中小企業の業績を最短距離で伸ばすなら株式会社武蔵野の経営コンサルティング

株式会社武蔵野経営サポート事業部

MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2023/05/26 17:20

経営

評価制度

社員の人事評価はどう進める?評価制度を活用するときのコツや失敗を避ける方法を徹底解説!【人事評価制度/企業経営】

読了まで約5分

人事評価制度の仕組みを正しく理解し、適正な人事評価を実施することで、人材の育成や定着だけでなく、業績の向上にも貢献することができます。
この記事では、人事評価制度を活用するコツや失敗しないための対策などを紹介していきます。

人事評価制度とは?

人事評価制度とは、従業員のパフォーマンスなどを評価し、給与や昇級などに反映する仕組みのことです。評価の内容に応じて従業員の処遇が決定します。
一般的に従業員の成果を評価する「業績評価」、保有するスキルを評価する「能力評価」、職務態度などの「情意評価」が主軸となります。

人事評価制度は、「等級制度」「評価制度」「報酬制度」の3つの機能から成り立ち、それぞれ連動しています。

「等級制度」とは社員に求める職務や能力、役割などを分類して階層化した制度のことです。
社員自身で今どの階層にいて、何を求められているのかなどを認識できるようになります。

「評価制度」は社員の行動や実績を評価する制度のことです。能力や成果の評価は、社員の等級や給与などの待遇に反映されます。

「報酬制度」は評価や等級制度に基づき、社員の報酬を決める制度のことです。
給与や賞与、退職金といった金銭的な報酬以外に、非金銭的な報酬もあります。

3つの機能は独立しているのではなく、ほかの制度と連携することで人事評価は実施されるのです。

 

人事評価制度の種類

人事評価制度には様々な種類があるため、自社に合った人事評価制度に取り組みましょう。

目標管理制度(MBO)

会社の目標や個人の目標を設定し、その達成度合いによって評価する制度です。
MBOの特徴として、努力すれば達成可能な目標にしておくことです。
達成が難しい高いレベルの目標を設定されると、社員は最初からあきらめの気持ちが強くなり、モチベーションを維持しにくいからです。

目標と成果指標(OKR)

MBOでは、努力すれば達成可能な目標を設定するのに対し、OKRでは予め高い目標を設定します。
OKRで設定される目標は、四半期に1つを原則として企業全体で目標を1つ掲げ、
社員はそれをもとに個人の目標を1つ設定し、社員の育成や、企業全体の生産性向上を目的としています。

バリュー評価

バリュー評価とは、企業が示す行動規範(バリュー)を、社員が理解して実践できたかを評価する方法です。
バリュー評価では、仕事の成果だけでなく、普段の活動や成果に至るまでの過程を評価し、
成果を出している社員でも、行動規範に則って活動できていなければ高く評価しません。

コンピテンシー評価

コンピテンシー評価とは、職務や役割ごとに行動特性(コンピテンシー)を設定し、それを軸に社員を評価する方法です。
社内で高い業績を上げている社員をモデル化し、具体的にどのように行動すべきかがわかるため、成長も促進できます。

360度評価

360度評価とは、評価対象者を上司だけでなく、部下や同僚などのさまざまな立場の人が評価を行う方法です。
上司が把握できていない社員の側面がわかり、評価の公平性を高めることができます。

一方で、個人的な思い込みで評価したり、上司に対する評価を忖度したりなど、評価の精度が低くなる可能性もあるので注意です。

 

人事評価制度の導入手順

では人事評価制度を導入する際、どのような手順で運用していけば良いのでしょうか。
基本的な手順について解説していきます。

現状を分析する

人事評価制度を策定するには、まず現状を分析し、解決するべき課題を明確にすることから始めていきます。
分析の方法には、具体的な数値から分析する「定量分析」や、現場の声から分析する「定性分析」などがあります。

評価目的の設定、評価基準の策定を行う

評価の実施目的を設定し、等級制度における各等級の評価基準の策定を行っていきます。
経営層の意向だけでなく、社員にもヒアリングをした上で評価目的を検討すると、評価制度を導入してからスムーズに機能します。

評価基準の策定については、同じ等級でも、職種や部門によって評価基準は異なるため、
組織の中で自分がどのような役割や行動を求められているのかを明確にすることが重要です。

評価項目を作成し、評価方法を構築する

評価基準が決まったら、評価項目を作成して評価方法を構築していきます。
基本的に「業績評価」「能力評価」「情意評価」にプラスして独自の項目を運用する企業が多いです。

段階評価でつけた評価点を、等級制度や報酬制度へどのように反映して連携していくのか、予め決めておくと良いです。

導入スケジュールを作成する

人事評価制度の導入スケジュールも作成する必要があります。
人事評価制度を正しく理解されないまま運用を開始すると、現場は混乱してしまいますので、余裕を持ったスケジュールで進めていきましょう。
導入前に評価者向けの評価研修や、社員向けの人事制度説明会などを実施すると、スムーズに運用できます。

評価内容を社員にフィードバックする

上司は社員に人事評価の結果を伝える際、客観性と根拠を持って伝えることが大切です。
高評価の社員に対しては、良かった点とともに、次のステップを伝えることで、社員の成長をさらに促すことができます。

一方、評価が低かった社員のモチベーション低下を避けるには、
評価理由を丁寧に説明し、今後の対策を一緒に考えて次の目標を立てていきましょう。

 

人事評価制度を上手に活用するコツは?

