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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2022/09/27 09:30

経営

VRIO分析とは?メリットや問題点・やり方や事例をわかりやすく解説

読了まで約4分

「VRIO分析で何ができるかを知りたい」「VRIO分析のメリットや問題点などを把握したい」とお考えの企業経営者や代表者の方も多いのではないでしょうか。

VRIO分析は経営資源の分析をする際に役立つフレームワークです。
ヒト、モノ、カネ、情報のような自社の経営資源の状況を把握するためにも、4つの視点に基づいたVRIO分析の理解が必要です。

本記事では、VRIO分析の概要やメリット、4つの視点や事例などについてわかりやすく解説していきます。

VRIO分析とは

まずはVRIO分析の読み方と由来、概要について説明します。
VRIO分析の基本ポイントをおさえることで、後述するメリットや視点、具体的なやり方も理解しやすくなるでしょう。

VRIO分析の読み方と由来

VRIO分析の読み方は「VRIO(ブリオ)分析」で、Value(経済的価値)、Rarity(希少性)Imitability(模倣可能性)、Organization(組織)という4つの頭文字が由来となっています。

提唱者は経営学教授のジェイ・B・バーニー氏です。
『企業戦略論 競争優位の構築と持続』というバーニー氏の著作の中で、競争優位のリソースを見出す『リソース・ベースト・ビュー』という手法が記されています。

リソース・ベースト・ビューの元々の提唱者はB・ワーナーフェルト氏ですが、バーニー氏によってVRIO分析が確立された後、世間に広く浸透したという経緯があります。

VRIO分析の概要

VRIO分析は、主に自社の競合優位性や経済資源を知る際に活用されるフレームワークです。
具体的な経済資源には有形資産、無形資産、組織的能力が含まれます。

有形資産は企業が所有する設備や、土地・建物のような不動産が該当します。
無形資産には各種ノウハウ、ブランド、特許や商標などがあり、組織的能力とは顧客対応スキルのような組織の強みのことです。

上記のような経営資源に注目し、自社の強みと弱みを分析する手法がVRIO分析です。

 

VRIO分析で得られるメリット


VRIO分析で得られるメリットには、自社の弱み・強みの把握と経営資源の明確化があります。
それぞれの内容を解説します。

企業の弱みや強みを把握できる

VRIO分析によって自社の経営資源の弱みや強みを把握できます。

VRIO分析で自社の競争優位性を明確にすることによって、弱みの発見ができ、企業の方向性や経営戦略につなげることが可能です。

弱みの発見と同時に、自社が持っている経営資源の強みも把握できるため、今後どのような分野にリソースを集中すればよいかの判断基準になります。

このようにVRIO分析は、自社の経営資源の弱みと強みを把握することにより、弱みの改善を図りつつ、強みを活かせるというメリットがあります。

経営資源を明確にできる

VRIO分析によって自社の経済資源を明確にできるため、余剰資産を売却してリソースを集中させるといった経営判断などが可能です。

他にも、経営資源を見える化することで、全従業員の共通認識として浸透させやすくなり、ビジョンやミッションといった企業の行動指針にも反映できます。

このようにVRIO分析は、経営資源の明確化により、資産の集中化や従業員の意識改革などのメリットが期待できます。

 

VRIO分析の問題点


VRIO分析には、短期間での分析が困難かつ定期的な分析が必要という問題点があります。
ここでは問題点の内容と解決方法について解説します。

短期間での分析は難しい

VRIO分析は自社の経営資源を正確に把握する必要がありますが、組織力や従業員なども資源に含まれるため、短期間での分析が難しいという問題点があります。

経営資源が限られている小規模な企業は比較的早期に分析できますが、企業規模が大きければ大きいほど、分析に時間がかかる点には注意が必要です。

VRIO分析には、競合他社との比較が前提の項目がありますが、競合他社の内部環境に関する情報は限定的な部分があるため、どれだけ時間をかけても正確な分析は難しいという点を考慮しておくことが大切です。

定期的な分析が必要

VRIO分析を行う際は時間やコストが必要ですが、一度行えば永続的に分析結果を活用できるわけではありません。
マーケットの変化や競合他社の状況などを把握しつつ、定期的に分析する必要があります。

特にリーマン・ショックのような大不況や、新型コロナウイルスのようなパンデミックによって大規模な市場の変化がある場合は、過去のVRIO分析の結果をそのまま活用するのではなく、抜本的な見直しが望ましいといえます。

 

VRIO分析に使用する4つの視点


VRIO分析に使用する4つの視点は経済的価値(Value)希少性(Rareness)模倣可能性(Imitability)組織(Organization)です。
実際にVRIO分析を活用する際は、それぞれの問いに回答する必要があります。
4つの視点とそれぞれの問いについて以下で解説します。

1.経済的価値(Value)

経済的価値(Value)の問いは「自社が保有する経営資源は外部の脅威(ピンチ)と機会(チャンス)に対応できるかどうか?」です。

つまり「自社にとってリスクとなる市場の変化に適応すると共に、チャンスにつながる変化に対して積極的に対応できるかどうか」ということを意味します。

なお、経済的価値は金銭に限らず、従業員のスキルや土地、建物、機器類なども含まれます。
このような資源によってピンチを最小限に食い止め、チャンスを最大限に活かすことが大切です。

