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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2023/08/22 11:00

経営

OODAループとは?PDCAサイクルとの違いや具体例など徹底解説

読了まで約4分

「OODAループの意味や役割について知りたい」「OODAループとPDCAサイクルの違いや具体的なステップを理解したい」と考えている企業経営者の方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、OODAループの概要やPDCAサイクルとの違い、OODAループのステップと具体例、メリット・デメリットなどをわかりやすく解説していきます。
本記事を読むことで、OODAループの役割や導入する際の順序などを理解できるでしょう。
自社の人材育成や業績アップの参考にしてください。

OODAループとは

OODAループの読み方は”ウーダループ“と読みます。
変化の激しい今の時代において、成果を出せる行動と組織づくりができるフレームワークです。

まずはOODAループの意味と注目されている背景についてご紹介します。
基本的な概要をおさえることで、スムーズに理解を深められます。

OODAループの意味

OODAループ(ウーダループ)とは、わかりやすく解説すると勝敗に関わる意思決定と実行のための思考法の一つです。
現代のビジネスシーンでは、PDCAと比較される形で認知されている傾向があります。

元々はアメリカの戦闘機操縦士であり、軍事戦略家のジョン・ボイド氏が発明した理論です。
ジョン・ボイド氏は、いかなる不利な状況でも40秒で覆すことができたため、「40秒ボイド」の異名を持っていたといわれています。
その原因は、行動スピードの速さです。
つまり、先行きの見通しが立たない不透明な状況でも素早く意思決定を下し、スピーディーに行動したことが、40秒ボイドの由来と考えられています。

ジョン・ボイド氏は軍人を引退後に研究を重ねてOODAループを発明しました。
具体的な内容は後述しますが、「Observe(観察)」「Orient(情勢判断)」「Decide(意思決定)」「Act(行動)」の4つのステップで構成されています。

OODAループが注目されている背景

VUCA時代における変化

物事の変化が激しくて予測が難しい状況を「VUCA時代」と言います。
VUCAは「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」の頭文字です。

実際に新型コロナウィルスの影響によって、ビジネス環境は大きく変化しました。
今後も、いつ、どのようなタイミングで異常気象や自然災害などが起こるかは予想不能です。
このようなVUCA時代では、迅速な判断と意思決定が大切であると考えられます。
特にビジネスシーンでは、ゆっくり時間をかけて判断をしている間に取り残される可能性もあるでしょう。

OODAループは素早く決定して行動するための思考法であるため、VUCA時代と相性がよいという背景からも注目を集めているのです。

PDCAサイクルが万能ではない

PDCAサイクルはOODAループより認知度も高く、有効で実績豊富なフレームワークです。しかし、この変化が激しいVUCA時代においては万能のフレームワークではなく、PDCAだけでビジネスを進めていくのは賢明ではありません。

PDCAサイクルは品質管理や生産管理のためのフレームワークなので、変化する状況においては、スピード重視のOODAループと従来のPDCAサイクルを使い分けることが理想的です。

AIの発達

AIの頭脳や技術が急速に発達し、様々な業務を人間ではなくAIができるようになりました。
しかしあくまでもAIは、過去のデータが存在する部分の領域のみです。
新しい分野に関しては、AIではなく人間がOODAループを高速で回していくことが大切になります。

よりスピード感が求められる場面では、OODAループを使って市場の動きに即座に対応することで、競合他社に負けない強い企業になります。

 

OODAループとPDCAサイクルの違い

変化の激しい現代において、PDCAはもう古い、時代遅れだなどと言われることもありますが、実際にどのような違いやメリットがあるのかご紹介します。

OODAループは意思決定と実行のためのフレームワークであり、PDCAサイクルは「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」という継続的な業務改善のためのフレームワークです。
双方の違いについて具体的に解説します。

ループとサイクルの違い

ループには「間を繰り返す」という意味があり、サイクルには「状態が変化して最初の状態に戻る」という意味があります。
OODAループは名称通り「ループ」であるため、途中で前の段階に戻ったり、状況によっては任意の段階から始めたりすることが可能です。
必ずしも「Observe(観察)」からスタートする必要はありません。

一方、PDCAサイクルは「サイクル」なので、「Plan(計画)」からスタートし「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」へと続きます。

このようにOODAループは双方向的であり、PDCAサイクルは一方向的という違いがあります。

フレームワークとしての役割の違い

OODAループは意思決定と実行のフレームワークであり、「どのように動けばよいのか」という「Decide(意思決定)」をした後、実際に「Act(行動)」します。
そのために「Observe(観察)」と「Orient(情勢判断)」があるという考え方も可能です。

一方のPDCAサイクルは業務改善のフレームワークであるため、「どのように改善すればよいのか」という仮説を立てて「Plan(計画)」することからスタートします。
その後に「Do(実行)」した後、「Check(評価)」をして振り返り、実際に「Action(改善)」を行います。

このようにOODAループは最善策を選ぶためのフレームワーク、PDCAサイクルは既存の業務プロセスを改善するためのフレームワークという違いがあります。

目指すべき結果の違い

OODAループは、最初から目指す結果を想定していません。
「Observe(観察)」と「Orient(情勢判断)」によって現状を把握した後、「Decide(意思決定)」と「Act(行動)」で目の前の状況に対処します。

一方のPDCAサイクルは、最初から目指す結果が明確です。
その結果を達成するために「Plan(計画)」を立て、「Do(実行)」と「Check(評価)」で結果のズレを踏まえ、「Action(改善)」を考えるのです。

