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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2023/07/05 15:40

経営

人材育成

「学習する組織」を作るために必要なことは?組織開発の方法について解説【学習/コミュニケーション】

読了まで約3分

組織の構成は人員の増減や事業内容によって変化するもの。
しかし組織は、少しの変化であっても目指す方向を見失ってしまったり、価値観の共有が上手くいかなかったりして、
成長スピードの鈍化や、メンバーの離職につながってしまうことがあります。
こうした状況を防ぐために、組織に所属するメンバー一人ひとりが考え、行動し続ける「学習する組織」が注目されています。

今回は学習する組織について、必要なことや率いるリーダーに求められるスキルを中心にご紹介します。

 

学習する組織とは

学習する組織は、1970年代にハーバード大学のクリス・アジーリス教授によって提唱された概念で、
「学習と成長の意思を有する人に成長のチャンスを与え、自らも学習して進化する組織」という意味を持つ言葉です。

組織学習はチーム単位で行うことが一般的です。すべてのメンバーが自律性を持って周囲の環境に順応すること、
そして、さまざまな要因による変化に対応できる柔軟性を理解することによって、メンバーが「学習する能力」を得ると言われています。

学習する組織が注目されるようになった背景には、「社会情勢の変化」や「テクノロジーの急速な発展」といったことが挙げられ、
こうした事象に対応したサービスを提供していくことが、企業に求められるようになったからです。

このように、企業を取り巻く環境が大きく変化したことで、メンバー一人ひとりが生産性高く働き、
新たなサービスを生み出すようなボトムアップ式の組織運営への切り替えが必要になったのです。

 

学習する組織の3本柱

学習する組織に変化していくために重要な3つの柱について解説していきます。

志の育成

志の育成とは、志を育てるには、自律的に仕事を進めるための力のことです。
従業員一人ひとりが自分の望むビジョンを描き、実現に向けて進むことが大切です。
他人に進むべき道を決めてもらうのではなく、自分で考えながら選んで進む力を育むことで、自律的に仕事を進められるようになります。

複雑性の理解

複雑性の理解とは、多様なつながりで出来ている仕組み・システムの全体とその背景で作用しているものが何かを理解することです。
明確なビジョンを描けても、実現方法や解決すべき問題を正しく把握できなければ実現は困難です。
多方向から物事を見る広い視点を持つことで、組織が目指すビジョンを実現しやすくなります。

共創的な対話

共創的な会話とは、異なる立場の人が協力して物事を創り出すための会話のことです。
組織内では、自分の考えだけでなく立場が異なる人の意見にも耳を傾けて話し合うことが重要です。
共創的な会話の展開により、自分の理解と他者の理解を比較したり重ね合わせたりできます。

 

企業における7つの学習障害

1990年にマサチューセッツ工科大学の経営学者であるピーター・センゲは、企業には次に示す7つの学習障害があると分析しました。

自分の職務だけが自分の責任

自分の目の前の職務だけしか考えていないと、「すべての職務が関連し合って生まれる結果に対する責任感が薄れてしまう」ため、
結果的には起こった問題の原因の一つとなっているのに、責任感を持てなくなります。

先制攻撃の妄想

先制攻撃の妄想では、困難な問題に直面したときに、早く対策を打ち先制攻撃をしかけているつもりが、根本解決に至らない原因になっていることを指します。

ゆでられたカエルの寓話

熱湯にいれたカエルはすぐに湯から脱出するのに、温度をゆっくりと上げていくとカエルは気づかずそのまま茹で上がってしまうというたとえ話です。
ゆっくりと市場は変化しているのに、目を向けず従来のやり方のままであれば業績悪化を招きます。

悪いのは向こう

物事が上手くいかなかったときに、その原因を自分ではなく、ほかの誰かのせいにしてしまいます。
「悪いのは向こう」という考え方のせいで、根本的な解決ができずいつまでも問題処理に追われることになります。

出来事への執着

出来事が起こったのは、様々な原因が緩やかに積み重なってつながっているからで、起こった背景を見て対策を立てることが重要です。
それらを無視して出来事にのみ執着することの危険性を説いています。

経験から学ぶという幻想

仕事の難易度が変わり、経験が通用しない仕事になっているのに気づけておらず、若手も管理職も何度もミスをしてしまいます。
結果を見ることができない状況では、経験を活かして改善することが難しくなるためです。

経営陣の神話

経営陣の神話では「まとまったチーム」が実はまとまったものではないという展開がされています。
「まとまっているように見せかけているだけ」で、平時には機能しても緊急事態には全く対応できないとされています。

 

学習する組織に必要なこと

組織変革を行うためには、組織の課題点を表面化させ、当事者たちで解決策を考え実行に移す「アクションラーニング」の実施が必須です。
アクションラーニングを行うことで、組織だけでなく個人の学習能力も合わせて発展させ、結果的に組織の健全性と有効性を高める効果があります。

また、学習する組織に必要なことを「ディシプリン」といい、学ぶべき理論と手法のことを指します。
ここでは、ディシプリンの要素についてそれぞれご紹介します。

システム思考

システム思考とは、組織における解決すべき課題を「システム」と捉え、広い視点から課題の原因を探り、解決を目指す概念のことです。
システム思考を取り入れることで、表面的な課題解決で終わらせるのではなく、根本的な解決方法を見つけ出すことができます。

メンタルモデル

メンタルモデルとは元々心理学用語で、個人が他人や物事に対して持っているイメージのことです。
人は何かしらの意思決定を迫られると、自らが抱いているメンタルモデルを元に情報処理を行おうとします。
そのため、個人や組織の成長にはメンバー一人ひとりが自身のメンタルモデルを認識したうえで、これをポジティブな方向に変化させていくことが重要です。

