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株式会社武蔵野経営サポート事業部

MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2023/08/03 16:00

経営

業務効率

カスタマーサクセス活動のポイントは?主な課題と対策を解説【顧客第一主義/KPI】

読了まで約4分

カスタマーサクセスの意味は?重要視されるようになった背景

語源は英語の「customer success」であり、直訳すれば「顧客の成功」となります。
そして、日本語でもおおむね、直訳と同じような意味で使われてきました。

「利益を出す」「サービス登録者を増やす」とはあくまでも企業にとっての成功です。
「顧客第一主義」という言葉があるように、ビジネスでは顧客にとっての成功を考え、そこにいたるまでのサポートをすることが大切です。

カスタマーサクセスは専門の部署や担当者を設けている企業があるほど、ビジネスシーンでは無視できない概念となりました。
なお、同じく顧客目線を考えて企業が取り組むべき概念として「カスタマーサポート」も挙げられます。

ただ、カスタマーサクセスが成功そのものを指しているのに対し、
カスタマーサポートは成功へと導くために顧客を助けるプロセスを意味しています。
現実世界で、カスタマーサポートはコールセンターやホームページの問い合わせ窓口といった形で顧客に提供されることが少なくありません。

一方、カスタマーサクセスはより能動的な取り組みを継続することで実現するのが大きな違いです。
カスタマーエクスペリエンスもカスタマーサクセスに近い概念だといえるでしょう。

ただ、カスタマーエクスペリエンスとは「顧客体験」を意味する言葉です。
顧客が特定のサービス、商品と関わったとき、獲得した全ての体験がカスタマーエクスペリエンスです。
その中には当然、ネガティブな内容も含まれます。

企業は顧客の体験を少しでもポジティブに改善していくことで関係性を強化し、ロイヤルティを育めます。
それに対して、カスタマーサクセスとは顧客が獲得した成功だけを表しているのです。

カスタマーサクセスが重要視されるようになった背景には、企業同士の「競争の激化」があります。
市場が成熟し、似たようなサービスや商品があふれている時代では、顧客はサービス力で購入先を決めるようになります。
企業にとって、良いモノを作って販売するのは大前提となりました。

価格競争だけでは利益を減らすだけなので、アフターフォローなどのサービス力を訴求し顧客を獲得することが不可欠です。
そこで、カスタマーサクセスを目安にして顧客の反応を「見える化」し、経営戦略を組み立てる企業が増えてきました。

カスタマーサクセスの業務内容

では実際のカスタマーサクセスの業務内容について、主に3つご紹介します。

導入の支援

カスタマーサクセスでは、ヒアリングを通じて、顧客が抱えている課題解決につながるソリューションの導入を支援します。
その導入によってどのようなベネフィットがもたらされるかを伝え、ソリューションの設計・実装・運用を総合的にサポートしていきます。

サービス活用度のモニタリング

「サービスがどれほど活用されているか」を数値化し、モニタリングを行っていくこともカスタマーサクセスにおいては重要です。
ログイン頻度やログイン人数、利用時間などの指標から、「うちのツールをうまく使いこなせていないのではないか」などの仮説を立てることができます。
すると、その顧客へアプローチを行う、といったアクションへ繋げることができます。

顧客交流機会の提供

カスタマーサクセスでは顧客同士の交流会やコミュニティの運営を行うことも重要な業務の1つです。
顧客接点の創出により、それぞれの課題解決につながる可能性が高まるため、積極的に推進すべき施策といえます。

 

カスタマーサクセスを理解するうえで重要なキーワード

カスタマーサクセスを理解する上で、重要なキーワードについて解説していきます。

LTV

Life Time Value(ライフタイムバリュー)の略で、「顧客生涯価値」という意味です。

LTVの計算式

LTV(顧客生涯価値)=年間取引額×収益率×契約年数

LTVの数値が大きくなればなるほど、企業に対して継続的に利益を与えてくれるリピーターになっていることを示します。
LTVを上昇させるには、自社の商品やサービスを継続して利用してもらえる施策を行う必要があります。
解約率を下げつつ、より長く金額の高いサービスを使ってもらえるようにする取り組みが必要になります。

オンボーディング

製品に慣れてもらうことを目的に、顧客がサービスを導入した際に正しく定着できる手引きを行うプロセスのことです。

具体的には、顧客の会社を訪問して導入支援を行ったり、ワークショップを開くことが、主な方法になります。
この役割をカスタマーサクセスが担います。

ハイタッチ・ロータッチ・テックタッチ

それぞれ顧客のセグメント・分類のことを指します。

ハイタッチ・・・大口顧客などLTVの見込みの大きい顧客群
ロータッチ・・・ハイタッチよりもLTVの見込みの小さい顧客群
テックタッチ・・・ロータッチよりもLTVの見込みの小さい顧客群

