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武蔵野コラム

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ラインケアとは?【職場におけるメンタルヘルス対策】

この記事は約3分で読めます。

職業生活で不安や悩みを抱え、メンタル不調を発症するビジネスパーソンが増えています。
職場のメンタルヘルス対策として、今注目を集めているのが「ラインケア」です。

なぜ、会社の指揮命令系統に属する「管理監督者」によるメンタル管理が有効なのでしょうか。

この記事では、ラインケアの意味や重要性・目的、メンタルヘルス対策における位置づけ、ラインケアの実施手順について解説していきます。

ラインケアとは?

ラインケアとは、課長・部長などの職責にある管理監督者(=ライン)が主体となり、従業員の健康管理に取り組むメンタルヘルス対策です。

たとえばメンタル不調の部下の相談に対応したり、休職後の職場復帰を支援したりと、管理職自らイニシアチブをとって、職場環境を改善していくのがラインケアです。

ここでは、企業のメンタル管理におけるラインケアの位置づけや必要性を解説します。

厚生労働省が推奨する4つのメンタルヘルス対策

厚生労働省は「第12次労働災害防止計画」において、会社組織において継続的・計画的に実施されることが望ましい「4つのケア」を取り上げています。[注1]

1.セルフケア…メンタルヘルスに関する情報提供や、ストレスチェックの実態により、労働者が正しい方法で自己のメンタル管理を行っていく方法。

2.ラインによるケア(ラインケア)…会社の指揮命令系統に属する管理監督者が中心となって、部下の健康状態を把握し、職場環境改善に向けて強い指導力を発揮していく方法。

3.事業場内産業保健スタッフによるケア…セルフケアやラインケアの効果を高めるため、産業医・衛生管理者・保健師などの専門家と連携し、労働者をサポートしていく方法。

4.事業場外資源によるケア…カウンセラー、心療科の医師など、外部の専門家と連携して、職場のメンタルヘルス対策を行っていく方法。

4つの方法のなかでも、従業員と日常的に関わる管理監督者が実施主体となるラインによるケアは、企業のメンタル管理において重要な役割を果たしています。
[注1] 厚生労働省:職場における心の健康づくり~労働者の心の健康の保持増進のための指針~

従業員のメンタルヘルスの問題が深刻化している

厚生労働省の「平成30年労働安全衛生調査(実態調査)」によると、メンタル不調を抱える労働者が増えています。

「仕事や職業生活において、強いストレスを感じる事柄がある」と回答した労働者は、平成25年(2013年)は全体の52.3%でしたが、平成30年(2018年)には58.0%に増加しました。[注2]

仕事や職業生活の悩みの受け皿となるのが、職場の上司・同僚です。
メンタルヘルスに不安を抱える労働者のうち、上司や同僚に対して、仕事や職業生活の不安を実際に相談している割合は69.7%です。[注2]

従業員のメンタル不調が増加している今、不安や悩みの受け皿として、管理監督者によるラインケアに取り組む必要があります。
[注2] 厚生労働省:「平成30年労働安全衛生調査(実態調査)」

 

ラインケア推進のメリット

ラインケアを実施することで、従業員や企業にとってメリットがあります。

従業員のメンタルヘルスの維持・向上につながる

管理監督者がラインケアを実施することで、部下が抱える課題に対して、適切な対処方法を伝えられるため、従業員のメンタルヘルスの課題解消につながります。部下が一人でストレスや不安を抱えずに済むので、良好なメンタルヘルス状態を維持できることが期待できます。

生産性の向上や離職率の低下につながる

ラインケアは健やかな組織運営と直結しているため、良好に保たれていると、生産性向上が見込めます。
理由は、ラインケアそのものが管理監督者と部下、つまり上司部下のコミュニケーションによって成り立っている点にあります。

