中小企業の業績を最短距離で伸ばすなら株式会社武蔵野の経営コンサルティング

株式会社武蔵野経営サポート事業部

MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2023/10/06 13:49

経営

資金繰り

資金使途とは?重視される理由や注意すべき資金使途違反について解説

読了まで約4分

銀行から融資を受ける際、審査で最も重視される項目のひとつが「資金使途」です。
資金使途は「借入金を確実に回収できるかどうか」の指標となるため、銀行が納得できるよう、明確で根拠のある説明が必要になります。

本記事では、資金使途の種類や金融機関が重視する理由、融資を受けやすくするポイント、資金使途に違反した場合の危険性などを解説します。

資金使途の意味と種類

資金使途とは、銀行から融資された資金の使い道を指します。
企業が銀行に融資を申し込む際には資金使途を明確にする必要があり、銀行側も説明内容に嘘がないか厳しくチェックします。

企業が事業用に融資を受けた資金の使い道は「設備資金」「運転資金」「特殊運転資金」の3種類です。
それぞれ詳しく解説します。

設備資金

設備資金とは、工場機械の購入や店舗・事務所の建設など、事業運用に必要な設備を整えるために使う資金です。
工場建設にかかる費用なども設備資金に含まれることから、長期間で高額融資が必要になるケースも少なくありません。

そのため、融資を受ける際には「設備投資により確実に収益が向上する」ことを証明する必要があります。
高額融資は銀行にとって貸し倒れする可能性が高いためです。

専門性の高い設備については、銀行側が「その機械を導入することにどのような意義があるのか」という点が理解ができない可能性もありますので、専門用語を使わず、簡潔に説明することが大切です。

運転資金

運転資金とは、原料の仕入れや人件費・外注費の支払い、販売管理費といった日々の事業運営に必要な資金です。
設備資金と異なり、比較的低額で短期間の仮入れになる傾向があります。

ただし、少額である運転資金であれば必ずしも融資を受けやすいというわけではありません。
仕入れや人件費といった通常業務において融資が必要な理由を説明できなければ「経営状態が悪いのではないか」と懸念を持たれてしまう可能性があります。
設備資金と同様に、理由の説明には十分注意を払いましょう。

特殊運転資金

特殊運転資金とは、納税や賞与の支払いなど、スポット的に必要となる資金を指します。
納税であれば中間期と決算期、賞与であれば夏と冬など半年周期で資金が必要となるため、基本的には半年程度の短期で完済するケースが多いです。

また、資金使途がはっきりしているため、比較的融資を受けやすい資金といえるでしょう。
多額の納税や賞与の支払いが必要ということは、利益が出ていることの裏返しであるため、銀行としても貸し倒れする可能性が低いと判断できます。

短期融資は金利も低いため、取引実績を積んで銀行との信頼関係構築に活用する企業もあります。

 

金融機関の融資を受ける際に資金使途が重視される理由

銀行等の金融機関から融資を受ける際には、資金使途の明確な説明が求められます。
金融機関にとっては「どうやって返済するのか」「いつまでに返済できそうか」の判断基準が資金使途になるためです。

例えば、設備資金を借入する場合、返済の原資は「投資によって生まれる利益+減価償却費」、返済期間は法定耐用年数程度と判断できます。
金融機関にとっては、この式によって算出された金額が確実に返済額を上回るかどうかが重要です。
計算が破綻していると、自己資金で補うか、さらに運転資金を借入するしかなく、資金繰りが悪化しかねません。

また、季節行事に使用される製品の製造を目的とした仮入れであれば、比較的短期間で収益があがります。
短期間での返済が期待できるため、危険性が低いと判断できるのです。

このように、金融機関は資金使途によって返済の原資や返済期間を予想するため、明確な説明が求められます。

 

金融機関が前向きに融資を検討する資金使途の例

金融機関から融資を受けるためには、資金使途の内容が前向きであることが大切です。
資金を借り入れる理由が「赤字を補填するため」「別の借入返済に利用するため」などの場合、返済の原資を得るのが難しい状況と判断されるため、金融機関は融資を前向きに検討できません。

前向きな資金使途の例としては、以下があげられます。

・新製品を開発するのに必要な設備を導入するための資金
・運転資金に充当する資金
・従業員に賞与を支払うための資金
・法人税や法人事業税などの納税に使う資金
・長期運転資金の返済分を再調達する折り返し融資
・一時的な仕入増加に対応するためのつなぎ資金
・新規事業開拓に必要な人材を採用するための資金

このように、借り入れた融資を活用することで収益が増し、返済の原資を確保できる可能性が高いと予想できる資金使途を用意しましょう。

 

金融機関の審査に通りにくい資金使途の例

資金使途の根拠が不明である場合には、金融機関に融資を断られるケースがあります。
例えば、新規事業開発の運転資金として融資を申請している場合に、相場よりも高額な人件費や広告費を見積もっており「その金額が妥当なのか」という根拠を提示できなければ、審査に通らない可能性が高まります。

