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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2022/09/27 09:30

経営

フリーミアムとは?4つの収益モデルやメリット・成功事例などわかりやすく解説

読了まで約3分

昨今、基本機能を無料で提供し、追加機能を有料提供して課金を促す「フリーミアム」というビジネスモデルを採用したWebサービスが多く登場しています。
フリーミアムを活用すると幅広くユーザーを囲い込めますが、安定した収益化を見込むには適切なサービス設計が重要です。

本記事では、フリーミアムの基礎知識やメリット・デメリット、実際の成功事例などを紹介します。

フリーミアムとは

はじめに、フリーミアムの基礎知識を解説していきましょう。

フリーミアムの意味と特徴

フリーミアムとは、基本となるサービスや製品を無料で提供し、より便利に使うための機能や上位プランに課金を必要とするビジネスモデルです。
オンラインゲームや音楽配信サービスなどのWebサービスでよく用いられています。

基盤となるサービスを無料提供することで顧客の購入ハードルを下げて、製品に対する理解や愛着を深めつつ課金につなげられるため、継続的な利益を期待できます。

ちなみに、フリーミアムという言葉は「自由、無料」といった意味の「フリー(free)」と「高価、割増」といった意味の「プレミアム(premium)」を組み合わせた造語です。

サブスクリプション(サブスク)との違い

サブスクリプションとはユーザーが定期的に定額料金を支払い、サービスを利用するビジネスモデルです。
サブスクリプションに設定するプランによって支払金額が異なるものの、全てのユーザーが利用料金を支払うシステムとなっています。

一方、フリーミアムは基本サービスを無料で利用できるシステムです。
したがって、追加機能を使いたいユーザーのみが料金を支払います。
サブスクリプションとフリーミアムの大きな違いは、全ユーザーが継続的に課金するのか、一部のユーザーが課金するのかが大きな違いです。

また、サブスクリプションでは、基本的に利用開始時から課金が発生するため、サービスのお試しが難しく、ユーザーからすると導入ハードルが高いという側面があります。
フリーミアムでは無料の段階で商品の特徴を確かめられるため、気軽に導入できるのがメリットです。

 

フリーミアム4つの収益モデル


フリーミアムは、さらに4つの収益モデルに分類することができます。
それぞれの特徴を解説します。

1.機能制限型

機能制限型は最も基本的なフリーミアムで、基本の機能を無料提供し、より高機能が必要になったときに課金が発生するモデルです。
有料プランに移行すると、新しい機能が使えるようになったり、サービスの自由度が高まったりします。

例えば、動画視聴サイトで有料プランに加入すると広告の表示がなくなる、音楽ストリーミングサービスで課金するとバックグラウンド再生ができるようになる、といったサービスが機能制限型に該当します。

2.容量追加型

容量追加型は、課金することで利用できるデータ容量が増えるモデルです。
スマートフォンの通信容量やインターネット経由のクラウドサービスでよく使われています。
使用頻度が増えるほど課金の必要性が高まるのが特徴です。

例としては、オンラインストレージサービスにおいて無料ではデータ容量が2Gのところ、課金すると1000Gに増やせる、スマートフォンで毎月のデータ使用量に制限があるプランでも、追加料金を払うと制限を解除できるなどがあります。

3.会員限定型

会員限定型とは、有料会員になることで会員限定の特典を得られるモデルです。
限定コンテンツやクーポンを提供することで、課金を促すことができます。
機能制限型や容量追加型と異なる点は、料金支払いのシステムがサブスクリプションである点です。
有料会員となったユーザーは、毎月または毎年定額の利用料を支払うことが一般的です。

有料会員限定で税理士からのアドバイスが受けられる会計サービス、会員のみ特別コンテンツを閲覧できる有名人のファンクラブなどが例としてあげられます。

4.都度課金型

都度課金型は基本的なサービスは全て無料で利用でき、必要な機能やサービス内の製品をその都度購入するモデルです。
ユーザーは必要なときだけ課金するため、定期的な課金が見込める他のモデルよりも収益が安定しない側面があります。

代表的な例は、オンラインゲームの課金アイテムやガチャがあげられます。
ほかにも、入園は無料でアトラクションに乗るときは乗車券を購入するシステムの遊園地、メッセージアプリでのスタンプや絵文字の購入なども該当します。

 

フリーミアムのメリット・デメリット


ビジネス戦略でフリーミアムを活用する際のメリット・デメリットを解説します。

メリット

基本機能を無料で使用できるフリーミアムのサービスは、導入ハードルが低くユーザーを獲得しやすいというメリットがあります。
シェアや認知の拡大を狙えるため、ユーザー層を広げやすく、サービス運営を軌道に乗せやすいといえるでしょう。

有料サービスだと「本当にこの料金を払う価値があるのか」とユーザーが立ち止まったり、購入手続きの手間によって途中で離脱したりする可能性があります。
一方、導入部分が無料だと「ひとまずやってみよう」というライト層を獲得しやすいのです。

一度ユーザーを獲得できれば、結果として課金につながる可能性も高まります。
無料部分によってサービスの良さや魅力を理解してもらえれば、ファンを育成することができるでしょう。
そのため、導入部分を無料で提供しても、結果として収益を生み出しやすいのです。