2.希少性(Rareness)

希少性(Rareness)の問いは「自社の経営資源やビジネスモデルは、業界において希少性が高いかどうか?」です。

競合他社との比較によって、自社が蓄積する技術やノウハウが差別化できているかどうかを検討します。
希少性はマーケティング戦略のポイントになるため、「自社が競合他社よりも優れている部分は何か?」という観点からじっくり考えることが大切です。

3.模倣可能性(Imitability)

模倣可能性(Imitability)の問いは「経営資源を保有していない他の企業が、今から自社と同じ経営資源を獲得する場合、必要な費用や時間はどのくらいかかるか?」です。

競合他社が簡単に自社を模倣できるかどうか、低コストかつ短期間で業界に新規参入できるかどうかといった視点がポイントになります。

例えば自社が特許を取得していたり、競合他社にとって真似が難しい独自技術を持っていたりすれば、模倣可能性は低いと考えられます。

4.組織(Organization)

組織(Organization)の問いは「自社の経営資源を最大限に活かせる体制が整っているかどうか?」です。

経済的価値(Value)希少性(Rareness)模倣可能性(Imitability)は経営資源に関する問いでしたが、組織(Organization)はリソースを扱う企業自体への問いという違いがあります。

自社の組織運営が適切に機能していれば、業界内で競合優位性を発揮できる可能性があります。

 

VRIO分析のやり方


VRIO分析のやり方としては、最初に目的やゴールを明確にした後、自社が持っている経営資源を把握し、前述した4つの問いに回答しながら進めていきます。
それぞれのプロセスに必要な要素を解説します。

1.VRIO分析の目的やゴールを設定する

まずはVRIO分析を行う目的やゴールを明確に設定する必要があります。
例えば、自社の強みを理解して販売戦略に利用したい、自社の弱みを把握して採用戦略に活用したいなど、さまざまな内容が考えられます。

ただし、目的やゴールを細かく設定しすぎると分析の負担が大きくなるため、分析範囲を明文化しておくことが大切です。

2.経営資源の棚卸しを行う

VRIO分析を行う際は、自社が持っている経営資源を棚卸しして把握する必要があります。
経営資源の棚卸しを行う際は、事業活動を順序立てて構成要素を洗い出すバリューチェーン(価値連鎖)と呼ばれる手法が役立ちます。

例えば自社で製造から販売まで手掛けるメーカーであれば、企画→設計→仕入れ→製造→販売→梱包→配送→管理といった流れが考えられます。
その後に各要素の機能を洗い出し、経営資源(人、物、金、情報)ごとに分類します。

上記のバリューチェーンの「梱包」という機能であれば、検品ノウハウ、機械による包装、包装物の確認、大規模な独自の保管場所などが考えられます。

3.VRIO分析の項目にイエスかノーで評価する

棚卸しを行った経営資源をVRIOの項目に照らし合わせて評価します。
先ほどの梱包のサンプルイメージは以下です。

上記のうち、機械による包装は経済的価値(V)があり、希少性(R)はクリアしているものの、競合他社も機械を導入すれば簡単に模倣されるため、模倣可能性(I)をクリアできず、組織(O)に進むことはできません。

一方、大規模な独自の保管場所に関しては経済的価値(V)と希少性(R)があり、競合他社が簡単に真似できないため模倣可能性(I)を通過し、組織的な活用によって組織(O)もクリアできるため、企業にとって優位性がある経営資源になります。

 

VRIO分析の事例


最後にVRIO分析の事例として、大手カフェ業界企業、大手アパレル企業、大手自動車メーカーの3社を紹介します。

大手カフェ業界企業の例

国内で他店舗経営を行う大手カフェ企業は「商品のラインナップ」と「スタッフ対応」に定評があります。
特にスタッフ対応には決まった接客マニュアルがなく、各店舗のスタッフが独自に判断して取り組んでいます。
それぞれのVRIOは以下です。

経済的価値(V)
庶民的ながら高級感あふれる店内。コーヒーはやや価格が高いものの独自の味わいがある

希少性(R)
店舗の世界観にオリジナリティがあり、美味しいコーヒーが飲める

模倣可能性(I)
世界各国の店舗で高品質のサービスが提供されているため競合他社が真似をしづらい

組織(O)
店舗スタッフの顧客対応力が高い

大手アパレル企業の例

生産から販売まで自社で手掛ける大手アパレル企業が特に評価されているのは「価格と品質を両立した製品開発」です。
SPA方式を採用しており、経営資源として非常に大きな魅力となっています。
SPA方式とは、企画から生産、販売までを自社ですべて補うビジネスモデルです。
それぞれのVRIOは以下です。

大手自動車メーカーの例

海外でも有名な大手自動車メーカーが特に評価されているのは「圧倒的な生産技術」です。

 

VRIO分析を企業の経営戦略に活用しよう


VRIO分析は経済的価値(Value)希少性(Rareness)模倣可能性(Imitability)組織(Organization)の頭文字を取ったフレームワークです。

具体的なやり方としては、最初にゴールを設定した後、自社の経営資源を把握し、4つの視点に沿って進めていきます。

短期間での分析が難しいなどの問題点はありますが、自社の経営資源を分析し、強みと弱みを把握することで、競合優位性を確認できるでしょう。

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