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『ストア・レイゾウコ生産方式』で生産倍増

株式会社東伸

「武蔵野」主催の「エクセレントカンパニー"現実現場"に学ぶ」の第1弾・見学会が9月28日、岐阜県大垣市の機械メーカー「東伸」で行われた。東伸は環境整備と出会って、今年で6年目。環境整備とともに組立現場にトヨタ流の生産管理システム「ストア・レイゾウコ生産方式」、作業の管理には徹底した「見える化」で部門間や部内のコミュニケーションを取りやすくし、業務効率を大幅に改善。結果、業績は導入前と比べて2倍になった。その仕組みに多くの経営者が注目している。

売上は5年前の2倍に

東伸が環境整備とカイゼンを始めたのは2003年。導入前の02年4月の売上は12億5000万円・従業員83人。その5年後の昨年同月の売上は25億円と倍増する一方で、従業員は逆に8人減った。生産性は2倍以上に上がっている。その大きな要因は組立現場にストア・レイゾウコ生産方式を取り入れたことにあった。必要な部品を必要な時に必要な分だけ入荷させる、というものだ。

きっかけは高校生の改善塾

きっかけは06年に「高校生のための改善塾」の受け入れだった。カイゼンも同社の業務内容も良く知らない高校生はまずは現状把握のために、工具箱から工具を取り出し作業を終えるまでの時間をストップウォッチで計測した。結果、組立て時間より探す時間の方が多かったことが指摘された。そこでダンボールで工具の型を取って、その窪みに工具を置き直し取りやすくすることが提案された。再度測ったところ、完了までの時間が大幅に短縮した。これをきっかけに"探す時間のムダ"を追求した。まず、部品を探すムダの解消に取り組んだ。これまでは、購入した全ての部品を棚にストックしていたのを改め、現在では作業日から3日分だけを各作業担当者のワゴンに分けて、その日の作業が一目でわかるようにした。

生産性アップで定時終了

その結果、それまでは毎日、午後10時までかかっていた作業が、導入後は定時に終わるうえに生産性は50%上がった。時間当たりの生産高は2倍になった。仕事が定時に終わるため、残りの時間を勉強会に当てることにより若手の技術も向上した。工場の一角に「東伸道場」というコーナーがあり、業務終了後は若手のメンバーを中心に研修に励んでいる。

環境整備が基本

原敏美・東伸製造部組立チームリーダーは「環境整備がなかったらストア・レイゾウコ生産方式もできなかった」と環境整備の大切さを訴える。部品をまとめて発注していた頃は、機械1台に棚が4段必要だったため、組立工場がストック棚で埋まり、探すのに時間がかかっていた。また、全ての棚にキャスターを取り付けることにより、掃除/位置変更の容易さにもつながった。すべての物を通路に出して、要るものと要らないものを区別する「赤札作戦」を展開。床は3年かけて磨き、綺麗な状態を維持するため、ペンキを塗った。かつてのストックスペースは「東伸道場」となるなど、活きたスペース利用が可能となった。

環境整備が基本

原敏美・東伸製造部組立チームリーダーは「環境整備がなかったらストア・レイゾウコ生産方式もできなかった」と環境整備の大切さを訴える。部品をまとめて発注していた頃は、機械1台に棚が4段必要だったため、組立工場がストック棚で埋まり、探すのに時間がかかっていた。また、全ての棚にキャスターを取り付けることにより、掃除/位置変更の容易さにもつながった。すべての物を通路に出して、要るものと要らないものを区別する「赤札作戦」を展開。床は3年かけて磨き、綺麗な状態を維持するため、ペンキを塗った。かつてのストックスペースは「東伸道場」となるなど、活きたスペース利用が可能となった。

"見える化"を徹底し、効率UP

ストア・レイゾウコ生産と両輪で生産性を高めているのは、作業予定と進捗状況がわかる「生産計画差し立て板」と「業務メモ」だ。作業効率を上げるには、いつまでに何がどこまで終わったかが一目でわかるのが一番だが、この導入前まではい習慣の予定はリーダーだけが持っていた。メンバーは、その日になって当日の仕事が支持され、どこまでやってよいのかも示されていなかった。

生産管理板導入で作業効率アップ

生産差し立て板と業務メモはチームごとに色分けされていて、その日の自分の仕事が一目瞭然。差し立て板には4週間分の作業依頼書が立てられており、これを基にリーダーが作業計画を立て、作業担当者が業務メモを作成する。作業担当者はその日の業務メモを取り出し、仕事が終わったら進捗状況を業務メモに書き込むシステム。業務メモには「今日は何時から何時までにここまで仕上げる」という目標と生産額が書き込まれている。積み残しがあったら翌日の予定に組み込み修正する仕組みだ。作業中に起きたトラブルや急きょ必要になった部品の発注は「組み立てライン課題解決板」に記入する。それを見て購買部がいつまでに入荷するかを書き込む。リーダーは入荷の予定がわかるため、その作業は何日後に予定すればよい、という計算が可能となる。3日分の部品がストックされているので、翌日の工程をその日に組み替えることも即座に判断できる。常に人が効率よく働ける。同社の生産性が上がったのはこのムダのないシステムにある。

