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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2022/12/26 11:15

経営

コア・コンピタンスとは【経営戦略/強み】

読了まで約3分

コア・コンピタンス(Core competence)とは、他の会社が持っていない自社だけの「強み」を意味します。
企業競争力を高めていくうえで、コア・コンピタンスを発見し、重点的に強化していく経営戦略が求められます。

この記事では、コア・コンピタンスの基本的な考え方や、コア・コンピタンスを見つける方法について解説していきますので、ぜひ参考にしてください。

コア・コンピタンスとは?企業活動の「強み」を見つけよう

コア・コンピタンス(Core competence)とは、競合他社にはない自社の企業活動の「強み」のことです。
ハーバード・ビジネス・レビューの「The Core Competence of the Corporation」の冒頭で、コア・コンピタンスは
「自社が持つさまざまな生産技能やテクノロジーを統合するための集合知」と定義されています。[注1]
つまり、企業が持つ技術やリソースを集約し、ひとつの「強み」として昇華させることが、コア・コンピタンスの基本的な考え方です。

たとえば、自動車メーカーを例に挙げれば、他社よりも優れた性能のエンジンをつくる技術や、部品を小型化するための工夫などが、ここでいうコア・コンピタンスに当たります。
長期的かつ安定して成長している成功企業は、いずれも固有のコア・コンピタンスを持っています。
自社のコア・コンピタンスを見つけ、経営戦略の一環として重点的に強化していくことが、企業競争力を高めるうえで欠かせません。

[注1] Harvard Business Review:The Core Competence of the Corporation

ケイパビリティとの違いは?バリューチェーンにおける役割を理解しよう

コア・コンピタンスとよく似た言葉として、「ケイパビリティ(Capability)」があります。
コア・コンピタンスとケイパビリティの違いは次の通りです。

バリューチェーンとは、仕入れ、製造、流通、広告宣伝、販売といった企業価値を生み出すための一連の活動を意味します。
コア・コンピタンスは、これらバリューチェーンの特定のプロセスで力を発揮する生産技能やテクノロジーのことです。

一方、ケイパビリティはバリューチェーン全体にまたがる概念で、どの生産プロセスにも役立つような、組織全体の活力や業務遂行能力を表します。

 

コア・コンピタンスを見つけるための5つの視点

それでは、どうやって他社にないコア・コンピタンスを見つければよいのでしょうか。
次の5つの視点を持ち、自社の企業活動を振り返ることが大切です。

  • 模倣可能性(Imitability)
  • 耐久性(Durability)
  • 代替可能性(Substitutability)
  • 希少性(Scarcity)
  • 耐久性(Durability)

以上の5つのポイントについて、これから順に解説していきます。

模倣可能性(Imitability):他社に真似できないかどうか

模倣可能性とは、保有している技術や特性が、競合他社に真似できない能力(コンピタンス)かどうかという視点です。

「他社による模倣の可能性が低い」「他社がその分野で自社に追いつくことは困難」という場合には、その分野で競争優位性を持つことができます。
他社に簡単に模倣されては、模倣可能性が高いという結論となり、自社のコア・コンピタンスとはいえません。
市場を独占できるような、簡単に模倣できない生産技能やテクノロジーであればあるほど、競合他社が追いつくのに時間がかかり、市場における優位性を確保できます。

移動可能性(Transferability):応用が利くかどうか

移動可能性とは、1種類の製品・分野に限らず、1つの技術で多くの製品や多方面の分野に応用が可能で、幅広い展開が期待できる視点のことです。

幅広く応用可能な技術やスキルを獲得できれば、新たな開発コストをかけずに、次々と優れた商品を生み出すことが可能です。
このように絶え間なく新しい製品やサービスを社会に広く提供できる能力は、コア・コンピタンスとして認めることができます。

代替可能性(Substitutability):唯一無二の強みかどうか

代替可能性とは、自社の強みと考える技術や能力、そして製品を別のものに置き換えることができない、唯一無二の強み、という視点です。

代替可能性のない(置き換えが難しい)技術力やオリジナリティがあるコア・コンピタンスを持った企業は、その分野において独占的なシェアを独占できます。
簡単に代替品が見つかってしまうようでは、コア・コンピタンスとは言えません。
代替可能性のない技術や製品の開発は非常に難しいですが、コア・コンピタンスの確立には避けては通れない道です。

希少性(Scarcity):高いアドバンテージがあるかどうか

希少とは、「数が少なく珍しいこと」を指す言葉ですが、コア・コンピタンスにおいては、
「その生産技能やテクノロジーが市場において珍しいかどうか」「希少価値がその技術や特性などに存在している」などの視点を指します。

一般的には「代替可能性」「模倣可能性」を満たしていることで、「希少性」を持っていると見なされます。
それぞれの視点で高評価を得ることができれば、市場に対して圧倒的なアドバンテージを保有することになります。

耐久性(Durability):年月の変化によって陳腐化しないか

耐久性とは、短期間で強みが消滅せず、長期間にわたって他社の追随を許さない競争的優位性を保つことができるか、という視点です。

AI・IoT・ロボティクス・ビッグデータといった新たなテクノロジーが次々と登場し、製品やサービスのライフサイクル(寿命)が短縮化しつつある今、
陳腐化しづらいコア・コンピタンスを発見するのは困難です。

