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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2023/04/14 09:55

経営

監査とは?必要な理由や種類・行われる内容や押さえるべきポイントを簡単に解説

読了まで約4分

監査は「健全な経営が行われているかどうか」について、監査人による経営状態の確認や報告を行う作業として行われ、法律によって監査が義務付けられている企業もあります。

この記事では、監査の概念や会社法監査の意味と義務、監査が必要な理由や目的、内部監査や外部監査などの種類および内容について解説していきます。
押さえるべきポイントについても説明するのでぜひ参考にしてください。

 

監査とは

そもそも監査とは、「何かしらの事柄について監督や検査を行うこと」という意味を持つ言葉であり、「保証」や「監査意見」と表現される場合もあります。

一般的には業務執行、会計、経営などを監督・検査し、公認会計士が「決算書の内容が正しいかどうか」を判断して意見します。
「健全かつ合理的な経営が実施されているかどうか」を確認するプロセスともいえます。

監査をクリアすることで会社の信用がアップするだけではなく、問題点を解決するために組織体制や事業プランを効果的に見直せるかもしれません。

会社法および金融商品取引法において、一定の要件に該当する会社には監査が義務付けられています。

会社法監査の意味と義務

会社法監査とは、公認会計士や監査法人が「計算書類および附属明細書が適切に作成されているかどうか」を監査する業務を指します。

上場企業や大企業など、一定の要件(資本金5億円以上または負債額が200億円以上)を満たす会社には会社法監査が義務付けられている一方、小規模な会社は対象から外れています。
影響を受ける利害関係者が少ないためです。

監査が必要な理由

監査は株主や投資家、債権者に対して利益や成長などの経営実態を明らかにするために必要です。
形式の違いはあっても会社に出資しているため、経営状況が芳しくなければ損害を被ることになります。
つまり、株主や投資家、債権者を保護するために監査は必要ということです。

出資している人々に「経営の健全性や整合性を示して信用を担保すること」は企業の責任と考えられています。
そのため監査によって経営状態のチェックを受けることが必須なのです。

 

監査の種類

監査の種類には以下があります。

  • 【内部監査】組織に属する監査人による監査
  • 【外部監査】第三者による監査
  • 【監査役監査】主総会で選任された監査役による監査
  • 【会計監査】公認会計士や監査法人による監査
  • 【業務監査】会計業務以外の業務を対象とする監査

それぞれ解説するので参考にしてください。

【内部監査】組織に属する監査人による監査

内部監査とは、社内組織で選任された内部監査人によって行われる監査です。
各企業が任意で実施しますが、上場企業に関しては義務付けられています。
ただし、実施が任意の企業にとっても、会社経営の健全性を示すために内部監査は重要です。

内部監査の目的として、内部ルールの機能によるリスクの軽減や、経営目標の達成、不祥事の防止などがあります。
経営がルールに則って行われているかどうかや、リスクにつながる行為がないかどうかを確認します。

調査項目は複数あり、特性によって会計監査、ISO監査、システム監査などに分類されます。

【外部監査】第三者による監査

外部監査とは、公認会計士や監査法人のような外部(独立した第三者)が実施する監査です。
会社法監査と金融商品取引法監査に分類されますが、いずれも一定の要件を満たす企業に義務付けられています。

外部監査の目的は、株主や投資家、債権者などに対して、会計処理や業務が適切に実施されているかどうかを明示することです。

仮に外部監査が存在しなければ、一方的に財務諸表が公開される形となり、投資家は適切な判断が難しくなるでしょう。
安心して株式の売買や譲渡を行うためにも、「第三者が公正かつ中立に企業の財務諸表を担保する」という目的が外部監査にはあるのです。

【監査役監査】主総会で選任された監査役による監査

監査役監査とは、株主総会で選任された監査役が行う監査です。
会社法の規定により、資本金5億円以上または負債総額200億円以上の大会社などは監査役の設置が義務となっています。

監査役監査では業務監査と会計監査の両方を行いますが、一般的な意見交換だけではなく、実際の監査に立ち会う必要があります。
監査役には公認会計士が選任されるケースが多いようです。

監査役監査の目的として、職務執行の違法性の確認や、取締役の違法行為の差し止め請求などがあります。
そのためにも監査役は取締役会に出席し、必要があれば意見を述べなければなりません。

【会計監査】公認会計士や監査法人による監査

会計監査は監査対象による分類であり、企業が作成した財務諸表(金融商品取引法において作成義務がある書類)に対して、会社に利害関係がない中立な会計監査人が実施します。
「決算書が適切に処理されているかどうか」という目的に基づく確認です。
前述した監査役監査や内部監査の場合も会計監査は実施されます。

