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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2022/08/02 16:03

経営

評価制度

人事考課の評価基準とは?職種別の例文や書き方をわかりやすく解説

読了まで約3分

経営者の重要な業務の一つである人事考課。
社員1人ひとりに適切な評価をすることで、モチベーションや企業貢献への意欲向上につながります。
適切な評価をするためには、評価基準を社員にわかりやすく明示することが必要です。
しかし、公平な評価をするにはどのような基準が必要なのでしょうか。

本記事では、企業が成長していくために欠かせない人事考課について、評価基準の考え方について解説します。
また、職種別の例文の見本や書き方など具体的な方法についても紹介するので、人事考課の作成にお悩みの際はぜひ参考にしてください。

人事考課の役割・目的とは

企業にとって欠かせない人事考課ですが、主な役割や目的は、「給与・待遇面の公平な評価」「会社方針と求めるスキルの共有」「社員のモチベーションアップ」の3点です。それぞれについて解説します。

給与や待遇面を公平に評価する

人事考課のもっとも重要な役割は、社員1人ひとりの給与、待遇面の公平な評価を可能にすることです。
従来、多くの日本企業は終身雇用制度により、給与や待遇面も勤続年数が重視されていました。

しかし、最近では、成果主義に基づいて評価を行う企業も増えたため、どのような成果で給与や待遇が上がるかを明確にしないと不公平感が生まれてしまいます。
社員間で不公平感が生まれてしまうと、仕事に対する意欲も下がってしまうため、企業の業績アップにつなげることができません。
社員に対し評価基準を明確にすることが人事考課の重要な役割・目的の一つといえるでしょう。

また、公平性という点において、人事考課はまず社員が自己評価を行い、その結果を基に上司が最終的な評価を決めるのが一般的です。
上司からの一方的な評価ではなく、自身も評価に参加することで、公平な評価につなげることができます。

会社方針や求めるスキルの共有

人事考課の評価基準は、どのような成果を上げた社員を評価するのかを明確に可視化させたものです。
そのため、評価基準を見れば会社がどのような成果やスキルを社員に求めているのかが明確になります。

その結果、企業が進むべき方向性を全社員で共有できるようになるため、ゴールに向かって最短距離で成果を上げていけるようになることも人事考課の役割・目的です。

モチベーションアップにつなげる

社員のモチベーションアップにつなげることも人事考課の重要な役割・目的の一つです。
そのためには、人事考課によって評価基準を可視化し、どれだけの成果を出せば給与や待遇が上がるのかがわかりやすくなければなりません。
人事考課によって「成果を出したのに給与が上がらない」「多くの貢献をしたのに待遇面が何一つ変わらない」などにより、モチベーションが下がるリスクが低減されるでしょう。

また、評価基準どおりに社員の給与が上がれば、会社に対する信頼感も高まり、より会社に貢献したいと思う気持ちにつなげることができます。
人事考課で適切な評価基準を決め、それを忠実に実行すれば社員のモチベーションアップにつなげることができるのです。

 

人事考課の評価基準

人事考課の評価基準は、業種や企業によっても異なりますが、主に「成果」「能力」「情意」の3点を基に決めるのが一般的です。
それぞれの概要について解説します。

成果評価

社員ごとにあらかじめ設定した目標をどれだけ達成したかで評価する方法です。
営業部署や販売部署など成果を数字で表しやすい部署では、もっともわかりやすい評価方法といえるでしょう。
ただし、総務部署や財務部署など成果を数字で表すのが難しい部署もあるため、企業によって成果だけで評価する部署、プロセスも含めて評価する部署に分ける場合もあります。

また、数字での評価が難しい部署は、独自に設定したKPI(組織の目標を達成するための重要な業績評価の指標)を基に評価をするケースも少なくありません。

能力評価

与えられた業務を遂行するうえでどのような能力を発揮したかで評価する方法です。
成果評価のように明確な数字が出るものではないため、評価する際は、さまざまな観点で能力の発揮具合を見て評価をします。
具体的には次のとおりです。

・企画力
目標を達成するためにどのような企画力を発揮したかを見るものです。
業務内容によっては、独創性や新規性などが高く評価されます。
・計画実行力
最短で目標を達成するための計画やもっとも利益を上げられる計画など、企業に貢献する計画力があり、なおかつ立案した計画をスムーズに実行できる力で評価します。
・統率力
業務を遂行するために必要な知識を習得し、周囲をまとめながらゴールへ導いていく能力を見るものです。
トラブルが起きた際の解決能力や、メンバーの力を引き出す能力なども含まれます。
・リスク管理力
不測の事態が起きた際、周囲と協力しながらリスクを回避するための行動が取れるかどうかを評価するものです。
また、リスクを事前に察知し、未然に防ぐ能力も高評価につながります。

能力評価は、業種によっても評価基準が大きく異なります。
厚生労働省では、職業能力評価基準として業種ごとの能力評価基準を公開しているので参考にしてください。
出典:厚生労働省「職業能力評価基準」

情意評価

情意とは感情や思い、意志などを意味する言葉で、情意評価とは業務へ取り組む姿勢や意欲などで評価する方法です。
能力評価同様、数字では表しにくい評価方法ですが、次のような観点から基準を策定して評価していきます。

