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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2024/05/31 11:20

経営

組織文化とは【価値観/組織改革】

読了まで約4分

企業では企業理念や目標が設定されていますが、それとは別に組織に大きな影響を与えるのが「組織文化」です。
組織文化という言葉はあまり耳慣れないものかもしれませんが、
組織文化によって会社組織が円滑に運営されたり、逆に崩壊寸前に至ったりすることさえあります。

では組織文化とはなにか、組織文化が構成されている5つの要素、組織文化を活用する際の注意点について解説いたします。

組織文化とは会社独自の見方や価値観のこと

組織文化という言葉を聞いたことがない方でも、「社風」や「企業風土」といった言葉は耳にしたことがあるでしょう。
厳密にいうとこれらの言葉には違いがありますが、同じような意味で用いられています。

組織文化の定義について、米心理学者のエドガー・シャインは、自身の著書『組織文化とリーダーシップ(1989年)』の中で「組織が外部適応と内部統合の問題を解決する過程で学び共有された、基本的な仮定のパターン」であると述べています。

組織文化とは社員一人ひとりが行動する際に意識する価値観を意味します。
業務にあたる際の目標はアプローチの仕方に組織文化は反映されます。

たとえば個人主義かチームプレーか、成果主義かプロセスを重視するのかといった違いに組織文化は現れます。
会社の意思決定に組織文化が大きな影響を与えることもあります。

リスクを回避して安定をとるか、それともリスクを覚悟のうえで先進的な技術を取り入れるかといったケースもあるでしょう。

 

組織文化と組織風土の違い

組織文化と似たような意味として「組織風土」が挙げられます。
組織風土とは、組織の経験から自然と共通認識が生まれている考え方や思想、価値観のことです。

組織文化は社会変化や競合状況に応じて変化できるものの、組織風土は自然発生し、徐々に定着して形成されたという経緯がある為、組織風土を変えたいときは、長期的に取り組む必要があります。

 

組織文化の4つのタイプ

組織文化には、以下の4タイプに分類されています。それぞれの特徴を解説していきます。

家族文化(Clan)

家族のような親密性や一体感、仲間意識を重視する文化です。組織を維持するために、周囲への気遣いや気配り、協調性やチームワークが大事とされる傾向にあります。

ただし他人任せになりやすかったり、個人成果がチームの評価に含まれてしまうので、向上心の高い人ほど離職する可能性が高まる点に注意が必要です。

マーケット文化(Market)

市場での競争に勝つことに重きを置く文化です。目標達成や利益、市場で高い評価を得ることを重視しています。

数字的な根拠にもとづいて経営判断を行うので、一貫性ある経営方針を保てるのがメリットですが、チームワークよりも個人成果に偏った評価になりがちで、協力体制が形成されにくいのがデメリットです。

創造型文化(Adhocracy)

革新や創造を重視し、変化に柔軟に対応する文化です。従業員の自主性が尊重され、アイディアを自由に提案する環境が整っており、変化や挑戦を好む人には向いていますが、一人ひとりの裁量が大きく、安定性を求める人にストレスや緊張にさらされる可能性があります。

階層文化(Hierarchy)

組織の安定性と秩序を重視する文化です。確立された制度や規則に基づいて運営をするので、安定性が高く、ルールに基づいた行動であれば素早く取れるというメリットがありますが、挑戦や変化を好む人には向かない場合があります。

 

組織文化の構成要素

組織文化は会社ごとに形成されていきます。つまり会社のなかのいろいろな要素によって組織文化は作られていくのです。
もちろん構成要素が変化すれば、組織文化自体が変化することもあります。
では組織文化を構成する5つの要素について考えていきましょう。

1. 創業者の考え

組織や企業の創業者の考え方は、会社全体に大きな影響を与えます。創業者は最初少ないメンバーと考えを共有しながら会社を創ります。
その考え方や物事の行い方は新しいメンバーが入っても受け継がれることが多く、組織文化の1つとして残っていきます。
もちろんこれは悪いことばかりではなく「お客様を第一にする」や「プロセスを重視する」といったよい働きをすることもあります。

2. 経営者層の言動

経営者が創業者である場合もあれば経営グループである場合もありますが、経営者層の考え方や個性は社員の働き方に反映されます。
経営者層の言動が業務を成功に導いているのであればまったく問題ありませんが、
暗黙のルールによって社員に働きにくさやトラブルが生じているのであれば変革する必要があるかもしれません。

3. 採用戦略

新しいメンバーを社内に入れる採用戦略は、組織文化を醸成することも変革することもできる重要な要素です。
もし組織文化を醸成することを目的とした採用であれば、採用の時点で企業の組織文化を受け入れることができる人材を選ぶ必要があります。

