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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2023/04/03 15:00

人材育成

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プレイングマネージャーとは?管理職との違いや組織への必要性を解説

読了まで約5分

人手不足や採用難が続く昨今のビジネスシーンでは「プレイングマネージャー」を配置する企業が増えています。
2つの職務を兼任するプレイングマネージャーをうまく活用すれば、効率的な組織運用が期待できます。

一方で、本人の負担が大きいポジションであることも事実であり、管理方法によっては違法になってしまう可能性もあるでしょう。
本記事ではプレイングマネージャーの概要や必要性、労務管理における注意点を解説します。

 

プレイングマネージャーとは?

プレイングマネージャーとは、商品の販売やマーケティングなど現場で売上に貢献する「プレイヤー」としての役割と、チームの統括や部下の教育・組織の数字管理などを担う「マネージャー業務」を兼任するポジションを指します。

もともとは、スポーツ界において選手兼監督として活躍する人物に使われてきた言葉です。
従来型の組織では、マネージャーは部下から進捗報告を受けたり、全社の状況を踏まえて組織の目標計画を立てたりする役割が一般的でしたが、現場の状況を把握しにくいことが課題として挙げられていました。

この課題を解決するために生まれたのが、プレイングマネージャーです。
社長自身が営業に回るケースが代表例であるように、以前は中小企業で広く活用されてきました。

しかし、近年では課長や係長職を中心に、大企業でもプレイングマネージャーを配置する例が増えています。
自らも積極的に数字を生み出していく必要があるため現場の状況を把握しやすく、メンバーに対しても適切な指導を行うことができるといったメリットがあります。

プレイングマネージャーの役割

プレイングマネージャーは、売上における個人目標と全員で達成すべきチーム目標の両方に責任を持つ存在です。
自身も現場で営業活動などを行い売上に貢献しつつ、メンバーの達成度にも気を配り、チーム全体が円滑に業務を遂行できるようマネジメントすることがミッションです。

また、現場で活躍できる部下の育成や教育、採用する役割も担っています。
日々現場で得ている経験や知識を活かしながら、チームの組織力を底上げすることが求められます。

他の管理職との違い

プレイングマネージャーの最大の特徴は、リアルタイムで現場の状況や温度感を把握しているため、スピーディで的確な意思決定ができることです。

チームマネジメントのみを行う通常の管理職は、現場社員から報告や相談を受けても状況を把握するまでに時間がかかり、必要な場面で意思決定ができないという課題があります。
管理職自身が現場の第一線で活躍していれば、チームとの意思疎通もスムーズになり、スピーディな決断を実現できるのです。

また部下の育成についても同じことがいえます。
現場で成果をあげるために必要なスキルや求められる役割を熟知しているため、適切な指導方法で育成することが可能になります。

 

プレイングマネージャーが増えた背景

海外に比べると日本企業ではプレイングマネージャーの割合が高いといわれています。
その背景として①管理職ポストの減少②少子高齢化による人手不足の2つが挙げられます。

プレイングマネージャーが増加する契機となったのが、1990年代初頭のバブル崩壊です。
人件費削減の必要に迫られ、多くの企業がリストラや給与カットを決行しました。
その結果、管理職ポストが大幅に減少し、複数の役割を一人の社員に任せざるを得なくなったのです。

また、現代の日本は少子高齢化による人手不足が問題となっています。
マネジメントを任せられる優秀な人材の確保が困難になったことで、社内の人員をフル活用する必要性が増してきたのです。
そのため、ハイパフォーマー社員にマネジメントの役割も任せる企業が増加しました。

 

プレイングマネージャーが求められる理由

一般的な管理職とは異なり、「マネージャー業務」と「プレイヤー業務」を兼任するプレイングマネージャー。
どうして今、プレイングマネージャーが求められるのでしょうか。

経験や知識による若手育成を効率的に行える

組織内プレイングマネージャーが求められる理由の一つに、経験や知識によって若手育成を効率的に行えることが挙げられます。
マネージャーに抜擢される人材は、プレイヤーとしての経験が豊富であることが多いですが、さまざまな業務が山積し、現場の状況をリアルタイムに把握できないということも。

しかし、プレイングマネージャーは自身もプレイヤーとして業務をこなしているため、一般的なマネージャーよりも現場の状況を把握でき、より的確なアドバイスを行うことが可能になります。
そのため、プレイングマネージャーは経験や知識、現場の状況などを元に若手育成を効率的に行うことができるのです。

実力主義の組織が増えている

従来の日本企業では、マネージャーの判断基準として業務成績よりも社歴を重視する傾向がありました。
しかし年功序列制度は実力を伴わず、組織の成長につながらないとして、組織構造の変革が進んでいる現在は、実力主義の組織が増加傾向にあります。

このような背景から高い成長意欲と現場視点を持ったマネージャーが必要になったのです。

ボトムアップ組織への切り替えが進んでいる

多くの組織では現場から離れたマネージャーによって意思決定がされていたため、現場の意向が反映されにくいことが課題となっていました。
トップダウンではマネージャーからメンバーへ組織の方向性をストレートに伝えることができますが、一方通行のコミュニケーションになりがちになります。