進捗管理板で一目瞭然

工場内にも進捗管理板が置かれ、誰もがその機械の進捗状況が一目で確認できるようになっている。10%ごとに表示され、出来上がりの状況に応じてパラパラとめくる。同社ではこれを通称・パラパラと呼んでいる。担当者の写真付きで責任の所在も明確だ。導入例では進捗状況の基準がバラバラだった。管理板の導入を機に基準の統一も図ったという。このパラパラに興味を持つ見学者も多く、熱心に質問する人の姿も見られた。

現場から一言
最初は私が抵抗勢力でした
原敏美・製造部組立チームリーダー

部品をその日の分だけワゴンにストックする、という方法は研修で習ったものの、私はこのやり方に固執していて、なかなか受け入れることができなかった。というのも、いくつもある台車の中から部品を探し出すのに、それほど苦労はありませんでした。改善するように指摘されると「冷蔵庫は。大きい方がいい」と見栄を張っていました。「とにかく言われた通りにやってみなさい」と言われ、しぶしぶやってみました。日に日に生産高が上がり、「このやり方が一番早い」と実感しました。私の意識が変わったのは、何よりこの実績でした。

当り前の事ができていなかった
伊藤正幸・製造部組立チームサブリーダー

工場が新しいので、きれいなつもりりでいました。05年から見学会など他社を見学する機会が増えて他社の取り組みの凄さに驚きました。自分たちが井の中の蛙だという事に気づき、これまでの自分の甘さを恥じました。点検にまわると、ものが決められた場所に戻っていない、ふたが閉まっていないなど、単純な事が出来ていない事に改めて気付きました。表示をわかりやすくするなどして、みんなが出来るようになりました。すこしずつランクアップしてきています。

interview
生産性を上げてこそ環境整備
株式会社 東伸・藤吉繁子社長インタビュー

この5年間で売り上げが倍増した東伸だが、12年前、同社が現在市に新社屋を建ててから、年を経る毎に生産効率が下がり、業績不振に陥っていた。社員は一生懸命働いていたにもかかわらず、利益が上がらない。そんな悩みを抱えていた02年、同社の藤吉繁子社長は武蔵野の小山昇社長と"環境整備"に出会った。「環境整備とは、つまるところ"掃除"。誰がやっても、成果が出る。その言葉の響きは、耳触りが良く、それがスムーズに導入できた要因だと思います」。

いつかいつかと思うなら今

藤吉社長を環境整備へと動かしたきっかけは、03年6月に武蔵野の研修でいった世界で最も変化の激しいラスベガスの街の風景だった。華やかなイメージとは対照的に、その舞台裏ではどのホテルでもお客様の獲得競争が繰り広げられていた。「流行っているホテルかどうかは、すぐわかります。どんなにお金をかけて改装しても一度落ち目になってしまったら、お客様は戻ってこない。市場はわが社の都合を待ってはくれない。市場にはお客様とライバルしかいないことを肌で感じました。小山社長の口癖である『いつかいつかと思うなら今』の意味がよく分かりました。この時、変わることを強く決心しました」。帰国後、藤吉社長は環境整備を進めると同時に、京セラの「アメーバー経営」(03年6月)を取り入れるなど、改革を断行していった。その結果、古参幹部の半分が退職していったが、逆にチャンスをもらった若手社員は、武蔵野の幹部実践塾などの機会にも恵まれ生き生きと勉強した。「何もわからないまま05年に武蔵野主催の共同勉強会の現地見学会を引き受けたんです。自分の会社の方が優れていると内心思っていた彼らは、他者をは見劣りしたことやアンケートで誉められなかったことが悔しかったようで、それがバネになりました。私は彼らがそういった劣等感を抱くのをじっと待っていた。実感しなければ真に動きませんからね」。

藤吉社長曰く、工場見学は社員のモチベーションを上げるために行う。だから受け入れは1年に1度だけ。「私は、社員の成長と同様にカイゼンにもその会社なりのステップがあると思っています。無理をして出来る人のマネをしても身にならないのは、会社も同じ。社員が疲弊するようではいけませんからね。会社の成長も社員の成長に合わせて、社員とともに歩んできた実績が裏付けているからだ。

「我が社は本当の意味で環境整備はまだまだ。機械メーカーなので製品である機械はもちろん道具がきれいでなくちゃ」。藤吉社長率いる東伸の環境整備・カイゼンはまだまだ続く。

会社概要

 資本金 9800万円
従業員数 70人

株式会社東伸の沿革
1950年 佐南鉄工所として創業
1969年 東伸に社名変更
1996年 新社屋・工場建設
2003年 環境整備の開始
2006年 藤吉繁子社長就任


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