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ホッピー人気を支えるカギは、伝統と革新と社員の成長にあり!

ホッピービバレッジ株式会社

「エクセレントカンパニーの『現実現場』に学ぶ」から学ぶベンチマーキング会」の第3弾は、ホッピー等の飲料を製造販売するホッピービバレッジ株式会社。 2009年には創業100周年を迎える同社にお邪魔し、ホッピーの人気の秘密や今後の経営戦略をうかがった。

ますます広がるホッピーの世界

看板商品であるホッピーのほか、地ビールや焼酎割り用飲料(サワー類)、健強強壮ドリンクのコアップガラナなどをラインナップするほっぴーンビバレッジ株式会社(本社:東京都港区)。1910年に誕生した同社は、2010年に創業100周年を迎える。1948年に製造販売を開始したホッピーが昨年60周年を迎えるなど、メモリアルイヤーが続いている。
ホッピーといえば、酒好きにとってはつとにお馴染みの飲み物。正式には麦酒様清涼飲料と呼ばれ、それ自体にアルコールが含まれないことから焼酎で割って飲むのが一般的だ。戦後の食糧難の時代には、一般庶民にとって高嶺の花だったビールの代用品をとして愛飲され、近年はプリン体ゼロ・低カロリー・低糖質という特徴も注目を集め、若年層や女性のファンも急増中である。東京を中心jに根強い人気を誇り、浅草にはもつ焼き屋、居酒屋が並ぶ「ホッピー通り」なるものが存在し、中央線の東京~高尾間では全32駅の周辺にホッピーを楽しめる飲食店があるという。
さてこのところ、ホッピーの売上が好調だ。販売本数では2002年に一度底を打ったものの、翌年から前年比120%増しを堅持。その要因を石渡美奈副社長は以下のように分析する。
「健康志向と焼酎人気、あるいは『三丁目の夕日』に代表されるレトロ回帰もあるでしょう。また、飲食業界をリードしてきた方々がここ10年あまりで代替わりし、ホッピーに対するイメージが変わってきたことも挙げられます。加えてホッピーは昔から不況に強いとされ、ホッピーのある店は高くない、お会計を気にしなくて飲めると、いわゆる『安心マーク』にもなっている。ビールがなかなか利益が取れない商材になてきたなかで、差別化商品としての位置づけもあるようです。さらに、ホッピーのドライ感が今の消費者の口に合っていることなど、さまざまな要因が追い風となっています。

中小企業ならではのウェブサイト活用法

ホッピー人気についてはもう一点、同社が早くからウェブサイトの有効性に目をつけ、公式サイト(http://www.hoppy-happy.com/) で積極的なPR活動を展開してきたことも見逃せないだろう。「私が2000年にeビジネスを学んだ際に、先生のアドバイスで強烈に覚えているのが、ウェブ サイトは更新が無いと人は見に来なくなるということ。とはいえ大手さんと違い、われわれは日常的に更新するようなニュースはそんなにないんですね。そこ で、当時はブログという言葉はありませんでしたけど、日記を書いて公開するのが最適だと教わりました。以来、ウェブ上で日記を書き始め、のちにはブログ 『看板娘ホッピーミーナのあととり日記』にも発展していきました。ここでもやはり更新しないとアクセス数が落ち、更新すると増えることがわかりました。更 新のペースは以前ほどではなくなりましたが、やめないで続けることが大切です。最近は社員が作るブログやコンテンツも充実してきましたし、ホッピーを使っ たカクテルや料理を紹介するコーナーも立ち上げる予定です。ウェブサイトはいろいろなかたちで会社のことを伝えられて、お客様にも社員や社員の親御さんに も喜んでいただけ、当社を志望する学生さんたちにもアピールできる、最高のツールではないでしょうか」

「社員が夢と希望を持って頑張れる会社」をつくりたい

1997年に入社し、2003年に副社長に就任。2005年、武蔵野の小山社長との出会いから経営改革に乗り出し、山あり谷ありの体験を重ねていったさま は、著書『社長が変われば会社は変わる!』(阪急コミュニケーション)に詳しい。いままであらためて、会社の変化と自身の変化を石渡福社長はどのように感 じているのだろうか。
「人が入れ替わった事で、まったく違う会社になたと思います。以前はよくいえば仕事のプロ集団で黙々と自分の仕事だけをこなし、定時になったら帰っていく ような感じ。でも、社員間のコミュニケーションは皆無に等しく、要するに組織ではなかったんです。赤坂本社と調布工場は同じ都内なのに、社員はお互いに顔 も名前も知らない。私が一番嫌いだったのは雰囲気が暗かったことで、『何とか明るい会社にしたい、活気ある会社にしたい』という単純な思いが出発点にあり ました。
そんな矢先に小山さんと武蔵野に出会って衝撃を受け、『これだ!』と思った次の瞬間には-私も若かったですから-一気にドーンといろんな事に手をつけてしまった。
『めざせ武蔵野、めざせ小山昇』で手当たり次第にやって、結果的には俗にいう『加藤木の変』(調布工場長の加藤木さんを筆頭に全員が辞表を提出した事件)につながってしまった。いま振り返れば、小山さんのアドバイスで私も素直に謝ることができ、事件を乗り越えられたことが絆につながっています。小山さんとお会いしていなければ、今の会社も今の私もないですね。私自身にとっては、子供が大人になったくらいの大変化です。自分の中に『ホッピービバレッジをこういう会社にしたい』という明確な意思を持てるようになったことが、もっとも大きな変化かもしれません。

