中小企業の業績を最短距離で伸ばすなら株式会社武蔵野の経営コンサルティング

株式会社武蔵野経営サポート事業部

MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2023/04/14 09:58

経営

STP分析とは?マーケティングで活用できるフレームワークを紹介

読了まで約4分

STP分析とは、自社のマーケティング施策や事業方針の問題点を洗い出し、見直す上で重要なフレームワークです。
STP分析は、自社が狙うべき立ち位置を明確にでき、経営資源を集中投下できるようになるため、大手企業だけでなく中小企業でも活用すべき手法です。

この記事では、STP分析のメリットや実施手順、活用事例などを詳しく解説します。

 

STP分析とは

STP分析とは、マーケティングで活用される代表的なフレームワークのひとつです。
アメリカの経済学者であるフィリップ・コトラーによって提唱されました。

「STP」とは、次の3つの言葉の頭文字を取った略称です。

  • Segmentation(セグメンテーション)
  • Targeting(ターゲティング)
  • Positioning(ポジショニング)

STP分析は、この3つの要素にもとづいて市場や顧客を分析し、マーケティング戦略の立案に役立てます。
各要素の詳しい内容は、後述で解説します。

 

STP分析の目的

マーケティング戦略の立案・実行においては、自社を取り巻く市場の状況や競合他社、ターゲットとなる顧客の分析が欠かせません。
市場や競合を分析した上で自社の強みを把握し、より優位に立てるようターゲットを選択することが重要になるためです。

また、昨今の市場は変化が激しく、ターゲットのニーズも時代とともに多様化しています。
狙うべき市場を定期的に見直し、状況を把握しなければ、自社の強みを活かすことができません。

STP分析によって市場や顧客のニーズを把握することで、マーケティング施策の精度をより高めることができるのです。

 

STP分析のやり方

STP分析では、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングの3つの指標をもとに、分析を進めていきます。
それぞれ、具体的に解説していきましょう。

セグメンテーション(市場細分化)

セグメンテーションとは、市場や顧客の二―ズといった外部要因をあらゆる切り口で分類し、属性ごとに細分化するプロセスです。

ただし、漠然と市場や顧客を細分化するだけでは、次の「ターゲティング」のステップにつなげられません。
属性の優先順位などを考慮しながら、自社にとって重要なターゲット層を発見することが、セグメンテーションの目的です。

また、分析に用いる変数として、以下の4つがあります。

デモグラフィック(人口統計的変数)

顧客を客観的な属性にもとづいて分類する際の変数です。
顧客の持つニーズと強い関連性があり、測定しやすい値であるため、製品の属性問わず幅広いケースで活用されています。

具体的な分類軸としては、以下の例があります。

  • 年齢、年代
  • 性別
  • 職種、業態
  • 年収
  • 学歴
  • 家族構成、世帯人数

これらの属性による分類を活用すると、若い女性向けのスキンケア商品を開発する際は「若年層の女性に人気にあるタレントを広告に起用する」、レストランを新設する際は「周辺のファミリー世帯にチラシをポスティングする」といった戦略が考えられます。

ジオグラフィック(地理的変数)

ジオグラフィック変数は、地理的な条件をもとに市場を分類する変数です。
食料品や家電、衣類といった、気候や地域文化が販売に影響を与えやすい商品について分析する際に、よく活用されています。

変数の具体的な項目としては、以下があげられます。

  • 世界または国内の地域・地方
  • 気候(気温、湿度、降雨量、降雪量)
  • 地域文化、生活習慣(その地域独特の催しがある、バイク社会であるなど)
  • 信仰(牛肉が食べられない、アルコールを摂取できない)
  • 都市の人口、発展度

サイコグラフィック(心理的変数)

サイコグラフィックとは、顧客となる消費者の価値観や嗜好性、ライフスタイルといった軸で分析する際に用いられる指標です。
消費者個人の内情を正確に把握することは簡単ではありませんが、ターゲット像のイメージを詳細に固めておくと、より効果の高いマーケティング施策につながります。

例えば「大切なペットにはできるだけ質の高い食事を与えたい」と考える人には、ペットフードの素材や安全性を訴求すると、興味喚起になります。
ほかにも、ダイエット中の消費者に向けて「飲むだけで運動の効果を高めるサプリメント」を販売すれば、ニーズと合致する可能性が高いです。

ビヘイビアル(行動変数)

ビヘイビアルとは、顧客の購買データや商品に関する知識などを軸に分類する際の指標です。
具体的には、次の2つがあげられます。

  • 商品の利用頻度(毎日の朝晩、週1回、決まった季節のみ、など)
  • 商品に関する知識(知識が深く何度もリピートしている、知っているが詳しくはない、全く知らない、など)

これらの軸で細分化すると、すでに商品を愛用している顧客と全く知らない顧客に分けて、それぞれ効果的なアプローチ方法を検討できます。

ターゲティング(狙う市場の決定)

ターゲティングは、セグメンテーションによって細分化した市場の中から、どこを対象に商品を販売するか決定するプロセスです。
自社の強みやブランドイメージを活かせるかどうかは、顧客のニーズと合致するかどうかによって決まるため、マーケティング施策の結果を左右する重要な行程といえます。