なお、会計監査を受ける義務は大会社や上場会社に限らず、地方自治体や一定の社会福祉法人にも課せられるという特徴があります。

【業務監査】会計業務以外の業務を対象とする監査

業務監査も監査対象による分類です。
財務諸表にかかわる会計監査に対して、生産、販売、物流などが社内規定に基づいて実施されているかどうかをチェックします。
組織体制や業務規則も対象となっており、内部監査や監査役監査で実施されるという特徴があります。

また、海外事業所や子会社だけではなく、外部委託の業務が対象になるケースもあります。

 

監査で行われる主な内容とポイント

内部監査、外部監査、監査役監査で行われる主な内容とポイントについてそれぞれ解説します。

内部監査

内部監査で行われる主な内容に以下があります。

  • 監査計画の立案
  • 事前調査とデータの確認
  • 監査報告書を作成
  • 問題点の改善策の提案

監査計画の立案では、監査対象の範囲を決めたり、日程調整を行ったりします。
内部監査で対象となる部門の業務を網羅するため、詳細かつ緻密なプランニングが重要です。

その後の事前調査で用意された資料やデータに基づき、監査が必要なポイントを確認します。
部門ごとに必要なポイントが異なるため、監査計画の段階で整理しなければなりません。

内部監査終了後、結果をまとめた監査報告書を作成し、問題点の改善策を各部門の責任者に提案します。
改善策に従って実際に改善されているかどうかの後日確認も大切です。

なお、内部監査の評価対象には以下の3つがあります。

  • リスク回避策
  • 経営コントロール
  • 統治体制

上記のポイントを踏まえたうえで、内部監査を実施することがポイントになります。

外部監査

外部監査で行われる主な内容に以下があります。

  • 外部監査人の選任
  • 監査計画の立案
  • 数回に分けた監査
  • 数量一致の確認
  • 取引先に対しての残高を確認
  • 現金や有価証券との照合
  • 最終確認

外部監査人の選任では、中立な立場の公認会計士または監査法人と契約を結びます。
選任された監査人は監査計画を立案し、会社の期首から期末までに複数回の監査の実施が必要です。

期末日に棚卸しを行ったうえで、書類上の数量と実際の数量が一致しているかどうかを確認します。
期末日前後には財務諸表によって取引先の残高を確認する作業を行いますが、仮に差異が発生している場合は原因を追求しなければなりません。

期末日後、会社の現金や有価証券と財務諸表との照合を行った後、決算時に数値が正しいかどうかの最終確認を実施します。

なお、外部監査において、特に重要な書類は財務三表(貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書)です。

監査役監査

監査役監査で行われる主な内容に以下があります。

  • 財務諸表の確認
  • 自社の資金繰り状況の分析
  • 設備投資の状況の精査
  • 不正の有無の確認
  • 製品の不具合やセキュリティ体制の洗い出し
  • 監査調書の作成

経理責任者と協力し、財務諸表が適切に作成されているかどうかを確認します。
その後、キャッシュフロー計算書で自社の資金繰り状況の分析を行います。過剰在庫の確認も大切です。

次に設備投資の状況として、投資額に対する利益の割合を精査します。
もし設備投資が不適切であれば改善策を立てなければなりません。

取締役や社員の不正(横領や盗難など)の把握も重要です。
会社に関する法律に抵触していないかどうかを確認します。

製品の不具合情報を収集するとともに、セキュリティ体制の洗い出しとして管理システムや社員の意識調査などを実施、監査役監査終了後、監査調書を作成して株主総会で報告を行います。

なお、監査役に与えられている権限は以下のとおりです。

  • 取締役や社員、子会社への事業報告請求や財務状況の調査
  • 取締役会の招集
  • 取締役に違法行為などがあった場合の職務差し止め

 

監査に適切に対応するには企業情報の整理が重要

監査は利害関係者に経営実態を明らかにするために必要です。
監査によって経営の信用を担保することは企業の責任と考えられています。

監査の種類には内部監査、外部監査、監査役監査、会計監査、業務監査があり、それぞれ役割が異なるので確認しましょう。

監査を受けることで会社の信用が向上する以外にも、経営上の問題発見につながるというメリットがあります。
組織体制や事業プランを見直すチャンスです。

なお、適切に監査に対応するには、企業情報の整理を含め、日頃から業務管理を徹底することが大切です。
その手段のひとつに環境の整備があります。
業務の見える化で社員に意識付けを行い、改善を繰り返して習慣化することにより、適切な環境が整備されます。

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