管理監督者と部下のコミュニケーションが良好であれば、心理的にも安心し、意欲的に業務に取り組むことができ、生産性の向上・離職率の低下にも繋がっていきます。

安全配慮義務を順守できる

ラインケアを行うことで、企業に課せられている安全配慮義務を遵守することができます。

従業員が業務や職場環境を起因としたメンタルヘルス不調に陥った場合、法令違反を指摘される可能性があります。
上司が部下に直接働きかけられるラインケアは、安全配慮義務を遵守するアプローチ方法の1つといえます。

 

 

ラインケアの3つのステップ

従業員のメンタル管理のため、3つのステップでラインケアを実施しましょう。

「いつもと違う」部下に気づき、話を聞こう

メンタルケアの最初のステップは、「いつもと違う」部下に気づくことです。

部下の様子がおかしいとき、何らかのメンタル不調が隠れている可能性があります。
まずは部下の勤怠や仕事、行動を観察し、いつもと違うところをいち早く見つけることが大切です。

例えば表情に活気がなく、明らかに元気がないときや、早退や遅刻、欠勤が増え出したら要注意です。

また報告、連絡、相談がなくなり、職場での会話も減ってきたり、凡ミスが目立ち、仕事の能力が明らかに落ちていたりと、変化に気付いたら声をかけましょう。

部下の話を聞いたり、相談を受けたりして、健康状態を把握し、場合によっては産業医や産業カウンセラーなどへの相談をすすめます。

部下から自発的に相談を受けたときは、相手の話を傾聴する姿勢が大切です。
「不安や悩みを受け止めてもらっている」と感じることで、相手も話しやすくなります。

また、相談を実施するときは、部下の個人情報の取り扱いにも注意しましょう。
個人情報保護法をはじめとして、個人情報に関する法令に従い、部下のプライバシーが外部に漏れないような仕組みづくりを行う必要があります。

ストレス要因を把握し、職場環境を改善する

従業員の不安や悩みは、長時間労働や仕事上のストレス、社内の人間関係など、「職場環境」に潜んでいます。
過労による鬱、パワハラ・セクハラなど、部下のストレス要因を把握したら、職場環境の改善に向けて動きましょう。

大規模な職場環境改善を実施する場合は、社内に専門の衛生委員会や対策チームを設けるなど、管理監督者がイニシアチブを発揮していくことが求められます。

産業医や衛生管理者など、社内外のメンタルヘルスの専門家に相談することも大切です。

部下の職場復帰をサポートする

心の病で部下を休職させる場合は、ただ休ませるだけでなく、職場復帰しやすいようにサポートすることも大切です。
「職場の人に迷惑をかけていないだろうか」「職場復帰して、うまくやっていけるだろうか」と、職場復帰者は強いストレスを感じています。

また、長期に渡って休職すると、以前のようなパフォーマンスを発揮するまでに時間がかかります。
職場復帰者に対しては、管理監督者が中心となり、温かい言葉で声かけを行い、職場復帰に向けて支援しましょう。

 

ラインケア研修の重要性

ラインケア推進のうえで、管理監督者に対してラインケア研修を実施することが重要です。

研修の内容は、メンタルヘルスケアに関する事業場の方針やメンタルヘルスについての正しい知識、管理監督者の役割及び心の健康問題に対する正しい態度などについてです。

ラインケア研修の最終的な目的は、管理監督者の行動変容です。

上司と部下という関係自体が労働者にとってはストレスとなり得るので、管理監督者はその点を十分に理解して、ストレスや職場環境の改善活動を行うことが求められます。

ラインケア研修で必要な技術、知識を習得できることを目指していきましょう。

 

管理監督者が主体となる「ラインケア」がメンタルヘルス対策に必要

従業員のメンタルヘルス対策に効果的なのが、部長・課長といった管理監督者がイニシアチブをとる「ラインケア」です。
従業員のメンタルヘルスの問題が深刻化している今、部下と日常的にコミュニケーションをとっている管理監督者によるメンタル管理が欠かせません。

部下の話を傾聴し、ストレス要因の把握に努めることはもちろん、職場復帰に際しても管理監督者がサポートしましょう。
企業で積極的に管理職のラインケア研修を導入し、メンタルヘルス対策の重要性、ラインケアの方法などを周知していきましょう。

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