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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2023/05/19 15:53

経営

業務効率

ECRSの4原則とは?業務改善フレームワークのメリット・具体例

読了まで約4分

「自社の業務生産性を高めたい」という悩みは、ECRS(イクルス)の4原則で解決できる可能性があります。
ECRSとは、業務改善によって組織力を高める有名なフレームワークです。

本記事では、ECRSの概要や活用するメリット、注意点を順に解説していきます。
ECRSを導入した企業の事例も紹介するので参考にしてください。

ECRS(イクルス)の4原則とは

ECRSとはEliminate(排除)、Combine(統合と分離)、Rearrange(順序の入れ替え)、Simplify(簡素化)の頭文字をとった用語です。
この順序で検証することにより、不要な業務を削減して効率化を図れます。
さらにトラブルを最小化する効果も見込めます。

もともとは製造業の現場でよく用いられているフレームワークですが、現在はさまざまな業種・業界で使用されています。

ECRSのステップを1つずつ説明します。

Eliminate(不要なものを排除)

まずはEliminate(排除)として、不要な業務の除外を検討します。
日常業務には必ずといって良いほど無駄が潜んでいるものです。

不要な業務の例を見てみましょう。

  • 目的が曖昧なまま開催する定例会議や打ち合わせ
  • ルーティン化している上司や他部門への報告書
  • かかるコストが成果に見合わない営業活動
  • 新しい設備の投下で不要になった検査項目
  • 反応を得られない顧客へのニュースレター

また、必要とも不要とも言い切れない業務に関しても、単なる慣習として残っている可能性があるので排除を検討します。

排除は費用をかけず実践できるため、ECRSのファーストステップに位置づけられています。
時間短縮という側面からも重要です。

Combine(似たものを統合)

排除のステップが終了した後、Combine(統合と分離)を検討します。
結合とは類似業務をまとめる作業、分離とは複雑な業務をシンプルに分ける作業です。
統合によってコストの削減を図れますし、分離することで効率化できる可能性があります。

結合の具体例は以下の通りです。

  • 従業員に対する個別連絡をグループ化する
  • 複数の人間が行っていた軽微な機械検査を1人で済むように改善する

分離の具体例には以下があります。

  • 社内ツールのプログラミングを工程ごとに複数人に振り分ける
  • 属人化していた書類作成と申請のプロセスを切り分ける

Combineのポイントはゼロベースでの見直しです。
「今から新規業務として対応する場合、どのようなフローが適切か」を考えることにより、結合と分離をスムーズに検討できるでしょう。

Rearrange(入れ替える・代替する)

Rearrange(交換)は業務の順序や担当者を入れ替えて効率化を検討するステップです。

例えば、「1→2→3→4→5」という作業フローを見直した結果、「1→3→2→4→5」と進めるほうがスムーズに進むといったケースが該当します。

Eliminate(排除)やCombine(結合と分離)が困難な場合でも、Rearrange(交換)によって効率化できるかもしれません。

Rearrange(交換)の具体例は次の通りです。

  • ルートセールスにおける顧客訪問の順序を変更する(より効率的なルートで回る)
  • 奥の棚にある使用機会が多い工具を、手前の棚にある使用頻度の少ない工具と交換する
  • 業務の流れを見直し、よりスムーズな流れに入れ替える
  • 紙で保存する必要がない申請書類をPDFに置き換える
  • 自社サイトの記事構成をAIに代替して考えてもらう

Simplify(業務を簡素化する)

Simplify(簡素化)は業務のパターン化や自動化、マニュアルによる単純化を検討するステップです。
誰が作業に携わってもクオリティを均一化できるうえに属人化を防げます。
人為的なミスも軽減できるでしょう。

Simplify(簡素化)の具体例には以下があります。

  • 作成する機会が多い資料をテンプレート化して時間をショートカットする
  • 給与計算のデータ入力を専用ソフトで自動化する
  • ルーティンワークのマニュアルを社内に設置して育成コストを削減する
  • 複数のパラメータ入力で設定していた装置を、1つのパラメータで自動設定する
  • 業務メールをチャットに置き換えて活用する

なお、マニュアル化の作成手順に関しては、以下の記事もご覧になってください。
仕事のマニュアル化は必要?標準化の効果や作成手順を紹介

ECRSの4原則を活用するメリット

ECRSの4原則を活用する主なメリットとして、生産性の向上、属人化の防止、情報共有の改善の3つが挙げられます。
それぞれのメリットについて詳しく説明していきます。

