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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

2022/10/25 15:00

経営

絶対評価とは?相対評価との違いやメリット・デメリットを解説

人事評価の方法は、絶対評価と相対評価の2つに分けられます。
絶対評価はあらかじめ設定されている評価基準に照らし合わせて社員の評価をする方法で、相対評価は周囲の社員と比較しながら評価する方法です。

絶対評価と相対評価はどちらにもメリットとデメリットがあり、どちらが優れた方法だということはありません。
企業の経営方針や理念を基に、適切な方法を選択することが重要です。

本記事では、絶対評価の特徴やメリットとデメリット、相対評価との違いなどをわかりやすく解説します。

 

絶対評価とは

絶対評価とは、企業が設定した評価基準に社員の能力や業績を照らし合わせて評価するものです。
小・中学校では、ゆとり教育の導入によって2002年に学習指導要領を基準とした絶対評価が導入され始めました。

自身もしくは企業の目標をどれだけ達成できているか、現時点での社員が持つ資格、コミュニケーション能力や自主性などあらゆる面の評価基準を数値化して評価します。

学校の成績表を例に、絶対評価を解説します。
絶対評価の場合、集団内の順位ではなく、個人の点数によって成績が決まります。

例えば「200点満点のテストで180点以上を5段階評価の5にする」という基準がある場合、180点以上の生徒の評価はすべて5の評価となります。

生徒全員が180点以上を取った場合は全員が5となり、一人も180点以上が取れなければ、5は0人となります。

周囲の学生が何点とったかを気にせずに、事前に決められた基準をもとに評価するのが絶対評価の特徴です。

 

相対評価との違い

相対評価とは、他の社員と相対的に評価する方法です。
相対的とは、比較することを意味します。

絶対評価と同様に学校の成績表を例に説明します。

絶対評価の場合は、全員が5の評価をとっても、5の評価が0人でも問題ありません。
一方、相対評価は他の人と比較しながら基準を定めるため、20人生徒がいる場合は5の評価をもらえるのは2人だけ、4が3人、3が10人、2が3人、1が2人というように事前に分布の割合を決めていきます。

先ほどの例のように、仮に5人が180点以上を取ったとしても5の評価を得られるのは2人だけになります。
残りの3人は4以下となるのが相対評価の特徴です。

 

絶対評価のメリットとデメリット

絶対評価は、他者との比較がなく評価基準のみで評価されるため、自身の能力や業績が明確になります。
自身の成果が評価に直結するため、モチベーションアップにもつながるでしょう。

ただし、明確な評価基準が定まってないと、逆に不公平感を持ってしまう可能性もあります。
ここでは、絶対評価を導入するメリットとデメリットを紹介します。

絶対評価のメリット

絶対評価のメリットは、社内に自分よりも能力や業績を上げている社員がいたとしても、評価に左右されない点です。
他者との比較によって自身の評価が下がってしまう心配がないため公平性が担保されます。

絶対評価には、他者との比較という曖昧な判断基準はありません。
自身の能力や業績を明確に数値化した結果のみで評価されるため、出された評価に対しても納得感が高まりやすいです。

評価が明確な分、自身の足りない点、課題点も明確になり、次のステップへ進むためのモチベーションにもなるでしょう。

絶対評価のデメリット

絶対評価のデメリットは、コミュニケーション力や自主性といった数値化が難しい判断基準が曖昧になりがちな点です。

簡単すぎても難しすぎても目標として機能しません。
職種や役職によって目指すべき目標は異なるので、全社共通の評価基準に加え、各部署の業務に落とし込んだ個別設定基準があると、より公正な評価ができます。

しかし、そこまで細かく基準を設定するのが現実的に難しい場合、目標設定・管理方法のひとつであるOKR(Objectives and Key Results)を取り入れることで、論理的に評価基準を決めることができるのでおすすめです。

企業側にとってのデメリットとしては、絶対評価の結果が出るまで報酬や賃金の予測が難しい点にあります。
相対評価のように、事前に各評価の人材が何名か分からないため、評価の高い社員が予想以上に増えた際、社員に還元する原資が不足する可能性もあります。

 

相対評価のメリットとデメリット

相対評価は段階別に評価の割合が決まっているため、報酬や賃金の予測がしやすくなります。
他者との比較になるため社員の競争心が高まり、成果につながる可能性もあるでしょう。

しかし、どれだけ成果を上げても自分以上に高い成果を上げている社員がいれば、評価は下がってしまうのはデメリットといえます。
相対評価のメリットとデメリットについても確認していきましょう。

相対評価のメリット

相対評価は一定の評価基準はあるものの、最終的には他の社員との比較によって評価が決まります。
評価をする人によって大きなばらつきが出る可能性は低く、全体でバランスの良い評価が可能です。

絶対評価の場合、同じ成果を上げれば同じ評価になりますが、相対評価は同じ成果の社員同士でも差が生まれる場合があります。
同じ成果でも、自分より高い評価の社員がいれば競争心が高まり、業績の底上げにつながるでしょう。

相対評価のデメリット

相対評価のデメリットは、社員の能力や業績を正しく評価できない場合がある点です。
同じ成果、数値的な結果を残せているにも関わらず、他の社員の方が評価が高くなってしまえばモチベーションが下がってしまうリスクもあります。
つまり、どんなにスキル・レベルの高い人材でも、所属する組織やチームによって評価が下がる可能性があるのです。