人事評価制度は、さまざまな業種の企業が取り入れています。
このような制度の導入は、日本企業の評価のスタイルが変わるのに伴って徐々に増えてきました。

多くの日本企業が取り入れてきた年功序列制の人事評価は、年齢や勤続年数といった明確な基準で給与や昇進が決まるのが特徴です。
年功序列制を廃止する企業が増えてからは、年齢や勤続年数に代わる人事評価の基準が必要とされています。

人事評価制度を上手に活用するコツには、次の3つが挙げられます。

業種に合った基準を取り入れる

自社の業種に合った基準を取り入れることは、人事評価制度をスムーズに導入、活用するために必要不可欠です。
日本の企業が導入を始めている人事評価制度は、能力、業績、情意といった数種類の基準を設けて社員を評価する内容になっています。
このような基準のうち、どの項目をとくに重視しているかや、実際に判断するときのチェックポイントなどは、企業によってさまざまと言えます。

たとえば、営業職の人事評価では、「顧客と良好な関係が築けること」などを社員の能力をチェックするときのポイントにしていることが多いです。
一方、システムエンジニアなどの技術職の場合は、納品物の品質や技術的な知識などをチェックポイントにしているケースがあります。

人事評価のポイントは業種によって大きく変わるため、導入の際には自社の業務にマッチしている基準かどうかをしっかりと見極めましょう。

導入前のプランニングに時間をかける

事前のプランニングを時間をかけておこなうことも、人事評価制度の導入を円滑に進めるコツです。
プランニングのプロセスでとくに力を入れたいのが、評価方法の選択です。

人事評価には、目標管理制度(MBO)やコンピテンシー評価などの複数のアプローチがあります。
目標管理制度(MBO)は、本人があらかじめ目標を決め、どのくらい達成できているかをチェックするアプローチです。
コンピテンシー評価は、職務能力に優れている人の一般的な特性と比較しながら評価をおこないます。

どのようなアプローチが最適かは、企業によってケースバイケースです。
自社の経営スタイルや業務内容などを考えて、社員が納得できるような制度をプランニングすることが、人事評価制度を導入するときには大切です。

導入後も定期的に成果や問題点をチェックする

人事評価制度を導入した後は、予想した通りの成果がでているかどうかを定期的にチェックします。
このような作業をコンスタントにおこなわないと、評価制度に問題点があるときに対応が遅れる可能性がでてきます。

企業の経営スタイルや業務内容は、社会情勢などの影響で後に変わることもありますよね。
最初に導入した人事評価制度を見直さないまま運用していると、次第に経営の実態にかみ合わなくなってしまうことがあるかもしれません。
定期的にチェックをおこなえば、こういった問題にもいち早く気づくことができるでしょう。

人事評価制度などの社内の制度は、実際に導入してからでないと良し悪しが判断できないケースも多々あります。
導入後は、運用を続けながら問題点や見直すべき部分がないかどうかをしっかりとチェックしていきましょう。

 

人事評価制度を導入した後に期待できることは?

人事評価制度を積極的に取り入れる企業が増えているのは、この制度にさまざまなメリットが期待できるからです。
主なメリットを、ここではまとめてみました。

社員のモチベーションがアップする

社内の評価制度で自分の能力やスキルが正当に評価されると、社員の仕事へのモチベーションがアップすることが多いです。
努力したことがきちんと評価される仕組みになっていれば、社員が「次はもっと頑張ろう」といった前向きな気持ちになることが予想されます。
こういった社員が増えると、企業の業績も自然に上がるかもしれません。

社員の一人ひとりが結果に納得できるような公平な評価制度なら、
社員同士の人間関係が悪化したり、社内の雰囲気が悪くなったりするリスクも少なくなるでしょう。

社員を管理しやすくなる

人事評価制度を導入すると、社員の管理もしやすくなるのが一般的です。
定期的におこなう人事評価で社員の能力やスキル、行動傾向などが把握できれば、人事異動や配置転換などをする際にも便利です。

実際、人事評価の結果を参考にすると、社員同士の能力がお互いに補えるような配置を考えたり、
特定の能力がある人を集めて新たにチームを結成したりすることも、それまで以上にスムーズにおこなえる可能性があります。