ただ、ブランド的価値や名声といったものであれば、経年により耐久性を増すことも考えられます。
どちらにしても、耐久性という視点でコア・コンピタンスを捉えることは重要です。

 

事例で理解するコア・コンピタンス

実際にコア・コンピタンスを確立した企業の例について3つご紹介します。

株式会社セブン&アイ・ホールディングス

コンビニエンスストアや総合スーパーなどを運営する株式会社セブン&アイ・ホールディングスでは、
「購買量に裏付けられたバイイング・パワー」「POSなどを有効活用した顧客ニーズへの対応力」「充実した店舗網」の3つを自社のコア・コンピタンスとして確立しています。

また、コア・コンピタンスとは別にケイパビリティとして「組織全体を通じた優れた仮説検証力」を保有することで、異業種への参入を次々に実現していきました。

例えばセブン銀行が広まった背景として、「顧客ニーズを的確に把握」「グループの店舗網を徹底的に活かす」「ATMからの手数料収入に集中したビジネスモデルを展開」といった
コア・コンピタンスを生かした戦略にあります。

トヨタ自動車

日本最大手の自動車メーカー、トヨタ自動車では、製品の原材料の調達から製造など、一連の流れをスムーズにするサプライチェーンと呼ばれるシステムを意識したことで、
多くの製品が支持されるようになりました。

トヨタのサプライチェーンこそがコア・コンピタンスであり、開発設計の時間が世界でもトップクラスで短いため、「販売のトヨタ」とも呼ばれています。

シャープ株式会社

エレクトロニクスの開発や電気機器を製造する大手電機メーカー、シャープ株式会社は、
家電やコンピューター事業に大きく関わりを持つ電卓の液晶パネルの研究開発を成功させ、確固たる地位を築き上げました。

液晶パネルについての研究の積み重ねは、シャープのコア・コンピタンスとして据えられており、テレビ以外でも優れた液晶パネル製品の開発、生産に取り組んでいます。

 

自社のコア・コンピタンスを見つける方法

では、実際に自社のコア・コンピタンスを定義するため、次の3ステップに従って見極めていきましょう。
コア・コンピタンスの選定は、今後の自社の経営に大きく関わる重要な作業の一つです。焦って判断するのではなく、時間をかけて慎重に行いましょう。

自社の強みや優位性を把握する

まずは自社の強みや優位性を洗い出して把握するところから始めます。
強みの洗い出しで必要なのは「競合他社の技術や特性、製品などと比較して、優位性を保っていると考えられるもの」を挙げることです。

強みと判断していいか迷うような要素も、何かのきっかけになるかもしれません。ひとまずすべてリストアップしておきましょう。

強みの評価をする

リストアップをしたら前述でご紹介した、コアコンピタンスを見極める5つの視点
「模倣可能性(Imitability)」「移動可能性(Transferability)」「代替可能性(Substitutability)」「希少性(Scarcity)」「耐久性(Durability)」で強みの評価を行います。

また5つの視点に加えて

・顧客に価値をもたらすか
・競合他社に真似されにくいか
・応用が利くか

の視点で深堀りを行い、真の意味で自社のコア・コンピタンスを創出していきます。

コア・コンピタンスを決定する

最後にリストに残ったものからさらに、

・将来にわたってコア・コンピタンスとして育成、進化させていきたいものか
・顧客に本当の意味で満足や喜びを与えられるものか
・他市場や業界でも活かせるような汎用性の高いものか
・将来的に考えて模倣されるようなリスクはないか

などと照らし合わせて、自社のビジネスの中核を担うコア・コンピタンスを数個に絞り込んでいきます。

最後のステップは、経営方針にも関わる重大な選択になります。実際には、自社の将来や市場の未来を思い描きながら、経営陣と一緒に行うことが一般的です。
一度定義したコア・コンピタンスを大きく変更する頻度は少なく、これらをもとに市場参入を決めることを十分に理解して進めていくようにしましょう。

 

コア・コンピタンスとコア・コンピテンシーとの違い

コア・コンピタンスとよく似た用語にコア・コンピテンシーがあります。コア・コンピテンシーは高い成果につながる行動特性を指します。

コア・コンピテンシーとコア・コンピタンスでは、その対象が異なります。
コンピテンシーは、「個人」を対象にしたものですが、コア・コンピタンスは「組織」を対象としたものです。

ハイパフォーマーが企業に高い成果をもたらす力がコア・コンピテンシー、組織が顧客や社会に提供できる力がコア・コンピタンスになります。

 

コア・コンピタンスを見つけ、企業競争力を高める経営戦略が必要

企業競争力を高めるには、競合他社にはない「コア・コンピタンス(自社の強み)」を見つける必要があります。
コア・コンピタンスを探す視点は、「模倣可能性(Imitability)」「耐久性(Durability)」「代替可能性(Substitutability)」「希少性(Scarcity)」「耐久性(Durability)」の5つです。
市場における優位性を確保するため、自社の強みを重点的に強化する経営戦略が必要です。

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