設備資金の融資でも、業者の見積書などを添付して必要金額の妥当性を提示できないと「金額に根拠がない」と判断されることがあります

また、金融機関の融資は「運転資金」と「設備資金」を対象としていますので、以下の資金使途は融資の対象とならないケースがあります。

・土地の購入代金や使用代金
・個人の住宅や車の代金・生活費
・設置許可を受けていない設備に対する資金
・融資対象者以外が使用する設備資金
・申込の時点で設置済み、または支払い済みの設備資金
・借入金を返済するための資金 等

 

金融機関における資金使途違反の確認方法

資金使途違反とは、融資を受ける際に金融機関へ説明した資金使途通りに資金を使わず、別の目的のために資金を流用することです。
それでは、金融機関はどのように資金使途違反を確認するのでしょうか。
違反が判明する代表的なケースを紹介します。

設備資金のケース

設備資金の融資の場合には、融資後に資金使途で説明していた設備の実物を提示するよう金融機関から指示されたり、設備を購入した際の領収書の提出を求められたりします。
その結果、説明していた資金使途とは違う使い方をしたことが判明すると、資金使途違反とみなされます。

また、融資後に作成した決算書において、固定資産台帳にその設備の記載があるかをチェックされるケースもあります。

実際には、設備資金の借入では金融機関から設備の販売元に直接振込をすることが条件になる場合も多く、資金使途違反は起こりにくいといえるでしょう。

運転資金のケース

運転資金の場合も同様に仕入れのためと申請された資金がその通り使われたか、賞与のための資金であれば本当に従業員に賞与を払ったかどうかなどが確認されます。
ただし、運転資金の場合は特定の使用目的に限定せず、「諸経費支払資金」「仕入資金」などのように、あいまいな資金使途を伝える場合もあります。
その場合は、金融機関から詳細な確認を受けないケースも多いです。

また、信用保証協会の保証付き融資では、融資が入金された口座の残金を銀行が確認し、融資額が全て使用されたことをもって資金使途通りに使われたものとみなします。

 

資金使途違反とみなされた場合に起こり得る危険性

資金使途違反が明らかになった場合、借入金の一括返済を求められたり、その金融機関から融資を受けられなくなったりすることがあります。

また、信用保証協会の保証付き融資であった場合には、保証協会内で「資金使途違反があった会社」として記録が残ります。
そうなると、その後別の金融機関で保証付き融資を申し込んでも審査が通らなくなる可能性が高いです。

前述でも触れた通り、金融機関は資金使途によって企業の返済能力や返済にかかる期間を判断しています。
申請されていた資金使途以外の使い方をされると、想定通り資金を回収できない可能性が高まるため、そのような会社を敬遠するのです。

 

資金使途を説明する際のポイント

金融機関の審査に通りやすくするためには、資金使途の説明においていくつかポイントがあります。
その中でも重要な2点のポイントを紹介します。

前向きな理由を伝える

前述でも触れた通り、資金使途の内容は前向きなものが望ましいです。
「不況の影響で利益が大幅に下がった」「他の返済のための原資がない」といった理由では、金融機関に不信感を抱かれてしまいます。

もちろん資金使途違反にならないよう、事実を伝える姿勢は大切ですが、まずは前向きな理由を考えてみましょう。
「事業領域を拡大するため」「新サービスの販促のため」など、将来の利益拡大につながる理由であれば、金融機関も融資を前向きに検討できます。

資金繰り表を添える

資金使途を説明する際には、必ず「資金繰り表」を添えるようにしましょう。
資金繰り表がなくても借入は可能ですが、資金使途の根拠となる数字を示せなければ、正当性を感じてもらえません。
さらに、金融機関は稟議を通すことで融資が決定しますので、書類の存在は非常に重要です。
グラフや表を用いて視覚的に資金使途の根拠を説明した方が、金融機関も内容を理解しやすく、説得力が増すでしょう。

資金繰り表には、融資を受けたい金額だけでなく、何を返済原資とするのか、返済期間はいつまでなのかを記載し、説明できるようにしておいてください。

 

資金使途を説明する際は経営計画の活用がおすすめ

金融機関から融資を受ける際には、資金使途の明確な説明や根拠の提示が必要不可欠です。
また、申請した資金使途に違反した使い方をしてしまうと、金融機関から融資の一括返済やその後の融資を断られる可能性があります。
金融機関が評価しやすい、前向きな資金使途を検討し、資金繰り表などの根拠を示す書類を用意して審査に臨みましょう。

銀行の審査になかなか通らず、資金確保にお悩みの企業には、武蔵野の「経営計画書」がおすすめです。
経営計画書は企業のビジョンや方針を明確にするツールであり、社長の姿勢が書かれたものです。

また、5年後までの長期ビジョン(中長期計画)と今期の経営目標を明記しているため、銀行に渡して信頼を得るための書類として活用できます。
無料でお試しできますので、ぜひあわせてご確認ください。

武蔵野のサービスに
ご興味が出てきた方

CONTACT