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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2023/12/14 14:17

経営

企業のQCサークル活動とは?事例やメリット・進め方のポイントなどわかりやすく解説

読了まで約1分

企業のQC(Quality Control)サークル活動とは、現場の社員を複数のグループに分け、品質管理や改善について協議を行い、その結果を基に行動を起こす活動のことです。

本記事では、企業のQCサークル活動の概要や得られるメリット、活動を進めるための手順やポイントなどについてお伝えします。
自社製品の品質管理や品質改善などに課題を抱えている経営者や代表者の方はぜひ参考にしてください。

企業のQCサークル活動(小集団活動)とは

企業のQCサークル活動を理解するために、QCサークル活動の概要や「QCサークル活動は無駄」と言われる理由などについて解説します。

QCサークル活動の概要

QCサークル活動は、現場で働く社員でグループを結成して品質管理や品質改善について話し合い、意見を出し合いながら行動を起こしていく活動を指します。
元々は製造業を中心とした活動であり、工業製品の品質向上が主な目的でした。

企業規模にもよりますが、QCサークル活動は1グループ10名程度の小集団で活動します。
そのグループのなかでリーダーや書記などそれぞれに役割を持たせることが特徴です。

QCサークル活動の歴史

QCサークル活動の歴史は古く、その概念は今から70年以上前の1950年にアメリカの統計学者『W・エドワーズ・デミング』が提唱したものです。

また、この概念を最初にビジネスの現場で活用したのは日本ともいわれています。
1961年にTQC(Total Quality Control)として経営管理の画期的刷新と、良質廉価な製品の生産と開発を目的にトヨタ自動車が導入しました。

その後、2004年には事業のグローバル化を背景に海外事業体で導入を進め、改善事例発表や研修会、各事業体の活動責任者との交流などを開始しています。
この活動は、Grade up・Global・Toyota-Groupの『3つのG』を冠した『G-QCサークル活動』として活動を拡大しながら現在に至っています。

QCサークル活動の事例

当初は製造業を中心に発展したQCサークル活動ですが、その後、さまざまな業種でも活動が行われています。

医療業界では、グループごとに薬剤の請求漏れ防止、入院オリエンテーションの効率化、医療機器の適切な管理などテーマを決め取り組みを実施しています。

また、地方自治体では外部コンサルタントと協力しながら業務改善に向け納得性と実効性の高い改善策の実施などを行っています。

さらに近年では一般企業でもQCサークル活動による業務の品質改善は珍しくありません。
採用活動のフォロー体制強化やシステム開発におけるAI技術の習得、プロセスのデジタル化への取り組みなどが積極的に行われています。

「QCサークル活動は無駄」と言われる理由

製造業に限らずさまざまな業種での取り組みが増加する一方、QCサークル活動が無駄だという声も少なくありません。

その理由の一つは、長い歴史のなかでQCサークル活動への取り組みが形骸化してしまい、参加することに義務感を覚える社員が増えたことです。
また取り組んだ成果を実感しにくいことなども挙げられます。

しかし、QCサークル活動自体が時代遅れになったわけではありません。
それは2023年現在、世界で80カ国以上の国でQCサークル活動が実施されていることからも明らかです。

参加する人がなんとなくではなく、明確な意識を持つことでQCサークル活動の成果を上げられるでしょう。

 

企業のQCサークル活動で得られる3つのメリット

企業のQCサークル活動で得られる主なメリットは、モチベーションの向上、現状の可視化、団結力の向上です。ここではそれぞれについて解説します。

1. モチベーションが向上する

QCサークル活動は、既存業務プロセスの見直しを行うことでボトルネックを見つけ出し、対策を協議して改善するのが基本です。
効果的な改善が行われれば現場の効率化を実現できるため、達成感や充実感を得られるなど社員のモチベーション向上につながります。

2. 現状を可視化できる

QCサークル活動で成果を上げるには漠然と改善点を見つけるのではなく、データを活用した数値化やグラフ化による定量分析が欠かせません。
正しいデータを元にした現状の可視化が可能になり、改善すべき点や改善対策を明確にできるからです。

QCサークル活動を全社で取り組むことにより、企業全体の課題点や改善すべき点が客観的に把握できることは企業にとって大きなメリットといえるでしょう。

3. 団結力が向上する

QCサークル活動では、グループ単位で共通の課題解決に取り組むため団結力の向上も期待できます。
また、同じ部署内だけではなく部署を横断したグループ編成にすれば、いつもは接点がない社員同士のコミュニケーション活性化にもつながるでしょう。

さらにQCサークル活動はメンバーが自主性を持って協議を行い、その結果をもとに行動を起こすのが基本です。
そのため、あらゆる業務に対し主体的に取り組む能力が向上し、組織の活性化につながります。

 

企業のQCサークル活動を進める手順

企業のQCサークル活動をスムーズに進めていくには、一定の手順を踏んでいくことが欠かせません。
ここではQCサークル活動を進める手順を解説します。

1. サークルメンバーを決める

まずはサークルメンバーを決めることから始めます。サークルメンバーは同じ部署の人同士や、部署が異なる人同士などさまざまです。

サークルメンバーの上限は10名程度とし、企業規模や取り組み範囲によって異なりますが、多くても5~8名程度にするとよいでしょう。
サークルメンバーを20名、30名などの大人数にしてしまうと各メンバーの発言機会が減ってしまい、ただ単に参加しているだけの人が出てしまうからです。

