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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2023/08/03 16:20

経営

エンパワーメントとは【組織活性化/リーダーシップ】

読了まで約4分

新たなテクノロジーの登場や、グローバリズムの進展により、日本のビジネスシーンでも変化に強い組織づくりが求められるようになりました。
組織のポテンシャルを最大限に活かす施策が「エンパワーメント」です。
日本語では「能力開花」「権限移譲」といい、主に人事マネジメントの分野で注目を集めています。

この記事では、エンパワーメントの意味や重要性、実施にあたってのポイントについて解説していきます。

エンパワーメントとは?現場への権限移譲で組織を活性化させる

エンパワーメント(Empowerment)とは、個人や集団が持つ潜在能力を開花させるための取り組みです。
日本のビジネスシーンでは、「権限移譲」とも呼ばれます。

権限移譲とは、企業のトップの業務の一部を現場に移譲し、部下の自発的な判断や意思決定を促すことです。
権限移譲を行うことで、社員1人ひとりの自主性が生まれ、本来持っているパフォーマンスを引き出すことができます。

エンパワーメントという言葉が生まれたのは、1950年代から1960年代にかけて公民権運動が起こったアメリカです。
法の下の平等を求め、抑圧された弱者(powerless)の社会的地位の向上を果たす(empowerment)という意味で、エンパワーメントという言葉が使われました。
エンパワーメントは多義的な意味を持つ言葉ですが、国内外のビジネスシーンにおいても、人々の本来のポテンシャルを引き出すという意味は同じです。

現場の社員に業務の一部を委ね、潜在能力を開花させることが、モチベーションの高い活発な組織づくりにつながります。

エンパワーメントが必要な3つの理由

いま、エンパワーメントの重要性が再評価されている理由は次の3点です。

・以前よりも経営判断のスピードが求められるようになった
・戦略実行において、リーダーシップのある人材の重要性が増した
・労働市場が活発化したため、自社でリーダーを育てる必要がある

日本のビジネスシーンでは、以前よりもスピーディーな意思決定が求められるようになりました。
たとえば、AI、IoT、クラウド、ビッグデータなど、新たなテクノロジーを導入する企業が増え、次々と新たな製品・サービスが登場しています。
市場や顧客ニーズの変化にすばやく対応し、社内の意思決定のスピードを高めるには、現場のリーダーシップが欠かせません。

エンパワーメントにより、現場への権限移譲を進めることで、部下のリーダーシップを効果的に育てることができます。
労働市場の活発化により、以前よりも優れたリーダー人材の確保が困難になっているなかで、自前でリーダーを育てられるという利点もあります。

 

エンパワーメント推進のメリット

エンパワーメントを取り入れると、どの様なメリットがあるのか、3つ解説いたします。

意志決定が迅速になる

エンパワーメントを行うことで、部下が自ら決定を下すことが可能になるため、素早い意思決定が出来るようになり、企業としての機動力がアップしたり、顧客満足度向上に繋がっていきます。

スピーディーな意思決定ができる従業員をエンパワーメントで増やすことで、自分の行動に責任が持てる企業人へと成長できるのです。

部下が本来の実力を発揮できる

エンパワーメントが浸透することで、本人たちも気付かなかった本来の実力を発揮し、活躍が見込めます。
またその後の昇進や異動においても適材適所な配置ができるでしょう。

従業員が自分で考えて行動するようになる

エンパワーメントを取り入れることで、自分に合った仕事を把握することができ、自ら積極的にパフォーマンスしてくれる従業員が増えると考えられます。
結果的に一人ひとりの業務効率が上がり、企業の利益にもつながるでしょう。

 

 エンパワーメント推進のデメリット

デメリットも主に2つ存在します。

エンパワーメントに向かない社員もいる

全ての従業員がエンパワーメントに向いているとは限りません。
権限や責任を担うことに必要以上の重圧を感じてしまう人や、心身に影響するほどの大きなストレスになってしまう人もいるかもしれません。導入後は、定期的に面談をして様子を見ましょう。

組織と個人の方向性が合致しない場合がある

みんなが主体性を持つことにより、組織と個人の方向性が合致しなくなる可能性があります。
場合によっては、意見が噛み合わず関係がギクシャクし、転職などといった原因をつくりかねません。

そのため、採用時点から求職者の潜在能力をしっかり把握し、自社の社風に本当にあっている人材を見つけることが重要です。

 

エンパワーメントの効果を高める5つのポイント

ただ現場への権限移譲を進めるだけでは、部下のポテンシャルを引き出し、組織を活性化させるというエンパワーメント本来のメリットを引き出せません。
エンパワーメントの効果を最大化するため、次の2つの働きかけを行いましょう。

ストレッチ目標(ストレッチゴール)を現場に課す

ストレッチ目標(ストレッチゴール)とは、一筋縄ではクリアできず、目標達成のためには「背伸び」が必要な目標を意味します。
体を伸ばして可動域を広げるストレッチと同様、一見達成が困難そうな努力目標を課すことで、部下のポテンシャルを効果的に引き出すことが可能です。