また、社員全体の結果が悪かったとしても、相対評価のもとでは一定の社員に高評価をつけなければなりません。
絶対評価とは別の意味で給与などの報酬原資が足りなくなる可能性もあるでしょう。

 

絶対評価が重要視される理由

絶対評価と相対評価のメリット、デメリットは表裏一体です。

新たに評価制度を導入する際は、どちらかが一方的に優れているといった評価方法ではないため判断は難しいでしょう。

どちらの評価方法・評価制度にも、長所と短所があります。
両方の制度の長短をうまく使い分け、自社に合った制度を運用していくことが重要です。

どうしても判断が難しい場合は、絶対評価と相対評価の両方を使うのも一つの方法です。
一次評価では試験や業務成績による絶対評価を行い、二次評価では集団内の順位付けを行う相対評価を行うといった方法もよく実施されています。


それぞれのメリットとデメリットを補完するように使いわければ、高い効果を発揮する可能性も高まります。

ただし、より社員の成果に対して適切な評価ができる方法といえば絶対評価と言われています。
なぜ、絶対評価が重要視されているのかについて確認してみましょう。

不公平さが少ない

絶対評価は相対評価に比べて不公平さが少なく透明性を保ちやすいのがメリットです。
能力や成果を数値化し、他者との比較をせずに評価できるため、結果の説明に悩む必要がありません。

成果を上げた分だけ必ず評価を得られるという分かりやすさが利点です。
社員の間で不満が溜まりにくい評価方法といえます。

相対評価は、同じ成果を上げているにも関わらず、評価に差が出てしまった場合、評価を下げてしまった社員に対して説明が難しくなります。

曖昧な説明をしてしまえば、社員に不信感が募り、モチベーションが下がってしまうリスクがあることも絶対評価に注目が集まる理由といえるでしょう。

企業の業績向上につながりやすい

絶対評価を導入した企業は、業績向上の可能性が高くなります。
他者との比較は関係なく、自身の目標を達成できれば評価も上がるからです。

相対評価の場合、目標を達成できても必ずしも評価が高まるとは限りません。
仮に目標数値の200%を達成しても、低い評価になる場合もあります。

もちろん高い評価を得るために、他者との競争心を持って業務に臨める人は、評価は高まるかもしれません。
しかし、他者を気にするあまり本来の自分の業務に集中できなかったり、相手の失敗を願ってしまったりする可能性もゼロではないでしょう。

絶対評価は、余計なことは気にせずに自身の目標に向かって進んでいけます。
部署やチームとしての目標を達成できれば、本人の目標達成につながる可能性も高まるため、チーム一丸となり団結力も生まれるでしょう。

 

絶対評価の運用注意点

絶対評価の運用を成功させるには、「明確な評価基準を設定する」「社員それぞれの目標を厳格に設定する」「結果の説明は必ず実施する」の3つを意識することが重要です。
それぞれについて簡単に説明します。

明確な評価基準を設定する

絶対評価の評価基準が曖昧になってしまうと、メリットである公平性を保てません。
特に、成果へのプロセスや積極性、自主性といった項目の評価は数値化しづらいため注意が必要です。
行動の量や試行回数などを数値化するなどの工夫で、評価基準を決めるようにしましょう。

また、明確な評価基準を設定したら評価者全員で共有し、評価項目ごとに基準が異ならないよう注意が必要です。
常に公平性を意識して運用していきましょう。

社員それぞれの目標を厳格に設定する

絶対評価において、社員が設定した目標が低すぎると簡単に達成してしまうため注意が必要です。

逆に目標を高く設定し過ぎると、成果を上げているにも関わらず評価がされないため社員の不満ももとになります。
目標設定は、必ず社員それぞれの能力や資質に合わせ、慎重に設定しましょう。

結果の説明は必ず実施する

どのような結果であっても、なぜそのような結果になったかについて、社員が納得できるように説明をします。
相対評価に比べ説明はしやすいとはいえ、説明がなければ不満は生まれやすいです。
適切な評価をしていると言葉でしっかり説明することで、企業に対する信頼感も高まります。

 

絶対評価の導入事例

絶対評価の導入事例を紹介します。

台湾で焼肉チェーンを展開する「乾杯」ブランドをはじめ、日本のラーメン店「一風堂」や博多焼鳥の「八兵衛」などの展開もしている「乾杯股份有限公司」の事例を見てみましょう。

同社では、相対評価を導入していたとき、プラス・マイナス査定の調整が困難だったり、社員の行動変容がないなどの課題を抱えていました。
企業の成長とともに社員数も増え、部門や店舗を超えて相対評価を行うことに限界を感じるようになり、絶対評価を導入しました。

他店舗との比較ではなく、自身が設定した行動目標を実行することに集中した結果、自発的に行動をする社員が増加しました。
ぜったいひょうの目標を達成すれば、会社からの評価も高まるため、成長を実感できるようになったそうです。

 

絶対評価の特徴を理解し人事制度に活かそう

あらかじめ設定した目標を達成し、他者の成果とは関係なく評価する絶対評価は、公平性やモチベーションアップにメリットがあります。
ただし、すべての評価を数値化させることが難しく、事前に決める目標設定が適性でなければ運用に失敗するリスクもあります。

絶対評価の導入は、企業規模が大きく相対評価の運用がしづらい企業に向いています。
とはいえ、相対評価と絶対評価それぞれの特徴を理解して、併用していく方法もあります。

各評価手法の内容を理解した上で、導入をしていきましょう。

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