絶対に会社を潰さない利益計画の立て方

利益目標を定め、その達成のために手段を逆算して考えるのが経営の基本だ。しかし、日々の業務を続けながら利益をのばし続けることは簡単ではない。社長就任時は7億円だった売上高を約66億円にまでのばし、17年連続増収を続ける株式会社武蔵野の「利益計画」について、社長の小山昇氏が語る。

売上より先に「経常利益」を決める

 経営計画を立てるとき、多くの社長が最初に「来期の売上」を決めます。しかし売上を先に設定し、そこから経費や給与を引いていくと、利益はなかなか残りません。
 そこで最初に経常利益を決めて、その後に「損益計算書(P/L)」を見ながら逆算していけば、詳細な数字は自動的に決まります。その際、経常利益の数字に根拠は不要です。目標とする数字は早く決めることが最優先で、根拠や妥当性は二の次。スタートする前から数字(目標)に正確さを求める必要はありません。
 とりあえず数字を決めて、実行する。実行すれば具体的な実績が出るので、目標と実績の差を見て目標が高すぎる(低すぎる)となれば、そのときに修正すればよいのです。
 はじめから完璧な計画を立てても、市場ニーズとのギャップは必ず出ます。最初は仮説としてテキトーな計画を立て、仮説に基づいて実行し、結果が出てから対策を練る。それが、現実的な利益目標の立て方です。
 私は「目標はその通りにいかないこと」が大切だと思っているので、あえて大きな数字を掲げています。前年の経常利益が1億円の会社が、前年比102%の利益目標を達成した場合、利益は1億200万円です。一方、前年比150%の目標を80%達成すれば利益は1億2000万円になるのです。
 利益目標は社長が自由に決められるので、低く設定すれば100%達成できます。しかし経営における正しさとは、利益目標の達成ではなく金額を稼ぐことなのです。

利益は「最低限」残しあとは未来に投資する

 以前「武蔵野さんは、売上のわりに利益が少ないですね」といわれました。しかしこの見解は間違いです。経常利益が少ないのではなく、未来へ向けて先行投資をおこない、経常利益を意図的に少なくしていたからです。
 多くの会社は、利益が増加すると内部留保にします。ところが私は常に経営革新を行い、会社を潰れにくい体質にするための投資に使います。社長の仕事は会社を潰さないためにお金を使うことであって、お金を残すことではありません。
 私は利益が出たら、 ①お客様の増加につながる対策 ②社員教育 ③インフラ整備 ④経常利益――の順番で使うようにしています。
 また、武蔵野が「16年連続増収」を達成できたのには理由があります。それは大幅増収での着地を考えていない点です。
 例えば前年2000万円だった利益が今年は1億円になったとき、2500万円だけを利益として残し(前年よりも500万円だけ増益する)、あとの7500万円はすべて未来へ投資します。もしその翌年の利益が3000万円なら「2000万円↓2500万円↓3000万円」と増益になります。しかし、今年の利益を1億円にしてしまうと「2000万円↓1億円↓3000万円」となるため、たとえ翌年が黒字であっても減益となってしまうのです。

経費を増やさず利益だけを上げる方法

 売上が「100」、仕入が「50」、粗利が「50」、人件費が「50」、経費が「10」で、「10」の赤字の商品Ⅹがあるとしましょう。
 このとき、収益の仕組みがわかっていない社長は「これは儲からない商品だから、販売するのはやめよう。赤字の商品をやめれば利益が出る」と考えます。しかしこの商品の販売をやめると、利益が増えるどころか逆に赤字が増えます。なぜなら、販売をやめても固定費(人件費と経費)は減らないからです。人を減らして固定費をなくさないかぎり、この商品から撤退しても業績は改善されず、むしろ赤字が深刻になってしまいます。
 一方、売上が「100」、仕入が「50」、粗利が「50」、人件費が「30」、経費が「10」の商品Aにより、「10」の黒字が出ている場合について考えてみましょう。
 ここに追加で、売上が「50」、仕入が「30」、粗利が「20」のセール品Bを販売すると、利益はどうなるでしょうか。すでに商品Aを売っている人が商品Bを売ればよいため人件費は「0」、経費は多少のお金がかかるので「2」としても、セール品Bからは「18」の利益が出る計算となります。
 商品AとBの利益を合算すると、「10+18=28」。セール品Bを安い価格で販売しても、商品Aだけを扱っていた場合の約3倍の利益が出ていることがわかります。
 このように、人件費などの経費を変えずに増やす利益を「増分(ましぶん)売上」といいます。この増分売上がわかれば、固定費を変えずに利益を出すことができます。黒字が出ている会社であれば、バーゲンセールなどをして商品を安く売っても、利益を大幅に増やすことが可能なのです。
 多くの社長は「商品を安い価格で売ると儲からない」と思っていますが、それは間違いです。儲からないのは、社長が儲かる仕組みを知らないから。社長の無知が、一番の原因なのです。

経費を増やさず利益だけを上げる方法

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