このようにOODAループは、基本的に観察からスタートすることに対して、PDCAサイクルは結果から逆算して計画を立てるという違いがあります。

評価のプロセスの違い

OODAループは「Act(行動)」の後で評価、検証することがありません。
前述したように結果を想定しないフレームワークなので、振り返り自体が不要なのです。

一方のPDCAサイクルは、目指す結果を想定した後、「Plan(計画)」「Do(実行)」と進むフレームワークなので、必ず「Check(評価)」と「Action(改善)」のプロセスが必要になります。

このようにOODAループには評価という項目自体がなく、PDCAサイクルは実行後に評価と改善が必要です。

PDCAサイクルについてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
PDCAサイクルをうまく回すコツは?4つのステップやメリット・デメリットを解説

 

OODAループのステップと具体例

OODAループを導入する際のステップと具体例として、「Observe(観察)」「Orient(情勢判断)」「Decide(意思決定)」「Act(行動)」のそれぞれに分けて解説していきます。

1.Observe(観察する)

Observeには「観察」という意味があります。
自分の周囲で起こっていることを予断を挟まず、ありのまま受け止めることが大切です。
素早い変化に気付くためにも、冷静な「bserve(観察)」がポイントになります。

まずは市場や顧客、競合などの対象を観察・調査し、生のデータを収集していきます。

Observeの具体的な例は以下です。

弊社では販促活動の一環として、既存顧客に許可を取ったうえで、新商品に関するメールを不定期配信している。
今月は3,217名の顧客に配信し、URLのクリック率は19%の611回。そのうち、購入率は3%の18名だった。
クリック率も購入率も前回より10%ダウンしている。
最近は、同業他社の新商品に関して「御社に同じような商品はありませんか?」といった問い合わせがよく届く。
その同業他社はメールマガジンだけではなく、SNSを活用したアプローチに力を入れている。

2.Orient(情勢判断する)

Orientには「正しく判断する(情勢判断する)」という意味があります。
「Observe(観察)」によって得た情報を分析しながら、知識と経験を元に現実的な解決策を考えます。

Orientが成功したと判断するポイントは、「以前の判断の誤りや他者の判断の誤りに気付くこと」だとされています。
PDCAサイクルのように1度回すことで成功を得られるものではなく、何度も繰り返し回すことでゴールの達成へと近づいていきます。

Orientの具体的な例は以下です。

顧客向けメールにもかかわらず、クリック率も購入率も10%ダウンしているということは、そもそも開封率が低いのではないか。
もしくは開封されても、新商品が顧客ニーズと合っていない可能性も考えられる。
同業他社の新商品に関する問い合わせがあるということは、その方向性で商品開発を考える必要があるのかもしれない。
また、メールマガジンという手法が時代に合っていない可能性もあり、弊社でもSNSマーケティングを取り入れることが重要ではないだろうか。

3.Decide(意思決定する)

Decideには「決める」という意味があります。
「Orient(情勢判断)」を考慮したうえで決断しましょう。

Decideの具体的な例は以下です。

メールの開封率をアップするために、顧客が興味を惹くタイトルを付けてみよう。本文も新商品の情報だけではなく、お役立ちコンテンツを混ぜるようにしよう。新商品の方向性に関しては、同業他社の商品を研究する必要がある。マーケティングに関しても、同業他社のSNSを研究して今後に取り入れてみよう。

4.Act(実行する)

Actには「実行する」という意味があります。
「Decide(意思決定)」した内容を迅速に行動に移すことが大切です。
その後は再び「Observe(観察)」に戻って、ループを回しましょう。

Actの具体的な例は以下です。

まずは同業他社の商品を研究した後、自社の新商品開発に取り入れる。
メール配信では、興味を惹くタイトルを付け、本文の内容も練り込んで配信する。
また、同業他社のSNSを研究した後、自社でもSNSマーケティングを始めることにする。

 

OODAループ活用のメリット・デメリット

最後にOODAループ活用のメリット・デメリットを説明します。

メリット

OODAループは結果が出るまでのスピードが速く、臨機応変に行動できる、メンバーそれぞれが主体的に対応できる、というメリットがあります。

OODAループの根底には「短い時間で迅速に意思決定を行う」という考え方があるため、結果が出るまでのスピードが速いのです。
思い立った瞬間に「Observe(観察)」を行うことで、スムーズに「Decide(意思決定)」「Act(行動)」へと辿り着けるでしょう。

また、OODAループは双方向的なフレームワークなので、現場の状況に合わせた臨機応変な対応が可能です。
また、他者の承認を得る必要がないため、メンバーそれぞれが自主的に動くことができます。

デメリット

OODAループは全体の方向性にズレが生じたり、チームの統率が取れなくなったりする可能性があります。
中長期的な改善には向かない点もデメリットです。

前述したように、OODAループには「メンバーそれぞれが主体的に対応できる」というメリットがある反面、個人の裁量に任せる部分が多く、チーム全体の方向性を共有していなければ、統率が乱れるリスクがあるのです。

また、あくまでも「Decide(意思決定)」と「Act(行動)」を重視したフレームワークであり、PDCAサイクルのように「Check(評価)」と「Action(改善)」の項目はありません。
改善を前提とした中長期的な事業には向かないといえます。

 

企業の業績アップにはOODAとPDCAの使い分が重要

OODAループは意思決定のフレームワークです。
「Observe(観察)」「Orient(情勢判断)」「Decide(意思決定)」「Act(行動)」のステップで構成されています。

よく比較されるフレームワークにPDCAサイクルがありますが、PDCAサイクルは業務改善のフレームワークであるため、そもそもの目的が異なります。
企業の業績アップには、OODAループとPDCAサイクルの使い分けが重要です。

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