そこで現場と組織運営の両軸で物事を判断できる人材によって、トップダウンからボトムアップへと組織構造の切り替えを図る企業が増加しているのです。

 

プレイングマネージャーは辛いと言われる理由

プレイングマネージャーと聞くと「大変そう」というイメージを抱いている方も多いのではないでしょうか。
実際に、プレイングマネージャーという言葉をインターネットで検索してみると「難しい、辛い、限界、中途半場」といったキーワードが並びます。

なぜプレイングマネージャーに対してネガティブな印象を持つ人が多いのでしょうか。
その背景には、プレイングマネージャーというポジションの負担の大きさがあります。

複数の成果を求められる

前述の通り、プレイングマネジャーは個人とチーム両方の目標達成に責任を持っています。
2つの成果を両立させることは難しく、どちらも中途半端になりがちなため、プレイングマネージャーは辛いと感じる人は少なくありません。

プレイングマネージャーは、現場で高い成果をあげてきた社員が、プレイヤー業務を抱えたままマネージャー職に昇進するというケースが多いです。
現場仕事で成果を出すことはできてもマネージャーとしての経験は浅いため、実績を出すのに時間がかかってしまう傾向にあります。

その結果、慣れないマネジメントに時間を割かれてプレイヤー業務でも成果を出せなくなってしまい、どちらも中途半端な結果になってしまうのです。

評価につながりにくい

2つの役割を求められると、仕事が中途半端になるだけでなく、どちらの仕事においても評価が振るわない結果に陥りがちです。

そのため、今以上の昇進が難しいという課題も出てきます。
部長クラスや経営クラスのポジションに求められるのは、プレイヤー能力よりもマネジメント能力です。
しかし、マネジメント能力の向上に注力できないプレイングマネージャーは、マネージャーとして高い評価を得られません。
そのため、ハイポジションへの昇進が難しくなってしまうのです。

これは、プレイングマネージャーに中間管理職が多いことの背景ともいえます。

部下と上司の板挟みになる

現場と管理者双方の意見を理解し、間に立てることがプレイングマネージャーの強みである一方で、両者の板挟みになりやすいという側面もあります。

プレイヤーとしての業務を頑張りすぎるとマネジメントがおそろかになってしまい、チーム目標の達成に影響があるかもしれません。
しかし、マネジメントにばかり注力してしまうと、個人の売上目標が達成できず、現場に負担をかけてしまいます。

また現場と経営層の意見が対立したとき、双方の意見を聞いて折衷案を考えることも求められます。
板挟み状態でチーム内の人間関係にも影響が出てしまい、疲弊するプレイングマネージャーも少なくありません。

業務量が多い

役割が多い分、通常のプレイヤーや管理職と比べて業務量も膨大になります。

日中の業務時間はプレイヤー業務をこなす必要がありますが、部下から相談や報告があれば当然そちらも対応しなければいけません。
ほかにも、育成や採用の業務を兼任している人員も珍しくありません。
複数業務を並行してこなすため時間内に業務を終えることができず、残業が常態化しているという人も多くなっています。

昨今では国をあげて働き方改革が推進されていることから、長時間労働が問題視されるようになりました。
プレイングマネージャーの業務過多についても、多くの企業で課題とされています。

 

プレイングマネージャーを置くメリットとは

プレイングマネージャーが組織を管理することで、現場と目線を合わせやすいというメリットがあります。

企業経営では、経営層が目指す方向性が現場の現状と合っておらず、管理者と現場が対立してしまう事態が起こりがちです。
現場が抱えている課題や障壁を経営層が正確に把握していないと、経営目標が理想論になり、現場に負担をかけてしまいます。
現場の状況を常に把握しているプレイヤーが管理者を兼任することで、組織の一体感を強め、経営の方向性を修正することができるのです。

経営に対する信頼が強まれば、社員の満足度や愛着心も向上します。
経営方針を理解して目標を達成しようという現場の士気が高まり、組織力や生産性の向上につながるのです。

 

プレイングマネージャーに求められるスキル

ここでは、組織内プレイングマネージャーに必要なスキルについてご紹介します。

タスク管理能力

プレイングマネージャーの最大の目的は、組織の目標を明確にし、組織全体の生産性を上げることです。
プレイヤーとマネージャーの仕事のどちらかにタスクが偏ってしまうと、個人の目標だけでなくチームの目標にも影響を及ぼす可能性があります。

複数の仕事を同時にこなさなければいけないプレイングマネージャーには、タスク管理能力が必要不可欠です。
タスクの優先順位を見極め、バランスをとって推進する力が求められます。

コミュニケーション能力

メンバーや経営層に対して自分の考えをきちんと示すためには、コミュニケーション能力は欠かせません。
コミュニケーション能力は、自分の意思を相手に正しく伝えることが重視されがちですが、プレイングマネージャーには相手の話を汲み取ることも求められます。
また、管理者として部下を指導・育成する力も必要です。

