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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2023/10/19 15:00

経営

人材育成

スパン・オブ・コントロールとは【人材配置/組織】

読了まで約3分

部下の人数が多すぎて、業務負担の増加に悩む管理職が少なくありません。
一般的に、管理者1人あたりの部下の人数は、5名~8名程度が理想的だといわれています。
しかし、内閣官房内閣人事局の調べでは、現役の管理職の50.1%が、11名以上の部下をマネジメントしていることがわかっています。[注1]

事業運営に支障をきたさないため、スパン・オブ・コントロールを実行し、マネジメント人数の最適化に取り組むことが大切です。
この記事では、スパン・オブ・コントロールの基本的な考え方や、部下の人数の最適なバランスについて解説していきます。

[注1]内閣官房内閣人事局:管理職のマネジメント能力に関するアンケート調査 結果概要(最終報告)

スパン・オブ・コントロールとは?マネジメント人数を最適化しよう

スパン・オブ・コントロール(Span of Control)とは、日本語で「管理限界」といい、1人の管理職が同時にコントロールできる部下の人数を意味します。
もとは軍隊組織で使われていた概念ですが、近年ビジネスの世界でも注目を集めています。
スパン・オブ・コントロールが必要なのは、管理者1人あたりの部下の数が多すぎても少なすぎても、事業運営に支障が出るからです。
スパン・オブ・コントロールを実行し、マネジメント人数の最適化に取り組みましょう。

部下の人数を増やすと管理職の負担が増える

管理職の数を減らし、管理職1人あたりの部下の人数が増えるとどうなるのでしょうか。
管理職の負担が増加し、マネジメント以外の通常業務が圧迫されます。
日経キャリアNETがマネジメント層向けに実施したアンケート調査では、回答者の99%以上が、マネジャーと同時にプレーヤーとしての役割も持つプレイングマネジャーとして活躍しています。
そのうち、「プレーヤーとしての仕事が半分より多い(51~100%)」割合は44.3%です。[注2]
部下の人数が管理限界を超えると、管理職のプレーヤーとしての側面に支障をきたすことがわかります。

[注2]日経キャリアNET:上司や部下のジレンマを大解剖!働く30~50代の悩みのタネはどこに?

部下の人数を減らすと人件費が圧迫される

逆に、管理職の数を増やせば、マネジメント業務の負担が減少します。
管理者1人あたりの部下の人数が少ないため、チームの1人ひとりに目が行き届き、風通しが良い組織が生まれます。
しかし、管理者の数が多すぎると、今度は人件費を圧迫します。
厚生労働省の「令和元年賃金構造基本統計調査」によると、非役職者の平均給与は314.0万円であるのに対し、部長級は666.8万円、課長級は531.0万円と、1.5倍~2倍近い数字です。[注3]
管理職を増やせば、リーダーとメンバーの距離が縮まる一方で、企業は人件費の高騰に悩むことになります。
管理職1人あたりの部下の人数は、適正なバランスを見つけることが大切です。
スパン・オブ・コントロールによってマネジメント人数を最適化しましょう。

[注3] 厚生労働省:令和元年賃金構造基本統計調査

 

管理職と部下の適正人数は?スパン・オブ・コントロールの目安を解説

管理者1人あたりの部下の適正人数は、多くても10人までです。
また、チームが置かれた状況によって、バランスが変動する点にも注意しましょう。

マネジメント人数の目安は5~8名

管理職のマネジメント人数の目安は、「2枚のピザ理論(=理想的なチームメンバーの数は、2枚のピザを分け合える人数)」という言葉があるように、管理者1名につき部下5~8名程度です。
すでに取り上げたように、内閣官房内閣人事局のアンケート調査では、管理職の過半数が10名を超える部下をコントロールしていることがわかっています。
部下の人数が5~8名の範囲におさまるよう、管理職の増員や再配置などを行い、スパン・オブ・コントロールを実行しましょう。

人数のバランスはチーム状況によっても変化する

スパン・オブ・コントロールの人数は、チーム状況によって変化する点に注意が必要です。
たとえば、メンバーが抱えるタスク量が少ない場合、管理職のスパン・オブ・コントロールの幅が広がり、もっと多くの部下を管理できます。
逆にチーム全体の業務量が多い場合は、スパン・オブ・コントロールの幅が狭まり、部下1人ひとりに目が行き届きにくくなります。
スパン・オブ・コントロールにおいては、チーム状況に基づき、部下の人数を柔軟に調整する姿勢も必要です。

管理者の下にリーダー役を置こう

スパン・オブ・コントロールの人数を増やしたい場合は、管理者の下に複数のリーダー役を配置しましょう。
管理者だけでなく、個々のリーダーの目が隅々まで行き届くことで、通常よりも多くの部下をコントロールできます。
代表的な取り組みが、「1-3-9」のチームづくりです。
管理者1人の下に3人のリーダーを置くことで、リーダーと合わせて3+9=12人の部下を一度にコントロールできます。

 

スパン・オブ・コントロールの拡大方法とは? 