2. 活動テーマを検討する

サークルメンバーが決まったら次に活動テーマを決めます。
QCサークル活動のテーマは現状の業務分析を行い、そこで見つけ出した課題点を絞り込んだうえで決定してください。
そこで現状分析の実施が欠かせません。現状分析のポイントは、部署ごとに設定している数値目標と実績の差が大きいものを見つけ出すことです。

製造業であれば、不良発生率や在庫回転率、製造リードタイムなどの数値から問題点を洗いだします。
問題点を洗い出したら、コスト面や緊急性、重要性などを加味して絞り込み、テーマを選定します。
具体的なテーマの例は「在庫回転率を〇%向上させる」「製造リードタイムを〇日短縮する」などです。

3. 現状把握・目標設定を行う

活動テーマを決めたら改めて関連するデータを収集し、定量分析で現状を把握します。
業務のどの部分をいつまでにどのような方法で改善するのか目標設定をしてください。

目標設定を行うために必要となるのが層化です。
層化とは、テーマに基づきデータの収集を行い、人や環境、時間など共通項や特徴を見つけ出しグルーピングすることを指します。
その後、それぞれのグループごとに課題を細分化していきます。

4. 問題発生の原因を分析・検証する

層化によって見つけ出した問題点を解決するため、特性要因図を用いて問題が発生する原因の分析と検証を実施します。

特性要因図とはフィッシュボーン図とも呼ばれるもので、問題を『人(Man)』『機械(Machine)』『方法(Method)』『材料(Material)』の4つのMに分類して要因を見つけるフレームワークです。

人手不足ではないか、設備が整備されていないのではないか、効率的な方法を使っていないのではないかなどそれぞれに対し問題となる要因を検討していきます。
その後、さらにグラフを活用して分析と検証を実施して原因の究明を行います。

5. 問題の改善・対策を実行する

問題発生の原因分析を終えたらメンバー間で協議を行い、改善対策案を立案し、実行していきます。

例えば、人手不足が原因だった場合、業務の割り振りを見直して問題が起こりやすい箇所に人員を多く配置する、手作業によるミスの多発が原因であれば、システムやツールを導入する、二重チェックを徹底するなどです。

6. 効果を測定する

問題の改善・対策を実行したらそれで終わりではなく、必ず効果測定を実施しなければなりません。

事前に立てた目標設定の達成度を検証し、メンバー間で共有します。
達成度が低い場合は改めて問題の原因を分析してください。原因によっては改善策の立案からやり直す必要があるかもしれません。
効果測定の実施や検証を繰り返しながら目標設定の達成度を高めていきます。

 

企業のQCサークル活動を進めるポイント

企業のQCサークル活動を進めるための主なポイントは、QCの7つ道具を活用することと、適切なフィードバックを行うことです。
それぞれについて詳しく解説します。

QCの7つ道具を活用する

QCを成功させるために必要な7つの道具とは次のとおりです。

  1. グラフ:棒、折れ線グラフやレーダーチャートなど、現状把握やこれまでの変化の確認に活用
  2. パレート図:棒グラフと折れ線グラフを組み合わせた複合グラフ。それぞれの要素への影響度や関連度の分析に活用
  3. ヒストグラム:量的データ分布の様子を見るための統計グラフ。製造現場においては数値解析に活用
  4. 散布図:2つの項目の量や大きさを見るためのグラフ。人と時間のように2つの要素の相関関係の分析に活用
  5. 管理図:品質のばらつきを時系列で分析・管理するためのグラフ。業務工程の安定度合いの把握に活用
  6. 特性要因図:問題を人(Man)・機械(Machine)・方法(Method)・材料(Material)の『4つのM』に分類して要因を見つけるフレームワーク。
  7. チェックシート:QCサークル活動を実施していくなかで漏れがないかを確認するために活用

これらの7つ道具を適切に活用すれば正しい分析が実現できるため、QCサークル活動の迅速化に加え、成功の確度向上が期待できます。

報告・フィードバックを行う

QCサークル活動はグループ単位で行うため、情報の共有が欠かせません。
参加者同士の情報共有はもちろん、上司や経営層への報告も必須です。

また、下から上への報告だけではQCサークル活動に対する企業の姿勢が見えてきません。
現場社員のモチベーションも上がらないため、報告を受けてのフィードバックも欠かせず行うようにしましょう。

経営層も積極的に問題改善に取り組んでいることを示すことで意味のあるQCサークル活動が実現します。

 

企業のQCサークル活動を円滑に進めよう

企業のQCサークル活動とは、1グループ10人程度に分け役割を分担しながら品質管理や改善を実現させるための施策を協議し、実際に行動に移すことです。

QCサークル活動はトヨタが1961年に導入してからすでに60年以上が経過しているため、一部では「時代遅れではないか」といった声も聞かれます。
しかし品質管理が重要であることは今も昔も変わりません。今の時代に合ったやり方を模索しつつ、適切に活動を実施すれば高い効果を得ることは可能です。

高い効果を得るためには、企業の代表者である社長が社員に対して明確なメッセージを発信し、価値観の共有や品質管理を徹底する意識を芽生えさせることが欠かせません。
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現場意識の共有にも活用できますのでぜひご活用ください。

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