能力を活かせるような部署に社員を移動させて、戦力となる人材を育てたいときにも人事評価の結果が役立ってくれます。

上司と部下のコミュニケーションの機会が増える

評価制度を導入したことがきっかけとなり、上司と部下のコミュニケーションの機会が増えるケースは実際に少なくありません。
人事評価をする際には、直属の上司などにヒアリングをおこなって社員のチェックをするケースも多々あります。

評価を任された場合、よりその社員について知ろうと、部下とのコミュニケーションを積極的にとろうとする上司もいるでしょう。
こういった行動をとる社員が社内で増えれば、上司と部下のコミュニケーションがそれまでよりも活発になる可能性があります。

上司が部下の問題をより早く把握できるようになったり、チームワークがとりやすくなったりすることも、
評価制度を導入した場合に期待できるメリットです。

社員との信頼関係が築きやすくなる

公平な人事評価制度は、経営者と社員の信頼関係を築くのにも役立ってくれる可能性があります。
「自分は正しく評価されている」と社員が感じれば、途中で離職をする人が減るかもしれません。
また、正当に評価がおこなわれる企業では、「積極的に会社に貢献したい」という気持ちをもつ社員も増えてくることが考えられます。

このような変化は、社員同士のチームワークが業績に大きく影響する中小企業ではとくに大きなメリットになるでしょう。
経営者への信頼が高まることは、ときに業績のアップにもつながります。

 

人事評価で失敗しないために押さえておきたいこと

人事評価は、進め方によっては失敗をしてしまうケースもあります。

このような失敗を避けるために押さえておきたいのが、次のようなポイントです。

社員の不満に敏感になる

経営者は、社員の不満に常に気を配ることが大切です。
人事評価制度の失敗で多いのが、経営者が気づかないうちに社員の不満が高まってしまうパターンです。
業績が正しく評価されないような基準を設けていると、知らない間に社員が抱える不満やストレスが大きくなっていることもあります。

また、極端な基準を設けることも社員の不満を煽る一因になりかねません。
日本の場合、欧米のような成果主義に偏った人事評価はなかなか社員に受け入れられないケースもあります。
人事評価制度を導入したことで社員のプレッシャーが大きくなり、欠勤などが増えると期待していたようなメリットが得られない可能性があります。

評価の基準を曖昧にしない

評価の基準を曖昧にしないことも、人事評価の失敗を避けるうえでの重要ポイントです。
基準が明確でないと、自分が受けた評価について疑問を感じる社員もでてくる可能性があります。
このような状況を避けたいときは、評価のチェックポイントなどを社員にひと通り公開しておくのがひとつの方法になるでしょう。

具体的なチェックポイントがわかれば、社員も自分が受けた評価が現実に合っているかどうかを判断しやすくなります。
人事評価の基準を明確にすることは、評価の公平性を保つうえでも重要です。

また、基準を公開すると、会社が求める能力やスキルを社員に理解してもらえる場合があります。
評価の基準を公開することにはいろいろなメリットがあるため、
企業には人事評価シートなどを社員と共有して基準をオープンにしているところもあります。

人事評価の基準を社員にどのくらい公開するかについても、事前のプランニングの段階でよく考えておきましょう。

評価する側のスキルアップを欠かさない

人事評価では、評価をする側の能力やスキルも問われます。
評価の基準を入念に絞り込んで設定していても、実際に評価を担当する社員の判断が正しくないと間違った評価をしてしまう可能性がありますよね。
実際、担当者の能力やスキルに差がある場合には、さまざまな問題が生じてきます。

たとえば、担当者による評価の差が大きいと、社員が疑問をもったり不満を感じたりすることがあるかもしれません。
こういった問題が起こったときには、企業全体への信頼が失われる可能性も無きにしも非ずです。

人事評価シートのテンプレートなどを使用する場合も、評価をおこなう社員に対してはしっかりと教育をおこなっていく必要があるでしょう。
評価者の能力やスキルを高める取り組みとしては、社内研修などが挙げられます。

こういった研修では、人事評価を担当する社員を集めて評価の基準や評価方法などについてあらためて確認をおこないます。
基準をひと通り理解していても、実際に評価の業務をこなすなかでは、担当者が判断に迷ってしまうケースも少なくありません。

定期的な研修があれば、疑問点などをその都度担当者が確認できるでしょう。

 

経営にも影響を与える人事評価制度は慎重に選んで活用しよう

企業経営に大きな影響を与えかねない人事評価制度は、内容をよく吟味して慎重に選ぶ必要があります。
適切な評価をおこなって社員の一人ひとりが満足して働ける職場を作り上げれば、業績アップなどの喜ばしい変化が現れる可能性もあります。

業種別の評価の基準や評価方法の種類などをひと通りチェックして、自社に適した制度を導入、活用していきましょう。

 

武蔵野のサービスに
ご興味が出てきた方

CONTACT