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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2023/12/26 09:45

経営

資金繰り

MRRとは?ARRやNRRとの違い・計算方法や改善方法・注意点を詳しく解説

読了まで約3分

消費者の意識が所有から利用へと変化し、サブスクリプションやSaaSビジネスが増加しつつあります。
事業の成長状況を表す新たな指標として、今大きな注目を集めているのがMRRです。

本記事では、そもそもMRRとはどのようなものなのか、その概要やARR、NRRとの違い、計算方法や改善方法、注意点などについて解説します。
今後、サブスクリプション型サービスの展開を検討している企業の経営者や代表者の方はぜひ参考にしてください。

MRRとは

まずはMRRの意味、ARRやNRRとの違い、MRRの計算方法など、基本的なことについて解説します。

MRRの意味

MRR「Monthly Recurring Revenue(マンスリー・リカーリング・レベニュー)」とは、日本語で月次経常収益と訳され、主にサブスクリプションやSaaSビジネスを行っている企業で使われる経営上の指標です。

具体的には、初期費用を除き月単位で繰り返し得られる収益を指し、MRRが増加を続けていれば、自社製品・サービスが顧客から評価を得られていると判断できます。

逆にMRRの減少は企業の収益に直接影響を与えるため、早急な改善策の実施が必要です。

ARRとの違い

SaaSビジネスの成功を目指す上で、MRRと同様に重要視されている指標に「ARR」があります。

ARRとは「Annual Recurring Revenue(アニュアル・リカーリング・レベニュー)」を省略したものであり、年間を通して発生する収益のことで、日本語に訳すと「年間経常収益」を意味するビジネス用語です。

MRRが毎月発生する経常収益であるのに対し、ARRは毎年継続して発生する経常収益のことを言います。

なお、MRRは、1ヵ月単位で契約可能な製品やサービスの経常収益を図る指標として用いられます。
主に音楽や映像のサブスクリプションなど、BtoC向けのサービスです。

これに対し、ARRは、半年から1年契約が基本の製品やサービスの経常収益を図る指標で、主に長期契約が基本となるBtoBの製品やサービスに向いています。

NRRとの違い

NRRとは、「Net Revenue Retention(ノイズ・リダクション・レイティング)」の略で、日本語で「売上維持率」を意味します。
MRRが月間経常収益であるのに対し、NRRは対象となる月の売上維持率を指します。

顧客の継続率や離脱率を把握する際に使用され、NRRが下がった場合は契約が継続されずに顧客離れが進んでいると考えられます。

マーケティングの世界には、新規顧客の獲得コストは既存顧客維持コストの5倍かかるという「1:5の法則」があるため、利益率を下げないためにもNRRのチェックは必須です。

 

MRR4つの種類

ここでMRRの4つの種類をご紹介します。

New MRR(新規MRR)

当月に新規契約をした顧客から得られる収益を確認する際の指標です。
New MRRが毎月コンスタントに増加していれば、その事業の将来性は高いといえるでしょう。
逆にNew MRRが毎月減少していると収益が先細りする可能性が高まるため、改善が必須です。

New MRRの数値が減少する要因としては、認知度が低い、サービス内容が上手く伝わっていないなどが考えられます。

Expansion MRR(アップグレードMRR)

当月にプランのアップデートをした顧客から得た収益を確認する際の指標です。
複数プランを設定しているサービスの場合、Expansion MRRが高い数値であれば、顧客ロイヤルティが向上しているとわかります。

逆にExpansion MRRが減少していれば、顧客満足度が低く、解約リスクが高まっていると考えられるでしょう。

Downgrade MRR(減少MRR)

既存顧客が当月にプランのダウングレードをしたことにより、どれだけ収益が減少したかを確認する指標です。
Downgrade MRRの数値が増加していれば、多くの顧客がサービスに満足していないと判断できます。

逆にDowngrade MRRの数値が減少していれば、現状のサービスに満足している、もしくはアップグレードをしていると考えられるでしょう。

Churn MRR(解約MRR)

