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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2023/01/27 10:00

経営

強制的に長期休暇を取らせて社員を育てるしくみとは【働き方/休暇】

読了まで約3分

日本では、長期休暇を取りにくい企業も多いですが、長期休暇を社員に取らせることには多くのメリットがあります。

この記事では、長期休暇のメリットや、長期休暇を取りやすい企業の特徴について詳しく解説していきます。

 

長期休暇とは

長期休暇とは、企業に連続して勤務する社員が取得できる長い休暇のことです。
経済産業省が人材力の強化ために欧米の休暇システムを日本に導入しました。

休暇は法定休暇と特別休暇の2種類に大きく分けられます。

法定休暇は、年次有給休暇、産前産後休暇、生理日の休暇、育児・介護休暇、子の休暇や介護休暇等があります。
特別休暇には、夏季休暇、慶弔休暇、リフレッシュ休暇、アニバーサリー休暇、サバティカル休暇等があります。

休暇を取得する場合には、労働者は事前に報告をすることが義務付けられています。

 


日本で長期休暇が浸透しない理由

日本では長期休暇が企業の中で浸透していないと言われていますが、
その理由として日本特有の性質が関係しているといえます。
国にもよりますが、海外では残業する人を「仕事ができない人」と捉える傾向があります。

一方、日本では「長く働いたものが偉い」という労働=美徳と捉える慣習があります。
その背景として高度経済成長期に『働けば働いただけ利益を生み出すことができる』という経験をしたためだと言われています。

長時間働く人を高く評価するような企業風土がまだ残っており、他の人が働いている中、
自分だけ休むのは気が引けるという意識が働いてしまうというのも、長期休暇を取りづらい理由として挙げられるでしょう。

その他、国民の祝日が年間16日と多いことも休暇を取りにくい要因の1つです。
ちなみに、バカンス大国として知られるフランスでも祝日は年間11日なので、更に5日も多い計算になります。

この祝日の多さから、適度なリフレッシュが望めると考えられ、長期に渡る休暇の取りづらさに直結しているようです。

 

海外の長期休暇事情

フランスやオーストラリア、カナダ、イタリアといった国では、1カ月以上の長期休暇取得が当たり前になっています。
フランスでは「バカンス法」があり、1980年代には25日間の有給休暇を社員に与えることが義務付けられています。
この法律を守らない企業には、罰則が科せられることになっています。

日本とは違い、海外ではプライベートを重視するという考え方の人が多く、
「仕事は人生の一部であり最優先ではない」という社会全体の考え方が長期休暇の普及を促進させています。

 

ある中小企業の長期休暇制度

ある中小企業の長期休暇は、社員が自分で申請して取得する年次休暇等とは違い、会社側が勝手に割り振ったスケジュールに従って休む制度があります。
主に月末から月初の繁忙期に、課長職以上は連続して9日間、一般社員も3~5日間の有給休暇を与えられます。

長期休暇中に出勤して仕事をすると、始末書を書かされます。もし始末書を2度提出することになれば、賞与は半額に減額されます。

なぜこの制度が業績アップにつながるのでしょうか。
ある中小企業の社長は、長期休暇を義務づけることによって、社員にも会社にもメリットがあると考えているのです。

 

長期休暇がもたらすメリット

社員のプライベートの充実

メリットのひとつは、社員のプライベートの充実です。
働いていると、職責が上がるにつれ、家庭を犠牲にする会社人間に偏りがちですが、それではいい仕事は出来ません。
円満な家庭環境が基盤にあってこそ良い仕事が出来るというものです。

強制的な長期休暇の付与は、会社人間を作り出さないために必要なのです。

仕事内容の可視化・共有化

繁忙期に必ず誰かが休むわけですから、抜けた穴を補うため、誰もが何かしら業務の代行を請け負うことになります。
そのためには仕事のマニュアル化が必要ですし、業務の進捗状況も見てわかるように管理する必要があります。

これは仕事のブラックボックス化を防ぐためにはとても有効です。
特定の人に仕事を任せると、何が行われているかが見えにくくなりますが、
誰かがその仕事を代行できる仕組みを整えてしまえば、仕事に対して人をつける、というスタンスが基本になります。

