2023/05/19 15:50
経営
ビジネスとは何か?語源や定義・ドラッカーの考え方や種類を紹介
「社員1人ひとりビジネスの考え方を説明したい」「ビジネスを理解するうえで必要な情報を多角的に知りたい」と考えている企業の経営者は多いのではないでしょうか。
社員教育や社内ルールの整備を行うために、ビジネスの概念を正しく理解することは重要です。
本記事では、ビジネスの定義やビジネス活動のプロセス例、代表的なビジネスの種類を説明します。
ビジネスとは
「ビジネスとはなんですか」と人に問うと、さまざまな答えが返ってきます。
ビジネスという言葉は抽象度が高い概念のため、経営者それぞれが独自の解釈をしているでしょう。
始めに、辞典による「ビジネスとは」の定義と、著名な経営学者であるピーター・ファーディナンド・ドラッカーの提唱するビジネスの意味について紹介します。
ビジネスについて理解を深めるため、さまざまな角度から掘り下げていきましょう。
辞典の定義
ビジネスの意味を辞典をもとに紹介します。
精選版 日本国語大辞典によると、ビジネスの意味は以下の通りです。
「仕事。職業。事務。また、事業。商売。特に、情熱とか人情とかを切り捨て、金もうけの手段としてだけにする仕事・事業をいうこともある。」
引用:ビジネスとは? 意味や使い方|コトバンク 精選版 日本国語大辞典
次に、デジタル大辞泉によるビジネスの意味は次の通りです。
1.仕事。職業。また、事業。商売。「サイドビジネス」
2.個人的な感情を交えずに利益の追求のみを目的として進める仕事。「ビジネスに徹する」
辞典によると、ビジネスは主に、仕事、職業、事業、商売などを指す言葉と捉えられます。
ドラッカーのとらえるビジネスの目的
ピーター・ファーディナンド・ドラッカーはマネジメント分野を体系化した経営学者です。
「自己目標管理」「ベンチマーキング」「コアコンピタンス」などのスキルの大半を生み出したマネジメントの父として広く知られています。
ドラッカーの唱えるビジネスの目的は「顧客の創造」です。
売上や利益を追求した「顧客満足」だけでは不足しているという捉え方です。
その根底に「社会は生き物」という考え方があり、生き物ゆえに絶え間なく変化が続くため、企業が率先して市場を創造しなければならないと説明しています。
また、顧客自身が自分の欲求を認識していないことも、「顧客満足」では補い切れない理由の1つです。
ドラッカーはコピー機やコンピューターを例に出して、「機器が誕生する前は顧客は欲求しなかった。誕生によってはじめて欲求を持った」という趣旨の説明を行っています。
このようにドラッカーがとらえるビジネスの目的には「顧客の創造」があります。
ビジネスの目的・その他の例
ドラッカーが提唱する目的以外に、ビジネスにはどのような目的があるのでしょうか。
ビジネスの目的の例を複数挙げてみます。
- 従業員を幸せにする
- 商品・サービスの提供によって顧客に喜んでもらう
- 地域社会に貢献する
- 個人の利益を増やす
従業員の幸せをビジネスの目的と考えている経営者もいれば、顧客の喜びを優先的に考える経営者もいます。
地域社会への貢献を使命にビジネスに携わる経営者もいれば、個人の利益を追求する経営者もいるでしょう。
このようにビジネスの目的はさまざまで、絶対的な正解はありません。
人によって解釈が異なるからこそ、多様なビジネスが世に生まれるとも考えられるでしょう。
ビジネスの活動プロセス例
ビジネスについて理解を深めるには、活動プロセス例が参考になります。
ここでは、「資金調達→顧客の要望に応えて課題を解決→報酬を受け取る(価値の創造)→お金を納める」をビジネスの活動プロセスと捉え、どのような流れでビジネスが展開されていくのかを簡単に説明していきます。
ビジネスの全体像を理解するうえで参考にしてみてください。
資金調達
最初のステップは資金調達です。
資金調達の方法には、金融機関からの融資、投資家からの出資をはじめ、経営者が自分で資金を準備する方法もあります。
具体的な資金調達の方法は、ビジネスの種類や規模、業種・業界によって異なります。例えば、屋台ビジネスを始める場合、自身の預貯金や金融機関、身近な人からの借り入れがメインになるでしょう。
顧客の要望に応え課題を解決
資金調達を行った後、顧客の困りごとを解決する活動からビジネスがスタートします。
調達した資金をサービスや価値に変換して提供し、顧客の要望に応えていくプロセスです。
前の章で例に挙げた屋台ビジネスの場合、少なくとも店舗や材料、機械を揃える必要があります。
状況によっては、最初からアルバイトなど人材を雇う必要があるかもしれません。
このように、準備したお金をお金以外のモノに変えて、販売活動が始まります。
報酬を受け取る(価値の創造)
集めたお金をもとにサービスを提供した結果、報酬となって返ってきます。
提供する商品・サービスが価値を創造したことで、対価が発生するのです。
基本的には、最初に投資した金額よりも、顧客から受け取る報酬のほうが大きくなります。