カスタマーサクセスでは、割ける人的リソースの問題もある為、残念ながらすべての顧客に対して同じように支援を行うことはできません。

そこで「どの顧客に注力するか」ということが非常に重要になってきます。
LTVなどをもとにセグメント別に顧客を分け、それぞれに対して異なった対応を行っています。

 

カスタマーサクセスをなかなか実現できない!企業が直面する主な課題

まず、顧客満足度が高いにもかかわらず、利益が伸び悩んでいる企業は珍しくありません。
すなわち、こうした企業は真の意味でのカスタマーサクセスを提供できていないということになります。

ただ、モニターテストなどで顧客の反応をリサーチしているときは肯定的なデータが返ってくるので、何を修正すればいいのか分からなくなってしまうのです。
そのような中でも、企業の欠点を見つけ、即時に改善案を考えることはカスタマーサクセスを目指すうえでの必須事項です。

次に、カスタマーサポートとの差別化が上手くいかないケースもあります。
カスタマーサポートでは、顧客のクレームや疑問を受け付けながら、効率的に満足度を高めていこうとします。
その業務は大部分が受け身的であり、顧客からのコンタクトを待っている状態だといえるでしょう。

しかし、カスタマーサクセス実現のためには企業側から顧客へと働きかけていかなくてはなりません。
ただ、提案材料が分からないまま顧客とコミュニケーションをとっても、芳しい成果にはつながりにくいのです。

既存の営業形態から、カスタマーサクセスに主軸を置いた仕組みに移行できていない企業も見られます。
具体的には、これまでのビジネスではいかに多くの顧客を獲得し、売上を伸ばすかが中心でした。
そのため、どの企業も購入前の顧客を狙った営業に力を入れてきました。
しかし、サブスクリプションなどの台頭により、ビジネスでは顧客の継続率が注目されるようになります。
購入前だけでなく、購入後のアフターサポートによるカスタマーサクセスにも重きを置かなければ利益を増やせない時代へと突入したのです。

しかし、これまでの営業形態がしみついている企業ほど、カスタマーサクセスをどのように実現させるべきなのか、見失ってしまう傾向があります。
実際には、カスタマーサクセスとは複数の指標の組み合わせによって可視化できる概念です。
ただ、それらの指標の中には、購入前の顧客に営業をしていただけでは重要視されてこなかったものも含まれています。

企業がカスタマーサクセスに主軸を置くのであれば、新しい指標を正しく導入することは不可欠だといえるでしょう。

 

課題への主な対策は?カスタマーサクセスの指標を紹介

カスタマーサクセスに関連する課題を解決するには「KPI」を慎重に設定することが大前提です。
KPIとは「Key Performance Indicator」の略で、「重要業績指標」を意味します。
企業経営では、ある戦略に対する結果をさまざまな指標にして確認することが大事です。

その中でも、大きな目標に直接関係する指標のみをKPIと称します。この場合、カスタマーサクセスに影響するデータがKPIに該当します。

カスタマーサクセスで重視するべきKPIはまず、「解約率」と「顧客推奨度」です。
解約率とは、全ユーザーが特定のサービスを解約してしまう確率を表したものです。
会員制サイトやメールマガジンなどを解約するユーザーの割合が大きいと、「解約率が高い」と表現されます。

次に、顧客推奨度は、顧客が知人に対し、あるサービスや商品をすすめたいと思うかどうかを指標化したデータです。
そして、これら2点は顧客満足度が高いにもかかわらず利益が伸びないケースの原因を考える際に役立ちます。
どれほどサービスに満足していても、他社により大きな魅力を感じればユーザーの解約率は上がるでしょう。
また、「どちらかといえば満足している」程度のユーザーが多くても顧客満足度は高くなるものの、心からサービスに思い入れがなければ顧客推奨度は向上しません。

いずれも、カスタマーサクセスを計測するうえで欠かせない数値として多くの企業から重宝されています。

そして、「オンボーディング完了率」も大事な指標です。
オンボーディングとは、顧客がサービスを導入してから「軌道に乗った」と実感できた状態です。
もしもサービス加入者が大勢いても、オンボーディング完了率が低いと実用性やアフターケアに問題があるといえるでしょう。

そこで、企業はオンボーディング完了率向上を目指しながら、継続的に顧客へのアプローチを続けなくてはなりません。
こうした能動的な取り組みの積み重ねがカスタマーサクセスへとつながっていきます。