ここ5年あまりでかつての負の遺産を断ち切り、地ならしをして、会社が良くなるための新しい原理原則を取り入れてきました。新卒採用は09年入社組で3期生目になります。現在では環境整備にしても改善にしても、職場横断の委員会ができ、私や幹部がうるさくいわなくても社員主導で動き始めています。代替わりというホッピー社にとってとても大切なことを控えているこれからの3年はさらに新しいことというよりも、それらの取り組みを愚直に繰り返していって、定着させて、完全にホッピー社のものにしていくのが最大の目標です。そして、つねに変化していける、社員が夢と希望を持って頑張れる、やるときはやって楽しむ時は思いきり楽しむような会社にしていきたい」
なお、「エクセレントカンパニー~」は昨年の11月19日に開催された。直前には石渡福社長が腰を痛めてダウンするというアクシデントはあったものの、会は大成功に終わっている。もちろん、同社の公式サイトにはレポートや石渡福社長の思いなどが」掲載されているので、興味のある方はぜひチェックのほどを。

現場から一言
すべての仕事にやりがいと楽しさを感じています
製造部門部長 森禎悟 1997年入社

 現場の人間として、昨年から会社が劇的に変わり始めたと感じています。やはり人が入れ替わった事が最大のファクターです。新卒も続々と入社し、さらに社員の半数以上が武蔵野の幹部実践塾に参加したこと、内定者も含め全員が同じ教科書を使って早朝勉強会を行っていることもあり、共通言語が持てるようになってきました。それにより、これまで取り入れてきたことを実現させていくスピードが格段にアップしています。今回の「エクセレントカンパニー」は、2006年 9月、2007年9月に次ぐ3回目の現地見学会ですが、いずれも私がリーダーを務めました。1・2回は私の指示のもと、直前の徹夜で乗り切ってきたというのが実際のところです。しかし今回は事前に建てたスケジュールに沿って、私が指示を出す前に各々が自発的に動いてくれました。これも社員の成長の証しではないかと思っています。

『ホッピーに唐沢あり』といわれるような存在になりたい
管理本部経理課兼100周年記念採用リーダー 唐沢舞 2007年入社

 内定者時代の夏、前任の経理担当者が体調を崩したため、単位をすべて取り終えていた私がアルバイトで経理を任されることになりました。これを機に武蔵野さんの経理システムを導入することになったのですが、私は日文科で、会社の数字なんて全くわかりません(笑)。武蔵野の狐塚さんにはエクセルの使い方すら分からない私に初歩の初歩から指導していただき、本当に感謝しています。おかげさまで当社も月次の数字が翌月1日に出せるようになりマニュアルが整備できたことで後任者への実務引き継ぎもスムーズに進みました。現在の目標は、経理だけでなく、当社が新しく導入するシステムの初期メンバーに名を連ねること。また、当社は新卒組を幹部に経験と力のギャップがあるので、その溝を埋めるためにも一日も早く成長し、「ホッピーに唐澤あり」といわれるような存在になりたいですね。

interview
創業理念として掲げる「本物志向」を貫いて
石渡光一社長
現在のホッピー人気をどのように受け止めていらっしゃいますか。

「長い時間をかけて品質改良に務めてきたことは正しかったのだと、あらためて感じています。現在の人気は、ホッピーが元来持っていた特長が社会的に受けた事に加え、若年層と女性層にアピールできたことも引き金となりました。時代の優位な武器となるウェブサイトに先んじたことなども副社長の功績によるところが大きく、私がやっていたらうまくいかなかったかもしれません。
副社長の日々の成長は、社長としても父親としてもうれしくて仕方ありません。すでに実質的な仕事は副社長に委譲していますが、100周年を迎える2010年に社長を継承する予定です」

