2021/04/03 14:32
経営
ホラクラシー組織とは【組織構造/サークル】

社内の意思決定が遅い場合は、組織構造を見直す必要があります。
企業の組織構造には、ピラミッド型の階層構造の「ヒエラルキー組織」や、プロジェクトベースの「マトリクス組織」、
日本でも採用事例が増えてきた「ホラクラシー組織」など、さまざまなものがあります。
この記事では、そのうちのホラクラシー組織の特徴や、企業にもたらすメリット・デメリットについて解説します。
ホラクラシー組織とは?管理職が存在しないフラットな組織
ホラクラシー組織とは、上下関係がないフラットな組織構造です。社員1人ひとりが主体的に動き、対等に意見をいうことで意思決定が生まれます。
しかし、ホラクラシー組織には役割分担がないわけではありません。ホラクラシー組織は「サークル」という単位に分かれます。
各サークルには、リードリンク、ファシリテーター、セクレタリーの3つの役割があります。
- リードリンク:サークルの役割の任命やアサインを行い、サークルの活動全体に責任を持つ
- ファシリテーター:サークルの調整役を担い、サークルの活動がルールに合致しているかを確認する。また、ミーティングの際の進行役も担う
- セクレタリー:サークルの活動の記録係を担う。ミーティングでの決まりごとやスケジュールはセクレタリーが記録・管理する
近年、アメリカのシリコンバレーを中心に組織改革を行い、ホラクラシー組織を導入する企業が増加しており、日本企業にも多数の採用事例があります。
ホラクラシー組織の2つのメリット
ホラクラシー組織には、ほかの組織構造と比べてどのようなメリットがあるのでしょうか。ホラクラシー組織の2つのメリットを見ていきましょう。
意思決定をスピードアップできる
ホラクラシー組織には管理職が存在しません。企業組織としての意思決定はサークル単位で行い、すべての社員が直接関与できます。
そのため、意思決定のたびの上長の確認・承認は必要なく、マネジメント業務を飛ばして迅速な意思決定が可能です。
そのため、意思決定のスピードが欠かせない少人数のベンチャー企業やスタートアップを中心に、ホラクラシー組織の導入事例が増えています。
組織が活性化し、社員が主体的に動くようになる
ホラクラシー組織の目標達成には、サークルのメンバー全員の積極的な行動や意見交換が欠かせません。
ホラクラシー組織を採用することで、社員の主体性が増し、自分で考えて動く社員を増やせます。
また、社内コミュニケーションが活発化するため、組織活性化を目指す企業にもホラクラシー組織が適しています。
ホラクラシー組織の2つのデメリット
ホラクラシー組織にはメリットだけでなく、デメリットもあります。ここでは、ホラクラシー組織の欠点やリスクを2つ紹介します。
リスクコントロールが難しい
ホラクラシー組織のデメリットのひとつが、リスクコントロールの難しさです。
従来の企業組織では、1つの意思決定に至るまでに何度も確認・承認を繰り返し、投資効果や費用対効果を吟味してきました。
ホラクラシー組織では、こうした確認・承認プロセスがないため、スピーディな意思決定が可能な一方で、意思決定の妥当性を欠くリスクがあります。
また、ホラクラシー組織では、1人の社員が複数のプロジェクトに関わり、多くの機密情報にアクセスします。
情報資産の流出を避けるため、ホラクラシー組織では情報漏えい対策が必要です。
組織が大きくなると、カルチャーの定着が難しい
ホラクラシー組織は、社員の人数が多い大企業や、急激な業務拡大を目指す企業にはあまり向いていません。
ホラクラシー組織を成功させるためには、社員1人ひとりがリードリンク、ファシリテーター、セクレタリーの3つのロールを理解し、
主体的に行動や意見交換を行っていく組織風土の醸成が欠かせません。
大規模な組織や、急激に人数が増えた組織では、カルチャーの定着に時間がかかるため、ホラクラシー組織が短期的な成功に結びつかない可能性があります。
ホラクラシー組織の強みや弱みを知り、組織改革の検討を
ホラクラシー組織は、上長・部下の上下関係がなく、社員1人ひとりが意思決定に関わるフラットな組織構造です。
ホラクラシー組織には、「意思決定をスピードアップできる」「組織が活性化し、社員が主体的に動くようになる」という2つのメリットがあります。
一方で、ホラクラシー組織はリスクコントロールが難しく、組織の規模が大きくなればなるほどカルチャーの定着が困難です。
ホラクラシー組織のメリットとデメリットを理解し、組織改革に着手しましょう。