自己マスタリー

自己マスタリーとは、組織のメンバー一人ひとりが内発的動機によって自ら学習を深めていくことです。
ここでいう学習とは、知識やスキルの習得だけでなく、精神的な成長も含められ、
自己マスタリーが高くなると自分が望む姿に近づくために必要な能力を継続的に伸ばしていける効果があります。

共有ビジョン

共有ビジョンとは、組織のメンバー一人ひとりのビジョンを共有し、その中から本当に目指したいと思えるビジョンを生み出すプロセスのことです。
経営者やマネジメント層など一部の人がビジョンを策定してメンバーに共有するトップダウン式になってしまうと、
メンバーにとってビジョンは他人事になってしまい上手く組織に浸透しません。

メンバーが「今よりステップアップするためにどうするべきなのか」ということを踏まえてビジョンを策定することで、
メンバーに主体性が生まれ、ビジョンが浸透しやすくなります。

チーム学習

チーム学習とは、メンバー同士が協同して学び合っていくことです。
「学習は個人で行うもの」と捉えられがちですが、組織のレベルを引き上げるためには、メンバー同士が協力して一緒に成長することが必要になります。
個人の力だけでは難しいことであっても、チーム学習を行うことで成長スピードを上げたり、学習内容を充実させたりすることができるのです。

 

学習する組織を率いるリーダーに求められるスキル

学習する組織は基本的にはメンバーが主体となりますが、メンバーのマインドの維持や正しい方向に導くためにはリーダーの力も必要です。
自ら学び、協力し合うことを大切にする学習する組織を率いるリーダーには、どのようなスキルが求められるのでしょうか。

コミュニケーション力

学習する組織を作るためには、メンバー同士でビジョンを共有したり、チーム学習を行ったりすることが必要になり、
それらを上手く取りまとめるために、リーダーにはコミュニケーション力が求められます。

コミュニケーション力は、「話す力」「聞く力」「交渉力」の3つのスキルで構成されており、
ただ自分の意見を押し通そうとするのではなく、相手の話に耳を傾けたり、時には他者を説得して巻きこんだりすることも必要になります。

心理的安全性

心理的安全性とは、他者の反応に一喜一憂したり、自分の言動に対して羞恥心を感じることなく自然体でいられる状態のことです。
組織の心理的安全性が高まると、情報やアイデアの共有が活発になったり、メンバーのポテンシャルを最大化させたりすることができます。

心理的安全性が高い組織を作るためには、リーダーが自分の考えを伝えてメンバーとのコミュニケーションを図ったり、
相手の話を真剣に聞いたりするなど、メンバーに安心感を与える工夫をすることが求められるのです。

セルフマネジメント力

セルフマネジメント力とは、自分の感情を一定の状態に維持させることです。
セルフマネジメント力が高くなることで、自分の感情をコントロールして業務に対するモチベーションを高めたり、タスク管理を適切に行うことが可能に。

そして一般的にリーダーは組織のマネジメントのほかに、他部署との連携ミーティングや自分の業務など多くのタスクを抱えていることが多いため、
これらを円滑に進めるためにセルフマネジメント力が求められます。

セルフマネジメント力を高めるためには、自分の業務の目的を理解してゴールを設計したり、時間の使い方を意識したりすることが必要です。

 

学習する組織を目指す方法

ダブルループ学習を取り入れる

ダブルループ学習とは、既にある価値観や枠組みを取り除いて行う学習のことです。
これまでの前提にとらわれずに行動自体を見直すことで変化・変革を目指します。

ダブルループ学習では、少し頑張れば越えられる目標値では、既にある価値観や枠組みを超えた行動にはつながらない為、高い基準の目標を設定します。

そして次に目標のブレインストーミングを行います。ブレインストーミングとは、自由に意見したりアイデアを提供したりすることです。
目標の目的や必要性が明確になるだけでなく、クリエイティブな発想を導き出すことにもつながります。

社内ですぐに実施可能ですが、思考の枠組みから抜け出すには、外部研修で視野を広げて新しい知識に触れることも重要です。
新しい知識を得ることや刺激を受けることは、複雑性の理解や共創的な会話の展開にも役立ちます。

ワークショップに取り組む

学習する組織をつくるために、効果的なワークショップ2つをご紹介します。

ビールゲーム

4人1チームでビールの製造から供給までの流通における4つの役割(小売店、二次卸、一次卸、工場)を割り振り、
ビールの発注や納品を毎ターン行うロールプレイング型のゲームです。

自分にとっては最適な意思決定をおこなったとしても、全体としてみると最適な意思決定ではなかったという場面がでてきます。
システム思考の重要性やチーム学習の必要性を感じるきっかけ作りとして効果的なワークショップです。

アクティブ・ブック・ダイアログ

三和研磨工業株式会社の竹ノ内氏が開発した新しい読書手法です。
1冊の本を分担して読んでまとめることで、著者の伝えたいことが深く理解できるだけでなく、グループで対話するきっかけにもなります。

チームで協力する経験ができるだけでなく、社会人として身につけておくべき「論点をまとめる力」や「プレゼンする力」などが身につきます。

 

メンバーの思考力を磨いて学習する組織を作っていこう

今回は学習する組織を作るために必要なことや、学習する組織を率いるリーダーに求められることなどについてご紹介しました。
日々何気なく働いていると、目の前の業務を終わらせることに集中してしまい、なかなか組織変革まで気が回らないもの。

しかし、組織を取り巻く社会情勢は刻々と変化しているため、厳しい環境であっても組織運営を円滑に行い成長させるためには、
メンバーの主体性やマネジメント層のリーダーシップが必要になります。

リーダーが突破口を作りだし、メンバーの思考力を磨いて学習する組織を作っていきましょう。

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