また、ユーザーの母数が大きいため幅広いユーザーから有効なフィードバックを得られやすく、サービスの改善につなげやすいというメリットもあります。

デメリット

課金につながらなかった場合、サービス開発や運営にかけたコストを回収できないリスクがあります。
無料登録によってユーザーを集めても、商品価値が感じられなかったり、有料プランの価格が高すぎたりすると、課金につなげることはできません。
ほかにも、無料部分の内容を手厚くしすぎても、ユーザーが満足してしまい有料プランを検討しない可能性があります。

有料化に失敗すると、サービス提供にかけた費用を回収できず赤字となってしまい、サービス存続が難しくなる場合もあるでしょう。

また、ユーザーを獲得してファンを育成し、安定して収益が得られるようになるまでには一定の時間が必要です。
収益化までの経営体制を整備し、十分な経営資金を確保してからサービスをリリースする必要があります。

 

フリーミアムによる失敗を避けるポイント


フリーミアムモデルでビジネスを展開する際には、できるだけ早く収益が発生するようサービス設計を行うことが重要です。
失敗を避けるための具体的なポイントを解説します。

有料プランの価値が伝わるようにする

無料部分でサービスの魅力や面白さを伝えることは大切ですが、手厚くしすぎてユーザーの満足度を高めてしまうと、有料プランへ移行する意欲を損ねてしまいます。
とはいえ、無料部分の内容が薄すぎてもユーザーがサービスに魅力を感じられず、有料プランへの移行を期待できません。

フリーミアムでは、無料部分と有料部分の線引きが重要なのです。
ポイントは「使い始めるきっかけ」と「課金する価値のあるもの」をそれぞれ設定することです。
ユーザーの心を動かすものを無料部分で提供し「より価値のある体験」が有料部分にあることを伝えるよう心がけましょう。

スムーズに有料プランへ移行できるように設定する

有料プランへの移行がスムーズに進められるよう設計されていないと、ユーザーが移行を思いとどまったり、途中で離脱してしまったりする可能性があります。
有料プランの手続きにかかる手間が最小限になるよう配慮することが大切です。

多くの場合、有料プランを契約する際はユーザー情報の登録やクレジットカードの登録、場合によっては住所や電話番号の登録などが必要になります。
入力画面がわかりづらかったり、何度もエラーが出てしまったりすると途中で離脱される可能性があるため、入力項目は最小限に抑え、簡潔な手続きで完了するように設計しましょう。

また、困ったときのサポート窓口がわかりやすいことも重要です。
問い合わせ先やサポートチャットなどはわかりやすい位置に配置してください。

フリートライアルも設定する

購入のハードルを下げるためには、トライアル期間を設定することも有効です。
どのようなサービス・機能なのかを課金前に確認できると、ユーザーも安心して登録を検討できます。

動画サイトやストリーミングサービスでは「有料プランを30日間無料体験」といったキャンペーンをよく実施しています。
有料プランの使用感を体験してもらうことで、スムーズに有料プランへ移行してもらえるでしょう。

 

フリーミアムの成功事例


最後に、フリーミアムを活用して成功しているサービスの事例を紹介します。

オンラインストレージサービス

オンラインストリーミングサービスを提供しているある企業では、無料プランで2Gのデータ容量を有料プランに登録すると2000Gに増やせるというビジネスモデルを提供しています。

このサービスのリリース当初は、Web広告によって新規ユーザーを獲得していました。
しかし、有料プランの加入者数が伸びず、広告費用がかさんで赤字が続いたため、「新規ユーザーを紹介すると無料で容量追加」というキャンペーンを開始したのです。
それによって大幅にユーザーを獲得し、現在ではユーザー数5億人を突破するサービスへと成長しました。

この紹介キャンペーンをきっかけとして、無料プランに加入していたユーザーの中から、容量を増加する必要性を実感したユーザーが現れたため、自然に有料プランへと移行する流れにつながったのです。

音楽ストリーミングサービス

国内でトップシェアを誇る音楽ストリーミングサービスでは、無料ユーザーにもプレイリストの作成や精度の高いレコメンド機能、歌詞の閲覧、バッググラウンド再生といった幅広い機能を提供しています。
また、再生回数の制限を設けないことで、数多くのユーザーを獲得しています。
他社の音楽ストリーミングサービスと比べ手厚いサービスを提供していることから、有料プランへの期待値を高めて移行を増やすことに成功しました。

2021年時点で全ユーザー数約3億8000万人のうち、約1億7000万人と半数もの有料会員を獲得しています。

オンラインゲーム

オンラインゲームは、フリーミアムを用いたビジネスモデルの代表的な例です。
アプリのダウンロード自体は無料ですが、主に特定の強化アイテムやキャラクターを入手する方法として課金ができるシステムです。

中でも「ガチャ」と呼ばれる有料のくじ引きに課金する人は少なくありません。
くじを引くまで中身がわからないという期待感にも魅力を感じられることで課金につながりやすいようです。

 

フリーミアムの導入は有料と無料の範囲がポイント


フリーミアムは、サービスの基本機能を無料で提供することで幅広いユーザーを獲得し、課金につなげられるビジネスモデルです。
収益性を高めるには、無料部分と有料部分の切り分けが重要になります。
ユーザーの興味を喚起しつつ、満足度を適度に調整して有料プランへと誘導することがポイントです。

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