ではさまざまな商品を取り扱いますが、商品の優先度を決定することで効率的に管理できます。

例えば、自社商品を分析した結果、売上順にA、B、C、D、E、Fになったとします。
最も売上が高いのは商品A、最も低いのは商品Fです。
その場合に商品AとBを最優先のAランク、商品CとDを重要度中程度のBランク、商品D、E、Fを重要度低めのCランクといったように分類し、管理する手法がABC分析です。

 

ABC分析の目的

ABC分析の主な目的には次の3つがあります。

  • 事業の効率化
  • 経営戦略の立案
  • 重点分析

ABC分析によって現在の状況を把握し、事業の効率化を計ることにより、企業や店舗などの経営力アップが見込めます。
定期的なABC分析は経営戦略立案のインプットとしても活用でき、優先順にクラス分けすることにより、重点管理(重要な事柄の重点的な管理)も可能になります。

 

ABC分析のメリット

ABC分析の主なメリットには以下があります。

  • 売れ筋商品の把握や在庫管理
  • マーケティング施策などの定期的な効果測定
  • 優良顧客の割り出し

メリットを理解し、実践することで売上増進が期待できます。
それぞれ解説していきます。

売れ筋商品の把握や在庫管理に役立つ

ABC分析によって売れ筋商品を把握できます。
具体的には、売上高と構成比(売上割合)が共に高い商品は売れ筋と判断できるでしょう。

売れ筋商品を可視化することにより、「会社の売上の多くを占めている商品はどれなのか」がわかるため、今後の課題や方向性が見えやすくなります。

また、売れ筋商品も管理できます。
特に流行や季節に左右される商品が多い場合に効果的です。

ABC分析は在庫管理にも役立ちます。
Aグループの商品は多めに仕入れ、Bグループは切らさない程度に仕入れる、Cグループは最低限の仕入れにとどめるなど、在庫切れと不良在庫を防ぎやすくなります。

マーケティング施策などの効果を定期的に測定できる

売上高の内訳を数値化することにより、定期的な実績の計測や比較が可能です。
例えば、数ヵ月ごとにABC分析を行えば、前回の売上高よりも伸びているのか、もしくは停滞しているのかがわかるため、マーケティング施策の効果を測定できます。

仮にDMや雑誌広告などのオフラインマーケティングを実施しても売上高に変化が見られない場合、「次はネット広告のようなオンラインマーケティングを試してみる」といった対策を立てやすくなります。

優良顧客を割り出せる

ABC分析は商品だけではなく、顧客に対しても可能です。
客単価や購入回数の分析によって利益に貢献している優良顧客を割り出せます。

特に中小企業は経営資源が限られているため、優良顧客に注力する経営戦略は重要です。
販促費をかけて新規顧客を確保するよりも、優良顧客に商品をアプローチするほうが基本的にコストを抑えられるのではないでしょうか。

現在はSNSが発達しているので、優良顧客を割り出し、その顧客限定の特別な商品を提供するなど、満足度を高めることによって口コミ効果も期待できるでしょう。

 

ABC分析のやり方と手順

一般的なABC分析の手順は以下のとおりです。

  1. 品目や売上高などのデータを作成する
  2. 品目ごとの売上構成比を計算する
  3. それぞれのランクの分類基準を定める
  4. パレート図を作成する

それぞれ解説していきます。

1.品目や売上高などのデータを作成する

まずはABC分析に必要なデータを収集します。
売上に対してABC分析を行う場合は、品目別、売上高、販売個数のデータが必要です。

顧客管理のABC分析に関しては、顧客別の客単価と購入頻度が必要になります。

収集したデータはエクセルでまとめておくことで、その後の計算や並び換えが楽になります。

2.品目ごとの売上構成比を計算する

品目や売上高などをまとめたデータを基に各項目の構成比を計算します。
構成比の計算式は「対象商品の売上金額÷全体の売上金額×100」です。

例えば、全体の売上金額が1,000万円、最も高い売上金額は商品Aの700万円、最も低い売上金額は商品Fの10万円とした場合、商品Aの構成比は「700万円÷1,000万円×100」で70%、商品Fの構成比は「10万円÷1,000万円×100」で1%となります。

算出した構成比を高い順に並べることで、次に解説するランク分けが楽になります。

3.それぞれのランクの分類基準を定める

品目ごとの売上を割り出した構成比を参考にランクの分類基準を定めます。

業種・業態によっても分類基準は異なりますが、売上全体の70〜80%がAランク、Aランクを除いた90〜95%がBランク、残りがCランクという分け方が一般的です。
その場合、先ほどの商品Aの構成比は70%なのでAランク、商品Fの構成比は最も低いためCランクと予想できます。

