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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2023/10/06 13:47

経営

事業部制とは?カンパニー制との違いやメリット・デメリットをわかりやすく解説

読了まで約4分

人と人との集合体である企業が継続して成長するには、個々の能力を最大限に引き出し、生産性を高めるための取り組みが欠かせません。
そのひとつとして組織づくりは重要な役割を果たします。
組織形態は業種や企業文化によっても異なりますが、多くの企業が取り入れている組織形態が事業部制です。

本記事では、事業部制の概要と種類、機能別組織やカンパニー制との違い、メリット・デメリットなどを解説します。
自社の組織形態に課題を感じている経営者の方はぜひ参考にしてください。

事業部制とは

事業部制について理解する上で必要な内容として、まずは事業部制の意味や特徴、事業部制が開始された背景を解説します。

事業部制の意味・特徴

事業部制とは、本社部門の下層に事業ごとに分けた事業部を配置する組織形態を指すものです。
事業部制によって構成された組織を事業部制組織といいます。

事業部制の特徴は、職能別に必要な部署を備えている点です。
例えば製造販売業であれば、生産物流・研究開発・営業・販売などがすべて1つの部署に内包されており、開発や製造などに関わる一定の責任や権限を委ねられています。
そのため、他の事業部や本社との連携が不要であり、その部署だけで事業の遂行が可能です。

事業部制が開始された背景

事業部制は、1920年代にアメリカの大手企業であるデュポン(Du Pont)やゼネラルモーターズ(GM)が最初に導入したことがはじまりとされています。
日本では1933年に松下電器産業が責任の所在を明確にし、「自主責任経営」を徹底させるため、そして経営幹部を育成する上で責任を持って経営にあたることを目的として事業部制を導入しました。
現在では多くの企業が事業部制を導入しており、一般的な組織形態として定着しています。

 

事業部制と似た用語との違い

主な企業の組織形態は事業部制のほかにも、機能別組織やカンパニー制などが挙げられます。
それぞれの概要と事業部制との違いについて以下で解説します。

機能別組織との違い

機能別組織と事業部制の組織形態には大きな違いがあります。
機能別組織は、営業や総務、人事など機能別に各部署を配置し、編成された組織形態を指します。
例えば営業部では営業を、人事部では人事関係の仕事を行うという形式であり、各部署で担当する業務だけを専門的に行うことが特徴です。

事業部制と比較して各機能の専門性を高めやすい反面、それぞれの機能が独立しているため、部署間での連携が取りにくいというデメリットがあります。

カンパニー制との違い

カンパニー制とは、事業部制をさらに推し進めた形の組織形態です。
各部門を一つの独立した会社として社内分社化したもので、人事や販売管理、財務などあらゆる業務に対して責任と決定権が委譲されています。
比較的新しい組織形態で、日本では1994年にソニーが初めて導入しました。

事業部制との違いは、本社からどの程度独立しているかです。
事業部制では、各部署で開発や製造等の権限が与えられていますが、経営に関する権限は本社に委ねられています。
一方、カンパニー制では、事業部がそれぞれ独立して組織の運営を行うため、経営に関する権限も委ねられた形態といえます。
したがって、たとえ事業部が損失を生んでも本社が埋め合わせることはありません。

 

事業部制には3つの種類がある

ひと口に事業部制といってもその種類は大きく「製品別」「地域別」「顧客別」の3つに分けられます。
それぞれの特徴は次のとおりです。

製品別事業部制

製品別事業部制とは、自社が扱う製品やサービスの種類によって事業部を構成するものです。
具体的には、スポーツ用品メーカーが「水泳用品事業部」「野球用品事業部」「陸上用品事業部」などスポーツの種類ごとに分けることを指します。

製品別事業部制では、それぞれの部門で専門知識を持つ社員の育成が可能なため、事業部制の中でも一般的な形態です。
例えば従来の事業と異なる新製品を開発して市場への参入を目指す場合に採用されるケースがみられます。

地域別事業部制

地域別事業部制とは、「北海道・東北事業部」「関東事業部」「近畿事業部」「九州・沖縄事業部」など地域ごとに事業部を設置するものです。
地域に密着したビジネスを展開できるため、それぞれの地域に対してきめ細やかなサービスを実現できます。

地域別事業部制が向いている企業は、すでに全国展開をしているもしくはこれから地域展開を検討している企業や、世界進出を検討している企業などです。
これらの企業では、製品別事業部制よりもエリアに合わせたスムーズな事業が行えます。

顧客別事業部制

顧客別事業部制とは、自社のライフスタイルや特性、年齢性別など顧客別に事業部を構成するものです。
例えば、出版社の場合「10代女性で流行に敏感な層をターゲットとする事業部」「30代女性でライフスタイルの提案を求める層をターゲットとする事業部」などです。

ターゲットのお客様ごとに事業部を構成するため、お客様を中心とした戦略が可能です。
これまでと異なる領域への進出を目指す企業や、幅広い年齢層や趣味嗜好を持つ顧客をターゲットにする企業などに向いています。

 