・責任感
与えられた業務に対し、途中で投げ出すことなく最後まで責任を持ってやり抜けたかどうかで評価します。
・積極性
どんなに困難な業務であっても、熱意を持って積極的に取り組んでいけるかどうかで評価します。
常に向上心を持ち、前向きに進んでいくことで周囲にも良い影響を与えられれば、さらに評価は高まります。
・規律性
会社のルールやマニュアルから逸脱せずに業務に取り組めるかどうかで評価します。
上司からの意見や指示に従って動けるかどうかも評価対象です。
・協調性
周囲と協力しながら、業務を進めていけるかどうかで評価します。
周りを見ることができずに先走りしてしまうとチームワークを乱してしまう可能性があるため、評価につなげることはできません。

 

人事考課の書き方とポイント

人事考課の評価基準を見たところで、次は実際に人事考課を書くための方法を解説します。
主なポイントは「公平な評価基準を意識すること」「プラスとマイナス評価のバランスを意識すること」「わかりやすく具体的に書くこと」「社員の気持ちを意識して評価すること」の4点です。

公平な評価基準を意識する

人事考課を行う際は、できる限り主観を排し、客観的に社員を評価しなければなりません。
人事考課において社員がもっとも不満を感じる可能性があるのは、同じような成果を上げているにもかかわらず、評価にバラつきが出ることです。

社員に不満を感じさせないためには、常に客観的な視点で評価し、公平性を保つことが求められます。
好き嫌いなどの勘定や独自の評価基準を持ち込まず、定められている評価基準を意識して評価することが大切です。

プラス評価とマイナス評価のバランスを意識する

思ったような成果を上げられなかった社員に対して、あまり辛辣なマイナス評価をすると、モチベーションが下がり将来的にも意欲を持って働けなくなる可能性があります。
人事考課には、社員を適切に評価するだけではなく、モチベーションをアップさせる目的もあるため、前向きになれる評価をすることが重要です。

また、マイナスな評価をした部分をプラス評価した部分で補えるような書き方を意識することも欠かせません。
マイナスに偏ってしまうのではなく、バランスを意識して評価する必要があります。

わかりやすく具体的に書く

プラス、マイナスどちらの評価であっても、相手が理解できるようわかりやすく具体的に書くことが大切です。

たとえば、「業務時間の短縮を実現した」ではなく、「システムの活用を進め業務時間の20%削減を実現した」、「目標利益を達成できなかった」ではなく、「前回に比べ取引先への訪問回数が10%減ってしまい目標利益まであと20万円足りなかった」など、数字を使って明確に伝わるように書くことが重要です。

社員の気持ちを意識して評価する

人事考課はあくまでも社員の働き方やその成果について評価するものです。
そこから逸脱してしまうと社員の気持ちを害してしまい、モチベーション低下につながってしまう可能性があります。

たとえば、マイナス評価であっても、社員の人格について言及するのではなく、仕事の取り組み方について指導するようにします。
また、ほかの社員との比較も避けてください。プライドを傷つけてしまう可能性もあるため、注意が必要です。

 

 【職種別】人事考課の例文

人事考課は職種や業種によって書き方はさまざまです。
ここでは、「事務職」「営業・販売職」「製造業」「看護師」で人事考課の例文を紹介します。

事務職

事務職は数字で成果を表すのが難しい職種です。
そこで、人事考課では、次のような形で評価します。

「取引先の連絡先を五十音順だけではなく、担当者別や進捗状況別など多様な仕訳をすることで営業社員の業務効率化に貢献しました。また、前回と比べ入力や集計ミスも減り、生産性を高められる業務に集中する時間を10%以上増やせたことも高く評価します」

営業・販売職

営業・販売職は数字を評価につなげることが多い職種です。
そのため、人事考課も数値目標の達成度をメインに評価します。

「チームワークを重視し、チームとして売上目標の120%を達成したことは高く評価します。また、既存顧客へのケアを徹底し、平均単価を10万円以上アップさせたことも評価に値します。今後は、新規顧客の開拓も重視し、今回8割までしか達成できなかった新規顧客20件獲得を目指して欲しい」

製造業

製造業はスキルの上達や作業時間の短縮、効率化などをどれだけ果たせたかをメインに評価します。

「新しく導入したシステムの扱いにもすぐに慣れ、新人指導に力を入れたことで全体の作業時間が30%以上短縮できるようになったことを高く評価しています。また、作業手順の入れ替え提案による業務のボトルネック解消にも貢献し、企画力、改善力にも長けた能力を発揮した点については今後も積極的に伸ばしていくことを期待しています」

看護師

看護師は数字で測ることが難しい仕事であるため、日ごろの役割に対する取り組み、患者やその家族へのケアなどについて評価します。

「お見舞いに訪れた患者の家族、友人への声かけを常に怠らず行っている点は評価に値します。また、患者への対応力や正確性も高く、患者やその家族双方から高い信頼を得ていることは高く評価しています。今後はそうした対応力を後輩の指導にも向け、後継者育成を積極的に行っていけるよう意識して欲しい」

 

人事考課の適切な評価は企業の生産性を上げる

人事考課は社員の働きや成果を適切に評価し、給与や待遇にも公平に反映させるために欠かせないものです。
不公平な評価で社員のモチベーションを低下させてしまわないためには、明確な評価基準を設定し、評価者は主観を入れず客観的な視点で評価をするようにしなくてはなりません。

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