既存顧客がサービスを解約したことで減少した収益を確認する指標です。
サブスクリプションサービスでは継続してサービスを使い続けてもらうことで収益を得るため、Churn MRRの数値が高くなればなるほど、収益が減少していることを意味します。

仮にNew MRRの数値が高くても、Churn MRRの数値も高ければ新規顧客獲得コストだけがかかり、収益はより悪化していくことになるため、まずChurn MRRの改善が必須だといえるでしょう。

 

MRRの計算方法と計算式

MRRは基本的に「月額利用料×顧客数」で算出します。

たとえば、月額利用料が5,000円で顧客数が1,000人の場合、
「5,000(円)×1,000(人)=5,000,000(円)」となるためMRRは500万円です。

ただし、MRRは単月ではなく、継続的に確認することが重要となります。
また、月額利用料が複数設定されている場合はそれも加味したうえで算出しないと正確な数字の把握ができません。
そこで、前月から引き継いで継続的にMRRを算出する方法について解説します。

新規で契約した顧客から得た収益を算出する(New MRR)の計算式は下記のとおりです。
1ヵ月で獲得した新規顧客数×月額利用料

たとえば、1ヵ月で100人の新規顧客を獲得した場合は、「100(人)×5,000(円)=500,000(円)」となります。

当月にアップグレードした顧客から得た収益を算出する(Expansion MRR)の場合の計算式は下記のとおりです。
アップグレードした顧客の当月の収益-アップグレードした顧客の前月の収益

たとえば、10人が5,000円から7,000円のプランにアップグレードした場合の計算式は「(7,000(円)×10(人))-(5,000(円)×10(人))=20,000(円)」となります。

当月にダウングレードした顧客から失った収益を算出する(Downgrade MRR)の計算式は以下のとおりです。
ダウングレードした顧客の前月の収益-ダウングレードした顧客の当月の収益

たとえば、5人が5,000円から3,000円のプランにダウングレードした場合の計算式は「(5,000(円)×5(人))-(3,000(円)×5(人))=10,000(円)」となります。

当月にサービスの解約をした顧客から得ていた収益を算出する(Churn MRR)の計算式は以下のとおりです。
当月に解約をした顧客数×月額利用料金

たとえば、5,000円のプランを利用していた10人がサービスの解約をした場合は「10(人)×5,000(円)=50,000(円)」となります。

前月のMRRを基に当月のMRRを算出する際の計算式は以下のとおりです。
前月MRR+(New MRR+Expansion MRR-Downgrade MRR-Churn MRR)

たとえば、前月のMRRが100万円だった場合、「1,000,000+(500,000 + 20,000-10,000-50,000)=1,460,000」となるため、146万円が当月のMRRとなります。

なお、上記の計算式には、初期費用や追加オプションなどで得た収益は含まれないため、別途計算が必要です。
また、無料トライアルの顧客や未払い金がある場合なども事前に確認したうえで算出するようにしてください。

 

MRRが活用される主なシーン

MRRは主にサブスクリプションサービスを展開している企業が自社の収益を把握するのに欠かせない指標ですが、それ以外にも活用方法があります。
詳しく解説します。

投資家の判断材料として活用される

投資家がサブスクリプションサービスを展開している企業に投資するかどうかの判断材料として活用するのがMRRです。
投資判断に欠かせない事業の成長性が数値化されているため、もっとも重視する指標といえるでしょう。

重視するMRRの種類は、創業期であれば新規顧客獲得の推移がわかるNew MRRです。
一定の期間を過ぎて安定期に入った事業であれば、解約率を見るChurn MRRやダウングレード数を見るDowngrade MRRが重視されます。

また、顧客ロイヤルティの高さを見るという意味では、Expansion MRRの数値も欠かせない指標です。

SaaS Quick Ratio の算出に活用される

MRRは事業の成長率を把握する指標であるSaaS Quick Ratioの算出にも活用されます。

具体的には新規契約やアップグレードで増加した分を解約やダウングレードで減少した分で割ることで増減のバランスを考えます。

計算式は次のとおりです。
(New MRR+Expansion MRR) ÷ ( Downgrade MRR+ Churn MRR)=SaaS Quick Ratio(%)