部下の育成ならびに権限委譲(エンパワーメント)を進めて上司の負担を減らす

マネジャーが持っている意思決定権を部下に権限委譲(エンパワーメント)することで、管理者の業務量が減少します。
エンパワーメントとは、組織に所属する一人ひとりの本来持っている潜在能力を引き出し、その組織の発展や変革のために力を発揮することを意味しています。
この権限委譲を進めるには、管理者の権限の一部を引き受けられる判断力を持つ部下の育成が必要です。
権限委譲が進むことで、部下の自己判断で業務遂行が可能となり、スパン・オブ・コントロールの拡大へと繋がります。

業務の標準化や情報共有の効率化を図る

業務の標準化を行うことで仕事の進め方や判断基準が統一され、部下が上司に指示を仰ぐ頻度が減ります。
誰もが同じ方法・同じクオリティで業務を行えるようになれば、管理者のマネジメント負荷を軽減でき、本来やるべき管理業務に時間を費やすことができます。

MTGや対面での情報共有も大切ですが、チャットツールやタスク管理ツール、SFA、CRMなどのITツールの活用により、情報共有の効率化を図ることができます。
WEB上でのリアルタイムな状態把握、報告、相談ができるようになれば、時間効率を上げることができ、さらに管理者のマネジメント負荷を軽減できます。

チーム内の連携を強化する

メンバー間でお互いの目標や業務内容を共有できているチームは、先輩が後輩をサポートしたり、メンバー間でお互いをフォローし合ったり、協力行動や助け合いが自発的に行われやすくなります。
その結果、マネジャーが直接マネジメントする負荷が減り、スパン・オブ・コントロールが拡大します。

 

スパン・オブ・コントロールの活用事例

変更前

1名のマネジャーに対して30名以上のメンバーがおり、経験のあるメンバーをリーダーとして役割を任せてはいたが、権限と責任はすべてマネジャーにある状況。
マネジャーがすべてのメンバーの業務を把握して指示・判断をするのではなく、権限委譲を行い組織全体の対応力・対応スピードをあげていき、メンバーの成長を促していくことが必要でした。

変更点

マネジャーはメンバーに対して、目標とその達成状況を確認しながら、部署の目標達成の最終責任をもつ役割へと変更しました。
リーダーには実行プロセスの判断権限をもちながら、メンバーの業務遂行を支援する役割として再定義。

マネジャー1名に対して5名のリーダー、1名のリーダーに対して5~6名のメンバーとして部署内にチームを編成しました。
目標管理や育成の責任はマネジャーにあるものの、日々の業務遂行状況や課題はマネジャーがリーダーから情報収集し、連携して育成を進められるようになりました。

取組上の留意点

リーダーに対してマネジャーが業務上の判断やメンバーとの関わり方について育成指導を進め、一律ではなくリーダーの状況に応じて権限委譲を進めました。
チームの編成見直しと同時に、チーム内の業務フローや会議等を見直し、業務効率を高められるよう洗い出しを行うことが必要です。

 

スパン・オブ・コントロールを実行し、部下の人数の最適化を

1人の管理者がコントロールできる部下の人数の目安は、5名~8名ほどです。
部下の人数が多すぎても少なすぎても、事業運営に支障をきたします。
スパン・オブ・コントロールを実行し、管理者1人あたりのマネジメント人数を適正化しましょう。

管理者の下にリーダー役を置く「1-3-9」のチームづくりも有効です。

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  • スパン・オブ・コントロールの上限は?

    管理者1人あたりの部下の適正人数は、多くても10人までです。 また、チームが置かれた状況によって、バランスが変動する点にも注意しましょう。
    詳しくはこちらをご覧ください。

  • 上司の負担を減らすには?

    マネジャーが持っている意思決定権を部下に権限委譲(エンパワーメント)することで、管理者の業務量が減少します。
    詳しくはこちらをご覧ください。

執筆者情報

執筆者の写真

小山 昇 / 株式会社武蔵野 代表取締役社長

1948年、山梨県に生まれ、東京経済大学卒業。
1977年、株式会社ベリーを設立し社長に就任。
1989年、現職に就任。
1990年、株式会社ダスキンの顧問に就任。
1992年、顧問を退任し現在に至る。

全国の経営者でつくる「経営研究会」主催。
株式会社武蔵野は2000年日本経営品質賞、2010年国内初日本経営品質賞2度目の受賞。

現在パートナー会員750社以上の会員企業を指導。
日本経営品質賞受賞の軌跡、中小企業のIT戦略、実践経営塾、実践幹部塾と、全国で年間1900回以上のセミナーを行っており、訪問社数も年間約120社を超える。

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