次期社長に期待することは。

「副社長の発言にもありましたように、操業理念として掲げる『本物志向』を貫いていくこと。また、ホッピーはホッピーで大切ですが、つねに新商品を開発していくチャレンジ精神も持ち続けてほしいですね。少し先の話になりますが、新工場を作る構想もあります。敷地はせまいですけど(笑)、木をたくさん植えて緑の工場にし、地元の子どもたちにどんぢん見学してもらえるような工場です。
私はかねてから、理事長を務めている全国清涼飲料工業組合会などにおける組合活動にも積極的に取り組んできました。これはいわゆる『分野調整法』の理念とい趣旨に則り、ラムネ、シャンパン風密栓炭酸飲料(シャンメリー)、びん詰クリームソーダ、ポリエチレン詰清涼飲料、焼酎割り用飲料の6品種を『中小企業の特有の品種、市場(中小企業分野製品)』として理解と協力を要請する活動です。中小企業の生き残りを左右するこうした活動に、今後も尽力していく所存です」

創業理念として掲げる「本物志向」を貫いて
石渡美奈副社長
近年、若者の「酒離れ」が進んでいます。

「当社のようなニッチ商売には、世の中のトレンドはあまり関係ありません。影響はなくはないでしょうけど、大手メーカーさんに比べればさほど大きな問題ではないと考えています。ホッピーはあくまで飲みたい方に飲んでいただく商品です。だから逆に、全国展開や量の追求はできません。東京、神奈川、埼玉の一都二県を主要エリアに、量ではなくて質を追求していく。そのなかで自然と量が広がっていけばいいというイメージです。飲食店が集中する東京で、おかげさまで 100年やらせていただいてるわけですから、その強みを活かさない手はないですよ。当社のお客様は、問屋さん、酒屋さん、飲食店さん、一般消費者の全部です。この4つのどれか一つ欠けても、商売は成り立ちません。問屋さん、酒屋さん、飲食店さんがホッピーを担いでくださらないと、一般消費者がホッピーを飲みたいと思っくださらないと、何も始まりません。ですから私たちの仕事は、ホッピーに本当に惚れ込んで下さる人捜しであり、そういった方々との緻密な人間関係づくりでもあります。私が問屋さん、酒屋さんのトップを、若手社員はエンドユーザー・サイドのお客様を定期的に訪問し、顔が見える人間関係づくりを心がけています」

長い歴史を誇る会社のなかで「変えてはいけないもの」「変えていくもの」をどのように捉えていますか。

「創業者の祖父のこだわりは『天然もの』でした。これは言い換えれば、お客様に自信を持ってお売りできる本物をつくる、安心して召し上がっていただけるものをつくるということです。その創業理念を現社長の父も受け継ぎ、工場における生産体制の改善・拡充に力を注いできました。この理念は絶対に変えてはいけません。また、ホッピーという商品にスポットを当てれば、安心感や信頼感だけでなく、何ともいえないぬくもりや下町的なダサカッコよさも守っていきたい。ただ、こと飲み物に関してはお客様の嗜好が変わっていきますから、そこは時代に合わせていかなければなりません。お客様が求めていることを敏感にキャッチし、いかにホッピーの魅力を伝えていくかもこれからは重要になってくるでしょう。わが社にはまた、祖父の代から貫かれた家族的な絆を大切にする社風があります。時代と言えばそれまでですが、かつては社員を住み込ませ、中学と夜間高校を出してやり、嫁も世話して、最後は工場長を勤め上げた人もいると、私も祖父や祖母から聞いて育ちました。頑張ってくれるんだったらファミリーとして一生面倒を見るというような絆は脈々と受け継がれていますし、私だけではなく若い社員たちもそれは感じているようです。私が憧れる会社に、東京都青年会議所の大先輩が社長を務める和菓子の『虎屋』さんがあります。彼は、数百年の歴史を持つ老舗ののれんを守りながらも、和菓子喫茶の虎屋菓寮を展開したり、パリに進出したりと、つねに新しいことにチャレンジされています。聞くところによると、虎屋さんには親子三代で働いている方もいらっしゃるそうです。教育や研修だけでは培えない、細々と受け継がれてきた精神、DNAのようなものがあるのではないか。だから虎屋さんは何百年も続く超優良企業であるに違いない。わがホッピー社も経営者のみならず、社員もまた二代三代と続いて勤めたいと思うような企業にしていきたいと思います」

会社概要

本社:東京都港区赤坂2-15-12
工場:東京都調布市多摩川1-34-1
従業員:51名
資本金:1,000円
沿革:
1910年 先代の石渡秀が秀水舎設立。清涼飲料水、ラムネ、サイダーの製造販売を開始する。
1926年 千曲飲料合資会社を設立。ホップなどの素材研究を開始。
1948年 秀水舎をコクカ飲料株式会社と改組。麦酒様清涼飲料"ホッピー"を開発。製造販売を開始する。
1970年 事業規模拡大のため、調布市多摩川に工場を新設移転、あわせて製造設備装置の近代化を図る。
1994年 ビールの製造を開始する。
1995年 コクカ飲料株式会社をホッピービバレッジ株式会社と改組。地ビールの製造販売を開始する。
2008年 ホッピー発売60周年。

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