一方で組織を変えるだけのパワーや能力を持った人材を獲得すれば組織文化を変えることができるかもしれません。
これは新入社員に限らず、中途採用や経営者を外部から招く場合にも当てはまります。

4. 古参社員の模範

組織文化を構成する別の要素は、長年働いている社員の模範です。
すでに組織文化を理解して行動している社員をモデルとすれば、新しく企業に入った社員も考え方や仕事のやり方を組織文化に合わせることが容易でしょう。

5. 人事評価

人事評価はどの会社でも行われていますが、
その評価項目のなかに組織文化と密接に関わるものがある場合には、社員の行動に影響を与えることは避けられないでしょう。

たとえば失敗すると大きく減点される人事評価制度を採用している企業では、社員がリスクを冒して新しいことにチャレンジしようとは思わなくなります。
結果として業績を伸ばすことは難しくなるでしょう。

こうしたケースは評価項目を変えることで組織文化を変革できます。

 

組織文化活用の注意点

組織文化はメリットもデメリットもあります。
組織文化を上手に活用できれば、社員に一体感をもたらし、組織全体が強くなっていくでしょう。
社員同士の関係性もよくなり、社員の会社に対する忠誠心も向上していきます。

しかし活用方法を誤ると、業績の悪化や社員同士のトラブルにつながりかねません。
組織文化を活用する場合も変革する場合も、社員を納得させてからでなければ一体感を生み出すことはできないでしょう。

まずは現在の組織文化の把握を行い、どのように活用するか、変革が必要かどうかを判断しましょう。

 

組織文化の企業事例

組織文化に関する企業事例をご紹介します。

ユニクロ

ユニクロを運営するファーストリテイリングでは「従業員全員が経営者」を掲げ、各従業員が経営目線を持つことを重視しています。

従業員が経営目線を持つために教育プログラムを充実させ、同社のビジョンを体現する経営者から直接学べる機会をつくり、従業員の向上心を刺激する場を整備しました。

トヨタ自動車

日本最大手の自動車メーカー、トヨタ自動車では「トヨタウェイ」と呼ばれる独自の企業ビジョンを掲げています。
2001年に誕生したトヨタウェイは、海外進出を行う際に、日本人が当然とする基本的な考え・行動規範を明文化したものです。

トヨタウェイからは社内外の人々と協力し、より高いレベルを目指してチャレンジと改善を繰り返すという組織文化が生まれました。

スターバックスコーヒージャパン株式会社

世界最大のコーヒーチェーン、スターバックスコーヒージャパン株式会社では、企業理念「Our Mission and Values」を掲げ、約4万人もの従業員に深く浸透しています。

日々変わり続ける世の中や価値観に対応していくために、店舗内でのコミュニケーションを活発化させたり、「自分は仕事を通じてどのようになりたいのか」「どう成長して行きたいのか」を常に問い続け、明確にしていくことで、共感を常に醸成し自発性を生み出しています。

 

組織文化の変革は時間をかけて行おう

もし組織文化がよい作用をもたらしていると判断できれば、その組織文化をより醸成させましょう。
従業員満足度が向上し、社員のモチベーションアップや、業績アップにつながります。

一方で変革が必要だと判断するのであれば、時間がかかることを理解しましょう。
すでに根付いている組織文化を変えるためには相当の時間と労力がかかります。

急いで組織文化を変革するといろいろな軋轢が生まれてしまうので、会社全体の継続的・意識的な改革によって徐々に組織文化を変えることが重要です。

株式会社武蔵野では「経営計画書」と呼ばれる手帳型のルールブックを全従業員に配布し、企業理念や事業方針を全従業員に共有しています。

「経営計画書」は作成するだけでなく、会社(=社長)の価値観や仕事に対する考え方を浸透させていくための道具として活用していくことが重要です。

組織文化を醸成していくためにも、750社以上の企業を支援する株式会社武蔵野 代表取締役社長 小山昇の経営哲学が詰まった無料資料を、ぜひこちらからダウンロードしてください。

執筆者情報

執筆者の写真

佐藤 義昭 / 株式会社武蔵野 常務取締役

1971年、東京都生まれ。
1990年、武蔵野にアルバイトとして入社、ダスキン事業から新規事業まで経験。
2007年、経営サポート事業本部の本部長を経て2015年11月取締役に就任。
2021年、6月常務取締役に就任。

経営者向けに年間100回以上の講演実績があり、企業文化を強化する経営計画書作成法を伝授。
年に一度行われる社内経営計画書アセスメントの方針作りや、小山昇の実践経営塾の合宿では、経営者向けに経営計画書作成や短期計画作成を支援している。
おもな講演テーマに『経営計画書を作るには』、『手書きによる短期計画作成方法』などがある。

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