そのほか、企業サイトの「アクティブユーザー数」や、アプリなどで売上と大きく関係する「機能の利用率」なども、カスタマーサクセスの指標になりえるでしょう。
これらの指標は企業の課題をはっきりデータで表すだけでなく、改善の方向性まで示してくれます。

 

カスタマーサクセスを成功させるポイント

顧客の成功を明確にする

カスタマーサクセスを成功させる上で、まずは何が顧客の「成功」なのか、具体的に明確にすることです。
明確になっていない状態でアプローチの方向性を誤ると、サービスの解約につながる可能性があるため、顧客が潜在的に求めているニーズを的確に捉える必要があります。

LTVを最大化させる

顧客との取引は一度限りではありません。継続的に商品の購入や契約をしてもらうことで、LTVは高く維持できます。
LTVを最大化させるために最も重要なのが「顧客との関係性」です。

「どうしたら顧客に長期間利用してもらえるのか」といった部分に向き合い、顧客が感じる価値を素早く提供し、相手のモチベーションを担保することが重要です。

組織全体でカスタマーサクセスに取り組む

KPIやアクションプランなど、必要な情報が共有できていなければ、他部署と連携を行うことも、フォローを受けることもできない為、
日ごろから綿密に他部署のメンバーと情報共有をし合い、部署を超えた組織全体で取り組むことを意識しましょう。

顧客データを適切に運用する

顧客への理解を深める為、顧客データを適切に運用することも成功の1つです。
顧客データを収集・管理・分析することで、数字などからわかる表面的な情報や、そこから考えられる潜在的なニーズ・課題などを把握することができます。

 

カスタマーサクセスの成功事例

Sansan

BtoBの名刺管理サービス「Sansan」を手がけている、Sansan株式会社は、2012年に国内初のカスタマーサクセス部門を立ち上げました。

オンボーディングにフォーカスした戦略をとり、
現在では名刺管理サービスのマーケットシェアの80%以上を占め、圧倒的な業界No.1企業となっています。

ラクサス

次にご紹介するのは、約40,000点ものハイブランドのバッグを、月額6,800円で使い放題としたサブスクリプション型レンタルサービスを行う、ラクサス・テクノロジーズ株式会社です。

ラクサスでは、顧客のフェーズを[導入期/定着期/成熟期]の3つのフェーズに分けて、
各フェーズでカスタマーサクセス施策に取り組むことで、会員の平均継続率95%以上という高い成果を挙げています。

SmartHR

法人向けのクラウド人事労務ソフト「SmartHR」を展開する株式会社SmartHRでは、
カスタマーサクセスチームを企業規模や導入フェーズごとに細分化し、それぞれに対して違ったアプローチをとることを戦略としました。

全体のKPIを意識しつつ、それぞれのチームKPIも意識していくことで、継続率99.5%という数値を達成しました。

 

カスタマーサクセスのおすすめツール

最後にカスタマーサクセスにおすすめのツールを3つご紹介します。

HiCustomer (ハイカスタマー)

HiCustomerではCRMやチャットツールなど、社内の様々なツールに点在している顧客情報を一元化し、自動的に顧客データを分析することで解約の兆候を発見することができます。

可視化された分析データを見ながら次のうち手を考えることで、解約率の低下を図ることができ、
結果的にLTVの最大化を目指すことができるでしょう。

詳細はこちら

pottos (ポトス)

BtoBに特化したカスタマーサクセスオートメーションツールで、顧客のサービス利用状況に応じて、自動的に担当者へのタスク生成や顧客への連絡が行われます。

対応が多岐にわたるカスタマーサクセス担当者を支援するツールとして活用されています。

詳細はこちら

EmotionTech(エモーションテック)

EmotionTechでは、簡単に顧客のアンケートを作成・集計し、顧客属性などのデータと合わせて分析を行うことができます。
分析機能については特許を取得している独自の手法を使用しているので安心です。

サービス改善のために顧客課題を明確化させたいと考えている企業におすすめです。

詳細はこちら

 

カスタマーサクセスを重視して継続的な成功を目指そう

サブスクリプションを利用する顧客が増えるなど、ビジネスシーンは時代とともに変化しています。
そのような中、カスタマーサクセスは企業が経営戦略を立てるうえで重要な考え方となるはずです。

カスタマーサクセスには「解約率」「顧客推奨率」をはじめとした指標があります。
これらの指標をしっかりとチェックしつつ、継続的に利益を生み出す方法を探りましょう。

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