漠然と業務の一部を現場に任せるのではなく、部下の能力に合わせたストレッチゴールを課しましょう。

4つの内発的動機づけで心理的エネルギーを高める

ただ努力目標を課すだけでは、部下のやる気をうまく引き出せません。
部下の内面に働きかける「内発的動機づけ」によって、部下のやる気を高め、1人ひとりが持つ本来のパフォーマンスを引き出すことが可能になります。

・自己効力感(コンピテンス):部下に「やればできる」と思わせる
・影響感          :部下の仕事の成果が、企業の目標や理念に影響すると思わせる
・有意味感         :部下の目標達成が、会社にとってお大きな意味を持つと思わせる
・自己決定感        :他者の強制ではなく、部下が自分自身の意思でやっていると思わせる

エンパワーメント本来のメリットを活かすには、この4つの内発的動機づけにより、部下のやる気やモチベーションを高める必要があります。
活性化した組織を生み出すには、社員1人ひとりに当事者意識を持たせることが大切です。

まずは内発的動機づけを行い、部下の心理的エネルギーを高めましょう。

組織内で情報を共有する

可能な限り組織内で情報公開し、共有することが大切です。
人によって得られる情報に差があったり、把握する情報に偏りがある場合、スタッフによって認識や判断にズレが生じます。

委譲する権限の範囲や判断基準を明確化したうえで、常に報連相しやすい体制・組織づくりを徹底しましょう。

トラブル発生時に協力する

トラブルが発生した場合でも、問題の原因や再発防止策をともに考えることで、よりエンパワーメントの効果が高まりやすくなります。

その際は、上司が解決策を指示するのではなく、再発防止のための対策や仕組みを一緒に考えることが重要です。
またミスを犯したからといって相手を強く叱責すると、萎縮して力を発揮できなくなり、エンパワーメントの効果が下がる恐れがあるため、避けましょう。

状況に応じてフォローする

権限を委譲した後は定期的に仕事の進捗状況を確認し、環境を把握しておく必要があります。
そのため、状況に応じて部下の意思や判断を尊重しつつフォローすることが重要です。権限を得た部下が自己成長し更に力を発揮できるよう、サポートをしていきましょう。

フォローを入れる際も、答えを与えるのではなく問題解決に至るためのヒントを提示し、自ら考えて判断させれば従業員の成長が促進できます。

 

エンパワーメントを推進する際の注意点

権限移譲の範囲を明確にする

「権限委譲したから何でも自由にやっていい」と解釈されてしまうと、大きな失敗につながる可能性も高いため、
あらかじめ権限移譲の範囲を明確にしておきましょう。

どこまで権限を委譲し、どこからは上司の判断が必要かというラインを明確にしておくことが必要です。

ある程度の失敗は許容する

エンパワーメント導入から間もないうちは、想定できなかったミスを犯す部下が出てくる可能性も高いでしょう。
誰でも最初は失敗します。失敗しても厳しく罰せず、どうすれば改善できるかを提案したり話し合ったりなどして優しくフォローしましょう。

ホウレンソウを徹底する

「権限委譲したからあとは任せた、結果も自己責任」というのは単なる丸投げです。
常に部下から報告、連絡、相談を受けられるようにホウレンソウを徹底しましょう。

 

 エンパワーメントの企業事例

リッツ・カールトン

リッツ・カールトンでは、顧客の要望に応える際に、上司の判断を仰ぐことなく、
自分の判断で最良と思うサービスを行ってよいという裁量権を、スタッフ一人ひとりに与えています。

お客様にとって一番良いサービスの方法を考え、個々の従業員が迷うことなく最善の方法を選択することができる環境を整えることを目的として実践されています。

星野リゾート

星野リゾートでは、総支配人やユニット・ディレクター、プレイヤーなどの上の役割について、
やりたいと思えば誰でも立候補することができ、どの人が役職に相応しいのかを皆で議論して選出するという仕組みがあります。

このように自らが経営者の意識を持って仕事に取り組むことができる環境が人材の育成や組織力の強化につながっています。

スターバックスコーヒージャパン

スターバックスでは、接客には細かなマニュアルのようなものはありません。

マニュアル通りの対応をするのではなく、個人個人がお客様のことを思い最善のサービスが何なのかを自ら考えて実践する。
これこそが、スタバ―バックスの強みである顧客満足度の高さへと繋がっています。

 

エンパワーメント(権限移譲)を進め、組織活性化に取り組もう

経営判断のスピードを高めるには、エンパワーメント(権限移譲)を進め、現場の力を活かす必要があります。
「背伸び」が必要なストレッチ目標の設定や、内発的動機づけを行うことで、部下のポテンシャルを効果的に引き出すことが可能です。

エンパワーメントを実施した組織は、社員1人ひとりが当事者意識を持ち、自分の頭で考えて行動することができます。
組織活性化に向けて、エンパワーメントに取り組みましょう。

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