Aランクに分類された商品は保管場所を確保し、品切れが起きないように気を配る一方、Cランクの商品は最低限の管理、もしくは取り扱いの中止を考えます。

このように各商品をランク別に分類することにより、重要視するかどうかを判断できます。

4.パレート図を作成する

パレート図によってABC分析の結果を視覚的に確認できます。
パレート図とは、各品目の売上金額を棒グラフ、累積構成比を折れ線グラフでまとめたものです。

累積構成比は全ての構成比の合計を指します。
商品Aの売上金額を700万円、商品Bは150万円、商品Cは100万円とした場合、全て足し合わせると累計950万円になります。
売上総計を1,000万円とした場合、950万円は全体の95%となり、これが累積構成費です。

エクセルを利用する場合は、品目名、売上金額、累積構成比の表を作ってセルを選択し、画面上部にあるメニュー内の「挿入」「おすすめのグラフ」の順にクリックすることでパレート図を作成できます。

 

ABC分析を活用する際の注意点

ABC分析を活用する際の注意点として以下の4つが挙げられます。

  • 一時的な売れ行き商品を考慮する
  • ロングテール現象を理解する
  • 集客用商品の重要度に注意する
  • 利益の見直しも行う

それぞれ解説していきます。

一時的な売れ行き商品は考慮しながら行う

一定期間だけ売上が大きくなる商品も多いため、一時的な売れ行き商品の存在に注意する必要があります。
例えば、テレビや雑誌で取り上げられた商品は、ブームの終焉によって売上が低下するリスクを考慮しなければなりません。
季節性が強い商品に関しても、シーズンが過ぎると売上が落ちる予測を立てる必要があります。

全期間の分析で下位にランクされる商品が急にAグループに入った場合、在庫を切らさないように継続的に発注しながらも、過剰仕入れには注意が必要です。
売上が急激に落ちた場合、不良在庫によって経営を圧迫するリスクがあるからです。

ただし、一時的な売れ行き商品が定番商品になるケースもあるため、慎重に見極める必要があります。

ロングテール現象を理解しながら行う

ロングテール現象とは、売れ筋のメイン商品よりも、その他の商品群が総売上の大半を占めている状態をいいます。
主にインターネットで展開している大企業に多い現象です。

例えば著名なECサイトでは、書籍、家具、家電などさまざまな商品を揃えており、細々と売れている商品が売上の大部分を支えています。
ロングテール現象が起きている場合、ABC分析の意味がなくなります。
本来はCグループに属する商品の売上のほうが、Aグループの売上を超えるためです。

ただし基本的にロングテール現象は、インターネット販売がメインかつ膨大な商品数を揃えるケースに多く見られるため、経営資源が限られている中小企業には起こりづらいでしょう。

集客用の商品の重要度に注意する

集客用の商品(フロントエンド商品)の重要度とABC分析のランクは一致しないケースがあるため注意が必要です。
フロントエンド商品の目的は、見込み客に初めて購買行動を取ってもらい、バックエンド商品の購入につなげることです。

例えば、初回お試しセットを低額で販売している場合、利益が出ていないどころか、単体では赤字になっているかもしれません。
しかし購入者がフロントエンド商品に満足することにより、メインのバックエンド商品が売れる可能性が高くなります。
そのため、フロントエンド商品がCランクだとしても軽視せず、力を入れることが大切です。

ABC分析と同時に利益の見直しも行う

ABC分析は売上の大きい商品の把握に効果的ですが、会社経営で重要なのは利益です。
仮にAランクの商品の利益率が低すぎる場合、販売数が増えても苦しい状況が続きます。
そのため、ABC分析とあわせて利益の見直しが大切です。

利益率を改善する方法の一つに商品価格の見直しがあります。
競合企業を意識して商品価格を抑えていても、利益が薄ければ本末転倒です。
商品の付加価値が高ければ、価格をアップしても顧客離れは起きづらいでしょう。

 

ABC分析を理解し売上の安定につなげよう

ABC分析とは、売上高のような重要項目を選んでランク分けする分析手法です。
主な目的として事業の効率化、経営戦略の立案、重点分析があります。

また、主なメリットとして、売れ筋商品の把握、マーケティング施策の測定、優良顧客の割り出しがある一方、単発的な売れ行き商品の考慮、ロングテール現象の理解、集客用商品の重要度への注意、利益の見直しという4点には注意が必要です。

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