事業部制のメリット

企業が事業部制を導入するにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
主なメリットについて解説します。

現場だけで迅速な意思決定や行動を実現できる

事業部制では、それぞれの事業部に権限が与えられているため、本社の上層部に承認を取る必要はありません。
現場だけで迅速な意思決定を行い、行動に移せることは大きなメリットといえるでしょう。

もちろん、意思決定には責任が伴いますが、特に競合との争いで一分一秒でも先んじる必要がある場合、事業部に権限のない組織形態では遅れをとってしまう可能性が考えられます。

自社が属する業界の中で先行者優位の立場に立ち、競合との差別化を図る意味でも、事業部に権限があるのは事業部制ならではのメリットです。

本部は会社経営に集中できる

各部署に権限を委譲することで、本部が会社経営に集中できるようになるのも事業部制のメリットです。
本部がすべての権限を持つ組織形態の場合、各事業部での稟議に対してすべて承認、不承認の判断が必要となるのは大きな負担になります。

また、時間的なコストが必要なため、本来やらなければならない経営課題に向き合う時間が削減されてしまうでしょう。

しかし、事業部制であれば、各部署で判断できることに関して本部が関わる必要がないため、大幅な負担軽減が可能です。
その結果、本部は会社全体の経営課題の解決に時間を割けるようになり、結果として利益向上の可能性が期待できます。

責任の所在を明らかにできる

事業部制では事業部ごとの業績が出るため、企業の業績悪化に対して各事業部の責任の所在を明らかにできます。
責任を明らかにできることで、各事業部間での競争を促進することが可能です。
結果的に企業全体の業績アップにつながることが期待できます。

事業部制に対して機能別組織の場合、各部署は基本的に自分たちの業務だけの責任を負います。
そのため、企業全体の業績が悪化しても、どの部署にどんな問題があるのかを把握しにくいでしょう。

経営に必要な視点を持つ人材を育成しやすい

事業部制では、1つの事業部内にある生産物流、研究開発、営業など異なる業務を俯瞰で捉えられるため、事業全体の業績向上を目指す能力が養われます。
その結果、異なるさまざまな部署を管理する経験値が増え、経営に必要な人材の育成につながります。

一方、機能別組織の場合、それぞれの部署に関わる業務での専門性を高めるのに高い効果を発揮できる反面、経営に必要な全体を見渡せる視点を持つ人材が育ちにくいでしょう。

需要が高い事業の可視化が可能

事業部制では、各事業部で損益計算書を作成するため、事業部単位でどれぐらいの収益を上げているかが確認できます。
高い収益を上げている事業部は、市場からの需要が高い事業であることが明確になるため、経営資源の選択と集中が可能です。

また、高い収益を上げる事業部があれば、関連する事業との連携により、さらに収益向上を実現する経営戦略を取れるようになることも事業部制のメリットといえるでしょう。

 

事業部制のデメリット

多くのメリットを持つ事業部制ですが、デメリットも考えられます。
事業部制で起こり得るデメリットについて解説します。

各事業部において経営資源にロスが生じやすい

事業部制では、事業部ごとに部署を設置するため、場合によっては重複が生まれ経営資源のロスにつながってしまう可能性があります。

例えば生産業務を例にした場合、1つの工場をそれぞれの事業部で共有すればコストの削減につながります。
しかし、事業部制では事業部ごとに異なる工場を持つため、各工場の建設費用や運用コストの重複による経営資源のロスが生じやすいでしょう。

各事業部の間で壁が生まれやすい

事業部制では同じ事業部内での連携はスムーズですが、異なる事業部間では連携を取りづらく、心理的な壁が生まれやすいこともデメリットといえます。

事業部間ごとに心理的な壁があると、新製品の開発や新規事業の立ち上げなど、企業全体で協力し合うべきプロジェクトの達成が難しいでしょう。
また、各部署の予算配分や賞与など部署間での差が生じた場合、対立に発展するおそれもあります。
結果的に、社員のモチベーションが下がり、離職の原因になる可能性があるため注意が必要です。

 

事業部制を戦略につなげるなら経営計画書の活用がおすすめ

事業部制とは、本社部門の下層に事業ごとに分けた部署を配置する組織形態を指すものです。
日本では松下電器産業が1933年に導入し、現在では多くの上場企業が導入する組織形態といえます。

事業部制を導入する主なメリットは、権限が事業部に委譲されるため、迅速な判断が可能になる点、権限委譲により本部が経営に集中できるようになる点です。

ただし、権限には責任も伴うため、社員一人ひとりが自社の目標や方針をしっかりと理解することが欠かせません。
そこで、おすすめなのが経営計画書です。
経営計画書は、会社方針・数字・スケジュールをまとめた手帳型のルールブックです。

社員一人ひとりが携帯することで、会社方針や経営目標などを常に確認でき、また事業計画書には事業部ごとの方針も明記されているため、幹部や社員が実現に向けて行動・指導することができます。

株式会社武蔵野の経営計画書には、事業部制を自社戦略につなげるヒントが詰まっています。
無料でお試しできるのでぜひご活用ください。

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