算出された数字が4以上であれば、事業は好調であると判断できます。
1以上4未満であれば、現状は増加しているものの将来的には減少に向かうリスクが高く、1未満になると将来性はかなり低いと判断されてしまうでしょう。

新規契約が安定し、解約が出始める時期には、MRR以上にSaaS Quick Ratioが重視されます。

 

MRRの種類別改善方法

ここでMRRの4つの種類毎に数値が悪くなった際の改善方法について解説します。

New MRR

New MRRの改善方法としては、広告やSEO対策、SNSでの告知などによる認知度向上施策の実施、セミナーやウェビナーによるサービス内容の紹介、無料トライアルの実施などが考えられます。

Expansion MRR

Expansion MRRの改善策としては、カスタマーサクセスによって顧客の成功支援を実施する、サービスの利用率を上げるため、機能の使い方を教える勉強会やセミナーを開催するなどが考えられます。

基本的には顧客とのコミュニケーションを密にし、サービスのメリットを実感してもらえるようにすることが重要です。

Downgrade MRR

Downgrade MRRの改善策としては、プラン内容の見直しやサービスの改善、成功事例の紹介などが挙げられます。
Expansion MRRの改善策と同様に、顧客とのコミュニケーションを増やし、サービスのメリットや必要性をしっかりとアピールすることが重要です。

Churn MRR

Churn MRRの改善策は、Downgrade MRRの改善策とも重なりますが、プラン内容や料金設定の見直し、カスタマーサービスの拡張、サービスの質向上などが挙げられます。

解約者が増えるということはサービス内容や料金に不満を持っている顧客が多いことの証明です。
とにかくサービスの質を上げ、満足度を上げるための施策を実施していくことがChurn MRRの改善には欠かせません。

 

MRRを活用する際に注意すべきこと

MRRはサブスクリプションサービスの将来性や収益を確認するために重要な指標ですが、活用時にはいくつかの注意点があります。
具体的には次のとおりです。

MRRとその他の収益を区別する

MRRはサービスを契約した顧客から定期的に得られる固定収益を確認するための指標です。

そのため、契約時の初期費用や単月だけ利用したオプション料金などを含めると正確な成長性を見ることができません。

もちろん、収益である以上しっかりと計算する必要はありますが、その他の収益とMRRとは分けて考えるようにしましょう。

割引や無料期間の有無に注意する

新規契約をする際に割引クーポンの配布、無料トライアルなどを行っている場合、MRRの算出には注意が必要です。

単純に新規契約数と契約プランだけで計算すると実際に得た収益と異なってしまう可能性があります。
契約数やプランの数値だけで算出せず、必ず実際の請求金額を基に算出することが重要です。

利用者からの支払いの遅延に注意する

事業を継続しているとさまざまなトラブルが発生します。
利用料金の未払いもその一つであり、入金チェックは必ず行わなければいけません。

なお、未払金がある場合にMRRを算出する方法ですが、基本的には解約をされていない限り当月に未入金であっても、入金したものとして計算します。
もちろん、後に請求は必要ですが、MRRを算出する際は、未払い金を含めて計算しても問題ありません

 

MRRで収益を可視化しビジネスの成長につなげよう

MRRとは、Monthly Recurring Revenueの略称で、日本語では月次経常収益と訳されます。
主にサブスクリプションやSaaSビジネスを行っている企業で使われる経営上の指標です。

サブスクリプションサービスでは、購入によって収益を得るのではなく、継続的に利用し続けてもらうことで収益を得ます。
そのため、毎月の収益を可視化させるMRRは事業の将来性を考えるうえで、自社はもちろんのこと、投資家にとっても重要な指標です。

MRRを向上させるには、新規契約やアップグレードを増やしてダウングレードや解約をいかに防ぐかが大切であり、そのためには顧客ロイヤルティの向上が欠かせません。

そこで重要となるのが経営戦略の明確化です。
自社のビジョンや方向性を明確にし、全社員で共有することで顧客へも自信を持ってサービス提供できるようになります。

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