2021/01/25 22:11
経営
コア・コンピタンスとは【経営戦略/強み】

コア・コンピタンス(Core competence)とは、他の会社が持っていない自社だけの「強み」を意味します。
企業競争力を高めていくうえで、コア・コンピタンスを発見し、重点的に強化していく経営戦略が求められます。
この記事では、コア・コンピタンスの基本的な考え方や、コア・コンピタンスを見つける方法について
解説していきますので、ぜひ参考にしてください。
コア・コンピタンスとは?企業活動の「強み」を見つけよう
コア・コンピタンス(Core competence)とは、競合他社にはない自社の企業活動の「強み」のことです。
ハーバード・ビジネス・レビューの「The Core Competence of the Corporation」の冒頭で、コア・コンピタンスは
「自社が持つさまざまな生産技能やテクノロジーを統合するための集合知」と定義されています。[注1]
つまり、企業が持つ技術やリソースを集約し、ひとつの「強み」として昇華させることが、
コア・コンピタンスの基本的な考え方です。
たとえば、自動車メーカーを例に挙げれば、他社よりも優れた性能のエンジンをつくる技術や、
部品を小型化するための工夫などが、ここでいうコア・コンピタンスに当たります。
長期的かつ安定して成長している成功企業は、いずれも固有のコア・コンピタンスを持っています。
自社のコア・コンピタンスを見つけ、経営戦略の一環として重点的に強化していくことが、企業競争力を高めるうえで欠かせません。
[注1] Harvard Business Review:The Core Competence of the Corporation
ケイパビリティとの違いは?バリューチェーンにおける役割を理解しよう
コア・コンピタンスとよく似た言葉として、「ケイパビリティ(Capability)」があります。
コア・コンピタンスとケイパビリティの違いは次の通りです。
バリューチェーンとは、仕入れ、製造、流通、広告宣伝、販売といった企業価値を生み出すための一連の活動を意味します。
コア・コンピタンスは、これらバリューチェーンの特定のプロセスで力を発揮する生産技能やテクノロジーのことです。
一方、ケイパビリティはバリューチェーン全体にまたがる概念で、どの生産プロセスにも役立つような、
組織全体の活力や業務遂行能力を表します。
コア・コンピタンスを見つけるための5つの視点
それでは、どうやって他社にないコア・コンピタンスを見つければよいのでしょうか。
次の5つの視点を持ち、自社の企業活動を振り返ることが大切です。
- 模倣可能性(Imitability)
- 耐久性(Durability)
- 代替可能性(Substitutability)
- 希少性(Scarcity)
- 耐久性(Durability)
以上の5つのポイントについて、これから順に解説していきます。
模倣可能性(Imitability):他社に真似できないかどうか
模倣可能性とは、競合他社に真似できない能力(コンピタンス)かどうかという視点です。
簡単に模倣できない生産技能やテクノロジーであればあるほど、競合他社が追いつくのに時間がかかり、
市場における優位性を確保できます。
移動可能性(Transferability):応用が利くかどうか
移動可能性とは、特定の製品やサービスだけでなく、他の分野にも応用できる能力かどうかという視点です。
幅広く応用可能な技術やスキルを獲得できれば、新たな開発コストをかけずに、次々と優れた商品を生み出すことが可能です。
代替可能性(Substitutability):唯一無二の強みかどうか
代替可能性とは、他の方法では代替ができない、唯一無二の強みがあるかどうかという視点です。
代替可能性のない(置き換えが難しい)コンピタンスがあれば、市場で高いオリジナリティを発揮し、
その分野のシェアを独占できます。
希少性(Scarcity):高いアドバンテージがあるかどうか
希少性とは、その生産技能やテクノロジーが市場において珍しいかどうかという視点です。
同じ技術やスキルを持つ競合他社がいないため、希少性の高いコンピタンスを獲得できれば、
市場において高いアドバンテージを発揮できます。
耐久性(Durability):年月の変化によって陳腐化しないか
耐久性とは、そのコンピタンスが年月の変化にともない、劣化しにくく、陳腐化しにくいかどうかという視点です。
AI・IoT・ロボティクス・ビッグデータといった新たなテクノロジーが次々と登場し、
製品やサービスのライフサイクル(寿命)が短縮化しつつある今、陳腐化しづらいコア・コンピタンスを発見するのは困難です。
しかし、仮に耐久性の高いコア・コンピタンスを見つけることができれば、今後長い期間にわたって、
市場における競争優位性を確保できます。
コア・コンピタンスを見つけ、企業競争力を高める経営戦略が必要
企業競争力を高めるには、競合他社にはない「コア・コンピタンス(自社の強み)」を見つける必要があります。
コア・コンピタンスを探す視点は、「模倣可能性(Imitability)」「耐久性(Durability)」
「代替可能性(Substitutability)」「希少性(Scarcity)」「耐久性(Durability)」の5つです。
市場における優位性を確保するため、自社の強みを重点的に強化する経営戦略が必要です。