ターゲティングによって市場を決定する手法は、次の3つに分けられます。

  • 無差別型ターゲティング
  • 差月型ターゲティング
  • 集中型ターゲティング

無差別型ターゲティング

無差別型ターゲティングは、先の手順で細分化した属性をあえて無視し、あらゆる市場で広く通用する商品を検討することです。
資金力のある大企業向けの手法と考えていいでしょう。

また、この手法は需要に対して供給力が不足していた旧時代において通用していた手法であり、消費者の価値観や購買行動が多様化している現代では、あまり採用されていない手法です。
多くの市場が飽和状態にあり、ヒットを飛ばすのが難しい時代においては、大企業であっても効果的に活用するのは難しいといえるでしょう。

差別型マーケティング

差別型マーケティングは、セグメンテーションによって細分化した属性をもとに、それぞれの市場・顧客に対して効果的な商品を検討する手法です。
例えば、自動車メーカーの多くは高収入世帯向けの高級車からファミリーカー、手軽に乗れる軽自動車など、価格やライフスタイルに合わせた多様なラインナップを揃えています。
これは、代表的な差別型マーケティングの一例です。

一方で、多様な商品展開を用意せねばならず、無差別型ターゲティングと同様に大企業でないと導入が難しい側面があります。

集中型マーケティング

集中型マーケティングは、細分化した属性の中から自社の強みを活かせる市場・顧客を選び、リソースを集中投下する方法です。
特定の市場に特化してターゲットに対する理解や販売ノウハウを深め、商品のクオリティをとことん高めます。
大規模な商品展開の必要なく、市場での優位性を高められるため、中小企業でも活用しやすい方法です。

ただし、市場の選定に失敗すると集中投下した資源が無駄になってしまうため、市場選びでは慎重に検討を重ねなければなりません。

ポジショニング(自社の立ち位置の明確化)

ポジショニングでは、自社が狙う市場においてどのような強みを武器にし、優位性を発揮しているか検討します。
ターゲット市場においてすでにシェアを獲得している企業・商品を分析し、どのように差別化をはかるか明確にすることが大切です。

差別化を検討する際は、以下の6つの軸をもとに分析を進めるといいでしょう

  • 競合と異なる自社商品の属性
  • 顧客のニーズに対して提供できるベネフィット
  • 商品を使用する機会
  • 競合商品と自社製品の関係性
  • 競合にはない自社商品独自の特性
  • 商品の種類やカテゴリー

例えば、ダイエットサプリを販売する場合、競合にはない成分にフォーカスして「この成分には他のサプリにはない、○○の効果がある」「○○の成分と合わせて摂取すると効果が高まる」といったアプローチをすると、競合との不要なバッティングを避け、独自の立ち位置を獲得できる可能性が高まります。

 

STP分析のメリット

STP分析を実施するメリットは、次の3つです。

  • 市場の全体像を把握できる
  • 自社商品の訴求すべき強みが明確になる
  • 他社との競争を避けて、独自のポジションを獲得しやすくなる

STP分析を行うことで、市場にどのような特性を持った消費者が存在し、どのようなニーズを持っているのか整理でき、ターゲット像を詳細にイメージできるようになります。
ターゲットが明確になれば、訴求すべき自社の魅力も定まります。
自社が持っている強みの中から、最も効果的な訴求を選定し、精度の高いプロモーション施策が打てるようになるのです。

それにより、競合との不要なバッティングを避けて自社が狙うべきポジションを獲得しやすくなるでしょう。
大きなシェアを持っている大手企業との直接競争が難しい中小企業こそ、STP分析を活用すべきといえます。

 

STP分析を実践した企業の事例

STP分析を活用している国内の事例として、ユニクロを紹介します。

ユニクロでは、顧客の属性ではなく「トレンドに左右されず長く着られる服がほしい」「無難なデザインで安価な商品がいい」といった顧客ニーズをもとに、セグメンテーションを実施しています。
ユニクロは「SPA」という生産から販売まで自社で一貫して行うシステムを採用しているため、人口統計変数によらない、流動的な顧客ニーズに対応することが可能なためです。

その結果、老若男女に対応できる普遍的なファッションブランドとしての立ち位置を獲得できています。
「お気に入りの大切な服が手に入る店」ではなく「ベーシックなアイテムを手頃な値段で購入できる店」として、オンリーワンのポジショニングに成功している考えられます。

 

STP分析で自社マーケットと経営方針を見直してみよう

STP分析は、ターゲットとすべき市場や自社の強みを明確にし、目指すべきポジションを定めるためのフレームワークです。
自社が採用すべきマーケティング戦略がはっきりしますので、新規商品の開発だけでなく、既存商品の改善にも活かせます。

自社で分析を実施する際には、市場や顧客に関するデータを意図的に切り取らず、客観的に判断することが大切です。
他のマーケティングフレームワークも併用しながら、多角的に分析を進めましょう

とはいえ、一定のノウハウや知識がないと、専門的な分析は難しいものです。
その場合には、外部のコンサルティングを活用するのもいいでしょう。

武蔵野では経験豊富なスタッフを派遣し、伴走型の経営コンサルティングを実施しています。
無料の経営セミナーも多数開催していますので、ぜひあわせてご確認ください。

また、株式会社武蔵野では、「経営計画書」の無料お試し資料をプレゼントしています。

経営計画書とは、会社の数字・方針・スケジュールをまとめた手帳型のルールブックです。
ぜひ、こちらからダウンロードしてください。

武蔵野のサービスに
ご興味が出てきた方

CONTACT