プレイヤーは自分一人の能力を伸ばせば十分ですが、マネージャーはチーム全体の力を底上げしなくてはいけません。
部下を補佐しつつ、早期に独り立ちできるようメンバーとコミュニケーションを取りながらサポートするスキルが求められます。

目標達成意欲

プレイングマネージャーに抜擢される人材には、個人プレイヤーとしても組織に対する貢献力が高いことが一つの要素として挙げられます。
そしてプレイングマネージャーになると数的目標の達成を目指すことはもちろん、メンバーの育成や数字管理といったマネジメント業務にもコミットしていく必要があるため、

組織全体の生産性を上げるために試行錯誤を繰り返していく成長意欲を持ち続けることが大切です。

豊富な実務経験

プレイングマネージャーは市場の動向やメンバーの強みなど多くの情報を把握しておく必要があります。
そのため業務時間以外に情報をキャッチアップする時間を確保したり、プレイヤーとしてもさらに成長するために実務経験を積むことが重要です。

高い生産性

業務がマネジメントに特化している一般的な管理職とは異なり、プレイングマネージャーはマネジメント業務と現場業務を両立させる必要があるため、その分業務量も増えます。
多くの業務を限られた時間内に終わらせるためには高い生産性が求められるのです。

効率的に業務をこなしていくために、自分がやらなければならないタスクを洗い出し、優先順位をつけることを徹底しましょう。

 

プレイングマネージャーの注意点

プレイングマネージャーはプレイヤーとして優秀であっても、マネジメント業務を兼任すると業務のバランスを崩してしまうことも。
ここでは、プレイングマネージャーが気をつけるべきポイントについてご紹介します。

「プレイヤー」と「マネージャー」をバランスよく両立させる

プレイングマネージャーは組織に対する貢献力が高く、業績も良いことが一般的です。
このような優秀層の特徴の一つに、「部下に任せるよりも自分でやったほうが早い」という感覚が強く、部下にタスクを振り分けずに業務を抱え込んでしまうことが挙げられます。

しかし、プレイングマネージャーは「プレイヤー業務」と「マネージャー業務」を両立させる必要があるのです。
業務過多の状態を避けるために、積極的に部下に業務の権限移譲をし、プレイヤー業務とマネージャー業務を両立させていきましょう。

部下からのコミュニケーションを大切にする

プレイングマネージャーはプレイヤー目線を持ったマネージャーとして組織運営を進めていきます。
マネージャーから部下に対してコミュニケーションを取ることは簡単ですが、部下からマネージャーに対して何か意見を伝えることはハードルが高いと感じてしまうもの。

部下がマネージャーに対して壁を感じることなく、円滑にコミュニケーションが取れる環境を作るためには、マネージャーから積極的に声を掛けてみたり、部下の話を否定することなく最後まで聞くなどの配慮が必要です。

OJTなどの研修制度による支援

プレイングマネジャーを配置するなら、OJTなどの研修制度を導入し、メンバーや本人の教育も積極的に行う必要があります。
プレイングマネジャーに部下育成のすべてを任せるのではなく、職場全体で支援を行い、上司がサポートをしながら責任をもって取り組めるような体制を整えましょう。

そうすることで、プレイングマネジャー自身の成長も促すことに繋がります。

労働基準法を守る

労働時間が長くなりやすいプレイングマネージャーは、労働基準法に違反してしまう可能性があります。
経営者と一体となって従業員を管理する立場を労基法では「管理監督者」といい、割増賃金の適用外と規定されています。

つまり、残業代や休日手当を支払う必要がないのです。
しかし、人件費削減を目的に規定が濫用されるケースがあり、実態は普通の社員であるものの管理職の肩書だけを付与される「名ばかり管理職」という言葉が登場しました。

しかし、労働基準法の管理監督者に該当するかどうかは、役職名ではなく職務内容や責任、権限、労務態様の実態に即して判断することとなっています。
そのため「名ばかり管理職」の社員に割増賃金を支払わないことは、違法となるのです。

プレイングマネージャーについても「管理監督者」とみなして割増賃金を支払わないケースがありますが、自らの裁量で業務をコントロールできない状況下にある場合は違法となる可能性があります。
「管理監督者」の要件を満たしているのか精査するとともに、労務管理を徹底するようにしましょう。

 

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プレイングマネージャーは、現場の第一線でプレイヤーとして活躍しながらチームマネジメントを兼任する存在です。
適切に活用すれば、現場の目線を経営に持ち込み、的確な経営目標を設定できるといったメリットがあります。

一方で、次のような運用面の難しさがあることも事実です。

  • 複数の仕事をハンドリングせねばならず、業務過多になりやすい
  • 本人が現場と経営層の板挟みになり、疲弊してしまう
  • 管理者とみなして残業代を支払わないと、違法になる可能性も

運用の際は本人の負担が大きくなりすぎないよう配慮し、労務管理を徹底して違法労働にならないよう注意してください。

現場のマネジメントや人材活用に課題を感じている場合は、プロに相談することも選択肢のひとつです。
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