また、誰かが代行する仕組みが整うことで、それぞれの仕事に対するダブルキャスト化も可能となり、社員の層に厚みが出ます。

コミュニケーションの充実

上司は、自分の休暇中も業務が滞ることなくきちんと回るように、部下を教育する必要に迫られます。
一方で部下は、上司の休暇中は責任ある仕事を任され、かつ自身の仕事と二人分をこなす必要があるわけですから、
普段から自覚を持って上司の指導を受けるようになります。同僚同士も、いつでも業務代行が出来るように情報交換をしておく必要があります。
こうすると自然に職場の中で、教育やコミュニケーションが行われるようになっていきます。

また、長期休暇の日程は、自身の都合で変更することは出来ません。
自分に割り振られた日程では都合が悪い時は、他の社員と代わってもらうことになります。

そうしたやり取りが支障なく出来るようになるためにも、やはり普段から円満な人間関係を作っておくことが必要になるのです。
結果として、風通しのいい職場環境の実現が可能となります。

 

社員が長期休暇を取りやすい企業の特徴

サバティカル休暇を導入している

サバティカル制度とは、長期間勤続している労働者に対し、最低でも1ヶ月以上の休暇を与える制度のことです。
会社の制度を使って、正々堂々と長期休暇を取得できます。

繁忙期と閑散期の差が激しい

繁忙期と閑散期の差が大きければ、閑散期に長期休暇を取得することができます。
繁忙期であればその分出勤日数が増えたり労働時間が伸びたりすることがありますが、逆に閑散期は少人数でも業務を回すことが可能です。

会社独自の休暇制度を設けている

結婚記念日や子どもの誕生日を休みにするなど、その会社独自の休暇を設けている場合があります。
それ以外にも永年勤続休暇や、リフレッシュ休暇がある会社なども、長期休暇が取りやすい会社だといえるでしょう。

それらの休暇は年次有給休暇とは別に取得することができるものなので、それらを駆使すると長期休暇を作ることができます。

有給休暇の消化を義務付けている

有給休暇の付与は、労働者に対する権利なので当然のことです。
更に2019年4月には労働基準法の改正により、年に10日以上の有給休暇が付与されている労働者には、必ず5日取得させることが義務化されました。

企業によっては、上記に該当しない場合でも取得を義務付けているところもあります。気兼ねなく取得できるのは、従業員にとっても嬉しいポイントです。

 

リフレッシュ休暇とどう違う?

最近、導入する企業が増えてきた「リフレッシュ休暇」と今回紹介した「長期休暇」は何が違うのでしょうか。

リフレッシュ休暇とは、その名の通り、社員が心身ともにリフレッシュするために設けられた特別休暇です。
一般的には、一定の勤続年数を超える社員に、あるいは勤続の節目といった場面で、社員本人や家族を慰労する意味で付与される休暇です。

メリットとしては、家族と過ごしたり自己啓発のための時間を持つなどしてプライベートの充実を図れる点や、
仕事を離れてリフレッシュすることによる労働意欲の向上などが挙げられます。また働きすぎを防ぐことで、精神的、身体的な健康の維持も図れます。
自分で取得時期を選べるので、旅行などの予定に合わせて、計画的に利用できるのも大きなメリットです。

ただし、年次有給休暇や夏季休暇のように、全員が取得できる休暇ではありません。
プライベートの充実や心身の健康の維持という意味では、今回紹介した長期休暇制度も同様と言えます。

ただしこの場合、休暇を付与することで職場に生じる人手不足の状態を逆手に取って、職場の環境整備にまで目を向けた点が「リフレッシュ休暇」とは大きく異なっています。

ある中小企業では、長期休暇を社員全員にまんべんなく、しかも強制的に付与することで、業務の効率化や共有化をルーティンとして定着させることに成功しました。
長期休暇があることによって、職場が活性化し、社員がより高いレベルに向かって自ら成長していくように仕向けられているのです。

長期休暇を慰労や報酬の意味合いだけにとどめず、休暇そのものも業績アップにつながる戦略と捉えたところに、今回の事例独自の視点があると言えるでしょう。

 

まとめ

厚生労働省は「リフレッシュ休暇」のメリットのひとつとして、「代わりの業務を遂行する労働者の成長にもつながる」と謳っています。
しかし一定の勤務年数ごとに廻って来るリフレッシュ休暇は、言わば不定期な休みであり、業務の代行を定着させるためには頻度が低いと言えるでしょう。

今回ご紹介した「長期休暇制度」は、業務の代行をルーティン化させ、継続的に社員の成長を促す制度でもあります。
「長期休暇」を、取得した本人だけのメリットにとどめず、他の社員や職場の環境そのものにもメリットとなるよう視点を変えたことで、業績アップにつながる戦略となったのです。

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