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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2023/10/13 15:30

経営

マネジリアル・グリッド理論とは?5つのリーダーシップのスタイルをご紹介【組織/リーダーシップ】

読了まで約2分

マネジメント論、リーダーシップ論など、組織運営に関する学問があることをご存知でしょうか。これらの学問は、古くから世界中で研究対象となっています。

中でも「マネジリアル・グリッド理論」は、リーダーのマネジメントスタイルを把握するために用いる手法で、目指すべきリーダー像を視覚化し、どういった要素が足りないのかを知ることが可能です。

今回は、マネジリアル・グリッド理論についてご紹介します。

マネジリアル・グリッド理論とは

マネジリアル・グリッド理論とは、1960年代にアメリカのブレイク教授とムートン教授によって提唱された、リーダーシップ行動論の一つです。

リーダーシップの行動スタイルを「人間への関心度」と「業務への関心度」の2つの軸で捉え、これらの分野にどの程度関心を持っているのか、それぞれの軸をさらに9段階に分けてリーダーのタイプを割り出します。

マネジリアル・グリッド理論を用いることで、リーダーの自己評価と部下からの評価を通して、理想のリーダー像に近づくために必要な要素を理解することができます。

 

マネジリアル・グリッド理論における2つの評価軸

マネジリアル・グリッド理論における関係軸は、「人間への関心度」と「業務への関心度」の2つです。
ここでは、それぞれの特徴についてご紹介します。

人間への関心度(人間関係志向)

「人間への関心度」における人間とは、一緒に業務を行う上司や部下、同僚、クライアントなどを指します。
人間関係志向が強いリーダーは、メンバーと穏便な関係性を保つことを好み、物事を判断する際に人間関係を重視する傾向があるのです。

業務への関心度(課題志向)

課題志向が強いリーダーは、課題に取り組むためには、人間関係や感情面といったソフト面よりも、客観的な合理性や整合性を重視する傾向があります。

課題志向が強すぎると、組織のマネジメントが行き届かなくなってしまうため、
人間関係志向の要素をある程度持ち合わせたリーダー像が理想といわれることも。

 

マネジリアル・グリッド理論でわかるリーダーシップのスタイル

マネジリアル・グリッド理論では、「人間への関心度」と「業務への関心度」の2軸に分けたグラフを用いることで、リーダーシップのスタイルを把握できるのです。
この理論によって分類される、5つのリーダーシップのスタイルについてご紹介します。

消極型

消極型のスタイルは、「人間への関心度」と「業務への関心度」がどちらも低い状態で、放任型の傾向があります。
与えられた仕事を淡々とこなすだけで、メンバーがトラブルを起こした際や、組織で決断を迫られると、リーダーとしての責任を回避することも。

人間中心型

人間中心型のスタイルは、組織の業績よりもメンバーとの関係性や組織の雰囲気を重視する傾向があります。
このタイプのリーダーは、部下からの信頼が厚く、職場環境も良いことが多いです。
しかし、業務への関心度が低く、業務計画や進捗管理をあまり得意としない傾向があります。

仕事中心型

仕事中心型のスタイルは、業務への関心度が高く、人よりも業績を重要視する傾向があります。
このタイプのリーダーは、プレイヤーとしては優秀ですが、組織のマネジメントにあまり興味がなく、部下の気持ちを推し量ることを苦手とする一面も。
仕事中心型は、「権力型リーダー」とも呼ばれ、結果を重視するあまり、部下が潰れてしまうことがあります。

理想型

理想型のスタイルは、人と業務の関心度が高く、組織のリーダーとして理想型といわれています。
上司と部下の間にしっかりと信頼関係があるため、部下は高い目標を掲げて業務に取り組むことができるのです。
理想型のリーダーは、組織の人間関係を良好に保ちながら、業務改善や進捗管理を行っていきます。

中道型

中道型のスタイルは、人と業務への関心度がほどほどの状態にあります。
組織が回るように、部下のマネジメントと業務を無難に対処していきますが、
組織をさらに良くしていくことよりも、現状維持を好みがちです。

 