実際のビジネスでは、必ずしも報酬が多くなるとは限りませんが、元手よりも対価が少ない状況が続けば、事業活動の継続は難しくなります。
先ほどの例に挙げた屋台ビジネスであれば、天候によって売れ行きが変わります。
例えば人出の少ない雨の日は、持ち出した費用が売上を上回るかもしれません。
一方で、人出の多い晴れた日であれば、売上が費用を上回ることは十分に考えられます。
お金を納める
最後のステップは、ビジネスで得た報酬を国や金融機関、出資者に対して納めていきます。
国に対しては税金という形で、金融機関や出資者には返済や配当金として、利益の一部を納めるのです。
屋台ビジネスの例に当てはめれば、出資をしてくれた金融機関に借入金を返済したり、利益から得たお金を納税して社会に還元します。
以上の4ステップの活動プロセスが回ることで、ビジネスが成り立つと考えられます。
代表的なビジネスの種類
最後に、世の中にはどのようなビジネスの種類があるか、複数の例を紹介します。
- 販売
- 小売
- 広告
- サブスクリプション
- マッチング
- ライセンス
- レンタル
- フリーミアム
- コレクション
上記の概要と具体例を挙げるので参考にしてください。
販売
商品を自作して売るのが販売です。
物販モデルと呼ばれることもあり、シンプルでわかりやすいビジネスモデルとして知られています。
法人だけでなく、個人が副業として取り組むことも可能です。
具体例は以下の通りです。
- ハンドメイド作家が小物を作って販売
- 製造メーカーが機械を製造して販売
- 農家が自分で育てた野菜を販売
小売
商品を仕入れて販売するのが小売です。
商品作成や製造、加工をせず、仕入れたものを販売するという点が販売と異なります。
具体例は以下の通りです。
- コンビニエンスストアが商品を仕入れて販売
- 雑貨点か小物を仕入れて販売
- 百貨店やスーパーマーケットが商品を仕入れて販売
広告
広告を掲載する媒体を準備して広告主を募集し、その広告主から報酬を得るビジネスモデルです。
具体例は以下の通りです。
- SNSや検索エンジンが広告主を集めて広告を流す
- テレビ局が広告主から集めたお金でCMを放送する
- 新聞社が広告欄を設けて広告主を募集する
サブスクリプション
月額料金を設定して価値を提供するのがサブスクリプション(サブスク)です。
継続課金モデルと呼ばれることもあり、近年増えている形態です。
具体例は以下の通りです。
- 月額料金で音楽配信や動画視聴サービスを提供
- 月額料金で洋服、香水、家具、家電などの商品を配送
- 月額料金で飲食店の割引特典などを提供
マッチング
ニーズが異なる人同士を仲介して手数料を得るのがマッチングビジネスです。
法律が絡む事案のように、当事者同士では契約のハードルが高い場合も、仲介によって円滑にマッチングが進むケースがあります。
具体例は以下の通りです。
- 仕事を外部に依頼したい企業と、仕事を受注したいフリーランスをマッチングさせるクラウドソーシングサイト
- 土地や建物を売りたい人と、買いたい人をマッチングさせる不動産会社
ライセンス
制作したものを提供して収入を得るのがライセンスによるビジネスです。
制作自体が難しい反面、一旦軌道に乗ると大きな収入を得られる可能性があります。
具体例は以下の通りです。
- キャラクターデザインによるライセンス料
- 音楽制作によるライセンス料
- スマホアプリ開発によるライセンス料
レンタル
サービスや商品を貸し出して手数料を得るのがレンタルです。
消費者は購入のハードルが高い商品でも気軽に利用できますし、処分不要というメリットもあります。
具体例は以下の通りです。
- 漫画の貸し出しによるレンタル料
- レンタカーの貸し出しによるレンタル料
- 家電の貸し出しによるレンタル料
フリーミアム
フリー(無料)からプレミアム(有料)に誘導するのがフリーミアムビジネスです。
具体例は以下の通りです。
- 無料会員は機能制限、有料会員は全機能が使えるアプリ
- 試し読みは限られた文字数、有料会員は全文を読める書籍
- 無料枠として容量制限、費用を払うと容量が増えるオンラインストレージ
コレクション
商品をパーツごとに販売するなど、消費者の収集意欲に訴えかけるビジネスモデルがコレクションです。
大枠としては、前述した販売に含まれます。
具体例は以下です。
- ミニカーを部品ごとに販売
- 人形の衣装を別々に販売
- プラモデルをシリーズを通して販売
ビジネスを理解して経営に活かそう
ビジネスとは抽象的な概念であり、人によって捉え方が異なる言葉です。
身近な言葉ですが、抽象的で意外にも説明が難しいと感じる人もいるでしょう。
社内で「ビジネスとは何か」を説明するために、本記事で紹介した語源や辞典の定義、著名な経営学者ドラッカーの考え方をもとに理解を深めてみてください。
なお、自社のビジネス(経営)の在り方について上手く言語化できずお悩みの方は、外部の経営コンサルティングを利用するのもおすすめです。
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