生産性の向上

ECRSでコストや業務量を減らすことで、生産性の向上が期待できます。
既存業務の必要性と妥当性を4原則に沿って見直すことにより、真に必要な業務が残るためです。

必要のない業務や社員の負担が減れば、従来の作業を短時間で行えます。
空いた時間で新しい企画の立案や、別な業務に集中できるため、生産性が高まると考えられます。

属人化の防止

ECRSの4原則の中で、特にSimplify(簡素化)は業務の属人化を防止します。
経験豊富な社員が担当していた業務をマニュアル化することにより、誰が行っても同じ質のアウトプットが可能になるためです。
「社員の〇〇さんが休むと業務が回らない」といった事態を防げるでしょう。

情報共有の改善

属人化の防止と同様に、Simplify(簡素化)によって情報共有がスムーズになります。
例えば、今まで電話やメールを多用してきた組織であれば、チャットに切り替えることでコミュニケーションの活性化が期待できるでしょう。
チャットは電話やメールよりも迅速に連絡できますし、画像、音声、動画、テキストデータも送信しやすいためです。

特に、新しいツールに慣れている若い世代にとって、「連絡手段は電話とメールのみ」といった制限は息苦しく感じる場合もあります。
自社の社員だけでなく、外部の取引先や顧客も同様に感じる可能性があるので、Simplify(簡素化)で最新ツールを導入し、情報共有を改善することをおすすめします。

 

ECRSの4原則を活用するときの注意点

ECRSの4原則にはメリットがある一方で、フレームワークを用いる際の注意点もあります。
注意点を理解したうえで、ECRSの4原則を活用するよう心掛けてください。

ここでは、「社内周知や協力が必要不可欠」「業務の洗い出しに時間がかかる」「対象業務の選定に注意が必要」という3つを取り上げ、説明します。

社内周知や協力が必要不可欠である

一部の社員のみが「ECRSの4原則で業務を改善しよう」と思っても限界があります。
どのような方法で改善を試みるのか、事前に現場の社員に周知し、理解を得ることが大切です。

現場の理解を得られない場合は、Eliminate(排除)で無駄な業務を除外しようとしても従わない社員がいたり、Combine(統合と分離)で業務の統合を試みても抵抗する社員が出てきたりといった可能性があります。
Rearrange(交換)やSimplify(簡素化)も同様です。

そのため、社内周知によって各部署にECRSの概要を伝えるとともに、積極的な協力を依頼しましょう。
「人手不足だから」「業務に追われているから」といった反対意見が出る場合は、ECRSによって効率化すれば、時間に余裕が生まれるという点も合わせて伝えることが大切です。

業務の洗い出しに時間がかかる

ECRSの4原則を実施するには、事前に業務の洗い出しや整理が必要ですが、想定よりも時間を必要とする可能性があります。
途中で投げ出さないよう、時間がかかることを理解したうえで取り掛かることが大切です。

前述したように、ECRSの目的には生産性の向上がありますが、ECRS自体に時間を費やしすぎてしまうと短期的な生産性は低下するかもしれません。
それでも最終的に、業務改善が実現できればメリットは大きいため、計画的かつ粘り強く取り組む姿勢が重要といえます。

対象業務の選定に注意する

全ての業務にECRSのフレームワークが適しているわけではありません。
高い効果が見込まれる業務の例として、次のような業務が考えられます。

  • コストパフォーマンスがよい業務
  • 作業時間が長い業務
  • 発生回数が多い業務
  • 関わっている従業員数が多い業務

費用に対して効果が高い業務や、作業時間を短縮すれば効率化する業務はECRSに向いています。
また、何度も繰り返す必要がある業務や、正社員や契約社員、アルバイト、パートが多数関わっている業務もECRSによって改善しやすいでしょう。

 

トヨタの事例

トヨタ自動車では、ECRSのEliminate(排除)の観点から業務を見直しています。
具体的には、生産方式の7つの無駄を削減する取り組みです。

  • 作りすぎの無駄:必要以上にものを作っている状態
  • 手待ちの無駄:一時的にやることがない状態
  • 運搬の無駄:付加価値を生まない不要な運搬
  • 加工の無駄:主要業務と無関係で不要な作業
  • 在庫の無駄:必要のない在庫
  • 動作の無駄:必要のない動き
  • 不良品・手直しの無駄:品質不良や修正作業

このような無駄を徹底的に取り除くことにより、自動化とジャスト・イン・タイムが生まれています。
自動化とは誰が行っても同じ作業になる仕組み。
ジャスト・イン・タイムとは、「必要なものを、必要なときに必要な量だけ作る」という考え方です。

 

ECRSを取り入れて業務改善を進めよう

ECRSはEliminate(排除)、Combine(統合と分離)、Rearrange(順序の入れ替え)、Simplify(簡素化)を検討し、業務の効率化を図るフレームワークです。

主なメリットに生産性の向上、属人化の防止、情報共有の改善がある一方、社内協力が必要で業務の洗い出しに時間がかかる点に注意しましょう。

ECRSの4原則を理解し、業務改善を進めたい場合は外部のコンサルティングサービスを検討してください。

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