マネジリアル・グリッド理論における課題 

マネジリアル・グリッド論は、自分のリーダー類型を把握するのに適した理論ですが、
いくつか課題点もあります。

客観的に分析しにくい

マネジリアル・グリッド論では、リーダー本人にしか分からない内面的な部分でリーダー類型を診断します。
そのため、主観的な分析にとどまり、客観的な視点を取り入れにくいデメリットがあります。

外的環境を考慮できない

リーダーの行動パターンによる一面的な評価しか行っておらず、実際には部下の資質や社会情勢といった外的要因などが考慮されていません。
マネジリアル・グリッド論だけでは、こうした外的環境への適応能力を考慮できず、実際のリーダーシップ内容とかけ離れてしまう恐れがあります。

業績との関連が薄い

マネジリアル・グリッド論では、利益や目標達成度合いといった実際の業績が考慮されることがない為、「理想型リーダー」と診断されても、業績が伴わないリスクがあります。 

 

リーダーシップの育成方法

マネジリアル・グリッド理論で自分のタイプを把握する

まずは、マネジリアル・グリッド論を通して、自分のリーダータイプを診断してみましょう。
日頃の業務では気付けないような、潜在的なリーダーシップを発見するチャンスとなるはずです。
また、診断結果について他のメンバーに意見をもらうことも、さらなる自己分析に繋がります。

リーダーに必要な条件を明確化する

マネジリアル・グリッド論では、人間関係と業務に関心が高いリーダーを理想的とされますが、さらに具体的なリーダー像を描く必要があります。
自分たちの組織において求められるリーダーの条件についていきたいかを話し合いましょう。

業務を通してリーダーシップを育てる

理想のリーダー像を描くだけでなく、日々の業務における実践が欠かせません。
また、他のメンバーから定期的にフィードバックをもらうことも効果的です。

 

マネジリアル・グリッド理論と関連の深い理論

マネジリアル・グリッド理論と特に関連性が高いとされる2つの理論を紹介します。

SL理論

SL理論(シチュエーショナルリーダーシップ)とは、1977年にハーシイとブランチャードにより提唱された、部下の成熟度や状況に合わせてリーダーはアプローチを変えるべきとした考え方です。

現代では、1対1の対話が重視され、人に寄り添った管理の重要性は浸透していますが、
当時は画期的な考え方だったと言えます。

PM理論

PM理論とは、1966年に九州大学の社会心理学者である三隅二不二教授が、
リーダーシップは「パフォーマンス(目標を達成する能力)」と「メンテンナンス(集団を維持する能力)」で構成されると提唱した理論のことです。

マネジリアル・グリッド理論における「業績への関心」「人間への関心」のパラメーターとの類似性は明らかですが、よりシンプルな分類法と言えます。

 

組織の現状と理想を把握するためにマネジリアル・グリッド理論を活用しよう

今回は、マネジリアル・グリッド理論についてご紹介しました。

マネジリアル・グリッド理論は、人間と業務への関心度がどちらも高い状態を目指すことが最良とされていますが、組織によっては必ずしもそれが正しいとはいえません。

マネジリアル・グリッド理論を用いてリーダーシップのタイプを把握するためには、あらかじめ組織の方向性や、理想とする組織にはどのような要素を持ったリーダーが必要なのかということを分析する必要があります。

組織の現状と理想を把握するために、マネジリアル・グリッド理論を活用してみるのはいかがでしょうか。

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執筆者情報

執筆者の写真

佐藤 義昭 / 株式会社武蔵野 常務取締役

1971年、東京都生まれ。
1990年、武蔵野にアルバイトとして入社、ダスキン事業から新規事業まで経験。
2007年、経営サポート事業本部の本部長を経て2015年11月取締役に就任。
2021年、6月常務取締役に就任。

経営者向けに年間100回以上の講演実績があり、企業文化を強化する経営計画書作成法を伝授。
年に一度行われる社内経営計画書アセスメントの方針作りや、小山昇の実践経営塾の合宿では、経営者向けに経営計画書作成や短期計画作成を支援している。
おもな講演テーマに『経営計画書を作るには』、『手書きによる短期計画作成方法』などがある。

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